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2009年10月24日

松竹・劇団☆新感線『InoueKabuki Shochiku-mix「蛮幽鬼(ばんゆうき)」』09/30-10/27新橋演舞場

 アレキサンドル・ドュマの長編小説『モンテ・クリスト伯』(⇒文学座の舞台レビュー)をもとにした中島かずきさんの新作戯曲を、いのうえひでのりさんが演出されます。

 劇団☆新感線はやっぱり中島×いのうえコンビがいいですね~。いのうえさんの演出作品は直近の3作(⇒、3)が私にとってはあんまりだったのですが、今回は好き♪

 上川隆也さん、堺雅人さんの暴れっぷりを存分に楽しめたし、早乙女太一さんの美しさにほれぼれ。1等席12,600円という高価格ですが、贅沢な時間を過ごさせていただいたので満足です。約3時間35分(途中休憩30分を含む)

 ⇒CoRich舞台芸術!『蛮幽鬼

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 遠い昔。
 各地の豪族支配から、ようやく一つの政権が出来上がりつつある島国・鳳来(ほうらい)の国にまつわる物語。
 鳳来の国の若者四人は、国をまとめる精神的支柱として果拿(かだ)の国の国教“蛮教(ばんきょう)”を学ぶために留学している。その中の一人、京兼調部(きょうがねしらべ)が暗殺され、同行の伊達土門(だてのどもん)【上川隆也】が無実の罪により監獄島に幽閉される。土門は、濡れ衣を着せた稀浮名(きのうきな)、音津空麿(おとつのからまろ)への復讐を誓う?
 10年の歳月が流れ、脱出を試みようと牢獄の壁を掘り進めていた土門は、両手足を鎖に繋がれた男【堺雅人】がいる牢へたどり着く。土門に助けられた男はサジと名乗り、復讐に協力することを誓ってともに脱獄する。
 鳳来の国の都。蛮教を持ち帰った浮名と空麿は、教義を自分たちに都合よく作り変え、彼らの父親たちと共に権勢をふるっている。
 一方、都のはずれでは、飛頭蛮(ひとうばん)が唱える“蛮心教(ばんしんきょう)”へ人々の支持が集まりつつあった。蛮教に疑問を抱く大王の妃、美古都(みこと)【稲森いずみ】は、彼女を護衛する刀衣(とうい)【早乙女太一】を伴い飛頭蛮のもとを訪れる。この飛頭蛮こそかつて美古都と将来を誓い合った土門であった。
 そして、宮中では、蛮教と蛮心教の教義をめぐって、飛頭蛮と空麿は教義問答をすることとなる…。
 ≪ここまで≫

 上川隆也さんも堺雅人さんも、やっぱり映画やテレビより舞台が素敵だわ~。上川さんは演技の切り替えが早くてギャグが面白い。堺さんは“いつ何どきも笑顔”なキャラが生かされていて、細いのに強そうに見えました。

 早乙女太一さんは踊りが美しいのはもちろん、華麗な殺陣でも魅せてくれます。早乙女さんの殺陣のシーンで拍手が起こりましたね。刀を回す時に足も高く上がってるのが凄い。
 稲森いずみさんは前半がか弱すぎる印象でしたが、後半の太い声には迫力があり、そのギャップが良かったです。そういえば『法王庁の避妊法』でも素敵だったんですよね~。

 個人的には今回もやはり右近健一さん(美古都の夫)が強く印象に残りました。千葉哲也さん(美古都の父)もさすがの渋さで良かったな~。

 ただ、たまたま映像撮影日だったのは運が悪かったです。パっと目に入っただけでも10台以上のカメラが客席に。演技も「ゲキ×シネ」のためにやってるように見える瞬間もあり(勘違いでしょうけど)。
 あと、お約束みたいにスタンディング・オベーションがあるのもがっかりしますね。

 ここからネタバレします。

 誰か(A)を守るために誰か(B)を敵に回すと、関係ない誰か(C)を犠牲にしてしまうという、皮肉なめぐり合わせ。何か(誰か)をスパっと切り捨てるという選択は、ゆがみを生むんだと思います。
 監獄島から脱出したけれど、復讐心に支配されている間はまだ監獄にいたのだという、土門の気づきに納得。

