2006年05月14日
コローレ・プロデュース『ハルちゃん』05/09-14シアターVアカサカ
ラサール石井さん の脚本を田村孝裕さん(ONEOR8)が演出されます。1995年初演(たぶん)の法廷劇で、何度か再演されているんですね。びっくりな豪華キャストで作品の評判も上々だったようです。
でも客席は評判ほど満員じゃなかったようで、もったいないなと思いました。たぶんこの週に注目の演劇公演が重なりすぎてたんじゃないかしら・・・こればっかりは調整できることじゃないですものね。
≪あらすじ≫
舞台は裁判所。被告は殺人未遂事件で逮捕された米田利治(関川太郎)。ファミレスのアルバイターでイメクラの風俗嬢でもあった被害者の女性(通称ハルちゃん)は、背中に傷を負って入院中。しかも精神的ショックのため記憶を失っており、証拠は米田の自白に頼る状態にある。
米田の担当弁護人はアル中克服中の金森(デビット伊東)。相手の検事はなんと別れたばかりの元妻・景子(松永玲子)だった。被害者のイメクラの顧客(鈴木歩己)、ファミレスの店員(星野園美)&店長(本間剛)、イメクラの同僚(小林美江)などの数々の証言を集める内に、被告の自白の信憑性が薄くなってくる。
≪ここまで≫
いやー・・・うまい役者さんが揃った法廷劇って、ほんとに楽しいですね~。何の気兼ねもなく「面白かったよ~」とお薦めできる娯楽作品でした。こういう出会いは嬉しいです。もっと早く観に行けたら良かったんですが。
被告、証人、検事、弁護人、裁判官、記録係、ボディガード、傍聴者・・・ひとつの部屋に全然違う立場(意識)の人間が集まってるのが法廷なんですね。演出の田村さんは(役者さんも?)実際の裁判を傍聴しに行かれたそうです。法廷におけるそれぞれの人物の在り方がすごく自然でした。
作品全体が優しいムードに包まれていて心地よかったです。役者さんは皆さん適材適所で、かといってバラバラでもなく、プロデュース公演ならではのぎくしゃくもありませんでした。
クール・ビューティーな松永玲子さんはさすがの美しさ。きりっとしつつ笑いも生んでくださって、ホントに素敵な女優さんだなと思います。
裁判長役の八十田勇一さんののほほん具合が、堅くなりがちな裁判劇の絶妙な息抜きになっていました。上手いですよね~。
日替わりゲストはハルちゃんの先輩イメクラ嬢(フィリピン人?)を演じるのですが、私が観た回は小林美江さんでした。素晴らしかった~。笑いを心得ていらっしゃる。完璧!!って思いました。
※ゲストによってキャラクターが違ったそうです(みんながフィリピン人じゃなかった)。他の女優さんはどんな役だったのかしらん。ゲストの比重がこれぐらい大きいと見ごたえありますよね。
★ネタバレ★
証人として呼ばれた自称イメクラの客・大岩(鈴木歩己)が真犯人で、彼が弁護士(古川悦史)に金をつかませて証人のホームレス(原武昭彦)に嘘の自白を強要したというところまでは想像できたんですが、まさか被告の米田青年がゲイで、大岩と恋人同士だったとは・・・全く思いつきませんでした。
出演=デビット伊東/松永玲子(ナイロン100℃)/八十田勇一/国分佐智子/野本光一郎(ONEOR8)/古川悦史(文学座)/鈴木歩己(グリング)/本間剛/星野園美/原武昭彦/水野あや/関川太郎/平野圭(ONEOR8)/七月王/高石正彦/新納敏正(特別出演・声のみ)
日替わりゲスト=9日/清水よし子、10日/弘中麻紀(ラッパ屋)、11・13日/丸山優子(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)、12日/福島まり子、14日/小林美江(東京ヴォードヴィルショー)
脚本:ラサール石井 演出:田村孝裕(ONEOR8) 舞台監督:村岡晋 音響:原島正治 照明:大塚之英(株式会社ストーリー・レーン) 舞台美術:松野潤 衣装:栗原沙織/山内絢子/小竹真由美/秋葉陽子/石川沙織 ヘアメイク:森谷まりこ(BLOOM)/長井かおり(BLOOM) 宣伝美術:細田潤一郎(株式会社コローレ) プロデューサー:上野真香人(株式会社コローレ) 制作=神野和美(Habanera) 企画・製作:株式会社コローレ
前売4,500円 当日4,800円 前売開始日:3月21日(火)
公式=http://colore.tv/
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DULL-COLORED POP『国境線上の蕎麦屋』05/11-14笹塚 Duo Stage BBs
