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2011年06月13日

【写真レポート】Studio Life『PHANTOM THE UNTOLD STORY~語られざりし物語~』来日スタッフ・インタビュー06/09シアターサンモール

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舞台上でインタビュー

 男優集団Studio Lifeが『オペラ座の怪人』の前日譚にあたる、スーザン・ケイ原作『PHANTOM THE UNTOLD STORY~語られざりし物語~』を上演中です。会場は新宿御苑前のシアターサンモール。

 舞台装置と映像そして照明のスタッフを、なんとイギリスから招いての本邦初演ということで、来日されたマット・キンリ―さん、ニック・シモンズさんを迎えたプレス向けインタビューに伺いました。聞き手は脚本・演出の倉田淳さん。

 マットさんは『レ・ミゼラブル』2010年新演出版の舞台装置および映像デザイナーで、ニックさんはロンドン・ナショナル・シアターの『War Horse』の照明家です!(⇒関連エントリー

 上質の海外戯曲を紹介してくださるのも、劇団Studio Lifeの特徴のひとつ。私は本番をまだ観られていないのですが、新しい試みと劇団員の皆さんがどう向き合われたのか、この作品への興味がひとつ増えました。

 ●Studio Life『PHANTOM THE UNTOLD STORY~語られざりし物語~』公式サイト
  日程:6月11日~27日(6/9、10はプレビュー)
  会場:シアターサンモール
  チケット:一般 5,800円
  ※sortとdestinの2バージョンあり
  ⇒CoRich舞台芸術!

 【写真左より青木隆敏さん/山本芳樹さん/マット・キンリーさん/ニック・シモンズさん/倉田淳さん】
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 ※記事は劇団から頂戴したレポートをもとに部分抜粋・編集して掲載させていただきました。写真はマットさんニックさんの顔写真以外は私が撮影したものです。
 こちらにもレポートあり⇒There's only here「ライター大原薫のブログ・演劇・観劇徒然草」

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マットさん

 【舞台装置・映像デザイナー】マット・キンリ―さん(MATT KINLEY)
 ロンドン・ナショナル・シアターで40作品以上のも作品を手掛けた後、商業演劇のデザインチームの一員として『マイ・フェア・レディ』(UK、USツアー)、『レ・ミゼラブル』(ブロードウエイ、オランダ)、『エクウス』(ウエストエンド)、『メアリー・ポピンズ』(UK、US、オーストラリア、オランダツアー)に携わる。2010年『レ・ミゼラブル』25周年記念の新演出版の舞台装置、映像デザイナーに抜擢された、世界中で大活躍の舞台装置・映像デザイナー。

 倉田:昨年10月にロンドンのバービカン劇場で新演出版の『レ・ミゼラブル』を偶然観たことがマットさんとの最初の出会いでした。その圧倒的な映像の美しさに私は一瞬で魅せられてしまいまして。ちょうど今回の原作スーザン・ケイさんの『ファントム』を舞台化したいと思っていた時だったので、『もうこれしかない!』と思いました。ダメもとでマットさんに猛烈なアタックをしまして、やっとOKの返事をいただいたとき、本当に天にも昇る気持ちでした。そのマットさんの映像をさらに生かす照明家を探していたら、私も大好きな作品『War Horse』のプログラマーをされたニックさんをマットさんからご紹介いただき、今回、世界的に有名なお2人の芸術家をスタッフとして迎えることができ、本当に嬉しく思っています。

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 マット:6月1日に来日してからまだ9日間しか関わっていませんが、まずは日本の演劇のシステムに驚きました。ロンドンなど海外では、今回のような3時間にも渡る大舞台を立ち上げるためには、映像のリハーサルだけで数週間もかけます。でも、今回たった2日間だけのテクニカルリハーサルでプレビューの幕が開いたことに本当に驚きました。まさに奇跡です!(笑)しかも、スタジオライフでは大道具や衣裳などスタッフ仕事も役者がやっている!芝居だけじゃなく裏方の仕事も全部やっているなんて!彼らはいったいいつ休んでいるんだろうと思いました(笑)。役者たちのその体力と情熱に驚くばかりです」。

