2009年10月13日
演劇集団円『コネマラの骸骨』10/09-21ステージ円
森新太郎さんが再びマーティン・マクドナー戯曲(過去レビュー⇒1、2、3、4、5、6)を演出されます。『ロンサム・ウェスト』がとっても面白かったので期待して伺い、満足して家路に就くことができました。あー楽しかった!充実の4人芝居です。上演時間は約2時間。
パンフレットによると、マクドナーのリーナン三部作(過去レビュー⇒1、2、3)を全て上演した集団は、世界でも演劇集団円だけとのこと(⇒過去2作の記録)。また、『コネマラの骸骨』は今公演が日本初演です。
⇒TICKETS@TOKYO(当日券の前日予約)
⇒CoRich舞台芸術!『コネマラの骸骨』
レビューはネタバレ前までアップしました。続きは書けるかどうかわかりません。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
オレは酒を飲んで、したたかに飲んで、あいつはシートベルトをしてなかった、
それだけのことだ。ほかに噂のしようがない話だ。
7年半前に妻を交通事故で亡くしたミック(石住昭彦)は、ひとりアイルランドの西の果て・リーナンの村で暮らしている。尋ねてくるのは、近くに住むメアリー(山乃廣美)。ミックのポーテインをせびりながら、長ったらしいお天気ニュースやら猫の結婚ばなしやらチャリティーで教会が開くビンゴゲームの話に余念がない。しかし、メアリーの話の端々に奥歯にものが詰まったような・・・がある。
それは、彼の妻の死にまつわる妻殺しの噂が村中でささやかれているからだ。
ミックは、警察と教会の依頼を受け、毎年秋に墓を掘り返す仕事をしている。今年もその季節が来た。今年は妻を埋葬した場所を掘り返さなくてはならない。妻の死にまつわる噂の中、彼は墓堀りをはじめる・・・。
アイルランドの過疎の村での閉鎖的な人間関係、袋小路のように身動きのできない家族関係。
貧しい村で生きつづけるために息をひそめ、波風をたてず、時々ちょっと暴れたり、噂の輪を広げながら、日々をやりすごす。真相はわからないけれど・・・。
しかし、墓を掘ることで噂の真相が暴かれようとしている。
≪ここまで≫
錆びて赤茶けた鉄の(ような)壁に囲まれた息苦しい部屋で描かれるのは、アイルランド某所の陰鬱な生活風景。登場するのはお世辞にも“いい人”とは言えない人ばかりで、次々と汚い言葉が吐き散らされます。目をふさぎたくなるほど不謹慎なことも起こるのですが、地に足のついた丁寧な演技で人間関係がぶ厚く積み上げられ、会話の絶妙な“間(ま)”によって、辛らつだけれどスカっと大笑いできるブラックユーモアがどんどん生み出されます。
『ロンサム・ウェスト』よりもサスペンスの色合いが濃く、第4幕には、たやすく飲み下すことはできない見事などんでん返しが用意されていました。否応なしにライブ感が増す仕掛けで、ドタバタ喜劇のように大らかで気軽な笑いもいっぱい。そしてマクドナー戯曲らしい、言葉にできない悲しみも浮かび上がらせる、隅々まで行きとどいた演出でした。
一見硬質だけれど実は人間味がじわじわ感じられる美術と、計算された色彩・明暗のバランスがかっこいい照明とのコンビネーションも贅沢。大胆な舞台転換もあり、上質の海外ストレート・プレイを味わった満足感が得られました。あ~足の裏からぬくもってくるような幸せ♪(あんなに陰惨な話なのに・笑)
7年前の交通事故に関して、いまだに妻殺しの噂を囁かれている主人公ミック役は、石住昭彦さん。その友人のダメ警官役は吉見一豊さん。お2人は前作で仲の悪い兄弟を演じました。警官の弟でオツムの弱い若者マーティンには、円演劇研修所の研修生である戎哲史さんを抜擢。戎さんは色んな意味で破壊力満点です(笑)。そしてミックに酒をたかるばかりの老婆メアリー(トーマスとマーティンの祖母)は、劇団重鎮の名女優・山乃廣美さんです。
満を持しての劇団内ベスト・キャスティングなんだと思います。ベテランの技術と若手の持ち味を存分に発揮させ、作品に昇華させた森さんの演出力はもちろん、歴史ある劇団だからできることを見せつけられました。えらそうな言い方ですが、演劇集団円という集団と場所(アトリエ)があってこその成果なのではないでしょうか。それを享受できたことを、観客としてすごくありがたく思います。
ここからネタバレします。続きは書けるかどうか不明。
