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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年01月23日

G-upプロデュース『Brains』01/22-30シアターVアカサカ

 川上徹也さん(PLAY MATE)の脚本を寺十吾さん(tsumazuki no ishi)が演出するなんて奇想天外だなぁと思っていたら、キャストも多彩すぎて目がチカチカしちゃうほど(笑)。
 プロデュース公演の可能性の広さを感じますよね。G-upプロデュースはこれが2回目。1回目の『金魚鉢の中で』も面白い企画でした。

 シナリオライターの大山田鉄男(遠山俊也)は、テレビのプロデューサー南青山さゆり(藤田記子)に脚本執筆の仕事をもらうが、なんと〆切が明日。夜通し書くしかない。自分の脳の中さまざまな“性質”たちを総動員して、必死でアイデアを出していくが・・・。

 “プライド”(桂憲一)、“モラル”(宮下今日子)、インテリジェンス(前田剛)・・・というように、一人の役者が一つの性質を演じます。全員で10種類の性格がそれぞれに個性を主張しあう、セリフの行き来が激しいコメディーでした。
 
 エッチな表現が割と露骨なので、ちょっと大人向けだなぁと思いながら照れつつ観ましたが、役者さんが皆さん堂々としているので引いちゃうことはありませんでした。脚本執筆とセックスとを重ね合わせるのはなるほどなぁと思います。知のオーガズムって言いますものね。

 ここからネタバレします。
 
 中盤で本当に机の下に隠れっぱなしだった隠れキャラの“トラウマ”(杉浦理史)が登場するのはすごく面白いですね。その部分がもうちょっとしっかりと描かれていれば、深いドラマになったんじゃないかなぁ。物足りない気がしました。

 “性格”全員で必死に考え出した面白い脚本というのが、この『Brains』そのものだったという展開には「え、マジで?それは安直すぎるよね?」と途中で恐れをなしたのですが、最後にシナリオライターの大山田鉄男とテレビのプロデューサー南青山さゆりの配役が逆転したのが救いでしたね。『Brains』について2人が語ったオチが、そのままこの作品のラストシーンになったのは気持ちよかったです。

 役者さん一人一人は達者な方ばかりのはずなのですが、皆さん、セリフが早口すぎるし腹の底から声が出ていないようで、全体的に空回りをしている印象でした。初日だったからだとすると、これから良くなるのでしょう。想像を絶する衣裳をお召しだった(笑)“エモーション”役の木村靖司さんは、存在感の確かなクオリティーの高い演技を見せてくださいました。

 G-upプロデュースの次の公演は『DEEP FOREST(仮)』5/25-6/5新宿スペース107。『金魚蜂の中で』のほさかようさんの脚本をこの3月に『お父さんの恋』でパルコ劇場に進出する板垣恭一さんが演出します。キャストも楠見薫さん、細見大輔さん(演劇集団キャラメルボックス)、新谷真弓さん(ナイロン100℃)と超豪華!これは見逃せませんね。

作・川上徹也(PLAY MATE) 演出・寺十吾(tsumazuki no ishi)
出演:遠山俊也 桂憲一(花組芝居) 木村靖司(ラッパ屋) 福田転球(転球劇場) 藤田記子(カムカムミニキーナ) 宮下今日子(サードステージ) 前田剛(BQMAP) 武内由紀子(吉本興業) 高倉良文(ネコ脱出)、杉浦理史(bird's-eye view) 櫻井智也(MCR) ムロツヨシ(紳士スラックス)
音響:平田忠範(GENG27) 照明:廣井実 舞台美術:秋山光洋 舞台監督:中村信一 宣伝美術:松井秀樹 映像:仲野慶吾(K5) 演出助手:岡野正一 衣装協力:塚本淳子 制作:G-up鎌田千穂子 プロデューサー:赤沼かがみ
G-up:http://www.g-up.info/

Posted by shinobu at 2005年01月23日 18:57 | TrackBack (0)