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ニックさん

 【照明】ニック・シモンズさん(NICK SIMMONS)
 ロンドン・ナショナル・シアターの話題作であり、NYツアーも行われた『War Horse』のプログラマー。『Oliver!』や『オペラ座の怪人』の続編『Love Never Dies』にも携わり、その新しい技術と類まれなデザインセンスを駆使したその照明の織りなす世界は、ロンドン・ミュージカル界に旋風を巻き起こしている。

 倉田:「ファントム」は多くの人々に愛されています。お2人のこの物語への思いをお聞かせください。

 マット:『オペラ座の怪人』という作品は、世界中で色々なバージョンが作られています。それだけ“怪人”は人々の創造を喚起する魅力的な人物だからでしょう。私も『オペラ座の怪人』という作品は大好きです。謎と危険が詰め込まれたとても不可解な物語であり、とてもロマンティックな悲劇です。素晴らしく暗くゴシック調の話でもありますしね。人はこういう暗い話に惹かれるものです。私自身も暗くて美しい世界が大好きですし。

 倉田:私も暗い世界が大好きなので、同じ趣味の方がいらして良かった(笑)!

 ニック:私は『オペラ座の怪人』の続編『Love Never Dies』の照明も手掛けました。『オペラ座の怪人』の面白さは、色々な人たちが様々な解釈で作品を作っているところだと思います。今回のこのスタジオライフの『PHANTOM』も『語られざりし物語』という、いままで語られてこなかった、誰にも知られていなかった、怪人が生まれ落ちてから彼がどういう風に育ち成長していったのかという物語なので、そこが本当に面白くエキサイティングでした。

 倉田:これからの自身の仕事や抱負を教えてください。
 マット:もちろんスタジオライフの『PHANTOM』の続編をやることです!

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 【しのぶよりひとこと】
 プレビュー初日直後のインタビューに伺いました。マットさんとニックさんは終始ほがらかに、気さくに話してくださいました。大仕事をやりとげた達成感と、まだ先ががある、もっと改善していこうという前向きな闘志が感じられました。
 倉田さんがマットさんに照明家を紹介して欲しいと頼んだところ、マットさんがニックさんを指名されたとのこと。マットさんのわがままにニックさんが無言でうなづき、叶えていくという(笑)、とても息の合ったご関係のようでした。

【sort出演】エリック:山本芳樹 マドレーヌ:青木隆敏 マンサール神父:山﨑康一 マリー・ペロー:関戸博一 ギゾ教授:倉本徹 エティエンヌ・バリー:笠原浩夫 ジャベール:堀川剛史 デューニカ:深山洋貴 ジョバンニ:曽世海司 ルチアーナ:松本慎也
【destin出演】エリック:林勇輔 マドレーヌ:及川健 マンサール神父:山﨑康一 マリー・ペロー:緒方和也 ギゾ教授:倉本徹 エティエンヌ・バリー:曽世海司 ジャベール:牧島進一 デューニカ:深山洋貴 ジョバンニ:笠原浩夫 ルチアーナ:松本慎也
出演を予定しておりました河内喜一朗は都合により出演しない事になりました。
[原案・原作]スーザン・ケイ [劇作・脚本・演出]倉田淳 舞台・映像:マット・キンリー 照明:ニック・シモンズ 企画・製作:スタジオライフ
プレイガイド発売開始日 : 4月10日(日)【通常公演】一般 5,800円【プレヴュー公演】一般 4,800円
http://www.studio-life.com/stage/phantom/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:44 | TrackBack

少年社中『天守物語』06/03-12吉祥寺シアター

 少年社中は毛利亘宏さんが作・演出される劇団です。毛利さんは青山劇場、サンシャイン劇場など大きな劇場でも活躍されています。
 好評だった前回公演を見逃したのもあり、なんとか千秋楽に伺いました。上演時間はカーテンコールを含んで2時間弱。

