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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2001年08月31日

扉座『フォーティンブラス』08/29-9/10紀伊國屋ホール

 ★ほんの少しネタバレします。

 扉座・・・そう、私はいちおしの伴美奈子(ばん・みなこ)さんを観るためにチケットを取ります。
 今回は「ハムレット」と二本立てなんですよね。同じ劇場でほとんど交互にやるみたいで。すごいなー。伴さんは残念ながら「フォーティンブラス」にしか出ていらっしゃらないんですが、早速初日に伺ってまいりました♪

 「ハムレット」の方はシェイクスピアの作品そのまま上演されるのですが「フォーティンブラス」は「ハムレット」を上演している劇団の舞台裏のお話。私は「ハムレット」を先に観られる方が良い気がしました。やっぱり役名とか知らなきゃわかりにくいですしね。ストーリーをパロったりしまくりなんで。

 泣けちゃったなー・・・・。父と子、勝ち組と負け組などのテーマが「ハムレット」のお話と絡み合い、そしてシェイクスピアの名言「人生は舞台。人間は皆役者。(文言は違うかもしれませんが)」と重なって・・・。横内謙介さんの脚本って「してやられた!」と思うところがあります。かなり深いものがあって。

 でも、演出はちょっとヘンだった気がします。演出は横内さんじゃなかったですね。あの最後の台詞はもっと静かにして欲しかった。そしてラストはそのままハッピーが希望。笑い(ギャグ)のレベルと作品の質が合ってないんじゃないかな。衣装も同調にする必要ないですよね。ギラギラの人が2人いたけど、その2人だけにする説得力がないし。脇にいて色んな効果音を出していた4人がギリシア悲劇のコロスみたいだったけど、調和してない気がします。それから伴さんにはお年よりメイクを施された方がわかりやすかったんじゃないでしょうか?

 伴さん、相変わらず素晴らしいです。彼女の台詞だけは絶対にきれいに伝わってくるのです。そして立ち姿が・・・清らか。ラストの退場する時の笑顔なんて神々しいほど。

扉座 : http://www.tobiraza.co.jp/

Posted by shinobu at 12:25 | TrackBack

2001年08月26日

地人会特別公演『日本の面影』08/23かめありリリオホール

 地人会(ちじんかい)の公演です。山田太一さん脚本・演出。私いちおしの三田和代さんが出演されているので亀有まで遠出しました。なんと風間杜夫さんも出ていらして、いわゆる生つばモノの豪華キャストだったんですね。

 ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が40歳で来日してから亡くなるまでの15年間のお話でした(1890年~1904年)。ハーンと言えば、日本人女性セツと結婚して帰化し、日本に骨をうずめた親日派で、英語で日本についての本を書き、西洋に広めた人なんですよね。『霊の日本』『怪談』等の作品を書かれています。「むじな」「耳なし法一」などは私も知っていました。
 劇中劇の形で風間さんと三田さんが「雪女」を演じられたのですが、恐ろしいし悲しいし美しいし・・・。この美を受け入れて感動できるのは私が日本人だからだなーと思いました。ありがたいです。

 ハーンがセツにプロポーズするシーンは本当に素晴らしかった。恥じらい。優しさ。謙虚さ。もー・・・大和撫子そのもの!ハーン(風間)も西洋人だけど日本男児でした。

 三田和代さん・・・・もー・・・・あなたのその声は何?まるで天使のよう、いや、天女かしら!?ハーンの母親役、そしてハーンと結婚して4人の子供を授かるセツの2役だったのですが、22歳のセツの役だった時はさすがに目を疑いました。だって本当に若い娘なんですもの!三田さんって実年齢はおそらく50歳は超えてらっしゃると思うんですよねー・・・。

 この公演、日本中を周るのですが、亀有の後はロンドン、ダブリン(アイルランド)公演があります。スゴイ!

