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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年10月06日

三田村組『home』10/01-11ザ・ポケット

 俳優の三田村周三さんが主宰する三田村組は、公演ごとに脚本・演出・出演者を集めるプロデュース形式の公演を行っています。第16回公演はONEOR8の田村孝裕さんが新作を書き下ろし、演出されました(⇒過去レビュー)。

 老人ホームの人間模様。年配の役者さんの愛嬌のある演技に微笑みつつ、苦味が利いた筋立てにも満足。上演時間は約1時間40分。

 ⇒江森盛夫の演劇袋「10月3日M「home」(作・演出:田村孝裕)三田村組
 ⇒CoRich舞台芸術!『home

 明るい笑いの場面に、敵意などの不協和音がスっと入り込むのにドキっとしたり、ほんのり感動できるエピソードににんまりしたり。なにより登場人物がダメ人間ばかりなのが、私には痛快。スカっとします。
 「何歳になっても人間は変わらないなぁ」「“この親にしてこの子あり”だなぁ」「因果応報だなぁ」などなど、ありがたい教訓を得るように拝見(笑)。それもこれも、登場人物の背景に説得力があるからだと思います。

 三田村周三さん、金髪にジーンズでかっこいー!!モテるダメ男、お似合いでした。

 ここからネタバレします。

 阿部(三田村周三)は無断外出の常習犯。昔から女好きで、ホームでも二股をかけているし、賭け麻雀でいかさまをして友人のお金を巻き上げるし。妻はすでに他界しており、一人娘の霞(松永玲子)は阿部とは縁を切っているのですが、阿部が問題(女湯を覗き見)を起こしたためホームに呼び出されます。
 しっかり者の霞ですが、実は詐欺まがいの商法で絵を売っている自覚があり、どうやら不倫の関係に悩んでいることも後からわかります。

 阿部は動脈瘤の手術を受ける振りをして、ちゃっかり手術費用の金を騙し取り、40年前の愛人・佳世(大崎由利子)と一緒にホームから逃亡して終幕。ほんと痛快(笑)。阿部が猫で、佳世が金髪のライオンってのも巧い。猫は死にざまを見せないらしいですものね(死ぬ時は飼い主の家から出ていくそうです)。女湯を覗くために作ったハシゴを最後の最後に使うのも、また巧い脚本ですねぇ~。

 以下、蛇足ですが。
 自分の愛人の名前(源氏名?)を娘に名づけるなんて、ひどい話です。ひどすぎて笑ってしまう。
 佳世が「(阿部と私が愛し合っていたのに)奥さんが別れてくれなかった」って言ってたけど、そりゃ無理だろって思いました。さらに「奥さんは意地で別れなかったんだと思う。だからお金を盗んだの」ってどういう飛躍!?「自分が子供を産めないのをわかって、(阿部は)娘に私の名前をつけてくれた。だから自分の子供ができたみたいに感じた」とかさー、めちゃくちゃですよね。さすがはライオン(笑)。

三田村組第16回公演
出演:松永玲子(ナイロン100℃) 大崎由利子 大西多摩恵 坂本あきら 土井道肇(元祖演劇乃素いき座) ヒロ植吉(植吉劇場) 水野あや 西條義将(モダンスイマーズ) 中島愛子 桜井昭子 三田村周三
プロデューサー:三田村周三 脚本・演出:田村孝裕(ONEOR8) 美術:香坂奈奈 照明:和田典夫(満平舎) 音響:小沢高史 舞台監督:古屋治男 宣伝美術:由比まゆみ(egg design) 制作:上田郁子(オフィス・ムベ)
【発売日】2009/08/08 前売:3,800円 学生:3,500円 当日:4,000円
http://www.mitamuragumi.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:36 | TrackBack

勝田演劇事務所×海のサーカス『バケレッタ』10/02-08吉祥寺シアター

 2006年にフィリピンで上演された、鄭義信さんの作・演出作品です。もともとは2005年に“プロデュース・F”というアマチュア劇団に書き下ろされた作品で、『そして、僕らはそこで夢を見た』というタイトルだったそうです。

 ものすごいベタベタで・・・途中休憩の時に帰りました。以下は前半だけの感想です。

 ⇒CoRich舞台芸術!『バケレッタ

 児童演劇を上演する劇団のアトリエが舞台。稽古のシーンが続くんですが・・・つまらないんです。こんな児童演劇が実際にあると勘違いされたらイヤですね。まあそれだけじゃないんですけど・・・。

 遅刻してきた役者がシーン稽古が行われている稽古場に、大きな声で挨拶しながら入ってくるとか、まずあり得ないでしょう。ほかにも色々ありますが・・・。

 「いったい何十年前の世界!?」って叫びたくなるぐらい時代錯誤していた、テレビドラマ『下北サンデーズ』を思い出しました。

 ここからネタバレします。

 たいして面白くないネタの繰り返しが多すぎました。一体どうしちゃったんでしょうか。例えば劇中劇の中で、映画「タイタニック」テーマ曲が流れる有名な場面を、何度も繰り返します。ネタなのはわかりますけど、2000年代の小学生には「タイタニック」なんてわからないですよね。大人でももう笑えないんじゃないかなー。

小劇場の劇団員たちが繰りなす、ほろ苦く、切なく、愛おしい、ラスト舞台「ゴーストオペラ」
出演:村松恭子 佳梯かこ 若松武史 品川徹 みのすけ 朱源実 荒谷清水 吉田麻起子 塩田貞治 早川大介 山元文雄 吉橋央朗 塙育大 矢ヶ部哲 橋本考世
作・演出:鄭義信 舞台美術:磯沼陽子 照明:増田隆芳 音響:藤田赤目 作曲:久米大作 振付:吉野記代子 衣装:鷺典子 舞台監督:吉木均 宣伝美術:タメ 制作:落合直子 プロデューサー:勝田安彦
【発売日】2009/07/27 前売¥4500 当日¥5000 全席指定
http://www.libresen.com/bake/index.htm

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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