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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年03月10日

フェスティバル/トーキョー実行委員会『Hey Girl!』03/10-14にしすがも創造舎 特設劇場

 「フェスティバル/トーキョー09春」(⇒記者発表)の目玉演目の1つ、イタリアの演出家ロメオ・カステルッチさんが演出される『Hey Girl!』の初日を拝見しました。

 “象徴演劇”と称されることに納得。とにかく主演の女優さんに見とれました。上演時間は約1時間15分。劇中のセリフが当日配布のパンフレットに掲載されています。開演前に読んでおいた方がいいかもしれません。

 全席自由席で、開場は開演の30分前より。早く来場された方から順番に整列入場します(開演15分前から)。初日は満席でした。⇒残席状況

 ⇒プレビュームービー(音が鳴ります)
 ⇒舞台写真が多数公開されています
 ⇒CoRich舞台芸術!『Hey Girl!

 “女”が描かれるということ以外の前知識ゼロで鑑賞。オープニングの衝撃が大きかった!金髪の女優シルヴィア・コスタさんの肢体から目が離せず。彼女がほんの少し動くだけで(手を回す、口角を上げるなど)、舞台の景色が変わり、新たに世界が生まれます。
 俳優志望の方は、彼女の演技を観るといいんじゃないかしら。舞台上にたった1人で、自分の体だけで何ができるのかを確かめられると思います。俳優って凄いわ~。

 音響効果は大迫力でした。足元にも体にもビシバシ来て、サラウンド効果もあって。でも激しすぎる感もあり。お好みは分かれるかもしれませんね。
 作品の表す意味は、正直なところよくわかりませんでした。ドキっとするような演出についても、なぜそれが起こるのかはわからず。

 目の前で起こるハプニングのような出来事は、無論それ自体が衝撃的な体験になります。貴重な機会ですから、ヨーロッパで注目を集める不思議な舞台芸術の中に、自分からもぐり込んでみるのも良いと思います。

 ここからネタバレします。覚えていること、私が勝手に想像したことを箇条書きに。

 幕開けは、いきなり脱皮(?)して、全裸の白人女性が現れました。このオープニングのシーンが一番好きでしたね。涙が出そうになりました。ぼとぼとと机(ベッド?)から垂れ落ちる、あの液体は何?!ゴムみたいだし、泥みたいだし・・・でも肌色。

 ぬるぬると女(人形)から生れ落ちる赤子、かと思いきや、背中には刺青。生まれながらに罪を背負う者=“女”? 大昔から忌むべきものとして生きてきた女。何年も、もしかしたら何千年もずっと戦ってきたのだが(鏡、太鼓などを使った演技で表現)、白いTシャツとジーンズを着るようになった現代も、まだそれは続いている。
 シルヴィアさんはたった1人で、何らかの生命体、“女”と呼ばれる物体、1人の少女、群集などになっていました。そして遥かな時を越えていました。

 剣に口紅を当てると煙が出ました。剣は電気で熱くなっていて、口紅は焼けて溶けてしまいます。剣に振りかけた香水の香りが劇場中に広がりました。剣の上からかけた布は焦げていました。
 エキストラは40人ほどの男性たち。集団でシルヴィアさんを殴る。最初は男による女の虐待に見えたのですが、徐々に性別は関係なくなり、支配者・被支配者、暴力の連鎖などのイメージに。
 丸いガラスが4枚割れたのには驚いたーっ!でも、なぜ?
 黒人女性の体に銀色の液体を塗りつけていく。光る肢体。ロボット、永遠、宇宙のイメージ。
 最後の絵(逆さになった肖像画?)もよくわかりませんでした。誰の絵だか知っていたらわかるのかな~。

