2010年06月10日
加藤健一事務所『モリー先生との火曜日』06/03-15本多劇場
加藤健一事務所の30周年記念第3弾は、不治の病に侵された老大学教授とかつての教え子の2人芝居。アメリカの有名ノン・フィクション小説(1997年初版)を戯曲化した作品なんですね。上演時間は約2時間5分(途中休憩15分を含む)。
期待を裏切らない戯曲でした。教え子の年齢が自分と近いため過剰に感情移入したせいかもしれませんが、最初から涙がにじんでしまって、ハンカチを持ちながらの鑑賞になってしまいました(苦笑)。観て良かったです。ロビーで原作小説を購入(950円)。
⇒CoRich舞台芸術!『モリー先生との火曜日』
レビューはほぼ記録のみ。
≪あらすじ≫ 公式サイトより
人気スポーツライターのミッチ・アルボム(高橋和也)は、複数の新聞やラジオ、テレビ等で活躍し、多忙なスケジュールをこなし、順風満帆の日々を駆け抜けていた。
ある日、偶然見ていた深夜のニュース番組「ナイト・ライン」で、大学時代の恩師モリー・シュワルツ教授(加藤健一)がルー・ゲーリック病(筋委縮性側索硬化症/ALS)という難病である事を知る。
画面の向こうで語る老教授の姿に胸を打たれたミッチは、大学を卒業してから初めてモリーの自宅を訪ねる。
16年ぶりに再会したモリーは、歩行器姿で、しかし学生の頃と変わりなくミッチを迎えてくれた。最初は余命わずかな恩師に義理を果たすため、一度だけの訪問のつもりであったが、モリーと言葉を交わすうちに、人生の成功者であるミッチは自分自身の生き方についてふと疑問を抱き始める・・・・。
「君は自分自身に満足しているかい?」モリーの言葉が脳裏から離れないミッチは、再びモリーに会いに行く。
容態が悪化し車椅子に座ったモリーだったが、ミッチの訪問を大歓迎する。不自由な体で一生懸命ミッチとの大切な時間を楽しむモリー先生。
「今日は火曜日だね? じゃあ、来週火曜日、また来るかい?」
こうして毎週火曜日、ミッチは多忙なスケジュールを調整してデトロイトからボストン行きの飛行機に乗り、モリー先生の自宅に通うようになった。
そしてたった二人だけの講義が始まる。
モリー先生最後の講義のテーマは、「死」「恐れ」「老い」「欲望」「結婚」「家族」「社会」「許し」「人生の意味」について・・・・。
≪ここまで≫
戯曲から伝わってくるメッセージには感動しましたが、コメディー色を敢えて強く打ち出す演出は、あまり私好みではなかったですね。
高橋さんはピアノがお上手でした。素敵。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
何もない黒い空間にピアノ、イス、ベッド、部屋の壁などが出てくる演出でした。ガラーンとしてるのはちょっとさびしいですね。
モリー「愛に意味なんかない。愛はそれだけで完結している。愛は盲目って言うだろう?」
モリー「君が誰かを憎んでいるとして、君が絶対に正しいとしても、すべて赦しなさい。そうすれば終わるから。」
モリー「みんな、肩に小鳥を飼おう。」
≪東京、藤沢≫
加藤健一事務所30周年記念 第3弾
"MITCH ALBOM'S TUESDAYS WITH MORRIE" By Jeffrey Hatcher and Mitch Albom
出演:加藤健一 高橋和也 ジャニーンの歌声:八月薫子
【脚本】ミッチ・アルボム 【脚色】ジェフリー・ハッチャー ミッチ・アルボム 【訳】吉原豊司 【演出】高瀬久男 【美術】伊藤雅子 【照明】古宮俊昭 【音響】松本昭 【衣裳】加納豊美 【ヘアメイク】馮啓孝 【音楽】門司肇 【舞台監督】鈴木政憲
【発売日】2010/04/18 前売:5000円/当日:5500円(全席指定) 高校生割引:2500円(学生証提示・当日のみ) ※当日券は開演の1時間前より劇場にて毎公演必ず売り出します。※空席状況により、開演の2時間前まで加藤健一事務所で当日券(5500円)の電話予約を受け付けます。ただし、前売券が完売の場合は劇場で当日券をお求め下さい。
http://homepage2.nifty.com/katoken/75-index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Cucumber+三鷹市芸術文化センターpresents『土田英生セレクションvol.1「-初恋」』06/04-13三鷹市芸術文化センター 星のホール
MONOの土田英生さんが作・演出される『-初恋』を豪華キャストで。『-初恋』は色んなカンパニーで上演され続けている人気戯曲です。私はこれが4度めになると思います。2度公演を観て、1度はMONOでの上演をビデオで観ました。過去レビュー⇒1、2
脚本が一部改訂されて新しい視点が加わり、私的にはざわざわした複雑な気持ちになる回数が増えました。上演時間は約2時間弱。千葉雅子さんが可愛いかった~!
