REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2012年10月05日

【ご報告】再演舞台を観て語らう夕べ「葛河思潮社『浮標(ぶい)』鑑賞&夕食会」2012年9月22日(土)14時開演の回@世田谷パブリックシアター

 先月22日、葛河思潮社『浮標(ぶい)』で【再演舞台を観て語らう夕べ】第2回を開催しました。前回に続き今回も楽し過ぎて、話が尽きずに18時から終電までお店に居座ってしまいました(笑)。

 1つの舞台を一緒に観て感想を語り合うと、初対面でも一瞬で仲良くなれるんですよね。共感を楽しんで、好みや解釈の相違を面白がって、新たな発見に驚いて、喜んで…♪ 演劇を観るだけでも十分に幸せなのですが、もしかすると、観た後に色んな人と語らうこととセットになって、初めて“舞台鑑賞”が完成するのかもしれない…そんな風に思えるほど充実した時間でした。

 なんと今回もメルマガ号外を発行しました!『浮標(ぶい)』東京公演は終了。大阪、兵庫、宮城、新潟公演があります。10月20日(土)15時開演の大千秋楽は、全国13もの映画館でライブ・ビューイングあり!
 ※メルマガ号外は特にお薦めしたい舞台に出会った時に発行します。年間5本を目安にしてします。メルマガのご登録はこちらでどうぞ。

 参加者は計11人(男性3人、女性8人)で年齢層は20代~60代と、前回より幅広くなりました。男女混合になったことで、着目点の違いがはっきり出たように思います(前回は女性だけだったからこそ、過激な明け透けトークができました・笑)。

 主人公五郎(田中哲司)とその妻美緒(松雪泰子)の関係について、「夫にあそこまで愛されたら死んでも本望かも」という方もいれば、「あれは五郎の自己愛だ(美緒には迷惑かもしれない)」という方もいて、ほぼ正反対の感想が出ました。「一幕を長く感じた」という方もいれば「(一幕の)尾崎と五郎の裏天さんのシーンだけ、もう一度観たい」という方もいらっしゃいました。私も一幕の浜辺のシーンはすごく好きで、底抜けに善良であることの美しさ、滑稽さが悲しみとともにあらわれていたように思います。

 五郎の友人で間もなく出征する赤井(平岳大)が登場したところで、空気が大いに変化したと指摘される方が多かったですね。他にも「あの場面で○○だけを差す照明がいい」、「砂を囲む美術は絵の額ぶちで、舞台全体が絵画のようだった」などの鋭いご指摘が。医師の比企(長塚圭史)が論文を書かない理由についての考察は凄かったな~。
 初演と比較することで、より多面的に『浮標』という戯曲を味わえたのも収穫でした。キャストが変わったことで、衣装や言葉の意味など、随分と色んなことが変わっているんです。また、再演だからこそ到達できた高みについても話し合えました。

20120922_bui_dinner1.jpg
牡蠣とのワインお店で

 舞台を作る人たちは「台本」を中心につながりますが、観客は「上演された舞台」でつながります。作り手にとっての『浮標』が、上演されることで観客に手渡され、新たな『浮標』になるのです。作り手と観客が相互にレスポンスしていくことで、舞台は進化していくのだと思います。観客の想像力、発信力の素晴らしさをあらためて実感しました。

 「これぞ」と思う再演作品を選んでいるとはいえ、前回今回ともにメルマガ号外を出せたのは幸運で、とても嬉しいです!また「これぞ」、な再演があったら開催したいと思います。


 ≪参加者の方々からツイッターやメールでいただいたご感想など≫

 ●今までに観た舞台の中で一番面白かった。

 ●再演を語る会に参加して、言いたい事を語りまくってきました。参加された皆様、ありがとうございました(^^)。(略)楽しすぎて飲み過ぎしゃべりすぎました。こちらこそしのぶさんのお話でいろいろと勉強になりました(^^) ありがとうございました!

 ●みんなのいろんな見方が面白い。よく見てるな~と感心します。本当に楽しかった。やっぱりこういう会は楽しい!前回も今回も楽しくてやっぱり帰りたくなくなったし。スペシャルゲストのお話も興味深くて新鮮でした。あんなに長時間いてくださったのも嬉しかった。

 ●観劇後に「再演舞台を観て語らう夕べ」に参加したら、ご一緒させて頂いた方が口々に「あれは五郎のエゴ」「五郎の自己愛」と仰っていて印象的でした。実際、作者の三好十郎は妻の死後まもなく再婚してるしねw でもそれで良いと思うわ。自己愛上等。

 ●あそこまで(観劇の)玄人さんの集まりだとは思わなかった(笑)。みんなよく話すから、聞いてていろいろ面白かった。(略)とにかくあの飲み会には圧倒された!芝居よりも各自の芝居の解釈を聞く方が、私には面白かったかもしれないくらい(笑)。(スペシャルゲストの)貴重な現場の話、面白かった!

