2009年10月14日
THE SHAMPOO HAT『沼袋十人斬り』10/14-25ザ・スズナリ
THE SHAMPOO HATは赤堀雅秋さんが作・演出・出演(しばしば主演)される劇団です。第24回目となるザ・スズナリ公演は、出演者が劇団員のみの新作です(野中隆光さんと黒田大輔さんはお仕事の都合で出演されていないようです)。
抽象美術で、意外な、本当に意外な(笑)、演出でした。今までのシャンプーハットにはなかった切り口で、でもやはり赤堀さんならではの現代劇でした。上演時間は約1時間50分。
★出演者の体調不良のため、10/15~17の公演を中止。18日より再開予定だそうです(2009/10/15加筆)。 詳細は公式サイトでどうぞ(2009/10/16加筆)。18日まで休演、19日より公演再開となったそうです(2009/10/18加筆)。
⇒CoRich舞台芸術!『沼袋十人斬り』
レビューはネタバレ前までアップしています。加筆できるかどうかはわかりません。
≪あらすじ≫
連続で9人も殺した無差別殺人犯がまだつかまっていない沼袋。星(児玉貴志)、リンゴ(多門勝)、別府(赤堀雅秋)の中年男3人組は、今日も早朝からパチンコ屋に並んでいる。ある日、夜間警備の仕事をしている別府が、10年かかって貯めた500円玉の山が盗まれた。どろぼうは昨日出会ったあいつに違いない!3人は盗人を追って追って追いまくる!
≪ここまで≫
最初は何を意図した装置および演技なのかわからず、探り探り観ている状態でした。意味がわかってからは、それに乗っかって楽しめるようになりました。無差別殺人犯のエピソードとパチンコ仲間の珍道中とが並列に描かれ、徐々に重なっていきます。ストーリーを追うより、目の前で起こることと作品全体の演出との組み合わせを、観察するような感覚でしたが、最後のシーンでとうとう、結末のひとことに胸打たれてしまいました。赤堀さんは凄い。
ただ、私はシャンプーハットの作品をよく観ていますし、いわゆる演劇フリークの1人だからこそ楽しめたという点はあるかもしれません。何も知らないと、どこが面白みなのかがわからない可能性がある気がします。
ここから少しネタバレします。読んでから観に行っても問題ないと思います。
今どきのダメ中年男&ダメ若者たちの、停滞した日常を描く現代劇ですが、演出が歌舞伎風なのです。装置は黒子が移動させますし、別府はなぜか日本刀を腰に差していますし(笑)。定式幕の三色の明かりが当たる中をパチンコ仲間3人が並ぶ(走る)姿からは、『三人吉三』を思い出しました(笑)。かといって演技の全てが歌舞伎役者のようになるわけではなく、ダラっとした怠惰な姿勢や現代口語の会話もありますので、なんとも不思議なバランスなのです。これが私には、くすぐったいような、むずむずするような面白さでした。
信じがたいめぐり合わせや、都合のよすぎる展開を、力技でざっくざっくと成立させていきます。「なぜそこで一人で長々と身の上話をしちゃうの!?」と戸惑いつつ、とてもいい話なのでグっときたり、「そんなことあるわけないYO!(笑)」と突っ込みたくなるほど唐突な出来事を、気前よく受け入る気持ちになったり。そういうのって実は歌舞伎に似ていますよね。そうそう、盗人を追うのは「捕物帳」だし。
ごくごく身近な、むしろスケールが小さいとも言える話が、役者さんが汗だくになって劇場の上も下も走り回って、なぜか歌舞伎風に(笑)見せることで、現代のファンタジーになっていたのがとても面白いと思いました。
ここからネタバレします。加筆できるかどうかは未定。
THE SHAMPOO HAT第24回公演
出演:赤堀雅秋 児玉貴志 多門勝 日比大介 滝沢恵 吉牟田眞奈 梨木智香
脚本・演出:赤堀雅秋 舞台監督:伊東龍彦 照明:杉本公亮 音響:田上篤志(at Sound) 舞台美術:袴田長武(ハカマ団) 宣伝美術:斉藤いづみ イラスト:山本夏美 宣伝PD:野中隆光 WEB製作:野澤智久 舞台収録:原口貴光(帝斗創造) 舞台写真:引地信彦 演出助手:岩堀美紀 制作:武田亜樹 企画製作:HOT LIPS
