2008年09月05日
東宝『青猫物語』09/05-28シアタークリエ
北村有起哉さん、黒谷友香さん主演のラブ・コメディーです。上演時間は約2時間30分(途中20分の休憩を含む)。
久しぶりにシアタークリエに伺いまして、快適に過ごさせていただきました。場内案内の女性がとても親切でほがらかですし、休憩時間は外に出てスターバックスでゆったり(笑)。2度目にしてシアタークリエの楽しみ方がわかったかも。雨が降ったらどうなるかわかりませんが・・・。
⇒CoRich舞台芸術!『青猫物語』
≪あらすじ≫
昭和8年の築地。カフェ青猫に住み込む自称ダンサーのそら(黒谷友香)と、築地小劇場で演出をしている新劇青年・八起静男(北村有起哉)の恋の行方は?
≪ここまで≫
舞台はレトロなカフェ。マスター(きたろう)が観客に話しかけるタイプのとても親しみやすい構造です。
すんなりうまく行くかと思いきや、悪いタイミングが重なってなかなか結婚できない2人。北村さんの細やかな演技の七変化が面白いです。年配のお客様の心もしっかりつかんだようですね。
北村さんと黒谷さんは背の高さもいいバランスで、恋人同士にはぴったりでした。今さら言うことじゃないですが、黒谷さんは本当にスタイル抜群ですよね!お顔もきれいだし、演技も可愛らしい。眺めてるだけでプチ幸せ気分。カーテンコールの挨拶でもひたむきさが伝わってきました。
S席8,800円とお高い公演ですが、こういうのもたまにはいいなと思えました。初日ということもあり、出演者の必死さが表に出ていたのも私好みだったのだろうと思います。
ここからネタバレします。
八起が東郷平八郎に変装している時間がけっこう長くて、一体どうなるのかな~と少し不安に。なるほど、この役は演技派でコメディーのセンスがある方じゃないとできないですね。
そらの弟のチンピラ(橋本淳)が女学生に本気でホレてしまい、「本当は帝大の学生じゃない」と告白します。それが東郷元帥に変装している八起にも重なるのが上手い仕掛けになっていました。
演劇の上演台本に検閲が入り、突然俳優が特高にしょっぴかれる、言論の自由がない昭和初期。赤紙が来たら若い男たちは召集されていきます。そんなエピソードがサラっと挿入されていて、胸が傷みました。今、こんなことが起こったらと想像するとぞっとします。
黒谷さんの衣裳は基本的にスタイルがよくわかるドレスやネグリジェで、眼福。ただ、最後に着る巨大な青いリボンを胸につけた白いドレスはちょっと・・・意図がわかりませんでした(笑)。
出演:北村有起哉 黒谷友香 きたろう 近江谷太朗 岸博之 小須田康人 橋本淳 北村岳子 富田麻帆 山下裕子 荒井正樹 小椋毅 佐藤淳 本田誠人 石田佳名子 岡村さやか 関谷春子 羽柴真希
脚本:マキノノゾミ 演出:山田和也 音楽: 川崎晴美 美術: 中根聡子 照明: 宮野和夫 衣裳: 木村猛志 ヘアメイク: 宮内宏明 音響: 本間俊哉 演出助手: 福原麻衣 プロデューサー: 横田優希 製作: 東宝
【発売日】2008/06/28 S席:8,800円/青猫シート:6,800円(全席指定・税込)
http://www.tohostage.com/aoneko/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Studio Life『マージナル』08/28-09/28紀伊國屋ホール
男優集団Studio Lifeが萩尾望都さんの漫画『マージナル』を舞台化しました。⇒製作発表写真レポート
スタートとゴールは同じですが、道筋が違うという仕組みの2本立て公演です。どちらを観ても舞台『マージナル』をひととおり鑑賞することができますが、両方観るとさらにその世界が深まるんですね。
グリンジャ、キラ、アシジンが活躍するのが「砂漠編」、メイヤードが中心になるのが「都市(シティ)編」です。メインの3役が“womb(ウーム)”と“uterus(ジュテレス)”の2チーム・ダブルキャストになっていますので、全種類観るなら劇場に4回通うことになります。
興味はあるけどまだチケットを取っていない方は、お気に入りの役者さんがどのチームのどの役で出演するのかを早めにチェックして、スケジュールを立てることをお薦めします。公演終盤になって「あ、この日空いてる!」と思っても、すでに観たバージョンだったりすると悲しいんですよね~(苦笑)。
