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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年03月03日

ペテカン『茜色の窓から』03/03-06青山円形劇場

 本田誠人さんが作・演出するペテカンの十周年記念公演。2002年の『エヴリデイ・エヴリナイト』でもコラボレートしたミュージシャン“アルケミスト”の曲を元に作られた作品だそうです。その曲名がそのまま公演タイトルになっています。アルケミストも出演するとのことで、とても楽しみにしていました。

 THEATER/TOPSや下北沢駅前劇場で舞台装置をしっかり立て込んだ作品をよく拝見していましたので、青山円形劇場をほぼそのまま使ったシンプルな美術の中でのペテカンのお芝居は新鮮でした。すごく大人っぽく感じましたね。私は5年前からペテカンを観ているのですが(全公演ではないですが)、ペテカンのメンバーの皆さん、本当に一人一人の存在感と輝きが増してこられましたね。12年ぶりに会った高校時代の同級生達の、とても不自然でぎこちない会話が笑いを誘いました。演技の呼吸が自然で、良い間(ま)が作られていたのだと思います。

 ここからネタバレします。

 「高校の同窓会の前日にタイムカプセルを掘り出して、もう一度遠くに埋めてしまおう」という手紙が届いた。元・委員長からのその誘いに乗ったクラスメートは8人。学校の裏山でタイムカプセルを探す内に、高校時代の夢と30歳になった現実とのギャップが、やんわりと描き出される。

 高校の同窓会とか、将来の夢について17、8歳の頃に書いた文章とか、私自身は思い入れがないんです。だからストーリーにはいまいち引き込まれなかったですね。私の知らないところでタイムカプセルが勝手に空けられて、勝手に読まれて笑われていても全然平気だし、そもそもタイムカプセルの存在さえ覚えてないだろうな。自分の学生時代に良い思い出とかないんでしょうね、私には(苦笑)。

 ♪君はもうここにはいないというのに さよなら♪という歌詞の「君」というのが、高校の時に死んでしまった女の子だというのはちょっと「セカチュー」みたい(観たことないんですが)。死んでしまった人を想う気持ちが軸になるのも、私にはあまり響かないです。これは個人的好みによるでしょうね。

 アルケミストの出番がオープニングとエンディングだけっていうのは寂しかったな~!!もっと出て欲しかった。歌声を聞いただけで涙が出そうになったんだもの。で、『茜色の窓から』が収録されたCD「リトルネロ」買っちゃいましたよん。今、聞きながらレビュー書いてます♪ こちらで曲の一部を試聴できます。

脚本・演出:本田誠人
出演:大治幸雄 齋田吾朗 濱田龍司 堀正哉 本田誠人 羽柴真希 長峰稔枝 四條久美子 こんやしょうたろう(アルケミスト) 井尻慶太(アルケミスト)
美術・舞台監督:濱田龍司 照明:横幕絵美(満平舎) 音響:斎田吾朗 高橋秀雄(SoundCube) Photo:三浦麻旅子 舞台装置:堀正哉 大治幸雄 web:羽柴真希 演出助手:四條久美子 宣伝美術:田村奈巳 Artist Management:クリオネ 制作助手:村上維 制作:大場裕美 高田喜絵 企画・製作:ペテカン 後援:文化放送 協賛:YAMAHA
ペテカン:http://www.petekan.com/
アルケミスト:http://www.voicerecords.net/alchemist/

Posted by shinobu at 23:59 | TrackBack

Attic Theater『チキン・フライ』02/23-27中野ザ・ポケット

 アティックシアターは演出助手としてもご活躍の黒川竹春さんが演出される劇団です。俳優でもある古屋純一さんが脚本を書かれています。古屋さんが脚本を書かれるのがこの3作ほど続いていますね。
 サードステージ、劇団☆新感線の若手俳優さんや、小劇場劇団で活躍している俳優さんが出演されています。

 第三セクターの経営で生計が成り立っている小さな離島が舞台。特産物は鶏肉と卵。その鶏肉は実は・・・。
 渡鶏島(わたとりしま)という架空の島を舞台にした作品でしたが、最初から最後まで一筋まっすぐに通ったものが感じられず、感情移入しづらかったです。

 アティック・シアターの作品はワン・シチュエーションのものしか観た事がなかったのですが、今回は色んな場所に飛びましたね。意外でした。
 本土から島にやってきた公務員、島の謎を調べに来たルポライターら2人、気難しい第三セクター所長とその妻、旅館を経営する謎の多い家族、おかしな医者夫婦、若くて熱いアルバイター、穴(?)の中で飼われている少女とその母(?)、謎の白塗り男、船頭・・・というように登場人物が非常に多いです。その人数がめまぐるしく舞台を動き回るのですが、転換の全てが意図どおりにコントロールできているようには見えなかったなぁ。

 始まった時から既にどんより暗くて、何か恐ろしいことが起こりそうな気配がしていました。舞台美術の基本色が真っ黒だったこともあり、明らかにコメディー担当のキャラクター(ルポライター:宮下今日子、ルポライター助手:高橋拓自)が出てきても軽い雰囲気になりづらかったですね。アティックシアター作品でクセモノ役者さんが揃っているため、おバカな笑いに期待していた私にはちょっと残念でした。どたばたコメディーになる部分をもっとじっくり、しっかり楽しみたかったです。

脚本:古屋純一 演出:黒川竹春
出演:川上冠仁 土屋美穂子 古屋純一 横塚進之介 吉冨亜希子 高橋拓自(動物電気) 日高勝郎(InnocentSphere) 杉本恵美(劇団☆新感線) 安東桂吾(マォーティーズインディアン) 岩渕敏司(くろいぬパレード)星野名保子 平佐喜子 関位泰成 中村芙美 宮下今日子
照明:岡野昌代 音響:尾林真理 舞台装置:阿部一郎 宣伝美術:阿部つよし 舞台監督:小俣陽子 制作協力:SUI 制作:Attic Theater
公演ページ:http://www9.ocn.ne.jp/~atticweb/jikai.html

Posted by shinobu at 00:29 | TrackBack