演劇製作体 地人会 : http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~CJK/

Posted by shinobu at 15:49 | TrackBack

2001年08月19日

こまつ座『闇に咲く花』08/14-26紀伊國屋ホール

■こまつ座「闇に咲く花」について思うこと

 井上ひさし作・栗山民也演出の作品を生で観られるこの時代に、自分が生きていることに感謝します。

 戦争について語ること。それは勇気がいることです。過去に起こった事実を徹底的に調べあげ、誇大解釈することなく受け止め、そしてその本質を見極めてから、現実世界に響く言葉に翻訳しなければなりません。語るときには、自分達の祖先や当時敵国側であった人々にも敬意を払い、現在そして未来についても深く洞察してから、媚びることなく口を開かねばなりません。

 「夢の裂け目」を観た時も同じように思ったのですが、井上ひさしさんの縦横無尽に広がる知識(雑学?)、調査の徹底ぶり、憂国の心、人間への深い愛情、笑いと音楽、劇中に起こったこと全てに責任を取ろうとしている姿勢・・・細かく挙げるときりがないのですが、とにかくこれらが全て揃っているから発言できるのだと思います。観客は井上さん真剣さを感じ取って、見よう、聞こうという気持ちにさせられ、自ら進んで見て、聞いたときに感動するのだと思います。

 私が戦争というものに自覚しつつ触れたのは小学校1年生の夏でした。飛行機や爆弾の模型などが展示されているのだろうと決めてかかって見に行った「原爆展」。行ってみたら被爆者の無残な写真や原爆投下の瞬間の映像とその直後の地獄絵図のアニメーション。あまりのショックで家に帰っても口がきけず、ご飯も砂の味がする(ような気がする)し、床の間の天井から死体がぶら下がってくるような気がして、座敷に近づけなかったり。もちろんトイレなんて絶対に一人では行けませんでした。(怖がる方向が違いますが・笑)

 広島・長崎への原爆投下と終戦記念日が8月ですから、日本では夏になると決まって戦争の話題が出てきます。そうめんを食べるたびに「原爆展」のことを思い出すので、私は夏が大嫌いでした。泳げなかったし。でも高校生になったころにはそのトラウマからは抜け出していました。泳げるようになったし。話がそれました(笑)。
 今は、毎年、夏にはこのお芝居を上演して欲しいという気持ちです。決して忘れないように。正しい(と私が信じる)知識をもう一度確認するために。

 栗山民也さんの言葉より(パンフレットより抜粋)
 「演劇という『歴史を再生する』装置で、僕たちは舞台をつくり、観客のみなさんに渡していく。そのことでいつまでも忘れてはいけないことを共有していきたいですね。」

 主人公のセリフより
 「過去の失敗を忘れるものの未来は暗い。なぜって人間は同じ失敗を繰り返すからね。」

出演:名古屋章 増子倭文江 日下由美 島田桃子 たかお鷹 木下政治 茅野イサム 千葉哲也 梅沢昌代 那須佐代子 小市慢太郎 水村直也
作:井上ひさし 演出:栗山民也
2001年8月14日~26日@紀伊國屋ホール。8月30日~10月23日まで、東北、関西、関東、北海道、東海地方を巡演。
http://www.komatsuza.co.jp/kouen_kako/kako_04.html

Posted by shinobu at 13:48 | TrackBack

2001年08月17日

パルコ・プロデュース『二人の噺(はなし)~The two men's story~』08/16-29パルコ劇場

■ひとことモノローグより

二人の噺(はなし)!! 
update: 2001.08.17 (Fri)04:03

お薦めのお芝居です!
「二人の噺 The two men’s story」@パルコ劇場8月16日~29日
作/演出:福島三郎
  出演:中井貴一/段田安則(男二人芝居)
入場料金 前売券 ¥7、000(全指・税込)

中井貴一さん、予想外にすごいキャラ!
段田安則さん、優しすぎて涙ぐみそう!

必見です!!
チケットは高いですがそれに見合う価値があります!
まだ余っているようなので遠慮せずにドンドン問い合わせちゃってください!!
イープラスでは割引販売が始まったような・・・♪

作・演出:福島三郎 出演:中井貴一、段田安則
美術:西川成美、衣装:宮本宣子、照明:佐藤公穂、音響:井上正弘、舞台監督:矢野森一、藤崎遊、宣伝美術:鳥井和昌、宣伝写真:野口博 企画・製作:(株)パルコ
パルコ劇場 : http://www.parco-city.co.jp/play/

Posted by shinobu at 04:03 | TrackBack