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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年12月06日

ポツドール『女の果て』12/05-09赤坂RED/THEATER

 ポツドールの“女”シリーズは、溝口真希子さんの作・演出です。今回は第二弾(⇒第一弾レビュー)。

 上演時間は約1時間45分ぐらいかしら。私が観た回は通路席までぎっしり満席で(初日は当日券に並んで入れなかった方もいたようです)、開演時刻は10分ぐらい押していました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『女の果て

 開演するまで舞台は全く見えません。あらすじを読まれるだけでもいわばネタバレになりますので、お気をつけください。

 ≪あらすじ≫
 舞台はとあるデリバリーヘルス店。デリヘル嬢が数人待機していて、予約電話が入ったら出かけていく。
 ≪ここまで≫

 デリバリーヘルス店の中って、当事者でなければ見られないですよね~。描かれていることが事実なのかどうかはわかりませんが、「へー、デリヘルってそうなんだ~」と勝手に納得しながら(笑)、覗き見を楽しみました。でも、とっても面白かった前回に比べるとパワーは少なめかも。

 愛していない人との性行為は、愛している人との性行為とどう違うのか。風俗業を営んでいる彼らがしゃべればしゃべるほど、矛盾が露わになってきます。恋愛、結婚、子作り、子育て、浮気・・・理屈の合わないことばかりですよね。人間は矛盾を自覚しながらも深く掘下げて解決させようとはせず、その場のムードと気分に流されて、上滑りして生きているよな~と思いました。

 ここからネタバレします。

 社長(米村亮太朗)がお店の女の子と浮気をしまくっているので、社内(1LDKぐらいのマンション)はよく険悪なムードになります。取り繕ってもすぐにバレて、みっともないことばかり起こります。社長の奥さん(安藤聖)が旦那へのあてつけのために身分を隠して面接を受けに来たりして。

 米村亮太朗さんの役名は前回に引き続き“中津川”なんですね(笑)。そういえば“マリア”も・・・。

出演:米村亮太朗、羽柴真希(ペテカン)、岩本えり(乞局)、水野顕子(アーノルド)、玄覺悠子、安藤聖、尾倉ケント(アイサツ)、白神美央
作・演出:溝口真希子 照明=伊藤孝(ART CORE design) 音響=中村嘉宏(atSound) 舞台監督=清沢伸也・谷澤拓巳 舞台美術=田中敏恵 照明操作:櫛田晃代 音響操作:井川佳代 映像・宣伝美術=冨田中理(Selfimege Produkts) 小道具:大橋路代(パワープラトン) 衣装=金子千尋 ヘアメイク:中西瑞美 演出助手=富田恭史(jorro) 写真撮影=曳野若菜 制作=木下京子 広報=石井裕太 当日運営=山田恵理子(Y.e.P) 制作助手=石井舞/青木理恵/佐々木保(jorro) 提携:赤坂レッドシアター 企画・製作=ポツドール
ポストパフォーマンストークゲスト:5日(水) 雨宮まみ (ライター)/6日(木) 森下くるみ&ナンシー (AV女優)/7日(金) 高橋源一郎 (小説家)
【発売日】2007/10/28 [前売]全席指定 3,300円 [当日]3,800円
http://www.potudo-ru.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 22:41 | TrackBack

ヨーロッパ企画『火星の倉庫』12/04-09シアターサンモール

 上田誠さんが作・演出されるヨーロッパ企画の第25回公演です。京都、福岡を経て東京にやってきてくれました。東京の次は大阪公演です。

 平日マチネでしたがほぼ満席の様子。ヨーロッパ企画らしい息の合ったおしゃべりでクスっと笑わせてもらいつつ、シアターサンモールの広い舞台をかっこよく使い切った装置と仕掛けを堪能しました。上演時間は約2時間。

 ⇒CoRich舞台芸術!『火星の倉庫

 舞台はコンテナが積み重ねられた港。少々殺伐としています。大きな箱がいっぱい並んでいる時点で、何か仕掛けがあるんだろうな~と予想はできるのですが、その予想を気持ちよく上回る出来事で、アッと言わせてくれました。ちょっと圧倒され、ちょっとあきれもして(笑)、最後はじ~んと。

 おもしろネタがどんどこ続くのに付いていく気力を失いかけたりもしましたが、ここまで作りこんで見せてくださったら満足です。全国4箇所ツアーってすごいな~。前回の3作連続公演DVDも販売されていました。

