2006年03月24日
チェルフィッチュ『三月の5日間』03/11-21六本木Super Deluxeまとめ
Super Deluxeエントランス
初日、ポストパフォーマンストーク(1、2&3)、3/16、ライブ、3/20、千秋楽と、合計7回も同じ会場に通ったのは生まれて初めてでした。まるで自分が関わっている公演のよう(笑)。フリークを通り越してほとんどストーカーだなぁと思いつつ、やっぱり通っていました。※最初から最後まで作品をちゃんと観たのは4回です。
同じお芝居を2度以上観ることなんて皆無に等しい私が、なぜこんなに通ってしまったのか。
特定の役者さんの大ファンで、その人観たさに通うという要素がないわけではないのですが、それでも同じ場所に7回っていうのは・・・おかしいと思うんですよね(笑)。今年の3月は話題作が目白押しだったのに、それをキャンセルしてでもチェルフィッチュが居る六本木の地下のライブハウスに、私は行ってしまっていました。・・・なんでじゃろ?
まず『三月の5日間』という作品の脚本が好きです。ふしだらな行為に耽る若者のぐだぐだやわやわな言葉の連続の中から、積極的な反戦の主張を含むソリッドな意思が伝わってきます。
演出が独特でセンスがいいと思います。観客に話しかけるようなスタイルで、一人称がどんどん変化します。何も無い舞台は照明と役者さんの言葉・演技だけで場面転換します(以下省略)。
役者さんの身体表現、舞台上での存在の仕方、セリフの話し方・・・なぜか全然飽きません。毎回新しい気持ちで観られましたし、また観たいって思います。
そして照明も好き。初演よりずっと色鮮やかでわかりやすく、エンターテインメント性が増していました。最後の白い照明は何度観ても感動。途中休憩の時だけ鳴る音楽(サンガツの「5日間」)もかっこいい。
決定的なのはやはり会場でしょうね。お酒を飲みながらゆったり談笑して開演を待ち、上演中もグラス片手に観られます。届きそうなぐらい近くに居る役者さんが、観客に語りかけるような演技をゆるやかに続けてくれます。「この空間で、このメンバーで、この作品を観られるのは、今が最後だ」と感じていたから、私はできる限り通ったのだと思います。
千秋楽のラストシーンでミノベ(瀧川英次)とユッキー(山崎ルキノ)が「渋谷まで一緒か」とにこやかに立ち去り、バシュ!っと暗転した時、「あぁ、終わっちゃった・・・」と気づいて泣きそうになりました。異常な感情移入ですよね(苦笑)、自分で恥ずかしくなっちゃった。
ご覧になった方のレビューをほんの少しだけ挙げておきます(順不同)。ものすごく沢山の方がブログに感想を書かれているようです。
休むに似たり。
直行直帰
正しくも松枝日記
小劇場系
デジログからあなろぐ
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週末シアターゴアーの傾く日常
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John's Notes
開場時間に舞台奥の壁面に映されていた映像は、2001/9/11に飛行機が衝突した後のWTCをずっと映し続けたものだそうです。煙だけがもくもくと上がり続け、本当なら真ん中にドーンとそびえ立っていたはずのビルが消え去っています。
千秋楽はセリフの入れ替えがありました。たとえば“デモに行ってたヤスイ君が怒られちゃった”シーンは、最初も最後もメガネの人(下西啓正)のセリフだったのですが、千秋楽では緑色のトレーナーの人(村上聡一)が最後のセリフを言っていました。オープニングのミノベ(瀧川英次)と東(下西啓正)の会話も部分的に違った気がします(不確かですが)。
あと、話す話すと言いながら結局登場しなかった“体の柔らかい”スズキくんについて。2度目でやっとわかりました(苦笑)。最初の方で東(下西啓正)からミッフィーちゃん(松村翔子)の話を聞いていた人(山縣太一)ですね。てゆーか脚本読んだ時にわかれよって感じですが。
第49回岸田國士戯曲賞受賞作品 Postmainstream Performing Arts Festival (PPAF) 2006
