REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2008年04月21日

InnocentSphere『ハリジャン』04/19-27シアタートラム

 InnocentSphereは西森英行さんが作・演出される劇団です。歌舞伎役者の尾上松緑さんを迎えたシアタートラム公演。上演時間は約1時間50分。 

 ⇒CoRich舞台芸術!『ハリジャン

 ≪あらすじ≫
 悪の神と呼ばれた背むし男・渋谷ヱビス(尾上松録)について、左手が不自由な男(狩野和馬)が語る。初めてヱビスに出会ったのは、体に障害をもつ人たちの職場だった。
 ≪ここまで≫

 骨組だけの巨大な右手首が舞台中央に。正面から奥へと、上手から下手へと伸びる通路が2本、直角に交差しています。十字架に見えるんですよね。

 わかっているようで実は全然わかっていない、日常生活の中のタブーがテーマになっており、脚本執筆は大変だったんじゃないかな~と想像します。

 尾上松録さんが主役でいわゆる悪役(ヒール)なのですが、もっともっと悪に徹する人物にしても良かったんじゃないかと思いました。
 説明のためにシーンがあるように感じるのは残念。InnocentSphereは、比較的大きい劇場で出演者が多い作品が続いています。人気劇団ですから仕方ないかもしれないですが、個人的には西森さんの脚本重視の作品を観たい気がしますね。

 ここからネタバレします。

 障害のある人と健常者との間の確執、キリスト教の救いへの疑問、命が救われるはずの病院での殺人事件。

 看護婦(黒川深雪)が携帯電話で「すべて見てるのになぜ何もしてくれないの?」と怒っていた相手は、神様でした(つまり実際には電話はしていない)。NODA・MAP『オイル』の松たか子さんを思い出しました。このセリフにはとっても共感↓(正確ではないですが)
 ヱビス「お前(看護婦)は震えながら立っている。」

 背むし男・渋谷エビス(尾上松緑)が見たい“火”とは、“何があろうと、誰になんと言われようとも、ある人をとことん愛すること”だったかな。もっともっと、本当に救いの無い悪役のままでいて欲しかったです。


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 覚書き程度です。
 出演:西森英行、尾上松緑、司会(柳)

 尾上「負け戦に挑む気質が好き。あだばな的な生き方というか。全てに背を向けて人の手を払いのけるエネルギーとか。自分に確信がなければ、人の手を払えないはず。」
 尾上「いつか大地の上にたった1人で生きている(ような)人間になりたい。悪よりも孤高にあこがれる。」

出演:尾上松緑、狩野和馬、黒川深雪、坂根泰士、斉藤みのり(ハーツエージェント)、吉田久代(ククルカン)、倉方規安、窪田道聡(FIP/世界名作小劇場)、伊藤優、大谷幸広、名越健一(AUN)、足立由夏、筒井則行(ゴリぱんかにー)、横道毅(花組芝居)、三浦知之、八敷勝、かれん、日高勝郎、間野健介、中田真弘、こうのゆか、小澤惠(劇がく杜の会) ※長谷川耕(AUN)が急病のため降板し、代役は川本裕之(KAKUTA)。
作・演出=西森英行(InnocentSphere) 照明=斎藤真一郎(A.P.S.) 音響=ヨシモトシンヤ(有限会社カムストック) 選曲=高橋秀雄(SoundCube) 美術=松本わかこ 衣裳プラン=村瀬夏夜 ヘアメイクプランナー=泉淑 映像・宣伝美術=冨田中理 宣伝写真=宮川舞子 スチール=坂田峰夫 ビデオ撮影=テアトルプラトー アクションコーディネイト=八敷勝 演出助手=殿岡紗衣子 演出補佐=田村友佳(KAKUTA) 舞台監督=筒井昭善 まかない=C★chan 票券システム=堀内淳 制作:横内里穂 制作協力=松竹株式会社、RIDEOUT 田中浩輔 高田雅士 企画製作=InnocentSphere
【発売日】2008/03/08 全席指定 一般3,800円 ペア券7,000円(劇場チケットセンターのみ取扱い) 高校生以下2,500円(当日取り置きのみ、受付にて学生証提示、劇団WEBサイトのみ取扱い) 劇場友の会会員割引 3,600円 世田谷区民割引 3,700円 ※未就学児童入場不可

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2008年04月21日 16:36 | TrackBack (0)