⇒土田英生、田中美里、片桐仁インタビュー
⇒CoRich舞台芸術!『-初恋』
≪あらすじ≫
閉鎖的な島にある古いアパート“ハイツ結城”。暮らすのは住人の男4人と若い女性管理人(田中美里)。亡くなった家主の意志により、○○限定のアパートなのだ。
≪ここまで≫
まるでヴォードビルのように笑いがたくさん起こる中に、恐怖や諦念がずずいと入り込んできます。あからさまに楽しげなコメディーなのに、ひたひたと着実に崩壊が近づいてくる。それを仰々しくせず進行させる演出がいいなと思います。
役者さんの演技は少々わざとらしさが気になって、中盤までは物語に入って行きづらかったです。でも色んな事件が起こってからは、舞台の裏側にある、もやもや、ぎとぎとした何かを感じることができて、面白く拝見しました。
劇場に入るなり、建てこまれた美術にうっとり。つたがからまる煉瓦の壁がいいですね。
ここからネタバレします。
島の住人の坂口(根本大介)という若い男性が、新たに登場人物に加えられていました。坂口は小百合(田中美里)のことを好きになり、ハイツ結城側に味方しようとするのですが、住民側へと取り込まれていってしまいます。どうしても抗えない見えない力とか、どんなにがんばってもあきらめざるを得ない状況とか・・・苦い思いで見つめました。
「ー初恋」というタイトルは、初めて女(毛利:干葉雅子)を好きになった泰夫(川原一馬)の恋から来ているのだろうと思っていたのですが、真田(奥村泰彦)の源田(犬飼若博)への思いや、小百合の笹川(今井朋彦)への思いもそうなんでしょうね。笹川の結城(小百合の父)への思いもそうだったのかな~なんて想像しました。痛い初恋たちだな~。あ、毛利ももしかしたら泰夫に初恋?
笹川は難しい役ですね。今井朋彦さん演じる笹川は美しいし、キリっとしていてかっこいいですが、もっと可愛げがあってもいいんじゃないかな~と思いました。私はMONOの水沼健さんが演じた笹川の、エラそうなこと言う割に自分の行動が伴わないのが最初からバレているような、ダメダメな雰囲気をまとっていたのが好きでした。色気があったんですよね。
※○○=ゲイ
≪東京、愛知、福岡、大阪≫
出演:田中美里《結城小百合》 今井朋彦《笹川周二郎》 犬飼若博《源田哲治》 奥村泰彦《真田徹》 根本大介《坂口剛》 川原一馬《久野泰夫》 干葉雅子《毛利翔子》 片桐仁《吉村邦男》
脚本・演出:土田英生 舞台美術:奥村泰彦 照明:葛西健一 音響:高塩顕 照明操作:加藤泉(東京公演) 大道具製作:C-COM舞台装置・くれよん 運搬:帯瀬運送・植松ライン 衣裳:今村あずさ(SING KEN KEN) 演出助手:根本大介 演出部:根岸みさき 舞台監督:藤田有紀彦 宣伝美術・宣伝写真:西山英和(PROPELLER.) 宣伝衣裳:堀口健一 宣伝ヘアメイク:根津しずえ パンフレット取材・編集:大堀久美子 舞台写真撮影:谷古宇正彦 制作助手:林弥生・斉藤友紀子 制作:森川健太(三鷹市芸術文化振興財団) 本郷麻衣(キューカンバー) プロデューサー:森元隆樹(三鷹市芸術文化振興財団) 垣脇純子(キューカンバー) 企画・製作:(財)三鷹市芸術文化振興財団・キューカンバー
【休演日】6/7【発売日】2010/04/16 前売:一般4,500円/三鷹市芸術文化振興財団友の会会員4,000円 当日:一般5,000円/三鷹市芸術文化振興財団友の会会員4,500円 高校生以下:前売り・当日とも2,500円(当日学生証拝見) [全席指定]
http://cucumber-m.com/hatsukoi/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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