出演:山乃廣美 石住昭彦 戎哲史 吉見一豊
脚本:マーティン・マクドナー 演出:森新太郎 訳:芦沢みどり 美術:奥村泰彦 照明:佐々木真喜子 音響:藤田赤目 衣裳:緒方規矩子 舞台監督:田中伸幸 演出助手:林紗由香 宣伝美術:坂本志保 イラストレーション:木村タカヒロ 制作:桃井よし子 宮本良太 後援:アイルランド大使館
【発売日】2009/08/21 全席指定 一般4800円 学生3500円 ペアチケット8600円(2枚1組)※学生券・ペアチケットは劇団扱いのみ
http://www.en21.co.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【オーディション】ままごと「2010年3月(予定)こまばアゴラ劇場公演・出演者募集」※11/18〆切(メールor郵送)
柴幸男さん(過去レビュー⇒1、2、3、4、5、6、7、8)の作品を上演するユニットままごとの出演者募集情報です。
次回公演は2010年3月に上演予定の『スイングバイ(仮)』。青年団リンク独立後第一弾となるそうです。ご興味のある役者さんは下記をどうぞ。折り込みチラシからの情報です。
※2009年1月にSTスポットの「"i,e" projectワークショップ」もあります。講師:柴幸男(期間1/20~24、申込12/25必着)。
■ままごと出演者ワークショップ&オーディション
応募〆切:2009年11月18日(水)〈必着〉
ままごとでは、下記の次回公演、および今後の公演で、我々と作品作りを共にしてくれる出演者を探しています。
我々の作品をご覧頂けた方であれば、演技経験は問いません。皆様のお応募、お待ちしております。
「いきなりですが、僕は子どもの頃ごっこ遊びが好きでした。
想像の場所、想像の時間、想像の役を演じて遊ぶ。
誰もが一度はやったことがあると思います。
でも、いい大人がままごとで遊んでいる姿はあまり見ません。というかまったく見たことがありません。
誰もが歌を歌うように、誰もが桧を描くように、誰もが演劇で遊ぶようになればいいと思います。
だから僕は自分の演劇をあえて「ままごと」と名付けました。
演劇をままごとのようにより身近に。より豊かに。
ままごとをどこまで突き詰められるのか、と同時に、どこまで遊びやすく広げられるのか。
そんなことを考えてます。
というわけで一緒に、本気で遊んでくれる人を探そうかなと思いました。
でもしょせん「ままごと」。この指とまれってな感じでお気軽にご参加ください。」(柴幸男)
■ままごと第一回公演 ≪青年団リンク独立後、第一弾作品!≫
『スイングバイ(仮)』2010年3月〈予定〉於:こまばアゴラ劇場
■応募条件
柴幸男の作品を観た事のある方。演技経験不問。
●審査日程
1次審査…書類選考
書類選考に合格された方には、11月23日〔月〕までにメールまたは電話にてご連絡いたします。
2次審査…実技
2009年12月6日(日)&13日(日)に審査を行います。
・応募〆切:11月18日(水)【必着】
・参加費用:2,000円
2次審査時に会場にてお支払いいただきます。
※出演に際し、チケットノルマなどの形で公演運営費の負担を要求することはございません。
・会場:束京、神奈川
日時によって会場が異なる場合があります。詳細は応募要項に記載します。
応募要項は、10月23日(月)以降、ままごと公式サイト( http://www.mamagoto.org )にアップします。
■応募方法
①、②どちらかの方法をお選び下さい。
①ままごと公式サイトより応募用紙をダウンロードし、必要事項を記入の上、
下記メールアドレスに件名を「ままごとオーディション」と明記し、お送りください。
②PC環境のない方は、下記の電話番号にお問い合わせください。
【ままごと】
TEL:090-2561-8730
MAIL:zuqnz.miyanaga(アットマーク)gmail.com
http://www.mamagoto.org
・お問い合わせ/郵送先 ZuQnZ(ズキュンズ)/宮永琢生 宛
〒195-0072東京都町田市金井6-47-12
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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