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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年08月16日

TheStoneAge『観測史上、最高気温を記録しました。』JUNGLE in→dependent theatre08/12-15

 大阪の日本橋にあるJUNGLE in→dependent theatre(ジャングルインディペンデントシアター)がプロデュースする「極-KIWAMI-」という企画に参加している作品です。9劇団(およびユニット)が参加し、それぞれ同じ美術で作品を発表するので、できれば数本見比べたかったです。この企画についてfringe blogに書かせていただきました。→ 「劇場プロデュースの和室舞台」

 なんと劇場自体が日本家屋になっている!舞台は和室。すっごくリアルです。廊下を歩いて障子を開けて、客席に座ります。客席が対面式になっているのも不思議な臨場感があります。

 何も考えずに伺いましたが、ストーンエイジはE-1グランプリ2002-2003全国決勝大会@本多劇場で全国NO.3になってる劇団なんですね。 

 主人公は小学生の男の子。夏休みの宿題のために飼っているオタマジャクシ“たまちゃん”が行方不明になった。必死で探すが見つからない。やがてたまちゃん自ら家に帰ってきた。なんと自分と同じ大きさになっていて、人間の言葉を話す。

 ・・・苦しかったです。友人と一緒だったし、劇場のつくりも独特だったので途中で出るわけにもいかず、最後まで座っていましたが下を向きがちでした。

 まず、大の大人が小学生を演じるのはビジュアル的に絶対ムリですよね。演技力以前の問題です。ムリなくムリを成立させる方法をちゃんと見つけてから演じてもらいたいです。そして大人が子供を演じる時によく陥るミスは、知的障害を持つ成人に見えてしまうことです。この作品も漏れずにそうでした・・・。

 セリフが嘘臭くて、クドくて、長かった・・・・。なぜか大阪の劇団はこういう作品が多いように感じます。きっと最後に一歩、前に出すぎるのだと思います。最後はグッと身を引いて客観視できるかどうかが勝負なのではないでしょうか。小学生だった少年が最後に青年として出てくるのは演劇の構造として面白いですが、そこからが長すぎたので無くてもよかったです。あと、カーテンコールも長い。

 オタマジャクシの着ぐるみを着て、顔も黒く塗った男の人が出てきた時はさすがに笑えました。おバカで可愛いですし。あの役者さんは好きになれました。でもそれも出オチなので面白いのは最初だけなんですよね~。その後、次から次へとカエルだのヘビだの出てきますが、私は楽しめませんでした。

 あくまでも私個人の感想です。一緒に観に行った友人(大阪人)は「退屈しなかった」と言っていました。

作・演出:鮒田直也
出演:緒方晋、中井正樹、アサダタイキ、一明一人(高級社)、大北えつ(はちみつパイ) 野上マヤ、蓮森美どり(PEOPLE PURPLE)、森世まゆみ
舞台監督:青野守浩 舞台美術:西本卓也(Giant Grammy) 照明プラン:奥村誠志郎 (M.C.S.) 照明オペレーター:岩元さやか 音響:森達行 (もみあげフラメンコ) 衣裳・小道具:水野泰彰 (∧-Sura) 宣伝美術:森★直子 制作協力:坂本顕 山口知子 増田好宏 谷口美和子 サノノリアキ うまみえ
ストーン・エイジ:http://www.the-stoneage.com/

Posted by shinobu at 23:20 | TrackBack

非戦を選ぶ演劇人の会『ピースリーディングvol.6あきらめない、夏 2004』08/15紀伊国屋サザンシアター

 永井愛さん、渡辺えり子さんらが実行委員をつとめる“非戦を選ぶ演劇人の会”のリーディング公演です。私はこれで3度目になります。

第1部「パレスチナの声 イスラエルの声」台本構成:渡辺えり子
 テツandトモさんの“なんでだろう~”でオープニング。けっこう楽しいしあかぬけていて良かったと思います。「演劇人の会」ですが、こうやって異分野からどんどん参加者が増えると、もっともっと大きく広がる気がします。
 パレスチナ人、イスラエル人それぞれの声が朗読されます。復讐が復讐を呼ぶ悪循環。イラク戦争も同じですよね。毬谷友子さんの役柄になりきった朗読に感動。ただ、全体としては長すぎた気がします。
 名曲「ざわわ」を森山良子さんがギターを弾きながらしっとり歌ってくださって、しみじみと涙が溢れました。戸田恵子さんが歌われたのも素晴らしかったんですよ。次はまたどなたが歌ってくださるのか楽しみ。

