REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2015年03月15日

サンプル『蒲団と達磨』03/06-15神奈川芸術劇場・大スタジオ

 『蒲団と達磨』は岩松了さんの岸田国士戯曲賞受賞作です。サンプルの松井周さんは昔から岩松作品によく親しんでいらしたそうで、今回は劇団で初めて既成戯曲に取り組む公演だそうです。上演時間は約2時間。

 娘を嫁に行かせたばかりの中年男性(古舘寛治)が主人公。出てくる大人がことごとくカッコ悪すぎる…(笑)。欲を言えば、報われなくて制御不能になり屹立する性欲が、もっと無駄に満ち満ちて欲しいなと思いました(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『蒲団と達磨

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 舞台はある夫婦の寝室。祝い事のあと、いつになく他人が出入りする密閉空間。言外に潜むあやういそれぞれの秘密、我慢、爆発寸前の中年の性欲。岩松了の89年岸田國士戯曲賞受賞作品を、松井周が垂涎のキャスティングでねっちりと描く。
 ≪ここまで≫

 田舎にありそうな日本家屋が建て込まれていて、畳、床の間、廊下、柱などがリアル。布団やカラオケセットなどもあり、具象美術と言っていい空間だったと思います。ところどころ壁などが透けて見えやすくなっていて、抽象世界へもスムーズに入って行けそうでした。

 娘の結婚式を終えた夜。男(古舘寛治)は妻(安藤真理)と和室(=夫婦の寝室)で、何やら深刻そうな話をしています。でもその部屋には結婚式場までの送迎バスの運転手(古屋隆太)が寝ていて、家政婦や男の妹、妻の弟夫婦、その他の結婚式の参列者などが堂々と出入りします。突然現れたり、スっといなくなったりするのが、またいいです。

 現代口語の会話劇で、一言ひとこと、細かく演出が行き届いた演技をされていたように思います。単語のイントネーションや、咳払いなどのちょっとした仕草も、登場人物のキャラクター作りに関係しているのだろうと思いました。
 妻の弟役の奥田洋平さんが良かったです。役作りの丁寧さに加えて、客席へも意識を広く届けてくださっているように感じます。奥田さんといえば『ファーム』のクローン人間役とか『自慢の息子』の男性器役(そんな役はないんですが・笑)とか、ハンサムなのに怪演っぷりが激しくてかっこいいです。

 ここからネタバレします。

 なぜ当然のごとく掛け布団の上に正座するのかなぁと不思議に感じました。そういう夫婦だと思えばいいのかな。結婚式帰りで奥さんが留袖を着っぱなしなので、着物で布団の上に正座というのもちょっと笑える構図です(笑)。全部ひっくるめてフィクションとして受け取ったらいいのかなと思います。

 妹(辻美奈子)は兄(古舘寛治)を「生物の教師で終わる人じゃない」と褒めていました。最後に抱き付いたのはきっと愛していたからなんでしょうね。2人がそのまま下手に消えて終幕だったので、色んな想像が膨らみました。おそらく30~40代の女性である妹は、血気盛んな青年コンちゃん(三浦直之)に襲われてもバシっと断って、兄の布団の下のエロ本に気づいても隠してあげて(笑)。奥さん(安藤真理)の布団の下も一応確認したのは、2人がそういう趣味なのかどうかを確認したのかな(どういう趣味なんだ・笑)。兄のエロ本を見つけて、奥さんとの仲がうまく行ってないのだろうと察しがついたのかもしれません。それで思いがあふれ出してしまって抱き付いたのかな…。だとしたら、妹の禁断の恋心が中盤からもっとわかるような演技・演出だったら、尚よかったのではないかと思いました。

 前の夫(松浦祐也)まで連れてきて、妻(安藤真理)に「なぜヤラせてくれないのか」と迫る夫(古舘寛治)。うなだれる妻の気持ち、わかるわ…と思った私、ダメな女なのかな(笑)。男と女の決定的な違いなのかもしれませんよね。

 ポツドール作品に似てるというご感想をネット上で目にして、私もそうだなと思いました。ラストは特に『愛の渦』を思い起こさせるものがあり、しみじみしました。狂った夜が朝の太陽によって、文字通り白日に下にさらされました。
 ※『蒲団と達磨』は1989年岸田國士戯曲賞受賞作ですので、『愛の渦』より先に書かれています。

出演:古舘寛治、古屋隆太、辻美奈子、奥田洋平、野津あおい、安藤真理、大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、田中美希恵(範宙遊泳)、新名基浩、松浦祐也、松澤匠、三浦直之(ロロ)
脚本:岩松了 
演出:松井周
舞台監督:谷澤拓巳
舞台美術:杉山至(+鴉屋)
照明:木藤歩
音響アドバイザー:牛川紀政
衣裳:小松陽佳留
WEBデザイン:斎藤拓
宣伝イラスト:いがらしみきお
宣伝美術:岡部正裕(voids)
制作:三好佐智子、冨永直子、富田明日香(以上、quinada)
制作協力:野村政之
企画:松井周、三好佐智子(quinada)
主催:サンプル、quinada
提携:KAAT神奈川芸術劇場
【発売日】2015/01/31(全席指定)
一般 (前半割3/6-8)[前売] 3,500円 [当日] 3,800円
一般  [前売] 3,700円 [当日] 4,000円
学生    [全日共通] 2,500円 *公演当日、受付にて要学生証提示
高校生以下 [前売のみ] 1,000円 *公演当日、受付にて要学生証提示 *チケットかながわにて取扱
http://samplenet.org/2014/12/24/futontodaruma/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2015年03月15日 15:24 | TrackBack (0)