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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年07月08日

smartball『“Kiss me, deadly”』07/04-14王子小劇場

 smartballは名執健太郎さんが作・演出される劇団です。まだ第3回公演ですが、王子小劇場が主催する佐藤佐吉演劇祭2008に参加しています。

 ⇒演劇祭公式ブログ(飛鳥高校演劇部感想リレーあり!)
 ⇒シアターガイド賞選考ブログ
 ⇒CoRich舞台芸術!『“Kiss me, deadly”

 ※腱鞘炎で執筆をお休み中だったため後日加筆(2008/07/22)。

 ≪あらすじ≫
 父が死んで、古い一軒家には三姉妹だけが残された。長女(遠藤留奈)はヤバイ商売に両足を突っ込んでいる。しっかり者の次女(石井舞)はかたぎだが、世間知らずなところがある。三女は無邪気に自宅で体を売っている。長女の仕事が思わぬ方向へと進み・・・。
 ≪ここまで≫

 具象美術と声が聞こえないぐらいの現代口語劇でありながら、過激な設定にリアリティを感じられないこともありましたが、以前に拝見した王子小劇場での公演よりも、面白いと感じるシーンがいっぱいありました。
 smartballはこの公演で活動を中止するそうです。名執さんはこれからも活動されるようですので、また作品が観られたらと思います。でも、せめて演劇祭が終わってから発表したらいいのに・・・。

 ここからネタバレします。

 ほぼ冒頭のセックスシーンで、三女(深谷由梨香)は脱がなくても良かったんじゃないかな~。過激な性描写がなくても、充分にオリジナリティが感じられるシーンがあったと思います。

 次女が、スカートの中に手を入れてくる彼氏(尾倉ケント)を静止するシーンが可笑しかった。結局それで彼は彼女を捨てるんですよね。思いっきり体目当てだったってことで、ヒドイ男(笑)。なのに次女はそれに気づかずに待ち続けるっていう、まあカッコ悪い女ですよね。
 長女は仕事でヘマをやり、もともと三女は頭が弱くて・・・つまりオバカ三姉妹の凋落と暴走が描かれました。3人ともとても可愛らしい女優さんだから、そのギャップがまた絵になります。

 出口も逃げ道も、未来もなくなって、三姉妹で銃を手に海へと突っ走るラストシーンは、『俺たちに明日はない』や『テルマ・アンド・ルイーズ』を髣髴させて痛快でした。明るく激しい音楽と躍動感も、絶望と対比されて良かった。最後のシーンの衣装がチラシにリンクしていたのも素敵。

佐藤佐吉演劇祭2008参加
出演:遠藤留奈 石井舞 深谷由梨香(柿喰う客) 石澤彩美 白神美央 大塚麻央 宮嶋美子(風琴工房) 富田恭史(jorro) 河西裕介(国分寺大人倶楽部) 尾倉ケント(アイサツ) 後藤剛範(害獣芝居) ※出演を予定しておりました菊地未来は、都合により出演致しません。
脚本・演出:名執健太郎 照明:伊藤孝(株式会社ART CORE) 音響:中村嘉宏 美術:田中敏恵 小道具・衣装:大橋路代(パワープラトン) 舞台監督:甲賀亮 宣伝美術:冨田中理(SelfimageProducts) 写真撮影:曳野若菜 モデル:遠藤留奈、石井舞、深谷由梨香(柿喰う客) 記録映像:マキタカズオミ(elePHANTMoon) 演出助手・言語指導:梅舟惟永(ろりえ) 制作:山田恵理子 主催・企画・製作:Y.e.P
【発売日】2008/06/01 前売2,800円 当日3,000円 【日時指定・整理番号付・全席自由席】 高校生以下2500円(劇団のみ、前売・当日とも。当日要学生証)
http://smartball.yep-web.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年07月08日 23:54 | TrackBack (0)