第2部「日の丸・君が代 強制日誌」台本構成:永井愛
 ザ・ニュースペーパー(松下アキラ、福本ヒデ、他)による、おなじみ小泉首相に仮装してのコントは笑えます。
 私個人としては日本国旗のデザインは好きですし、歌として「君が代」は渋いメロディーがカッコいいと思っています。小さい頃から歌い親しんで来ましたので、起立・斉唱を強制されても、されなくても私には別段気にならなかったのですが、永井さんのこのレポート(日誌)を知り、考えを改めようと思いました。強制するのはおかしいですよね。あと、教育委員会(および日本政府)は説明責任を果たすべきだと思います。
 また、子供の教育にもっともっと親が注意を払う必要があると思いました。りぼん・ぷろじぇくとの『戦争のつくりかた』という文章に感動しました。

第3部「イラクの声」台本構成:関根信一
 関根信一さんは劇団フライングステージの主宰であり作・演出家の方です。実行委員でいらっしゃるのはよく存じ上げていましたが、台本構成まで手がけられるとは驚きました。とてもわかりやすく、真摯な内容だったと思います。
 キング牧師曰くの「善意の人の沈黙と無関心」。私はこれに対峙しなければならないと思っています。自分の力でできる範囲ですが、私なりに表現していきたいと思っています。
 山崎ハコさんの歌は、挿入する箇所がまずかったのではないでしょうか。意味が分からなくて必死で歌詞を聞き取ることに終始してしまいました。もうちょっと後の方だと、リーディングの内容とフィットしたのではと思います。パンフレットには深沢敦さんも歌われることになっていたようですが、歌われなかったですね。とっても残念。

 私は、毎日の忙しさにかまけて、大切なことを棚上げにして日々を過ごしてしまう人間の一人ですが、できる限り時間を作って、またこのピースリーディングの観客になろうと思っています。実行委員の方々、出演者の方々、ボランティアの方々、ありがとうございました。

 公演の運営について気になったことを書いておきます。次回からぜひぜひ改善していっていただきたいとの願いを込めて。開場時間が15分押しでした(開演は8分押し)。こまつ座のお昼の公演が終わってから小屋入り&リハーサルという強行スケジュールなので、遅くなることはある程度予想されていたことと思います。遅れないようには最善を尽くしてらっしゃるでしょうから、遅れた場合の対処についても、より計画を綿密に立てておく必要があるのではないでしょうか。

 特に紀伊国屋サザンシアターというキャパ468人の劇場で全席自由・整理番号付きのチケットを販売していて、当日券も完売の満員状態でしたから、少なくとも300人以上の観客が劇場前の通路に並ぶことは予想がつきます。それにしては並ばせるためのスタッフの数が少なすぎました。というか、並んでいる列の付近を専門に担当するスタッフが全くいませんでした。整理番号順に並ぶこと、299番までは左の列に、300番からは右の列に並ぶこと、開場が15分延期になったこと等のアナウンスは一度だけ言っておしまいではありません。開場して全ての観客が入場するまでは何度も繰り返してアナウンスし続ける必要があります。こういうことについては小劇場で制作をしている人がノウハウを持っていますので、そういう方に助っ人に来ていただいてはどうでしょうか?

総合演出:西川信廣 構成:関根信一、永井愛、渡辺えり子
出演予定者(五十音順):明樹由佳、麻丘めぐみ、新井純、市原悦子、宇梶剛士、大石静、大沢健、大森博史、岡田浩暉、加藤土代子、加藤治子、川辺久造、草笛光子、高橋長英、竹下景子、筒井康隆、テツandトモ、富田靖子、永島敏行、根岸季衣、深沢敦、風吹ジュン、松下砂稚子、毬谷友子、三田和代、森山良子、吉田日出子、渡辺えり子、ザ・ニュースペーパー(松下アキラ、福本ヒデ)、宇宙堂劇団員 他
非戦を選ぶ演劇人の会:http://hisen-engeki.com/

Posted by shinobu at 00:32 | TrackBack