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REVIEW

2014年01月30日

FUKAIPRODUCE羽衣『女装、男装、冬支度』01/29-02/02座・高円寺1

 女優の深井順子さんがプロデュースし、糸井幸之介さんが作・演出・音楽・美術などをトータルに手掛けるFUKAIPRODUCE羽衣(以下、羽衣)は、「CoRich舞台芸術まつり!2012春」グランプリ受賞団体です。座・高円寺1での新作の初日を拝見しました。上演時間は約2時間休憩なし。

 “妙ージカル”という羽衣オリジナルの音楽劇を観る度に、唯一無二の劇団だと感じます。俳優は100%以上の力を出し切って、性愛も劣情もさらけ出して、人間を丸ごと肯定して命を謳歌して、歌って踊ります。何度も涙しました。観る者の心を打つ歌と踊りって、巧くなきゃいけないわけじゃないんだと教えられます。

 もう何度も書いてるんですが、また書きます。アイドル(AKB48とかジャニーズ系男子とか)に糸井さんの歌を歌って欲しい!誰かプロデュースしてくださーい!!

 糸井さんが幻冬舎plusで連載をされています⇒「小劇場の美しい女優さん」

 ⇒CoRich舞台芸術!『女装、男装、冬支度

 ≪あらすじ≫ CoRich舞台芸術!より
 ―「女装」する女と「男装」する男が愛の冬支度。
 ≪ここまで≫

 十数個の墓石が舞台奥に一列に並んでるだけのシンプルな横長の空間。『サロメvsヨカナーン』のように複数の男女のカップルの群像劇のスタイルでした。タイトルにありますように今回のテーマの1つは「冬」。「女装」「男装」は観てのお楽しみ。

 小学生から老人まで、市井の人々の卑近な日常をむき出しにする意味で、下ネタはいつもながら堂々。苦手な方もいらっしゃるかもしれません。私は昔はとても苦手だったんですが(今でも好きではないですが)、演劇を15年も観てしまって慣れたのか、ただ年を取って開き直ったのか(笑)、だいぶん平気になりました。また、羽衣の場合は等身大の今の私たちの全てを肯定する意味で、必要な表現なのだと納得できます。普段は絶対に口にしないし、家族内でも恋人同士でも共有できないような心と体の本音を、羽衣の舞台に登場する人々が体現してくれるのです。
 
 愚かしいけれど愛らしい男女が汗だくになって歌って踊るのを観ていると、だんだんと性別や年齢、ストーリーから思考が解き放たれて、目の前で躍動する野性的な人々(=俳優)が、輝いて、とんでもなく魅力的に見えてきます。
 俳優は皆さん魅力的なんですが、初日の熱がまだ冷めないので、ちょっくら叫ばせて下さい。伊藤昌子さんかっこいーーーっ!大石将弘さんと鯉和鮎美さんのペアはバランス最高、エロかわいい!大石さんは私が今まで観た中で一番セクシーで惹かれました。日高啓介さんは脂がのっていて何をやっても素敵。熊川ふみさんコケティッシュでキレがある!

 これもいつものことですが、歌が良かった……♪今回はパンフレットに歌詞が載ってなくて曲名もわからなかったのが残念。いつか歌詞カード付きのCDを発売してくれるんでしょうか~。カラオケで大勢で歌いたい。

 ここからネタバレします。

 墓石をよく見ると出演者それぞれの名前が彫られています。開幕前から「これから登場する俳優は全員死者なんだなぁ」と思っていました。いずれ死ぬ人類(=私)、または生きていながら死んでいる人間のようで人間でないものたちが、舞台上にずっといました。

 凍結する道路で2人乗りのバイクを飛ばす不良男女、ホテル代がないから墓場で情事にふける男女、オナニーにはまる男児と彼に怪我をさせられた女児、ピンサロ嬢とダメ男、愚かなケンカばかりする馬鹿ップル、妻子持ちと不倫する若い女性、亡き夫と会話をし続ける老婆などの各エピソードは、音楽と歌に合わせて、しばしば男VS女という構図で踊りとともに演じられます。終盤に入ると、各カップルは互いの衣装を取り換えて、男女の性別が入れ替わります。

 各エピソードに結末をつけてくれていましたが、そこまでする必要はないんじゃないかと思いました。たとえば深井さん演じるお婆さんの想像の中の出来事だったと締めくくっていいんじゃないかと。もうその前までに、出演者全員のことが大好きになっていたし、エピソードや性別といった枠を超えたものを受け取れていたから。

第17回公演 第6回演劇村フェスティバル参加作品
出演:深井順子、日高啓介、鯉和鮎美、高橋義和、澤田慎司、(以上、FUKAIPRODUCE羽衣)、伊藤昌子、ゴールド☆ユスリッチ(散歩道楽)、代田正彦(★☆北区AKTSTAGE)、浅川千絵、熊川ふみ(範宙遊泳)、島田桃子、/大石将弘(ままごと)、墨井鯨子、鈴木利典(扉座)
プロデューサー:深井順子 作・演出・音楽・美術:糸井幸之介  舞台監督:渡辺了((株)ダイ・レクト) 照明:松本永 音響:佐藤こうじ(Sugar Sound) 音響操作:寺澤光 衣装:吉田健太郎 振付:木皮成 装置:西廣奏 助手:新部聖子(FUKAIPRODUCE羽衣) 宣伝美術:林弥生 絵:糸井幸之介 短歌:深井順子 制作:坂田厚子 林弥生 大石丈太郎 鈴木裕二 企画・制作 FUKAIPRODUCE羽衣 企画:ヴィレッヂ 細川展裕 後援:杉並区 提携:NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺
【発売日】2013/12/07 全席指定  前売り/当日:3,200円   さいふにやさシート:2,000円 (各回枚数限定/当日引き換え券:やや見づらいお席になる可能性がございます。) ウルトラマニアチケット:10,000円 (羽衣マニア向けのスペシャルチケット。チケット2枚分にお土産付。) 早割り 2,700円 ※2013年12月7日(土)~12月25日(水)までに、FUKAIPRODUCE羽衣公式サイトにてチケットお求めのお客様に限り、前売り2,700円でご購入いただけます。(枚数限定) ※さいふにやさシートは公式サイト及びローソンチケット、ウルトラマニアチケットは公式サイトのみ取り扱いとなります。未就学児童はご入場いだだけません。
http://www.fukaiproduce-hagoromo.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2014年01月30日 01:09 | TrackBack (0)