≪東京、大阪≫
出演:上川隆也 堺雅人 稲森いずみ 早乙女太一 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 山内圭哉 山本亨 千葉哲也 右近健一 逆木圭一郎 河野まさと 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ 礒野慎吾 中谷さとみ 保坂エマ 村木仁 川原正嗣 前田悟 武田浩二 藤家剛 工藤孝裕 矢部敬三 川島弘之 加藤学 井上象策 安田桃太郎 安藤由紀 生尾佳子 葛貫なおこ 須水裕子 NAMI 吉野有美
脚本:中島かずき 演出:いのうえひでのり 美術:堀尾幸男 照明:原田保 衣裳:小峰リリー 振付:川崎悦子 日舞振付:飛鳥左近 音楽:岡崎司 音響:井上哲司 音効:末谷あずさ/大木裕介 殺陣指導:田尻茂一/川原正嗣/前田悟 アクション監督:川原正嗣 ヘア&メイク:宮内宏明 小道具:高橋岳蔵 特殊効果:南義明 映像:上田大樹 音楽部:右近健一 演出助手:山﨑総司 舞台監督:芳谷研  宣伝美術:河野真一 宣伝写真:野波浩 宣伝メイク:内田百合香 蛮幽像製作/特殊メイク:中田彰輝 橋本隆公 制作補:小池映子(ヴィレッヂ) 制作助手:辻未央 制作:真藤美一 村上具子(松竹) 柴原智子(ヴィレッヂ) 企画:細川展裕(ヴィレッヂ)
「一滴(ひとしずく)の愛」作詞:森雪之丞 作曲:岡崎司 唄:森奈みはる 「万葉歌舞」詞:万葉集より~詠み人知らず 作曲:岡崎司 唄:木津茂理
【発売日】2009/08/08 1等席:12,600円 2等席:7,500円 3階A席:6,300円 3階B席:3,500円
http://www.shochiku.co.jp/play/enbujyo/0910/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 12:01 | TrackBack

フェスティバル/トーキョー09秋・維新派『ろじ式~とおくから、呼び声が、きこえる~』10/23-11/03にしすがも創造舎

 昨日、「フェスティバル/トーキョー09秋」が開幕しました!(⇒記者発表)オープニングを飾るのは維新派。会場入り口から屋台村がお出迎え♪開演前に腹ごしらえするもよし、終演後(1時間営業)に談笑するもよし。肌寒いので防寒は必要かと思います。

 東京公演6年ぶりということで、久しぶりの維新派でした。標本の中に広がる情景に浸る悦び。上演時間は約1時間50分(だったと思いますが、曖昧)。↓屋台村の入口です。

200910231845000.jpg

 ⇒F/T09秋「ろじ式」ページ
 ⇒屋台村「ろじしきのろじ」の大きな写真(初日観劇された方のページ)
 ⇒CoRich舞台芸術!『ろじ式~とおくから、呼び声が、きこえる~
 レビューは記録程度です。

 特にストーリーがあるわけではなく、セリフも歌詞のようなので、演劇というよりはダンス・パフォーマンスだと思って鑑賞できるものかも。

 骨、日用品などが入った(くくりつけられた)木枠の立方体が無数に並んでいます。博物館の標本みたい。類人猿の骨格が展示される中で、白塗りの人々が歩く風景から、いずれ自分も朽ちて標本に入ることを連想。

 「もろてん」「もろたん?」「捨ててん」「捨てたん?」の大阪弁が可愛い。少年たちを演じる女優さんの能面のような顔が好き。
 雨と水のシーンが一番印象に残っています。大勢で踊るのがやっぱり面白いですね。ただ、どの楽曲も同じようなリズムに聞こえて、何度も繰り返されると退屈に感じることも。

 ここからネタバレします。

 M1「標本迷路」
 M2「地図」
 M3「可笑シテタマラン」
 M4「海図」
 M5「おかえり」
 M6「鍍金工」
 M7「金魚」
 M8「地球は回る、眼が回る」
 M9「木製機械」
 M10「かか・とこ」

"Rojishiki Voices calling from afar" ≪東京、大阪≫
出演:岩村吉純、藤木太郎、坊野康之、森正吏、西塚拓志、金子仁司、中澤喬弘、貝田智彦、石本由美、平野舞、稲垣里花、中麻里子、尾立亜実、境野香穂里、大石美子、大形梨恵、土江田賀代、田口裕子、沙里、近森絵令、吉本博子、市川まや、今井美帆、小倉智恵、木下なず奈、桑原杏奈、ならいく、松本幸恵、森百合香、長田紋奈
作・演出:松本雄吉 音楽:内橋和久 舞台監督:大田和司 美術:柴田隆弘 照明:吉本有輝子 音響:佐藤武紀 映像:山田晋平 舞台:羽柴英明 衣裳:維新派衣裳部 衣裳協力:木村陽子、高野裕美 メイク:名村ミサ 宣伝美術(維新派):東學(188)、北村美沙子(188) 写真(維新派):福永幸治(スタジオエポック) ウェブ製作(維新派):中川裕司(house-A) 屋台村「ろじしきのろじ」ディレクター:白藤垂人 月製作:友井隆之、出射慎二、折中ちえ、加藤晴久、小林治夫、柴田剛、千種滋、塚原悠也、森田伸 制作:山﨑佳奈子、清水翼 製作:維新派 共同製作:フェスティバル/トーキョー 主催:フェスティバル/トーキョー
【F/Tスタッフ】制作:武田知也、板橋園恵 インターン:荒川真由子 当日運営:坂田厚子【F/Tクルー】朝倉祐莉絵、大川絵瑠奈、大泉尚子、川村美幸、佐伯朋子、塩崎升子、傅隆司、野中さやか、濱路紗優里、藤原顕太、三橋俊平
★終演後ポスト・パフォーマンストークあり:10/26(mon) 松本雄吉×タニノクロウ(庭劇団ペニノ主宰、劇作家、演出家)
http://festival-tokyo.jp/program/ishinha/
http://www.ishinha.com/index.php

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 10:38 | TrackBack