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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年09月03日

冨士山アネットproduce『EKKKYO-!』09/02-03ザ・スズナリ

 長谷川寧さんが主宰する冨士山アネットが、作品だけでなくその存在自体も個性的な団体ばかりを6つ集めたイベントです。

 タイトルの「EKKKYO-」の意味は「越境」ですが、色んな団体を集めて、その結果ジャンルを超えたイベントになるのではなく、そもそもジャンルを超えた活動をしている団体を集めたんですね。とても面白かったです。映像で観たことのあった夙川アトムさんを生で見られたのも良かった(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『EKKKYO-!

 ここからネタバレします。上演の順番はうろ覚えです。ごめんなさい。

■夙川アトム
[ひとりコント“赤ずきんちゃん”]作・演出・出演 夙川アトム

 「ギロッポン」とか「ちゃんねー」とか。エセ業界人を思いっきりデフォルメ。ピンクのセーターを肩から掛けてるのが可笑しい。

■ピンク
[子羊たちの夕焼けボート]振付・出演:磯島未来 加藤若菜 須加めぐみ

 少女マンガ的スポ根系ダンス?音楽に合わせてかっこよく踊った後に、音楽なしでほぼ同じ振付で踊ったのがすごく面白かった。ダンスすることに溺れることなく、自分たちのパフォーマンスを客観的に見て、作品作りをされているように感じました。かっこ良かった。

■劇団山縣家
[ホームビデオ家族でスズナリ]出演:やまがたひろとも 山縣恵子 山縣太一 作・演出:やまがたひろとも

 以前に観たことがある演目でした。これぞ存在自体が強烈な個性である劇団。プロデューサーの長谷川さんによると、劇団山縣家のジャンルは“家族”(ポスト・パフォーマンス・トークより)。
 本当の家族が家族役を演じるという構造に、何度もうす笑いさせられる。お母さん役の方(本当にお母さんなんだけど)のソロダンスも良かった。

■快快
[いそうろう(リメイク.ver)]出演:大道寺梨乃 山崎皓司 原作:シノダ リメイク:北川陽子 演出:シノダ スタッフ:天野史朗 北川陽子 佐々木文美 篠田千明 藤谷香子

 こちらの公演で上演された戯曲のリメイク。今月また上演されます
 女2人芝居だけど登場したのは女と男。登場する2人の女のセリフは、ほとんど女優さんが一人でしゃべりました。つまり1人2役。男優さんは言葉は話さず身体表現で女優さんが演じる女の相手の女を演じます。
 舞台奥の大きなホリゾント幕に映す映像も雄弁。快快らしい演出でした。

■夙川アトム
[ひとりコント“鍾乳洞ののろい”]作・演出・出演 夙川アトム

 お笑い芸人が本番でしゃべってる最中、どんどこ歯が抜けていく。強引なボケ突っ込みやウケ狙いでなく、演技を重ねて笑いを作っていくので、私はとても好き。

■FUKAIPRODUCE羽衣
[お金の話しが終わったら]出演:伊藤昌子 日高啓介 鯉和鮎美 高橋義和 澤田慎司 西田夏奈子 深井順子 作・演出・音楽:糸井幸之介 演出助手:井出智子 衣裳:吉田健太郎(yu-GEN CRaFTS)

 男女があけっぴろげにセックスしまくってて、歌でもセックスセックス歌ってるよ・・・。でも最後は感動して泣いてしまった。しゃかりきに叫ぶ歌がいいですね。歌詞もロマンティック。誰か(歌手とかアイドルとか)に楽曲提供したらいいのにな~。
 「本公演に行ってみようかしら・・・」と考える自分が怖くもある(笑)、まさに“リトマス試験紙”的な団体。

■夙川アトム
[ひとりコント“浦島太郎”]作・演出・出演 夙川アトム

 再びエセ業界人で登場。最初よりキレが良かったです。紙芝居の紙をめくって「バーン!(だったかな?)」と大声を出して体を開く演技が面白い。長谷川さんにはこういうところが“ダンス”に見えたそうです(ポスト・パフォーマンス・トークより)。