出演=山崎ルキノ/山縣太一/下西啓正/松村翔子/瀧川英次/東宮南北/村上聡一
作・演出=岡田利規 企画=小沢康夫 舞台監督=鈴木康郎 照明=大平智己 宣伝美術=good design company ウェブ=谷上周史 制作=中村茜 制作協力=プリコグ 主催=チェルフィッチュ 共催=Postmainstream 助成=財団法人東京都歴史文化財団
前売り開始 2/1(水)~ 全席自由/整理番号つき 前売:3200円 当日:3500円(お立見の可能性あり) 学生:2800円(要学生証/ウェブ予約のみ) セット券=サンガツ・ライブ(3/17)と「三月の5日間」(公演日よりお選び下さい)のセット券前売のみ4500円(ウェブ予約のみ)
公式=http://chelfitsch.net/sangatsu.html
★3/17だけ『サンガツ・ライブ』です。全席自由 前売:2200円(ウェブ予約のみ) 当日:2500円 企画協力: HEADZ
サンガツ=梶道人 (dr)、山脇豊土 (dr)、小泉篤宏 (g)、小島創太郎 (g)、磯木淳寛 (b) DJ Peaky (electronics)
トークショー=小泉篤宏(ミュージシャン/サンガツ)×岡田利規(チェルフィッチュ)
チェルフィッチュ=ショートパフォーマンス「ティッシュ」作=岡田利規 出演=松村翔子/端田新菜
サンガツ=http://sangatsu.com/
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ユーゴザーパド劇場『巨匠とマルガリータ』03/21-26アートスフィア
これまでに3度来日公演をしているモスクワのユーゴザーパド劇場の2作品日替り公演です。
アートスフィアのファイナルステージだそうですね。4月からはスフィアに代わってホリプロが運営を開始し、名前は「天王洲銀河劇場」になるそうです。
役者さんはスゴイと思うんですが、脚本が非常に破天荒というか、はちゃめちゃで、ついていくのがやっとでした。『マクベス』を観ればよかったな~。
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
スターリン時代のモスクワに悪魔の一味「黒魔術団」が降りてきて、世界を混沌に陥れ、ローマ総督ピラトとイエス・キリストの小説を書いた「巨匠」を精神病院から救い出し、恋人マルガリータに会わせるまでの宇宙的な広がりをもつ大スペクタクル。
≪ここまで≫
う~ん・・・このあらすじは簡潔すぎてわからないですねぇ(苦笑)。2000年前のイエス・キリストの処刑と、悪魔が降り立ったスターリン時代とを行ったり来たりする構成でした。上演時間は3時間20分(うち20分の休憩を含む)という長時間です。『巨匠とマルガリータ』というタイトルですが、巨匠が登場したのは開演してから1時間20分後でしたね。思っていたよりも長く感じました。
「銀色に妖しく光る巨大なトタン板が5枚吊るされているだけの舞台空間」(←公式サイトより)ですので、美術自体はとてもシンプルです。そのトタン板を持ち上げて、板の後ろから役者が登場するのがダイナミックでカッコいいんですよね。板をガンガン叩いたりするのも面白いです。
とにかく役者さんがパワフル!舞台上にたった一人でずーっと独白し続けます。静かな語り口ではなく、がなったり怒鳴ったりすることが多いスタイル。そういう演技って私はあまり好みじゃないはずなのですが、最後まで飽きが来なかったことに驚きました。役柄になりきっているけれど、生身の人間として舞台上にありありと存在している、というのか・・・これは海外の劇場の公演でよく感じることです。魅力的な役者さんが多いです。
「トタン板が耳をつんざく轟音をたて、闇と光、全裸に限りなく近い姿で踊る男女を映し出す──「悪魔の大舞踏会」の場面」(←公式サイトより)は・・・引いちゃいました。どうして西洋の人は“悪魔”というと決まってこういうイメージなんだろう・・・と不思議になります。新約聖書の世界がもとになった戯曲だから当然なのかもしれないですけど。あと、音楽もありがちでかっこ悪いな~と思いました。