 ここからネタバレします。

 コンテナや小さな箱を積んでおろしてパズルみたい。人や物体をうまく隠して次々とばかばかしい展開を生んでいきます。

 コンテナの裏から巨大な土星人(?)が出てきたのには、さすがに口あんぐり。圧巻でした。
 「土星人が放射性廃棄物を処理してくれてたけれど、その縁が切れたので地球はもう終わります」とあっけらかんと宣言。それでも男はギターを弾いて女を口説くんだっていうエンディングに感動。

≪京都、福岡、大阪、東京≫ 第25回公演
出演:土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力、松田暢子、山脇唯、石田剛太、酒井善史、諏訪雅、角田貴志
作・演出:上田誠 美術=長田佳代子 照明=松谷將弘(ART COMPLEX) 音響:宮田充規(GEKKEN staff room) 舞台監督=大鹿展明×筒井昭善 制作協力=[京都・大阪]サウンドクリエーター [東京]サンライズプロモーション東京/ゴーチ・ブラザーズ/日和庵 協力=REENAL by resona bank、ABCラジオ、リッジクリエイティブ株式会社、GEKKEN staffroom 京都芸術センター制作支援事業 共催= [東京公演]ニッポン放送 主催=[福岡公演]イムズ/テレビ西日本/ピクニック/ヨーロッパ企画 企画・製作=ヨーロッパ企画/株式会社オポス
【発売日】2007/10/06 前売3,300円/当日3,500円(全席指定・未就学児入場不可)
http://www.europe-kikaku.com/projects/e25/main.htm

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 17:07 | TrackBack

青年団リンク 二騎の会『五月の桜』12/05-09こまばアゴラ劇場

 青年団リンク 二騎の会は、宮森さつきさんの脚本を多田淳之介さんが演出されるユニットで、前作『直線』ではポスト・パフォーマンス・トークに出演させていただきました。
 昨年から始まった文学座+青年団 自主企画交流シリーズの3本目なんですね。今年も続いてくれて嬉しいです。

 『五月の桜』は平成12年度北海道戯曲コンクール大賞受賞作です。ぎゅっと凝縮された空間で鮮やかに胸に届いてくる言葉に、ホロリと涙しました。上演時間は約1時間40分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『五月の桜
 レビューは途中です。続きをアップできるかどうか不明。

 ≪あらすじ≫
 桜が咲く墓地。和希(長野海)は数年ぶりに故郷・北海道に帰って、亡き父の墓参りを済ませた。彼氏の工藤(永井秀樹)とそのまま旅行を続け、誰にも会わずに去るつもりだったのだが・・・。
 ≪ここまで≫

 黒い幕が三方を囲む空間の中央に、石碑のように大きくて四角い柱がそびえ立っています。その左右には流木(?)を組み合わせた木々がひゅるひゅると数本立っていて、寂しげな印象の舞台です。

 最初はやっぱり驚かせてくれました。多田さんの演出はこれだから見逃せません。役者さんはある決まりにのっとって会話をします。声の大きさ、間のつめ方、ニュアンスなど、さまざまなセリフの発語方法をじっくり味わえたので、言葉のひとつひとつを大切に聞くことができました。

 ここからネタバレします。

 和希(かずき・長野海)と、和希の血の繋がっていない弟・一基(かずき・桜町元)の“2人のカズキ”のシーンで涙が出ました。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 『リアル交流トーク』出演:多田淳之介×所奏(文学座)

 所奏(ところ・かなで)さんは文学座+青年団 自主企画交流シリーズの次回作『Train coming』の脚本を書かれています。
 ほぼ初対面のお2人のトークということでしたが、所さんがもっとお話をされた方が良かったんじゃないかしら。「『Train coming』を観に行きたい」と思わせてくれる材料がなかったです。

文学座+青年団自主企画交流シリーズ
出演:永井秀樹(青年団)/天明留理子(青年団)/長野海(青年団)/佐山和泉(青年団)/桜町元(青年団)/征矢かおる(文学座)/東谷毬子(客演)
作:宮森さつき 演出:多田淳之介  照明:岩城保 舞台美術:鈴木健介 装置:濱崎賢二 宣伝美術:京 制作:二騎の会 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共催:文学座/青年団
【発売日】2007/11/01 予約・当日 3,000円 シニア(65歳以上)・学生 2,000円 平日マチネ 2,000円 日時指定 整理番号付自由席
http://www.seinendan.org/jpn/bskoryu/gogatsu.html

Posted by shinobu at 12:19 | TrackBack