【発売日】2009/09/13 先行発売:3,500円 自由:前売 3,500円 / 当日 3,800円 指定:前売 3,800円 / 当日 4,000円
http://www.shampoohat.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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中野成樹+フランケンズ『Zoo Zoo Scene ずうずうしい(再び)』09/25-27横浜市立野毛山動物園
初演を体調不良のために見逃した「動物園物語」@リアル動物園。再演してくださってとても嬉しいです。
動物園職員の方がアテンドしてくださる野毛山動物園ツアーの後、2人芝居を拝見。
⇒CoRich舞台芸術!『Zoo Zoo Scene ずうずうしい(再び)』
野毛山動物園は入場無料。休日は小さな子どもと若い夫婦の家族連れでいっぱいでした。こんな動物園があるなんて、すぐ近くにある急な坂スタジオに何度か通っているのに知りませんでした。↓園に入ったところ
最初に急な坂スタジオで受付をすませるはずが、勝手に舞台会場となる動物園内の公園で待っていたために、遅刻しかけました(汗)。その時に撮影した会場写真↓※上演の際、赤いコーンはなくなります。
2チームに分かれての動物園ツアーで、私は野毛山動物園管理係教育普及担当の堀口由美子さんにご案内いただきました。堀口さんはとっても素敵な若い女性で、「あぁこういう方が劇場職員だったら、どんなに素晴らしい劇場になることだろう」と夢想しながら歩く時間となりました。もちろん、今までは気付かなかった動物園の魅力も少しわかりました。
動物観察の後は、とうとう人間観察へ。
≪あらすじ≫ パンフレットより。
動物園に程近い、公園での出来事。ピーターはジェリーという見知らぬ男に声をかけられる。とまどう二人はどうにか会話らしきものを続けるが、最後にそのうち一人が死んでしまうお話です。
≪ここまで≫
2人の人間(ピーター&ジェリー)を紹介する、演出の中野さんの導入がとっても面白かった。で、本編は残念ながら集中力が続かずうつらうつら・・・。すみません。歩いて疲れたのもあったかも。
≪ポストパフォーマンストーク≫
出演:中野成樹 堀口由美子 司会:長島確(翻訳家・ドラマトゥルク)
堀口さんが指摘された“劇場と動物園の類似点”に納得。「通えば通うほど、動物園は面白くなる」ことにも同感。中野さんもおっしゃってましたが、演劇もそうですよね。
【誤】動物園へ行ってみませんか?
出演:村上聡一、福田毅、竹田英司、ゴウタケヒロ ※二名が日替わり出演。私が観た回はピーター:福田毅 ジェリー:洪雄大(ゴウタケヒロ改め)
原作:エドワード・オールビー『動物園物語』より 誤意訳・演出:中野成樹 宣伝美術:青木正(Thomas Alex) 美術協力:坂下正俊 木下隆平 急な坂アトリエ 技術協力:佐藤泰紀(STスポット) 共催:横浜市立野毛山動物園 後援:横浜市開港150周年・創造都市事業本部 協力:横浜クリエイティブシティ国際会議2009実行委員会 アーツコミッション・ヨコハマ 特別協力:急な坂スタジオ STスポット 横堀応彦 主催:中野成樹+フランケンズ 制作:加藤弓奈
【発売日】2009/08/24 2,500円(事前予約制・当日清算) 各回限定50名 ※各回限定50名/雨天決行 ※未就学児の観劇はご遠慮ください。
http://frankens.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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