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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2010年08月18日

NPO法人アートネットワーク・ジャパン『子どもに見せたい舞台vol.4「ピノッキオ」』08/17-29にしすがも創造舎 特設劇場

 アートネットワーク・ジャパンの“子どもに見せたい舞台”の第4弾(⇒第1弾第2弾第3弾)です。出演者もスタッフワークも、これまでの積み重ねの集大成と言える完成度!今までで一番わくわくしました!上演時間は約1時間40分。

 0歳児から入場可能で小学生以下無料、中学生~18歳未満は500円、18歳以上は1,500円という破格です。現在のところ全11ステージ中5ステージは残席あり!⇒チケット予約 整理番号順・全席自由席ですので劇場へはお早めに!

 写真↓は会場入口の看板です。黒板にチョークで文字が書かれてるのが、学校らしくていいですね(にしすがも創造舎は元小学校で、特設劇場は元体育館です)。
20100817_pinocchio_kanban.jpg

 ※第3弾『ドリトル先生と動物たち』は今年の冬に川崎市アートセンターで再演決定!

 ⇒CoRich舞台芸術!『ピノッキオ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 人形師のゼペットじいさんは、一本の不思議な木からあやつり人形を作りました。子どものいないゼペットじいさんは人形に「ピノッキオ」という名前をつけ、息子のようにかわいがろうとしますが、この人形、とんでもないイタズラっ子だったんです!学校から逃げ出したり、旅芸人の仲間になったかと思ったら、キツネとネコにだまされたり、海に飛び込むはめになったり…。こんなピノッキオがはたしてゼペットじいさんの本当の子どもになれるのか、お目つけ役のコオロギとの冒険がはじまります!
 ≪ここまで≫

 劇場に入るなり夢の世界!絵本の挿絵を思わせる美術に、見てるだけで楽しくなっちゃう衣装とヘアメイク!会場案内のスタッフもちゃんと劇世界に合った服装をしてくれています。
 音楽は打楽器中心の生演奏で、早いリズムで音が大きくなると、体全体に振動が伝わってきて気持ちが高まります。優しいメロディーも作品に合っていたと思います。

 役者さんはどんどん着替えて色んな役を演じ、楽器演奏もし、歌って踊って大忙し。全てが休む間なく動いている雰囲気がとってもいいです。
 演技方法はいわゆる“演劇らしい”ものです。基本的に人間ではないものを演じるので現実からの飛躍が必要ですから、有効な方法だと思います。セリフをはっきり発声しつつ、ピタリと体が止まったり、美しくゆっくりと動き始めたり。訓練をして獲得した動きであることがよくわかります。

 目も耳も楽しませて、心をわくわくさせて、風刺も少し利かせて。子供を命がけで愛する親、その愛を受けて成長していく子供。親子の愛を描いた上で、これからどうなっていくのか、どうするのかを問う物語になっていたように思います。

 人形のピノッキオが出ている場面は勢いがあって華もあって、子供たちも集中して楽しんでいた様子。大人(大人とおぼしき存在)だけが出ているシーンは、少々迫力不足の感あり。私が拝見したのは初日なので、これから精度が上がっていくことと思います。
 コオロギを演じた八代進一さん(花組芝居)がかっこ良かったですね~。ギターもお上手ですし、ギャグは大人にも子供にもウケてました。

 ここからネタバレします。

 原作では、強盗に襲われたピノッキオが木に吊り下げられたまま死んじゃうというエンディングだったそうです。容赦ない童話だ・・・。当時の子供たちの「ピノッキオを死なせないで!」という投書のおかげで連載が続行され、今の「ピノッキオ」があるんですね(劇中に解説あり)。

 “最高の国”で遊びほうけてロバになりかけたピノッキオは、コオロギに助けられて逃げ出し、2人で海に飛び込みます。その海の場面が素晴らしかった!2人がピストル型のシャボン玉マシンを使うんです。青く染まる装置に、ぶくぶくという音響、そこに舞う無数のシャボン玉。思わず立って触っちゃう男の子もいました。

 人間になったピノッキオが人形のピノッキオたちと話し合い、自分の名前を確認することで心が自立していく最後の場面は、説教くさい印象を受けました。役者さんたちの説明的な間(ま)が不自然で、段取りに見えたせいかと思います。気を持たせずにサラリとやっちゃっていいんじゃないでしょうか。せっかくの海(くじら)の場面での盛り上がりがもったいない~。あの余韻が濃く残ってる内に終幕してくれたらいいな~。

名作による親子向けアート体験プログラム
【出演】ピノッキオ:平佐喜子 ジェペット:村上哲也 コオロギ:八代進一(花組芝居) 森の聖女:井上貴子(双数姉妹) キツネ:三村聡 ネコ:三橋麻子 フクロウ:加藤幸夫 ロメーオ(ろうそく)、プードル、他:佐藤円 黒うさぎ:小金子由菜 黒うさぎ:小田さやか ナレーター、人間になったピノッキオ:渡辺麻依
構成・演出:倉迫康史 原作:カルロ・コッローディ 「ピノッキオの冒険」(岩波少年文庫) 音楽監督:棚川寛子 美術:鈴木健介 照明:佐々木真喜子(ファクター) 音響:相川晶(サウンドウィーズ) メイク:(株)レサンクサンス 衣装:竹内陽子 舞台監督:弘光哲也 宣伝美術:FLATROOM イラスト:たにつえりこ 演出助手:小林英朗 名倉歩美 制作:坂田厚子 票券:長原理江 プロデューサー:蓮池奈緒子 共催:シアターカンパニーOrt-d.d 制作:NPO法人アートネットワーク・ジャパン 名作による親子向けアート体験プログラム 主催:としま文化創造プロジェクト実行委員会 としま文化創造プロジェクト実行委員会構成団体:豊島区、豊島区教育委員会、NPO法人アートネットワーク・ジャパン、NPO法人芸術家と子どもたち 助成:財団法人地域創造
こども(小学生以下):無料 中高生(中学生~18歳未満):500円 おとな(18歳以上):1,500円 開場は開演の30分前/受付開始・当日券発売は1時間前 0歳から入場可/施設内に親子休憩室あり
http://sozosha.anj.or.jp/natsumatsuri10/pinocchio/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年08月18日 00:03 | TrackBack (0)