フェスティバル/トーキョー09春
出演:シルヴィア・コスタ(金髪)、ビクトリーヌ・ムプトゥ・リヴォーザ(黒髪)
エキストラ:青山清、麻加関壱、石崎尚、稲葉賀津雄、茨木主、宇賀神智、大石丈太郎、尾崎彰雄、加治慶三、加藤匠、亀井惟志、木下毅人、木村圭輔、窪田修、小久保寿人、小林啓也、篠崎徳光、鈴木ケンタ、竹内ゆとり、谷杉精一、田村げん、田村賢二、檀原照和(シルクハットの男)、傅隆司、時田光洋、中江レン、中村章吾、林亮佑、藤田一樹、筆内政敏、堀切克洋、ますだいっこう、松澤輝朝、三橋俊平、吉田ミサイル、吉松章、Danilo Sven Tyra、Philippe Valdois、Simon Gauchet
演出:ロメオ・カステルッチ 音楽:スコット・ギボンズ 映像:ステファン・デゥーヴェ 照明技術:ジャコモ・ゴリーニ 舞台技術:フェデリコ・レプリ 美術:プラスティックアート、イストヴァン・ツメルマン 制作:ジルダ・ピアシーニ、コゼッタ・ニコリーニ 制作アシスタント:エウジェニオ・レスタ 広報:ベネデッタ・プリリア 管理:エリザ・ブルーノ、ミケーラ・メドリ 管理アドバイサー:マツィミリアーノ・コーリ 製作:オデオン座(パリ)、フェスティバル・ドートンヌ(パリ) 、スタイリシェル・ヘルプスト(グラーツ)、ル・マイヨン劇場(ストラスブール)、デ・シンゲル(アントワープ)、プロデゥクティエフイス・ロッテルダム、カンカルイェヴ・ドン(リュブリャナ)、TRAFO-現代芸術の家(ブダペスト)、ソチエタス・ラファエロ・サンツィオ
【東京公演日本側スタッフ】技術監督:寅川英司+鴉屋 照明:佐々木真喜子(ファクター) 音響:相川晶(サウンド・ウィーズ) 技術監督アシスタント:佐藤恵 舞台監督:中原和恵 演出部:杣谷昌洋 小道具・演出部:栗山佳代子 衣装管理:台三緒 にしすがも創造舎劇場スタッフ:弘光哲也 字幕制作・操作:幕内覚 通訳:石井園子、畑京太郎、大崎さやの 舞台写真:石川鈍
【F/Tスタッフ】制作:ハッセル、タラ・石塚、辻奈都子【F/Tクルー】河野美帆、砂川史織、ジュリエット・トリュフィ、中村恵理
【発売日】2008/12/18 自由席 一般 4,500円/学生 3,000円(要学生証提示)、高校生以下 1,000円 
http://festival-tokyo.jp/program/heygirl/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:10 | TrackBack

【スナップ】「フェスティバル/トーキョー09春」グッズの大判ハンカチが可愛い!

 ただいま開催中「フェスティバル/トーキョー09春」(⇒記者発表)では、スタッフさんが必ず大判ハンカチ(600円)を身に付けていらっしゃいます。
 モノトーンの服装に黄緑の差し色が素敵なんですよね~。人それぞれ付ける場所が違うのも楽しい。首に巻く方が多いのですが、巻き方に個性が出ています。
 手に付けている方の写真を取らせて頂きました。
 手首派↓
20090310_scarf1.jpg

 腕派↓ これは目立ちますね~。
20090310_scarf2.jpg

 大判ハンカチは物販コーナーでも販売中。600円だし、買っちゃおうかな~。

Posted by shinobu at 23:03 | TrackBack

【演劇教育】「ワークショップデザイナー育成プログラム」開講!(2009年春夏開講分の受講希望者受付は3/21〆切)

 文部科学省社会人の学び直しニーズ教育推進プログラム事業「ワークショップデザイナー育成プログラム」が開講します!(fringeのTOPICより) 関連エントリー⇒

 「演劇教育でガッコーを面白く!」の会・キックオフミーティングから2年足らずですよね。公式の講師養成プログラムが始まったなんて、凄い!

 対象者は、“地域教育や学校支援にボランティアで関わっている方、芸術家、教育やアートに関連している行政・企業・公益法人・NPOなど関係団体の職員、企業のCSRを担当している社員、対人サービスを担当している方など”(公式サイトより引用)。

 4ヶ月間で120時間のプログラムです。演習(通学)は土日のみ。平日はeラーニング(自宅学習)なので、仕事を持っている人も受講できます。受講料は80,000円。ただいま春夏開講プログラムの2次募集中です。〆切は3月21日。
 青山学院大学(第1期):2009年5月~8/30
 大阪大学(第1期):2009年4/2~7/27

 ワークショップデザイナー育成プログラムを修了すれば、学校教育法に基づく履修証明書、厚生労働省が発行するジョブ・カードを取得できます!

 日本の学校で広く演劇教育が行われるようになったら、すぐに必要とされる人材です。ご興味のある対象者の方には、ぜひ受講していただきたいです。

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:36 | TrackBack

【演劇教育】「熟議の政治へ舞台を回せ-『ヤルタ会談』上演」@朝日新聞3/9(月)朝刊

 2009年2/23に国会議事堂そばの憲政記念館で上演された青年団『ヤルタ会談』(レビュー⇒)のことが、朝日新聞3/9(月)朝刊(東京本社)に大きく掲載されました。⇒「ヤルタ会談」フォーラムのご案内
 ■ポリティカにっぽん「熟議の政治へ舞台を回せ-『ヤルタ会談』上演」
  筆者は早野透さん(朝日新聞社コラムニスト)。

 私の左手の右上部分↓です。文字数にすると約2000字。中央の挿絵もこの記事のためのものです。
20090309_politica_nippon.JPG

 コラムによると『仕掛け人は民主党の松井孝治参院議員、開会のあいさつは自民党の山本一太参院議員、劇後のシンポジウムには民主党の鈴木寛参議院議員と元文部官僚の寺脇研氏、それに平田オリザ氏、閉会のあいさつは公明党の斉藤鉄夫環境相。』『観客席の武村正義元官房長官』など、議員の方々が大勢いらしたようです(客席数は約100席)。