 ●輪廻転生を信じてるので、あの唯物論者(=五郎)の死生観について、みんながどう感じたのか本当は知りたかったんだけど聞きそびれた。

 ●「浮標」の感想:4時間という長さを全く感じさせない素晴らしい作品だった。シンプルゆえに印象的な舞台。効果的な照明。万葉から語り継がれる優雅な言葉で紡がれた、狂おしいまでの性や業が淡々と美しい。個性溢れる魅力的な声と身体表現で語られる人の生の哀しさと可笑しみ、そしてもどかしさに涙し、いつまでも胸の奥底が疼く思いがした。印象に残るいくつかのシーンはそれぞれ1枚の洗練された絵のようだった。

 ●食事会は実にさまざまなバックグラウンドを持つ魅力的なメンバーと共に美味しい料理と、観劇したて感激ほやほやな「浮標」の感想を肴に旨いワインを嗜むひとときは至福の時間でした。皆様お一人お一人のお話が全て楽しくて、あっという間に終電の時間になっていましたが、それでもまだまだ話し足りない気分でした。また集まってわいわいやりたいと心から思いつつ帰宅しました。


≪東京、大阪、兵庫、宮城、新潟≫
出演(戯曲配役順):田中哲司 松雪泰子 佐藤直子 平岳大 荻野友里 池谷のぶえ 大和田美帆 木村了 長塚圭史 高部あい 赤堀雅秋 深貝大輔
作:三好十郎 演出:長塚圭史 美術:二村周作 照明:小川幾雄 音響:加藤温 衣裳:伊賀大介 ヘアメイク:河村陽子 演出助手:山田美紀 舞台監督:福澤諭志 プロデューサー:伊藤達哉 主催:ゴーチ・ブラザーズ 企画・製作:葛河思潮社
発売日:2012年8月11日(土) S席6,000円 A席5,000円 B席4,000円 U24(18~24歳)2,000円(B席) 高校生以下2,000円(B席) ※劇場友の会、区民割引などあり。 ※未就学児童の入場不可。
http://kuzukawa-shichosha.jp/
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/09/post_298.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 22:47 | TrackBack

【演出助手募集】アジア舞台芸術祭2012「国際共同クリエーション公演/国際共同制作ワークショップEXT・演出助手募集」※10/19〆切(郵送またはメール)

 「アジア舞台芸術祭2012」が演出助手を募集しています。日程は11月下旬から12月初旬の12~14日間で、報酬は10万円~14万円(税込、交通費含)。以下、CoRich舞台芸術!の掲示板からの情報です。

 【1】『Waiting for Something』誤意訳・演出:中野成樹(東京)
 【2】『全事経験恋歌』作・演出・振付:矢内原美邦(東京)
 【3】『お母さんの十八番』演出:朴章烈(ソウル) 共同脚本:朴章烈、李善姫

  無料上演の日時:2012年12月1日~2日@東京芸術劇場 シアターウエスト
  応募〆切:2012年10月19日(金)必着(郵送またはメール) 

【アジア舞台芸術祭2012】国際共同クリエーション公演/国際共同制作ワークショップEXT 演出助手募集

APAF
---
アジア舞台芸術祭2012
国際共同クリエーション公演
国際共同制作ワークショップEXT
演出助手募集
---

国際共同クリエーション公演3演目、国際共同制作ワークショップEXT2チームの演出助手を募集します。

---
●国際共同クリエーション公演 概要
---
東京、ソウル、台北のアーティストが「家族」をテーマにして国際共同コラボレーションで創り上げた作品を、今年さらに練り上げ、リニューアル・オープンした東京芸術劇場シアターウエストにて、3演目同時上演します。

『Waiting for Something(サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』)より』
誤意訳・演出:中野成樹(東京)
出演:チェ・ナラ<ソウル市劇団>、村上聡一<中野成樹+フランケンズ>、石橋志保<中野成樹+フランケンズ>、キム・サンヒョ<ソウル市伝統音楽管弦楽団>、金恵玲