※私はuterusチームの「都市編」を拝見しました。上演時間は約2時間15分(休憩なし)。
⇒CoRich舞台芸術!『マージナル』
いつもながら原作をとても大切にしていて、「ここがこの漫画の肝だ!」というところをはずさない。ファンの気持ちを汲んでくださっている脚本・演出だと思います。倉田さんご自身が原作をとても愛してらっしゃるのでしょう。取りこぼすことなくまとめようという気持ちが伝わってきます。ただ、あまりに見どころの多い作品ですので、少々長いと感じることもあり。
人物が袖から登場して短いシーンを演じて、すぐにまた袖にはけることが繰り返し続きます。そうならざるを得ないのは理解できますが、場面転換の時間をもっと詰めてもいいんじゃないかと思いました。
んー、やっぱり砂漠の三人組が観たいな~。グリンジャがほとんど出てなかったし。
劇場ロビーの物販スペースが豪華に装飾されていて驚きました。「マージナル」と「シティ」の紋章(?)の刺繍がされたタオルのハンカチが可愛かった。
終演後は客演の渡部紘士さんがブースに入って、ご自身の写真集を販売してらっしゃいました。お客様と握手しておしゃべりしての大盤振る舞い。
ここからネタバレします。
腐って赤くあわ立つ映像と、青くゆらめく映像とがまざる海の中で、キラ(松本慎也)が海と一体になる演出が良かったです。
林勇輔さんのセンザイマスターがキュートでした。奥田努さん演じるネズもブっ飛んでて面白かった。
出演:笠原浩夫、曽世海司、岩﨑大、仲原裕之、荒木健太朗、松本慎也、青木隆敏、三上俊、林勇輔、舟見和利、前田倫良、奥田努、篠田仁志、吉田隆太、原田洋二郎 神野明人 緒方和也 石井昭裕 渡部紘士(客演)、山﨑康一、石飛幸治、藤原啓児、河内喜一朗
原作=萩尾望都 脚本・演出=倉田淳 美術=松野潤 照明=森田三郎 森川敬子 舞台監督=本田和男(ニケステージワークス) 音響=竹下亮(OFFICE my on) ヘアメイク=角田和子 衣裳=竹原典子 アクション=渥美博 舞台監督助手=倉本徹 美術助手=渡辺景子 演出助手=平河夏 荒川真寿恵 宣伝美術=河合恭誌 菅原可奈(VIA BO, RINK) 宣伝写真=薮田修身 小道具=高津映画装飾 大道具製作=俳優座劇場 デスク=大野純也 大谷容弘 熊田美波 山﨑みれい 制作=稲田佳雄 揖斐圭子 麻場優美 大田香織 小山智子 瀬津丸砂織 若松美香 制作協力=東容子 縄志津絵 宮澤有美 小泉裕子 八木美穂子 宣伝PR=る・ひまわり 主催:テレビ東京・Studio Life 企画・制作=Studio Life プロデュース:河内喜一朗
【発売日】2008/06/29 (全席指定/税込) 前売¥5,200 当日¥5,400 セット券(「砂漠編」「都市編」を一度に購入した場合)¥10,000(劇団前売販売のみ) 学生割引¥3,000 (要学生証。劇団前売販売のみ) ※学生割引券の取り扱いは劇団通常電話予約(7/2 13:00~)以降となります。
http://www.studio-life.com/stage/marginal/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【情報】ポケットメディアスタンド“Caution!”を見つけました

PMS
駅前劇場とOFF OFFシアターの間に白い物体を発見!「ポケットメディアスタンド“Caution!”」(PMS)です(折込チラシのサービスなどを行っているネビュラエクストラサポートが管理)。⇒fringe blog
PMSのポケットに入っている情報誌「Choice!」(vol.0)では、お薦めの舞台と映画が2本ずつ紹介されていました。
私はいつも舞台ばかりチェックしているので、専門家が厳選した映画を紹介してもらえるのは嬉しいです。映画「僕のミライへの逆回転」は観たいな~。舞台の紹介文は舞台公演を観たことがない人向けに書かれていて新鮮。映画ファンの方が映画館で手にとって読んでくれたらいいな~。
※映画情報執筆:相田冬二 舞台情報執筆:徳永京子
PMSは劇場だけでなく映画館にも設置されます。舞台ファンと映画ファンをつないでお互いにメリットになればいいですね。
※駅前劇場とOFF OFFシアターの間にPMSが置かれるのは、クロカミショウネン18『祝/弔』が終わる9/15(月・祝)までです。