谷賢一さんが作・演出するDULL-COLORED POP(ダルカラード・ポップ)の第3回公演。ご縁があってこれまでの全作品を拝見しています(過去レビュー⇒1、2)。
学生劇団が少しずつ成長していくのを観るのは嬉しいことです。DM割引で1000円だったのもありがたかった。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。
第二次世界大戦が終わり、東をソ連、西をアメリカに分割占領された日本。東西日本を分ける国境線、その真上に建つ老舗蕎麦屋「絶頂庵」では、昔ながらの二八蕎麦を出す職人気質の店主と東西日本兵が、日々小競り合いを繰り返していた…。
実在した東西日本分割占領案をベースに、割といい加減にファンタジーを膨らませて描かれる蕎麦と戦争の物語。
≪ここまで≫
本日夜で千秋楽ですのでネタバレします。
韓国と北朝鮮のように真っ二つに分断された日本の、その国境線上にある蕎麦屋が舞台です。けっこうちゃんとした蕎麦屋さんが建てこまれていました。装置の構図は『ダークマスター』と似た感じ。舞台中央にどーんとカウンターがあって、店の客はカウンターに向かって、客席に背を向けて座ります。上手に店の出入り口があり、下手にはトイレ。下手奥は2階へと続く階段がある設定です。
最後に登場人物がどんどこ死んでいくのが良かったですね~。敵同士であるはずの東西の兵士が一緒にご飯を食べるとか、機密をめちゃ簡単にバラしちゃうとか、信憑性にかけることばかり起こっていたので私は物語に入っていけていませんでした。だから、ありえないぬるま湯的世界が一寸の不信感でがらがらと崩れ去るのが痛快でした。人間が人間を殺してもいいと思った瞬間、無(む)がやってくるんですよね。私は漫画『MONSTER』でそれを学んだ気がしています。
やっぱりギャグが面白いんですよねー。私はそんなに笑わない方なんですけど、特に前半は声を出して何度も笑わせていただきました。内輪ウケらしきものが多いのはちょっと残念ですが。
オープニングは若者(出演者)が無邪気に浜辺で遊んでいる映像、エンディングは戦争をイメージさせるグラフィック映像が流れましたが、クオリティが低いんですよね。あれだけの長時間、スクリーンで舞台を隠すのなら、何か大きな転換があるのだろうと待ってたんですが、何もなかったですしね。必要性が感じられませんでした。
富所浩一さん。東側の兵士・井原役(記者にネタを売るメガネ君)。動きが大胆で度胸もあるし、言葉も工夫があってはっきりしていて良かったです。前回は主役のユトリロを演じてらっしゃいましたね。
清水那保さん。両親を殺されて蕎麦屋に逃げ込んでくる少女・愛子役。前回も印象に残りましたが、今回もやはり艶っぽい存在感があって可愛らしかったです。
蕎麦屋の店長(実は東側の中尉)役は美形な役者さん(和知龍範)で目に嬉しかったんですが、自称ジャーナリストの脱東者(菅野貴夫)の父親にはとても見えませんでした。出演者が全員若い人ばかりですからね~。仕方ないといえば仕方ないんですが、もったいなかったです。
出演=岩藤一成/菅野貴夫/佐藤弘樹/清水那保/須崎千泰/高橋絵梨佳/滝井麻美/富所浩一/堀奈津美/和知龍範
作・演出=谷賢一 照明=松本大介 舞台美術=萩原未来 宣伝美術=谷賢一 ロンドン=新井宏美 制作=大藤多香子/横山由衣
前売り1500円、当日1800円 学生割引: 大学生以下、前売・当日ともに500円引き。
公式=http://www.dcpop.org/
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パラドックス定数『怪人21面相』05/12-14渋谷space EDGE
日本の戦後未解決事件を題材にした骨太の会話劇。脚本がすっごく練られていて、男達のプライドを掛けた丁々発止のやりとりにシビれます!!
パラドックス定数の過去作品レビュー⇒1、2
今作をご覧になった方のレビュー⇒休むに似たり。、藤田一樹の観劇レポート
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レビューをアップしました(2006/05/15)。
公演は終了していますので少々ネタバレします。でも読まれても問題ない程度です。
グリコ・森永事件の犯人“怪人21面相”とは、元・公安刑事(杉田健治)、不法入国者(十枝大介)、グリコの役員(植村宏司)、朝日新聞記者(小野ゆたか)の4人の男たちだった・・・という架空のお話です。あくまでも作者の想像に過ぎないはずなのですが、「これが真相だったのね!」と信じちゃいそうになるぐらいにリアル!