 『集まった超党派議員はこの劇から「権力の自戒」を学んだに違いない。だが、もうひとつ、これらの議員に共通するのは、「政治は演劇を学ばなければならない」という思いである。政治と演劇? 一体どういうこと?(略)』

 オピニオン欄に、こんなに大きく演劇公演のことが載るなんて驚きました。とても嬉しい。
 私は演劇と触れたおかげで人生が変わりました。もちろん良い方向に。演劇(芸術)は人間に必要なものであるということを、より多くの方に伝えられたらと思います。

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:27 | TrackBack

パルコ『ストーン夫人のローマの春』02/28-03/22パルコ劇場

 テネシー・ウィリアムズの小説をマーティン・シャーマンさんが戯曲化、ロバート・アラン・アッカーマンさんが演出されます。映画化はされてますが(1962年と2003年)、舞台化は世界初なんですね。⇒原作本・映画紹介

 ある大女優が破滅へと向かう物語ですが、あっという間の、華やかな夢のようでした。20人ぐらいの役者さんが豪華な衣裳を次々と着替えながら、軽やかに場面転換をしていきます。重厚な作品だろうと勝手に予想して少し気構えていたのですが、もっと気楽な観劇になりました。上演時間は約2時間20分(休憩20分含む)

 ⇒asahi.com「『今夜の公演は中止』舞台初日の午後に発表 パルコ劇場
 ⇒CoRich舞台芸術!『ストーン夫人のローマの春
 レビューを途中までアップしました(2009/03/15)。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 空虚な心、孤独な人生、
 よりどころを失った一人の女優 カレン・ストーン
 行き着いたのは、イタリア ローマ。
 そこは彼女の心は対照的に活気溢れ、すべてにどん欲な街。
 肉体の深くに秘められていた熱い情熱を、
 ローマの太陽が炙り出す。
 ≪ここまで≫

 あぁ、豪華で美しいドレス!ドレス!ドレス!!衣裳は物語を語る役割としても、とても雄弁でした。そして美術がかっこいい!照明の色使いが鮮やかで、装置との贅沢なコンビネーションが味わえます。おしゃれで洗練されている感もありつつ、作品全体が軽やかでリズミカルなので、スノッブな印象はあまりなかったですね。出演者に若い人が多いせいもあるかもしれません。

 聞き覚えのあって親しみやすい、明るい音楽がいっぱいで、舞台で起こる出来事とは対照的でした。こんなにノリ良く楽しんでしまっていいのかしらとも思いましたが、とにかく疾走感が心地よかった。あぁこうやって、人生は無駄に、残酷に、流れていくのかも・・・。
 最後のシーン(行動)の意味は、私にはわからなかったですね。それはそれで鑑賞後に謎が残って良かったかも。いえ、答えがわかる演出だったとしても、議論を巻き起こしてくれたことと思いますが。

 アンサンブルの方々がどんどん衣裳を着替えて、何役も演じ分けて、ローマの街を色付けしていきます。大勢が一斉に静止するシーンはゾクっとしますし、何よりシルエットが美しい!ただ、ドレスは着こなせていない方が目立ちました。まあ、麻実さんと比べざるを得ないので酷だと思いますが。回を重ねるごとに進歩されることと思います。

 ストーン夫人役の麻実れいさんが美しいです。ドレスの着こなしはさすが。あのスタイルの良さは、うらやましいなんて気持ちも起こらないほど。
 ストーン夫人の愛人を演じたパク・ソヒさんは、マッチョでおバカな少年っぽさが出る瞬間が素敵。でも熟女を手玉に取るジゴロ(自称、でしょうけど)としての、ねっとりとした柔軟さが欲しかったですね。揺れ動く心の危うさも、もっとあっていいんじゃないかと思いました。

 チケット代分の豪華さは保証されていると思います。気になってる方はぜひ♪

 ここからネタバレします。

≪東京、大阪≫
出演:麻実れい 江波杏子 団時朗 今井朋彦 パク・ソヒ 鈴木信二 中川安奈 浜田学 宮光真理子 岡野真那美 有希九美 【アンサンブル(50音順)】巖大介 岡田あがさ 岡田さやか カトウシンスケ 川辺邦宏 倉本朋幸 神藤恭平 Zinzy  高橋来花 タリン 永栄正顕 水谷友子 村上新悟 露敏 呂美
原作:テネシー・ウィリアムズ 脚本:マーティン・シャーマン 演出:ロバート・アラン・アッカーマン 翻訳:薛珠麗 美術:デーン・ラフレイ 衣裳:ドナ・グラナータ 音楽:ジョン・アルトマン 照明:沢田祐二 音響:高橋巌 ヘアメイク:鎌田直樹 舞台監督:藤崎遊 協力:the company、TSP 製作:山崎浩一 プロデューサー:佐藤玄・毛利美咲 後援:TOKYO FM オフィシャルエアライン:日本航空 企画製作:株式会社パルコ
【発売日】2008/12/13 全席指定・税込8,000円
http://www.parco-play.com/web/page/information/stone/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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