そう、大っぴらに鳴る音楽が私の好みじゃなかったですね。B級SF映画のテーマ曲でよくありそうな感じ。効果音の鳴らし方も「もしかしたらウケ(笑い)を狙ってるのかな?」と思うほどでした。まあ笑っても良かったんでしょうけど。
ここからネタバレします。
マルガリータ役のオリガ・イワノーワさんの演技に引込まれました。まずは恋人の巨匠(エヴゲーニー・バカロフ)が精神病院に連れ去られ、彼の安否を知らないまま、一人で帰りを待っている苦悩を語るシーン。涙を流しての熱演でした。そして悪魔の手引きで魔女に変身し、恨みをいだいていた評論家の家を荒らしに行くシーン。忍の一字でけなげに待ち続けていた女が突然変身して、欲望のままに破壊行動に出るのには興奮します。透明の身体になって空を飛べるというのも胸がスカっとしましたね。でもその「破壊行動」が、家を水浸しにするとか、書斎の机に水をぶっ掛けるとかっていうのは・・・地味ですよね(苦笑)。
前半まではしっかりついて行けてたのですが、後半は疲れてしまい、「悪魔の大舞踏会」ですっかり頭がリセットされてしまいました。も~いいや・・・って思っちゃった(苦笑)。ほぼ全裸の男女が浮かれ踊るというようなパフォーマンスは、かっこいいとは思えなかったです。好みじゃないだけかもしれませんが。
お話は、イェシュア(=イエス・キリスト)の時代も今も時間を超えて生き続けている悪魔のヴォランドが、イェシュアを救おうとしたユダヤ総督ピラトと、そのピラトの小説を書いた巨匠を救った・・・っていうことになるのかしら。あぁよくわかりませんが、大団円でした。
(全公演日本語字幕付/A・Bプログラム日替り公演)『マクベス』と2作品上演。
<イェルシャライム(エルサレム)の人々>
イェシュア(イエス)=アレクサンドル・ザドーヒン レヴィ・マトヴェイ(イエスの弟子マタイ)=ミハイル・ドーキン ピラト(ローマ総督)=ワレリー・アファナシェフ アフラニウス(ローマの秘密部隊長)=アレクセイ・ワーニン カイファ(ユダヤの大司祭カヤパ)=ワレリー・ドルジェンコフ ねずみ殺しのマルク=アレクサンドル・シャトーヒン
<悪魔の一味> ヴォランド=ワレリー・ベリャコーヴィチ コローヴィエフ=オレグ・レウーシン アザゼッロ=ミハイル・ベリャコーヴィチ ベゲモート(猫)=ウラジーミル・コッパロフ ヘッラ=カリーナ・ドゥイモント
<モスクワの人々> 巨匠=エヴゲーニー・バカロフ マルガリータ=オリガ・イワノーワ ベズドームヌィ(詩人)=アレクサンドル・ナウーモフ ベルリオーズ(作家同名理事長=ウラジーミル・デミドフ ストラヴィンスキー(精神病院医師)=アレクセイ・ワーニン プラスコヴィヤ フョードロヴナ=イリーナ・スーシナ リホジェーエフ(ヴェリエテ劇場支配人)=ミハイル・ドーキン リムスキー(同劇場経理部長)=ヴィクトル・ボリーソフ ヴァレヌーハ(同劇場マネージャー)=アレクサンドル・ゴルシュコフ カルポア/フリーダ=ジャンナ・チールワ トファーナ嬢=オリガ・アヴィーロワ ミンキナ嬢=タマーラ・クドゥリャショワ
群衆=オレグ・ザドーリン/タチヤーナ・ゴロデツカヤ/エレーナ・シャストフスカヤ/アンドレイ・サンニコフ/アレクセイ・マトーシン/イローナ・バルイシェワ/ドミトリー・グーセフ
作=ミハイル・ブルガーコフ 演出=ワレリー・ベリャコーヴィチ 照明=ヴャチェスラフ・クリモフ 音響=ミハイル・コロトコフ 大道具=デニス・リャミン 衣装=イリーナ・ゼムスコワ 主催=アートスフィア/朝日新聞社 特別後援=モスクワ・ユーゴザーパド劇場 2006 上演実行委員会 企画製作:スフィア
※3/25(土)18:00=終演後、岩松了氏と演出ワレリー・ベリャコーヴィチによるアフタートークあり
全7ステージ 全席指定 S席7,000円/A席5,500円/B席4,000円
アートスフィア内=http://www.tennoz.co.jp/artsphere/yugo_top.html
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