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REVIEW

2011年06月25日

東京芸術劇場『芸劇eyes番外編「20年安泰。」』06/24-27水天宮ピット・大スタジオ

 東京芸術劇場が注目する団体を紹介する芸劇eyesの番外編ジエン社 バナナ学園純情乙女組範宙遊泳マームとジプシーロロの5団体(あいうえお順)が各25分間の短編を上演します。参加団体をコーディネートしたのは演劇ジャーナリストの徳永京子さん(⇒ツイッター)。早々に前売り完売でした。当日券は毎ステージ発行されます。 

 全力出せてなさそうな団体もありましたが、ものすごく楽しかったです・・・!上演時間は約2時間15分(まとまった休憩はなし)。
 バナナ学園純情乙女組の前にレインコートとビニール袋を着用する時間があります。被った方がいいです(笑)。被っていたら大丈夫。座席によってはかなり役者さんと関わることになります。全席自由ですのでお席を選びたい方はお早めに劇場へ。

 ⇒イープラス「出演の5組からメッセージ
 ⇒げきぴあ「芸劇eyes番外編 演出家リレー連載
 ⇒CoRich舞台芸術!『20年安泰。

 「芸劇eyes」はもうブランドなので、5団体のファン以外にどの団体も観たことがない観客も大勢いらしたと思います。公共ホールの企画で初日だったのもあり、お年を召した方も多かったような。驚いただろうな~(笑)。
 1作品終わるごとに客電が明転し、次の作品の準備時間になります。1作品ずつ紹介するショーケース形式なので、堂々と比較して楽しめました。
 客席が三方から囲む何もないステージで天井も高いですし、小劇場しか経験のない団体には空間が強敵だったかも。もちろんそれを上手く使った団体もありました。

 私はバナナ学園純情乙女組が一番良かった!もー興奮!!素晴らしい!!!短編を1度しか観たことがなかったジエン社は、予想以上に面白くて驚きました。ロロと範宙遊泳は本来の力を発揮できていない印象。マームとジプシーはさすがのクオリティーでしたが、もっと遠くに広がるはずではないかと。どの団体も1ステージごとに飛躍的に進化しそうなポテンシャルを感じました。

 企画タイトルの「20年安泰。」についてはツイッター上でも大いに話題になりました。チラシの「20年後、これを観たことが自慢になる。」というキャッチコピーや、徳永さんがススめる!ぴあ7/7号に書かれていた「この人たちがいれば、日本の演劇界は20年安泰。」の意味は、私は言葉どおりの挑発を素直に受け取って「そうならぜひ観たい」と思いました。
 もしかすると、こんな多彩な20代の演劇人が同時に勢ぞろいするのは、過去20年間になかったことで(私は知りませんが)、今後20年も期待はできないという意味なのかも。つまりそれぐらい珍しいことで、もうこれ以降はないかもしれない・・・とも受け取れました。つまり主催者は“演劇界は20年安泰だ”なんて思ってないってことです。

 ここからネタバレします。

 ■ロロvol.5.6 『夏が!』
 出演:亀島一徳 篠崎大悟 望月綾乃 島田桃子 多賀麻美
 脚本・演出:三浦直之 演出助手:中村未希 山口千晴 宣伝美術:玉利樹貴 制作助手:幡野萌 制作:坂本もも 協力:範宙遊泳 スペシャルサンクス:埼浜鈍、Knocks、森本華 企画製作:ロロ

 海底に住まう美女と人間の若者の成就し得ない恋。最初の半分ぐらいはセリフいらないんじゃないかなぁ。青いビニシで充分雄弁ですから。ポロっとこぼす若者言葉が状況説明のように聴こえました。役者さんが空間を支配出来てなかったですね。トップバッターで緊張してたのかも。


 ■範宙遊泳『うさ子のいえ』
 出演:大橋一輝 熊川ふみ 埜本幸良 板橋駿谷 川口聡 金丸慎太郎 高木健 竹中香子 田中美希恵 戸谷絵里 永島敬三 福原冠
 脚本・演出:山本卓卓 衣裳+美術:たかくらかずき テキスタイルデザイン:井上綾 演出助手:菅原和恵 制作助手:金子文 制作:坂本もも スペシャルサンクス:李漢強、澁澤萌 企画製作:範宙遊泳

