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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年01月29日

新国立劇場オペラ『マクベス』01/17, 20, 23, 26, 29新国立劇場 オペラ劇場

 野田秀樹さん初演出のオペラが早くも再演。初演で最高に感動したので再演も迷わずチケットを取りました。私が拝見したのは1/29の千秋楽です。充実の舞台写真はこちら

 感想等はほぼ初演の時と同じです。二度目なので驚きなどはなかったものの、期待していたシーンは期待通りだし、初演の時には心に引っかからなかった細かい部分を楽しむことも出来ました。

 タイトルロールのマクベスを歌うのがカルロス・アルヴァレスさんに変わってたことは、すごい違いでしたね。カルロス・アルヴァレスさんは・・・最後のソロだけめっちゃくちゃ感動しました。それまでは体力温存??って思っちゃうほど影が薄かったですねぇ。

 マクベス夫人は初演と同じくゲオルギーナ・ルカーチさん(イアーノ・タマーさんが降板したため)で、やっぱり迫力のソプラノに体ごと感動しました。演技も最高にお上手で、好戦的なマクベス夫人に血沸き肉踊る心持ちでした。

 マクダフ役の水口聡さんの歌も素晴らしかったです。

作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ 原作:ウィリアム・シェイクスピア 台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ/アンドレア・マッフェイ 指揮:リッカルド・フリッツァ
演出:野田秀樹 美術:堀尾幸男 衣装:ワダエミ 照明:服部基 振付:木佐貫邦子 演出補:田尾下哲 舞台監督:大仁田雅彦 合唱指揮:三澤洋史 合唱:新国立劇場合唱団 管弦楽:東京交響楽団 主催:新国立劇場
【キャスト】マクベス=カルロス・アルヴァレス マクベス夫人=ゲオルギーナ・ルカーチ バンクォー=大澤建 マクダフ=水口聡 マルコム=内山信吾 侍女=渡辺敦子 医師=片山将司 マクベスの従者=大森一英 刺客=篠木純一 伝令=塩入功司 第一の亡霊=友清崇  第二の亡霊=原由樹 第三の亡霊=直野容子/ほか
新国立劇場内:http://www.nntt.jac.go.jp/season/s246/s246.html

Posted by shinobu at 23:56 | TrackBack

ヒンドゥー五千回『僕らの家、僕らの海』01/27-02/06下北沢OFF OFFシアター

 いつも奇抜なチラシでちょっと怖いなぁと思っていたヒンドゥー五千回。今回のチラシはノーマルな形で、海で撮影したきれいな写真がメインビジュアルだったので、行きたい気分になっていました。
 静かなお芝居でした。劇団名からアクション・エンタメ系かなぁと想像していたので、意外でした(客って勝手ですよねぇ)。

 高校時代の仲良し男子5人組が10年ぶりに出会って同居を始めた。毛利(成川知也)と青木(爺隠才蔵)はサラリーマン、丸尾(結縄久俊)はフリーターというように、それぞれ違う進路をたどっており、すれちがい気味の同居生活は始まってまだ半年足らず。高校時代の思い出話ばかりする丸尾に、忙しく働いている毛利や青木はイライラしている。

 言いたいこと(表現したいこと)まで行き着くために、ストーリーやセリフが無理やり積み上げられているように感じました。何をしゃべっていても、それは次の、次の、その次のセリフのための前フリのよう。

 時間は、過去→現在→未来という順番に流れていることになっていますが、果たして本当にそうなのか?そう思っていて良いのか?という問いかけがあります。昔、私の知り合いが言っていたのですが、人間が体感できる順番は、現在→過去→未来なのではないか、その方が正しい認識なのではないか、と(渡辺真知子さんの“迷い道(いきなり音楽が鳴ります)”という歌の歌詞を例に出してよく話をしたんです)。
 今(現在)を生きている自分が、自分の生きてきた過去を振り返り、そして未来を展望する。過去も未来も、眺めているのは現在の自分です。というか、過去も昔は現在だったし、未来はいつか現在になりますよね。どっちにしろ全ては現在に集約されるのです。つまり、過去と未来の両方をしっかり見て、実感して生きることこそ、「今(現在)を生きる」ということなのではないか。
 だから、過去を振り返らず、自分の身の回りのこと(現在)もなるべく見ないようにして、前(未来)ばかり向いているサラリーマンの毛利と青木も、過去ばかりで現在と未来を見ていないフリーターの丸尾も、どちらも「現在」を生きられていないのではないか、だから、お互いにわかりあえないのではないか、と。私にはそんな風に映りました。

 この作品では過去に強く焦点が当てられ、過去から現在を眺める視点だったように思います。その方向からだけでは、ドラマ成立には不十分な気がしました。でも、最後にみんなで一緒に出かけますよね?もしかすると、その、出かけるシーンで何かが起こっているのかもしれません。できれば私はその辺りを観せていただきたいなぁと思います。

 同居人以外の登場人物には激しい個性のキャラクターが多く(丸尾の兄、出会いあっせん会社の女・渡辺など)、静かで暗い目の世界に華を添えていました。

 女の同居人(家政婦?)、渕上良枝役の西田夏奈子さんと、可愛らしい“先輩”役の榎本純朗さんの演技がどっしりと落ち着いていて、役柄をしっかり捕らえたリアクションが良かったです。
 渡辺さんにアタックする村越くん(久我真希人)も可愛らしかったですね。できれば「付き合ってください!」って告白して欲しかった。

 構成・演出の扇田拓也さんは役者さんでもあります。青島レコード公演でよく拝見しておりました。『FAT OLD SUN』がすっごく良かったな~。赤いつなぎの“鳥”が忘れられない。あれ、扇田さんでしたよね?

 えと、これはつぶやきです。ヒンドゥーってヒンズースクワットのこと?スクワット5000回って、私なら・・・死ぬ。

構成・演出=扇田拓也
舞台監督:岡嶋健一 舞台美術:袴田長武(ハカマ団) 照明:宮崎正輝 菊池伸枝 音響:井川佳代 宣伝写真:降幡岳 宣伝美術:米山菜津子 WEB:成田憲保 制作:関根雅治 山崎智子 企画・製作・主催:ヒンドゥー五千回
出演:谷村聡一・久我真希人・結縄久俊・向後信成・藤原大輔・西田夏奈子・中尾あや(青島レコード)・水野顕子・榎本純郎・爺隠才蔵(劇団上田)・大原裕人・成川知也
ヒンドゥー五千回:http://www.h5000.com/

Posted by shinobu at 01:05 | TrackBack