■冨士山アネット
[行方知れず]出演:小椎尾久美子 山本伸一(BQMAP) 石川正義 長谷川寧 作・演出・振付:長谷川寧 音楽監督:吉田隆弘 衣裳:竹内大悟 大久保美彩

 「藪の中」をもとにしたダンス・パフォーマンス。脚本を書いてから創作をされるそうなので、実は演劇と言えるかもしれないんですね。
 表が白で裏が黒のビスケットの個数を数える(実は5個あったんですが、今は4個しかない等)。白と黒の衣裳を着た男3人、女1人が互いに影響を与え、受けながら踊ります。

≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:夙川アトム ピンクのメンバー1名(加藤若菜さんだったと思うのですが・・・) 山縣太一 篠田千明 糸井幸之介 長谷川寧(司会)

 夙川アトムさんがいいところで盛り上げて、散らばった話もきれいにまとめられて、さすがは芸人さんだな~と思いました。

出演:冨士山アネット・快快・劇団山縣家・ピンク・夙川アトム・FUKAIPRODUCE羽衣
企画/構成:長谷川寧 舞台監督:中西隆雄 照明:奥田賢太(colore) 映像:浦島涼(PUREDUST) 音響:楠瀬ゆず子 宣伝美術:京(kyo.designworks) 撮影:山本晃久(月と太陽製作所) スチール撮影:松本和幸 制作:大石丈太郎+冨士山家 主催:冨士山アネット
【発売日】2008/07/19 一般 前売2800円 当日3000円 学生2500円(前売・当日共/要学生証提示)
http://fanette.fc2web.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 21:51 | TrackBack

スロウライダー『トカゲを釣る-改-』09/02-07 THEATER/TOPS

 山中隆次郎さんが作・演出されるスロウライダー。チラシのデザインがかっこいいですよね~。
 2006年に上演された『トカゲを釣る』の再演かと思いきや、『-改-』とありますように完全な新作でした。上演時間は約2時間強。

 「あぁ、今わたしはTOPS(THEATER/TOPS)の芝居を観てる!」とお芝居の途中で実感して、嬉しくなりました。作り手が独自の世界観を堂々と示し、やりきって、観客も“ムチャな設定”“ありえない展開”を進んで受け入れて、身を乗り出して楽しむ感じ。
 SFホラー的要素が濃いのでお好みは分かれると思いますが、私は充実の観劇ができて面白かったです。役者さんも見ごたえがありました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『トカゲを釣る-改-
レビューは後ほどアップ予定。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 製薬会社の工場町として栄えた地方都市、串浦。
 地元住民が近づかない山奥に、ひっそりとその施設はある。
 老朽化した施設が、そもそもなんの目的で、何者によって建てられたのか、
 地元住民の口伝いに、その存在は噂として様々に囁かれたが、そのどれもが憶測の域をでない類いのものだった。
 施設で働く人間が、日が落ちるのを待って、隠れるように山から降りてきては串浦の町に紛れ込んでいると、妖怪かマタギようにも言われるが、やはり実際に施設の人間と会った者はない。
 施設の正門は、いつでも固く閉ざされている。
 私の友人は、その施設にもう、10年ちかく閉じ込められている。
 ≪ここまで≫ 

出演:數間優一、芦原健介、日下部そう(ポかリン記憶舎)、金子岳憲(ハイバイ)、町田水城(はえぎわ)、大和広樹、中川智明、遠藤留奈、岡村泰子(きこり文庫)、林灰二(oi-scale+灰spec(s))、泉陽二
脚本・演出:山中隆次郎 照明:伊藤孝(ART CORE design) 音響:中村嘉宏(At Sound) 音楽:山野井譲 舞台監督:西廣奏 演出助手:田中慎一郎 宣伝美術:上田大樹 web運営/栗栖義臣 記録・映像:トリックスターフィルム 記録・写真:西田航 制作協力:スギヤマヨウ(QuarterNote) 制作補:池田智哉(feblabo) 企画・製作:スロウライダー
【発売日】2008/08/02 平日割引(火・水・木のみ要予約):3000円 前売・予約:3300円 当日券:3500円
http://www.slowrider.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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