 うさぎの家族が、彼らがモデルになったお芝居のアフタートークに出演。敢えてなのかもしれませんが、劇中劇の大ざっぱさが気になってしまいました。役者さんは達者な方ばかりなので、もうちょっと作り込んでほしいな、と。舞台奥の搬入口を開いて外を使う演出がいいですね。他の団体になくて良かった。


 ■The end of company ジエン社『私たちの考えた移動のできなさ』
 出演:伊神忠聡 岡野康弘(Mrs.fictions) 片飛鳥  清水穂奈美 山本美緒 横山翔一 善積元
 脚本・演出 作者本介 音効:田中売大 演出助手:吉田麻美 制作:大矢文 スペシャルサンクス:Mrs.fictions 青山小劇場

 デモ隊がおしよせる非常事態の東京。警備員2名、帰宅難民(実はそうじゃないけど)、真面目なアルバイターとカメラマン。約3組の現代口語の会話が同時多発。面白かった~。
 劇場の壁をぐるりと囲むように設置されたロフトの通路を使い続け、空間全体を劇世界に。やんわりと点滅する照明や、かすかに接点を保ちながら点在する3つのディスコミュニケーションが、徐々に温度を上げ、危機感、グルーブ感を盛り上げます。ばらばらだった人々がつながり、緊張感が高まった頂点での幕切れもかっこいい。


 ■バナナ学園純情乙女組『バナ学eyes★芸劇大大大大大作戦!!!!』
 出演:二階堂瞳子、加藤真砂美、野田裕貴、前園あかり(以上バナナ学園純情乙女組)、浅川千絵(50年絶望。) 粟野友晶(劇団てあとろ50') 石井舞 井上みなみ(青年団) 櫟原将宏(Amusement Theater劇鱗/Dact party) 今野雄仁 岩倉頌磨(劇団活劇工房) 内田悠一 大森美里(劇団大森美里) 梶井咲希 神岡磨奈 蒲生みずき 草野進 久保晶子 高麗哲也 紺野タイキ(FLIPLIP) 斉藤マッチュ(劇団銀石) 榊菜津美 佐藤幸樹(劇団てあとろ50') 島田真吾(あんかけフラミンゴ) 鈴木麻美(Seiren Musical Project) 関根理紗 高村枝里 だてあずみ。(TRAPPER/MinamiProduce) 千葉さとみ つくにうらら 内藤彩加 中井康世(Supreme Sunders) 西田未希 信國輝彦 長谷川雅也(BOX101) 服部由衣 原田優理子(トリのマーク(通称)) 引野早津希 日高愛美 古木将也 堀内萌 堀田創 町山優士 松島拓朗 丸石彩乃 宮嶋美子 山邉健介(レゴプラ) 湯舟すぴか 吉原あおい 吉原小百合 竜史 以上、51名。
 総指揮官:二階堂瞳子 総指揮官助手:瀧澤玲衣(blu-01 produce)、廣瀬皓太郎 爆音指揮官:ミ世六メノ道理(体験) 戦闘服裁縫指揮官:山内彩瑚 戦闘服考案指揮官: 浅利ねこ(劇団銀石) 銀幕指揮官: 矢口龍汰(ウィルチンソン)

 バナ学を観たことがある人なら彼らが最後を飾るだろうと思ったはず。だってめちゃくちゃ散らかるんだもの!!(笑) でも4番目でした。舞台作りから撤収までの全てを見せたのが大成功。かっこ良かった~。 
 ものすごい勢いで襲ってくる歌と踊りと叫び声。初めて観た時と同様に圧倒され、開いた口がふさがらない。ぜひ演劇ファン以外の人にも観てもらいたいです。たとえばアニメ・ボカロ・現代美術ファンに。客席も巻き込んだ超ポジティブ・ノンストップ・パフォーマンスで、日本のカオスを現前化します。

 有名なポップスの聞きなれたメロディーとノイズが合体し、男も女も汗も紙吹雪も何もかもが混ざったカオスが、実は計算の上で成り立っているとわかってきます。するとなぜか、とても切ない気持ちになるんです。私たちが積み上げたゴミ(文化)の山で、命を燃やしている若者がいるからかな。乱れ、燃える、無数の(51人の)若者の身体に打たれます。

 私はアラフォーなので彼らとは15歳ぐらい年が離れているはずなんですが、昔私が好きだった曲もたくさん流れました。インターネットで今も昔も、うわばみのように丸呑みしてるんだろうな~。共通言語があるという意味では希望も感じます。ボーカロイドでも私のお気に入りの曲が流れて嬉しかった~。たしかこちら↓(間違ってたらすみません)。
 ※爆音指揮官さんからツイッターでご返答いただけました!「1000001colors」で合ってました(2011/06/30)。

