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しのぶの演劇レビュー
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2006年06月21日

劇団民藝『エイミーズ・ビュー』06/21-07/03紀伊國屋サザンシアター

 『エイミーズ・ビュー』はデイヴィッド・ヘアーの戯曲です(レビュー⇒)。数年前にひょうご舞台芸術で上演されましたよね。ずっと観たいと思っていたのでチラシを見つけたときは嬉しかったです。そして奈良岡朋子さんをぜひ拝見したかった!
 四幕ものの会話劇で、上演時間は約2時間40分(休憩15分を含む)です。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 ロンドンから離れた郊外の家で23歳のエイミー(河野しずか)が恋人ドミニク(境賢一)と一緒に母親エズミ(奈良岡朋子)の帰りを待っています。エズミは有名な舞台女優、この古びた屋敷で画家だった亡き夫の母イヴリン(入江杏子)と暮しています。エズミは野心家のドミニクが気に入らない。一方、愛情を他にあたえつづけ、だれとでも仲良くいきていかなければならないという信念をもつエイミーは、母親と恋人との板ばさみになって苦しみます。やがて歳月は流れ、イギリスでもバブルがはじけて、女優であるエズミもいやおうなく経済の変化に巻きこまれていきます。成功したドミニクとエイミーとの結婚生活もまた破綻をきたしていくのでした・・・。
 ≪ここまで≫

 初日だったからかもしれませんが役者さんの演技がガチガチで、開演した時は冷や冷やしました。でも奈良岡さんが登場するなり一気に空気がはずみましたね。

 舞台はエズミの家(つまりエイミーの実家)。英国調の家具がそろった品のいい居間です。第一幕からニ幕、三幕へと変わる度にどんどん時間が経過していきます。いわゆる正統派の四幕劇ですね。観終わった時、面白い戯曲だと思いました。
 わがまま放題で鼻っ柱が強そうに見えて、実はけっこう家族思いの女優エズミと、母親エズミの言うことを全て聞いてイイ子でいたけれど、そのせいで自分が押しつぶされそうなっていることに気づいていた娘エイミー。本来ならこの二人が主軸になるはずなんじゃないでしょうか。残念ながらエイミー(河野しずか)が振付どおりにしゃべって動くロボットみたいで・・・。エイミー役の方だけでなく、奈良岡さん以外の役者さんの演技には不満が残りました。民藝ってこういうカラーなんでしょうか・・・。私には合わないですね。

 ここからネタバレします。

 第四幕ではエズミの家が解体されて、小さくて汚い楽屋だけが現れます。あの転換はダイナミックでかっこ良かったです。
 舞台女優としてカムバックしたエズミのところに、映画監督としても大成功したドミニクがやってきて、絶縁状態だった二人が再会し、二人っきりの会話が始まります。このシーンの奈良岡朋子さんの演技が素晴らしかった~。第三幕までで腑に落ちなかったことが、第四幕のこの対話で「なるほど、そうだったのね~」と納得させられました。
 でもそれは、第三幕まででちゃんと人物が描けていなかったからだとも考えられます。そういえばエズミは全然わがままに見えなかったし、エイミーはそんなに母親に悩まされているようには見えなかったし、ドミニクは売れっ子になるような才能があるように見えなかったし。エズミのことを世話するフランク(嶺田則夫)にしても、もっと悪びれたり自己弁護したり、いろいろな態度をするべきだったんじゃないでしょうか(エズミの全財産を奪ったのだから)。

 心に残ったセリフを下記に。一つずつ独立したセリフです。完全に正確ではありません。
 
 ドミニク「エイミーが言っていた。
      人を愛さなくてはいけない。何の条件も付けずに、ただ与え続ける。
      いつの日か、愛情が報われる時がくる。」
 エズミ「悲しみ。裏切り。愛情。喪失感。愛するものを失くした喪失感。それを描きなさい。」
 ドミニク「僕をいつまでも恨んだからと言って、あなたの浪費だからです。」

"Amy's View" by David Hare
≪東京・大阪・京都・福井・大垣・美濃加茂・山梨≫
出演=境賢一/河野しずか/入江杏子/奈良岡朋子/嶺田則夫/神敏将
作=デイヴィッド・ヘア 訳・演出=丹野郁弓 装置=勝野英雄 照明=沢田祐二 衣裳=前田文子 効果=岩田直行 舞台監督=武田弘一郎
前売開始5月9日(火) 一般6,300円/学生3,150円(全席指定・税込み)
公式=http://www.gekidanmingei.co.jp/

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Posted by shinobu at 2006年06月21日 21:57 | TrackBack (0)