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しのぶの演劇レビュー
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2012年04月09日

かもめマシーン『パブリックイメージリミテッド』04/04-08小劇場 楽園

 かもめマシーンは脚本・演出を手掛ける萩原雄太さんお1人のユニットです。私は初見。

 「CoRich舞台芸術まつり!2012春」の応募内容を読んで興味を持ち、F/T12公募プログラムでも一次選考を通過されていたので、観に行くことにしました。あと、チラシのビジュアルも好きです。上演時間は約1時間15分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『パブリックイメージリミテッド

 ≪あらすじ≫
 2011年2月の平日。東京、新宿駅東南口。待ち合わせをすっぽかされた女性と、募金活動を行う男性。若い2人のありきたりな午後。
 ≪ここまで≫
 
 装置がない素舞台で、色をそろえたカジュアルな普段着姿の役者さん5人が、手足の動きを日常よりも多い目に加えながら、現代口語で観客に向かって話しかけ、次々と演じる人物を変えていきます。照明もほぼ素明かりのままですので、言葉と演技だけで見せるタイプのお芝居です。

 途中で休憩のような時間が挟まれたことも含め、チェルフィッチュの手法を模倣しているように見えて、どうしてもチェルフィッチュ作品と比べてしまいました。『パブリックイメージリミテッド』に出ている役者さんは、チェルフィッチュに出ている役者さんほど上手くないんですよね。それに尽きました。

 演出は、観客の想像を促そうとする意図が見え過ぎな気がしました。「観客を啓蒙しようとしている」印象を受けてしまいました。
 当日パンフレットに挟まれた“開演前の諸注意”に「当公演は2011年2月10日の新宿を舞台にしております。開演まで、2011年2月の記憶を思い出しながらお過ごしください」と書かれていたので、そのように努力したのですが、最後まで観てみたところ、この作品を3月の東日本震災と関連づける必要性を私は感じませんでした。

 役者さんの中では、清水穂奈美さんがヴィヴィッドな存在感でした。

 ここからネタバレします。

 私は一緒に暮らしていた家族が亡くなるのを何度か経験しています。それだけが理由ではないですが、今生きている空間、空気には死者が存在している、死者の思いが充満していると思って生活しています。だから萩原さんが当日パンフレットに書かれている「もう一度、死者たちの声に耳を澄ませてみよう」という主張は、私にはごく当然のことなのでピンと来ませんでした。

出演:清水穂奈美 井黒英明 横手慎太郎(シンクロ少女) 林弥生(海ガメのゴサン)、松原一郎
脚本・演出:萩原雄太 照明:千田実(CHIDA OFFICE)、舞台監督:西村耕之 宣伝写真:内堀義之、宣伝美術:藤井隆史
【発売日】2012/02/04 前売=2,000円、当日=2,200円、各種割引=1,800円
https://sites.google.com/site/kamomemachine/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年04月09日 15:00 | TrackBack (0)