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しのぶの演劇レビュー
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2008年10月23日

【稽古場レポート】モダンスイマーズ『夜光ホテル~スイートルームバージョン~』10/21都内某所

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萩原聖人さん(右)

 蓬莱竜太さんは新国立劇場に『まほろば』を書き下ろすなど、若手で最も注目を集める劇作家・演出家の1人。蓬莱さんが作・演出される劇団モダンスイマーズへの評価は、公演ごとに着実に高まってきています。

 今年5月に上演された『夜光ホテル』が“スイートルームバージョン”となって大阪で再演されることになり、遠征直前の稽古場にお邪魔させていただきました。※来年1月の「NHKシアターコレクション'09」(東京・渋谷)での上演も決まっています。

 主演に萩原聖人さんを迎えた同作は、下北沢OFF OFFシアターで1ヶ月間のロングラン上演を果たした作品で、なんと全ステージ満席という人気公演だったんです!⇒東京公演の観客の感想10件(CoRich舞台芸術!) 

★精華演劇祭 vol.11参加/平成20年(第63回)文化庁芸術祭参加公演
 モダンスイマーズ『夜光ホテル~スイートルームバージョン~
 11/01~04@精華小劇場(大阪)
 〔お問合せ〕Habanera 03-5489-3740(平日11時~18時)
 
 ⇒CoRich舞台芸術!『夜光ホテル~スイートルームバージョン

 稽古場はステージの実寸が取れる大きさがあり、家具もほぼ本番どおりに揃っている万全の状態。まずは最初から全体の5分の4あたりまで通し、その後はほぼラストまでの動きを決めていくお稽古でした。OFF OFFシアターから精華小劇場に移ると舞台のサイズがかなり大きくなるそうで、動きを新しく組み直すことになったんですね。再演とはいえ、動き以外にも細かい調整が必要になってきます。
 蓬莱「OFF OFF(シアター)ではそれで良かったけど、今回はその(シーンの)前を見せた方がいいと思うんですよ。」

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 萩原聖人さんとモダンスイマーズのメンバーは、1ヶ月間のロングランを小さな空間で一緒にやってきた5人(+作・演出の蓬莱さん)ですから、チームワークは抜群です。皆が無言になって思考する時間も、のびのびとした充実感に満ちていました。客演の萩原さんはいわば“頼れる兄貴”のポジションで、自ら進んで提案したり、休憩時間にはほがらかに雑談もされて、ムードメイカーになってらっしゃいました。

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 『夜光ホテル』は青森のホテルに集まった、ワケありの男たちの一夜を描く会話劇。彼らがなぜ再会したのか、なぜ東京に向かおうとしているのかが、笑いをふんだんに交えながら、少しずつ明かされていきます。『まほろば』パンフレットの座談会記事(内の、演劇ライター・徳永京子さんの発言)にありましたように、蓬莱作品の特徴は“自分の生まれた家や土地というしがらみから抜け出して新しい人生を歩き出す、その時の大きな痛みを描いている点”です。『夜光ホテル』もまた、5人の男たちが初めてしっかりと目を開いて、自分の人生と対峙する瞬間が描かれていました。

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 セリフを話す人物だけではなく、だまって聞く人物の演技にも大いに見どころがあります。例えば萩原さん演じる篠原はリーダー的存在なのに口数が少ないのですが、文庫本を携えイスにじっと座っている時の表情の変化が、実は多くを語っているのです。ストーリーを知ってからもう一度観ることで、登場人物それぞれの痛みや葛藤をより深く味わえました。大きな転換が起きる前に語られていることも、それぞれがこの物語の核となる部分と密接につながっており、改めて戯曲の面白さに唸らされることになりました。2度観るのもオススメです。

 モダンスイマーズの大阪公演はこれが初めてのことで、作品の面白さは東京公演でも実証済み♪ 関西地方の皆様、どうぞお見逃しなく! 
 ※11/3(月・祝)14:00の公演は終演後のトークもあって売れ行きが良いそうです。

平成20年(第63回)文化庁芸術祭参加公演 精華演劇祭VOL.11参加
出演:萩原聖人 モダンスイマーズ〔古山憲太郎 津村知与支 小椋毅 西條義将〕
作・演出:蓬莱竜太 美術:伊達一成 照明:森脇清治(東京舞台照明) 音響:今西工 宣伝美術&衣裳協力:小原敏博 宣伝写真:引地信彦 ヘアメイク(宣伝写真):二宮ミハル 記録写真:Yoshizo Okamoto 制作:神野和美 協力:アルファエージェンシー サイスタジオ 制作協力:オフィスPSC 重留定治 広川由季  Habanera 松尾由紀
前売3,500円 当日4,000円 全席指定
http://www.modernswimmers.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年10月23日 22:50 | TrackBack (0)