 泉鏡花作『天守物語』をもとに新しい物語を作られたんですね。豪華なスタッフワークで吉祥寺シアターがすみずみまで贅沢に使われていました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『天守物語

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 覚悟が出来たら、ここまでおいで―。

 白鷺城の天守閣から妖艶な婦人が地上を見下ろしている。
 婦人の名は「富姫」。そこに一羽の鷹が舞い降りる。

 「妖怪は、人を殺めると鳥となる…」

 因果は絡み縺れ、やがて愚かにも人は、
 地を鎮め、地を守る妖怪を討ち滅ぼさんとする。

 天地動乱の行く末。
 古き因果の行く末。
 人も妖怪も、ただ己の幸福を求め戦い続ける。

 少年社中がお贈りする、
 三年ぶりのジャパニーズ・エンターテインメント。

 種を超えた悲恋の行く末は、天高く飛翔する―。
 ≪ここまで≫

 天守を取り囲むように、上手手前袖から舞台面側を横切って下手奥へとつながるL字の通路があり、天守とその通路の間には深い溝があります。地上との高度差、つまり断絶があってとてもいいですね。溝に落ちるのはスリリングです。天守の屋根が斜めになってるのもかっこいい。
 衣装とヘアメイクが豪華でしたね~!和風ですがドレスの要素もあり、さらには鳥が鳥らしく見えるのも素敵。男性の袴の模様も良かったな~。凝りに凝っていて眼福です。
 鳥といえば童子役の中村龍介さんの動きがとても美しかったです。
 皆さん、日本刀や長い棒を使った殺陣がしっかりしてるのもさすがですね。

 美術、照明などのスタッフワークや、パンフレット、物販を含めた公演全体のパッケージのしかたなど、レベルがとても高いのに、なぜ私はあまり観に行かないのかなぁと考えてみたんですが、役者さんの演技方法が好みじゃないからかもしれません。図書之助役の廿浦裕介さんは今回、劇団公演で初の主演を勝ち取ったそうですが、2010年から声優としてもご活躍とのこと。やはり声優さんなんだなぁと。好みの問題かと思います。

 ここからネタバレします。

 アヤカシと人間の対立という構図は、先日観たばかりの『真夏の夜の夢』の妖精対人間と被り、どうしても比べてしまうことになりました。そのせいか納得できないことが何度かあったんですよね。たとえば互いに盲目になり心中しようとした図書之助と富姫(あづみれいか)が、なぜ酒を飲んでばかりの男性の言うことを聞いて、すんなり生きることを選んだのか。なぜあんなに急に心変わりできたのかわかりませんでした。

 「それでも人は生きる」ことを、花吹雪舞う踊りの場面であらわしていました。暗転する寸前に絵画のように残像が残り、美しかったです。

第24回公演
出演:堀池直毅、井俣太良、大竹えり、岩田有民、廿浦裕介、加藤良子、長谷川太郎、杉山未央、山川ありそ、内山智絵、竹内尚文、あづみれいか、中村龍介、柴木丈瑠、ちょーすけ、萱怜子、菊池千花、堀口大介、宮崎菜穂
原作:泉鏡花 脚色・演出:毛利亘宏 照明:斎藤伸一郎(A.P.S.) 音楽:YODA Kenichi 衣裳:村瀬夏夜 舞台美術:秋山光洋 舞台監督:杣谷昌洋 音響:井上直裕(atSound) 演出助手:佐藤信也 殺陣指導:Team AZURA 大道具:イトウ舞台工房 振付:森川次朗 ヘアメイク:林美由紀 村瀬央華 スチール:金丸圭 宣伝美術:武田和香 WEB:田中ユウコ 松本健 オブジェ製作・宣伝美術協力:真野明日人 宣伝ヘアメイク:谷口小央里 舞台撮影:カラーズイマジネーション 制作:一ツ橋美和 企画・製作:少年社中
【発売日】2011/04/23 前売 4,000円 天守割引 3,500円(前売のみ。対象回はスケジュール参照) 当日 4,500円(開演1時間前から受付にて販売)
http://www.shachu.com/tenshu/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:27 | TrackBack