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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2014年09月23日

Dance New Air ―ダンスの明日 2014『そこに書いてある』09/22-23スパイラルホール

 「Dance New Air ―ダンスの明日2014」の3本目です(⇒)。京都を拠点に活動されている振付家、ダンサーの山下残さんの作品を初めて拝見しました。上演時間は約1時間35分だったかと。

 観客に1冊ずつ分厚い本が配られます(もらえます)。指示に従って1ページずつめくっていくと、そこに書いてあるとおりにパフォーマンスが行われて…。人間の知覚の方法はさまざまで、その場にいる人数分の解釈が新しく生まれることを体感できました。面白かったです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『そこに書いてある

 ほぼ何もないブラックボックスの空間で、下手面側に山下残さんが立っています。マイクを使って日本語で観客に話しかけると、舞台奥の大きな壁に白い文字で英語と韓国語の字幕が映写されます。

 ここからネタバレします。

 いただいた本はこちら↓

20140922_sokonikaitearu1.JPG

 99ページある本の89ページ目で開演。
20140922_sokonikaitearu2.JPG

 絵のページもあります。
20140922_sokonikaitearu3.JPG


 「2011.3.11 東京」と書かれたページでは、ちょうど東日本大震災の時に東京観光に来られていた韓国人男性が登場し、3/10~3/13まで(たぶん)の体験談をしてくださいました。激しい揺れ、品薄のコンビニ、麻痺した交通網、空港での一夜。きっと彼の話と並行して観客一人ひとりが、あの日の自分の体験を思い浮かべていたと思います。観客が200人いるなら、200種類のあの日が劇場に浮かび上がっているはずだと想像し、空気の密度が上がったように感じました。

 歌詞が書かれたページでは手話をする女性が大勢登場して、山下さんの指揮に合わせて歌詞を手話で見せてくださいました。音楽はいっさい鳴っていないのですが、それぞれに情感を込めた手話をされます。狩人「あずさ2号」の歌詞が目に入っている私の脳内では、「あずさ2号」の音楽がしっかり流れていました。そこでふと気づいたのですが、ろう者の方々は耳が聴こえないのだから、「あずさ2号」を聴いてはいないはずですよね。どうやってお稽古したのかしら~と考えるのも楽しかったです。

初演:2002年3月 アイホール(伊丹)
出演:Sang Ryul Han(ハン・サンリュル), Hyo Seon Heo(ホ・ヒョソン), Bo Ae Yoon(ユン・ボエ), 山下残, Jerok Park, 渡辺智江, Jooyi Lee, 日本ろう者劇団 (小泉文子, 五十嵐由美子, 廣川麻子, 田家佳子, 渚香織, 河合祐三子, 山本のぞみ, 原田美和), 大橋ひろえ (サイン アート プロジェクト アジアン), 手話パフォーマー RIMI
構成・演出・振付:山下残 ブックデザイン:納谷衣美 制作コーディネーター・翻訳・字幕: Koh Jooyoung 照明:三浦あさ子 音響:宮田充規, 小早川保隆 舞台監督:浜村修司 手話通訳:田家佳子 共同製作: Festival Bo:m, Gangdong Arts Center, Ahn Aesoon Dance Company 協力:韓国国立現代舞踊団, 社会福祉法人トット基金
前売 3,800円(当日4,300円) 学生 2,500円 通し券 22,000円[30枚限定] はしご券 6,500円[各日20枚限定]
http://dancenewair.jp/program0105

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2014年09月23日 00:47 | TrackBack (0)