『全事経験恋歌(ゼンジ.ケイケン.エレジー)』
作・演出・振付:矢内原美邦(東京)
映像:高橋啓祐
共同制作:身聲劇場(台北)
出演:ロウ・ペイ・フェン<身聲劇場>、チャン・ウェイ・ロイ<身聲劇場>、光瀬指絵

『お母さんの十八番』
演出:朴章烈(パク・チャンニュル/ソウル)
共同脚本:朴章烈(パク・チャンニュル)、李善姫(イ・ソンヒ)
出演:下総源太朗、那須佐代子<青年座>、奥野晃士<SPAC>、根岸絵美<アマヤドリ>、伊比井香織

上演日時:2012年12月1日 (土) & 2 日(日)
13:00 『Waiting for Something(サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』)より』
15:00『全事経験恋歌(ゼンジ.ケイケン.エレジー)』
17:00『お母さんの十八番』
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト <入場無料>

---
●国際共同制作ワークショップEXT 概要:
---
ハノイとデリーの演出家のもと2チームに分かれて、それぞれ10分間のオリジナル作品を創り、一般公開します。
参加演出家 (予定)  <ハノイ>1名   <デリー>1名
出演者: <東京>5名  <ハノイ>3名  <台北>3名
ワークショップ:2012年11月23 日-11月30日(非公開、但し29日は公開通し稽古を予定)
上演会日時:2012年12月1日 (土) 20:30
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト <入場無料>

---
●応募条件:
---
・各演目の全日程に参加できること
・ メールでの連絡ができること
・ 舞台芸術の現場の経験があること

『Waiting for Something(サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』)より』
日程:11月20日-12月2日(ただし、11月25日はオフ/計12日間)
会場:水天宮ピット(中央区日本橋箱崎町18-14)、東京芸術劇場(11月26日以降)
募集人員:1名
報酬:11万円(税込、交通費含)

『全事経験恋歌(ゼンジ.ケイケン.エレジー)』
日程:11月21日-12月2日(計12日間)
会場: サイスタジオ大山、東京芸術劇場(11月27日以降)
募集人員:1名
報酬:11万円(税込、交通費含)

『お母さんの十八番』
日程:11月19日-12月2日(計14日間)
会場: 芸能花伝舎、東京芸術劇場(11月26日以降)
募集人員:1名
報酬:12万円(税込、交通費含)

「国際共同制作ワークショップEXT」
日程:11月23日-12月2日(計10日間)
会場:水天宮ピット(中央区日本橋箱崎町18-14)、東京芸術劇場(11月30日以降)
募集人員:2名
報酬:10万円(税込、交通費含)

---
●応募方法:
---
以下の必要事項を郵送またはメールにて提出ください
アジア舞台芸術祭制作オフィスとの面接による審査を行います。
面接候補日:10月22日(月)11:00-18:00 *他の日程での調整も可能

・氏名(ふりがな)
・性別
・生年月日
・電話番号/携帯電話番号
・メールアドレス/
・現住所(ふりがな)
・ プロフィール
・ 演出助手を希望する演目のタイトル(複数可)
・ 面接希望時間(10月22日(月)が都合の悪い人は他の候補日を挙げてください)

写真(バストアップ)を添付ください。提出された書類の返却はいたしません。お預かりした個人情報は、アジア舞台芸術祭制作オフィスが厳重に保管し、本企画に関する諸連絡以外に使用することはありません。

---
●応募〆切:
---
2012年10月19日(金)必着
*面接日時を原則として10月20日(土)に連絡します

----
●応募書類送付先:
---
・郵送の場合 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-15-3-421
アジア舞台芸術祭制作オフィス 「アジア舞台芸術祭2012演出助手募集係」宛
・メールの場合 apaf.tokyo.office(アットマーク)gmail.com
件名を 「アジア舞台芸術祭2012演出助手募集」とすること
写真は画像データとして添付して下さい

---
●お問合せ
---
アジア舞台芸術祭制作オフィス
TEL 03-3477-0807
Email apaf.tokyo.office(アットマーク)gmail.com

---
アジア舞台芸術祭は、アジア大都市ネットワーク21の共同事業のひとつとして、アジアの舞台芸術の紹介を通じ、相互理解と文化交流を促進するとともに、舞台芸術専門家等の相互交流を促し、舞台芸術の水準を高め、新しい表現の創造につなげることを目的としています。また、優れた人材や舞台芸術作品を発掘するとともに、世界に流通させる市場を育成し、21世紀のアジアにおける芸術・文化の振興に貢献することを目指しています。

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 11:19 | TrackBack