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REVIEW

2006年08月11日

空想組曲『シャーベット・シェルター』08/09-13明石スタジオ

 ほさかようさんが作・演出されるプロデュース・ユニット、空想組曲の第二回公演です。
 チラシのビジュアルと文字情報から、「戦争もののダーク・ファンタジーかしら?」と予想していたのですが・・・びっくりさせられました(笑)。

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 ほさかようさんの作品は何度か拝見させていただいています(レビュー⇒)。前作が泣かせるラブ・ストーリーだったので・・・油断してましたね、私(笑)。
 上演時間が約2時間あったのは長かったですね。明石スタジオはベンチシートなのでちょっとつらいですし。1時間30分で終わっていたら印象はかなり違ったのではないかと思います。

 ≪あらすじ≫ 少々ネタバレしています。これからご覧になる方は読まれない方がいいかもしれません。
 戦禍の街。ヨハン(横塚進之介)は一年前に最愛の妻のルナ(長峰稔枝)を爆撃で失ってから、しっかり者のメイドのデビィ(葛木英)と、少々頭の弱い義弟のキャンベル(山本卓)との三人暮らし。
 ある日、ルナの双子の妹・エレイン(長峰稔枝)とその夫ブラッド(多門優)が突然たずねてきた。家が焼かれてしまったので数日間泊めてくれというのだ。同時にヨハンの妹のリンデ(柴村朋子)も飛び込んできて、ヨハンの家は望んでもいない大賑わいとなる。
 ルナにそっくりのエレインを見る度に、ヨハンはルナのことを思い出して悲しみに沈んでしまう。しかしヨハン以外の人々にとっては、ルナはそれほどまで愛されるべき女ではなかったようで・・・。
 ≪ここまで≫

 デカダン・ロマンティックな美術で、明石スタジオではあまり観ない(と思われる)タイプの空間でした。
 設定も展開も面白いと思ったのですが、その中に入り込むことが難しかったですね。例えばヨハンの家の中の様子が、“主人がものすごく愛していた妻を失ってから、1年経っている”という風に思いづらかったです。1年もの間に人間は笑ったり遊んだりするはずで、あんなにずっと「ただ暗い気持ちでいる」という状態が続くのはリアルに欠ける気がしました。

 ここからネタバレします。

 「ルナの本当の性格は?」「エレインは果たして本当にエレインなのか?ルナがエレインの振りをしているのではないか?」「隣人のロイド氏の妻はどこに消えたのか?」「死んだ父親の遺産はどこにあるのか?」「エレインがルナへの手紙に書いていた“シャーベット”とは何か?」・・・など、見ていく内にさまざまな疑問が生まれてきて、それらが少しずつ明かされていきます。

 もっとテンポ良く、加速度的にたたみかけるように進んでいれば、かなり引き込まれたと思います。エピソードが多すぎたのではないでしょうか。例えば国家が「外側」と「内側」に分かれていて、どんどん「外側」が「内側」に侵食しているという設定は、それほど重要じゃなかったかもしれません。“姉妹の謎”と“シャーベットの正体”という2つだけでも、充分すぎるほど面白い内容だったと思います。

 ルナとエレインの父親の仕事は、国の重要人物を暗殺して(暗殺は他の人がするのかも?)死体を処分することでした。地下室の床の下に、死体を溶かす液体が隠されていたのです。それを知った姉妹は父親を殺し、その死体を地下室で処分していました。その地下室こそ、舞台となっているヨハンの家の居間でした。床は確かに開く可能性はありそうだとは思っていましたが、本当に開いて、しかも溶けかけた人体が出て来るなんて!!怖っ!血のりも凄かった!

 ルナとエレインという双子の姉妹の正体が最後にわかります。1年前の爆撃で、二人は一人へと溶け合ってしまっていたのです。もともと手紙を頻繁に交換しあっていたので、二人ともお互いのことをよく知っていたんですね。だから一人が死んだ時に自分が誰(どちら)なのかがわからなくなって、ルナでありエレインでもある一人の女になってしまった・・・というのには納得できます。ロマンティックですよね~。

 常に空腹の太っちょさんキャラのバレンタイン役は、石沢美和さん。実は放浪者ではなく国家側の人間でした。ラストは凄みがありましたね。
 メイド役の葛木英さん。きれ~・・・!とにかく見とれました。美しい。

出演=横塚進之介/多門優(THE SHAMPOO HAT)/長峰稔枝(ペテカン)/山本卓(Afro13)/葛木英(メタリック農家)/亀岡孝洋(カムカムミニキーナ)/石沢美和(SQUASH)/柴村朋子(吉村朋子改め)
作・演出=ほさかよう 舞台監督=藤林美樹 舞台美術=松本わかこ 音響効果=天野高志(OFFICE my on) 照明=正村まさみ(RISE) 稽古場助手=門馬かおり 宣伝美術=岩根ナイル(mixed) 当日運営=松井見依子 制作協力=赤沼かがみ(G-up) 企画製作=空想組曲
全席自由 前売り3000円 当日3300円
公式=http://www.k-kumikyoku.com/

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Posted by shinobu at 2006年08月11日 01:15 | TrackBack (0)