【巡音ルカ】1000001colors【オリジナル曲】


 ■マームとジプシー『かえりの合図、』
 出演:荻原綾 尾野島慎太朗 成田亜佑美 召田実子
 作・演出 藤田貴大 制作:林香菜 スベシャルサンクス:加藤弓奈 佐藤泰紀 細川浩伸 宮武亜季

 交差点ですれ違う若者たち。それぞれに思うことがあり、生活があり。繰り返しのタイミングも精度もさすが。ただ、姉が「もう家には戻らない」という気持ちだったことがわかる切なさポイントが、あまり胸に来なかったのが残念。どうしてか、な~。
 富士山に登ってきたばかりの女性(召田実子)が、丸メガネの男性(尾野島慎太朗)の背中に乗っかって、思いのたけを叫ぶのに爆笑。召田さんを観るとピカソの絵画を思い出すんですよね。原始的な生命力と、子供のように純粋で無邪気で、それゆえ残酷な存在感。


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演(左から):徳永京子 三浦直之(ロロ) 山本卓卓(範宙遊泳) 作者本介(ジエン社) 二階堂瞳子(バナナ学園純情乙女組) 藤田貴大(マームとジプシー) ケラリーノ・サンドロヴィッチ

 毎ステージ後にトークがあります(※全てのステージではないそうです。失礼しました。2011/06/28)。若手と年上の演劇人との直接の出会いの場になるんですね。ケラさんは演劇界の40代後半代表ということで。ケラさん、優しいなと思いました。5人への質問は「何が欲しくて今演劇をやっていますか?」。二階堂さんは「人気。武道館を満席にしたい。」 

 “キレなかった14歳(ハート)りたーんず”に参加した、現在20代後半の作・演出家よりも年下の方々なんですよね。
 えらそうな言い方になりますが、「僕はもっと考えてます」とはっきり言った藤田貴大さんは、アーティストとして自立していて、信用できる方だと思いました。彼の作品を追っていきたいです。

 ⇒トーク翌日に、ケラさんが徳永さんに「許されるならば共同作業で作品を立ち上げたい」とツイート!

 たとえば先日のこの公演もそうですが、公共ホールが若手とベテランを直接結びつけてくれています。芸劇eyesについては企画の名付け親であり、今公演のコーディネーターでもある徳永さんの存在は大きいですね。

参加団体:ジエン社 バナナ学園純情乙女組、範宙遊泳、マームとジプシー、ロロ
≪スタッフ≫技術統括:白神久吉(東京芸術劇場) 技術監督:尾中孝次(東京芸術劇場) 舞台監督:井関景太(るうと工房) 舞台監督助手:宮崎義人 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 照明操作:松本永(Fantasista?ish.) 音響:佐藤こうじ(SugarSound) 映像:遠藤豊(有限会社ルフトツーク)
≪東京芸術劇場技術スタッフ≫照明:乳原一美(東京芸術劇場) 音響:石丸耕一(東京芸術劇場) 宣伝美術:雨堤千砂子(WAGON) 印刷:株式会社リーブルテック 記録写真:田中亜紀 記録映像:西池袋映像 コーディネーター:徳永京子 制作:栗原千波/樺渾良(東京芸術劇場) 協力:名淵庸祐/南香織/江森由紀/佐藤美帆/多田祐基(有限会社ルフトツーク)/堤田祐史(レイー)/株式会社プリズム(機材協力)/るうと工房/Fantasista?ish./Sugar Sound/有限会社ルフトツーク
≪東京芸術劇場≫ 芸術監督:野田秀樹 館長:福地茂雄 副館長:高萩宏 管理課長:笠原美由紀 舞台管理担当課長:白神久吉 事業企画課:高橋透 制作担当課長:内藤美奈子 事業企画課:玉塚充/木村美恵子/鋤田千里/勝優紀 広報:北沢聡子/橋爪綾子/高橋由姫
主催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団) 東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団
【発売日】2011/04/23 前売2,000円(整理番号付・日時指定・全席自由) 当日2,500円 高校生割引1,000円 ※枚数限定(事前抽選・当日チケット引換え・要学生証提示)※高校生割引は、東京芸術劇場のみ取扱いです。※未就学児はご入場いただけません。
http://www.geigeki.jp/saiji/007/9.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年06月25日 13:58 | TrackBack (0)