会場は渋谷のspace EDGE。舞台は客席の頭上にロフト・スペースがある倉庫風の部屋で、ロフトへと上る階段が上手にあります。装置・大道具は事務テーブル、パイプ椅子、タイプライター、ゴミ箱など。会場そのものを生かしたシンプルな美術です。そこが犯人たちのアジトだという設定で、事件の始まりから終結までを描く5幕もので上演時間は約2時間。
これまでの作品と同様、言葉の切れ味がするどくて密度が高いです。男たちの言葉による闘いにゾクゾクし、細部まで練りに練られた展開にわくわくしながら、最後まで気持ちいい緊張感を持って観られました。
これまでよりも自然な笑いが多くなって、人物にも設定にもふくらみが出たように思います。
若い役者さんの4人芝居ですが、ある程度のレベルを超えた演技を見せてくださいました。朝日新聞記者役の小野ゆたかさんの、硬くも柔らかくもなる柔軟な存在感が良かったですね。
でも、脚本の完成度に比べると全体的なおぼつかなさは否めないですね。無表情に偏りすぎるのがもったいない気がします。これは演出の指定なのかもしれませんが。個人的には元・公安刑事(杉田健治)と不法入国者(十枝大介)の間に生まれた恋心のような友情が、少々ねっちょりし過ぎていたように見えました。
素晴らしい脚本だと思います。ぜひぜひお年を召した男優さんでも観てみたい!新劇の劇団で上演しないかしら?ものすごく演じ甲斐のある役ばかりだし、作品としても大人向けで、新劇の客層に合うと思います。観劇フリークの間ではかなりの話題になっていまして、「「劇団演技者。 」になるのもいいんじゃないの?」っていう声も上がっています。たしかにテレビドラマになっても面白いと思います。
パラドックス定数は今年の9月と12月に連続で新作を発表してくださるようです。ものすごく楽しみ♪ちょっとでもご興味もたれた方は、ぜひぜひ観に行っていただきたいです。きっと期待にこたえてくれると思います。
出演=植村宏司/十枝大介/杉田健治/小野ゆたか
作・演出:野木萌葱 照明=木藤歩 舞台監督=渡辺陽一 宣伝美術=山菜春菜 WEB広告=JAPSCRAPS/メグジョ/富永淳 制作:パラドックス定数研究所
日時指定・全席自由 前売り2500円 当日3000円 チケット発売(ぴあ)4/13~/WEBチケット予約4/1~
公式=http://www.paradoxconstant.com/
グリコ・森永事件=http://gonta13.at.infoseek.co.jp/newpage118.htm
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青年団『上野動物園再々々襲撃』05/12-14紀伊國屋サザンシアター
第9回読売演劇大賞・優秀作品賞受賞作品(2001年初演)です。私は初見。
私もいつかそうなるのであろう、おじさん、おばさんたちが居る喫茶店を眺めていました。特に際立った事件は起こらない数時間の語らいと静寂の中で、彼らと一緒にクスッと笑ったり、ジワっと胸が痛くなったり。そして最後は泣いちゃいました・・・。
レビュー⇒休むに似たり。、GRASSHOPPER
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レビューをアップしました(2006/05/16)。
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。
同窓生の葬式の帰り道、とある下町の喫茶店に、小学校の同窓生が集まり上野動物園から駱駝を盗み出して、かつてのクラスのマドンナをそれに乗せようと画策する。
かつての悪ガキたちの追憶と、すでに中年となってしまった彼らの現実生活とがオーバーラップするなか計画は着々と進められていく。人生の深い悲しみと、小さな希望がコミカルに描かれる。
≪ここまで≫
舞台は森の中のコテージ風の落ち着いた喫茶店。開演前から役者さんが舞台上にいらしたんですが、静物画みたいだと思いました。開演して次々と人が出てきても、全然目立たないんですよね。喫茶店全体の空気を感じて、耳に入ってくる声を受身で聞いている状態で、役者さん一人一人に目が行かなかったです。
おそらく座席のせいもあるんじゃないかしら。紀伊國屋サザンシアターは舞台が遠いんですよ(席によって)・・・私は舞台と平行に客席を横切る通路よりも後方の席だったので、遠くの風景を眺めている状態でした。同じ回を観ていた友人は前から3列目の席で「自分もあの喫茶店にいると思って観ていた」そうで、そんなに差があったことがまず悲しい・・・(涙)。そう考えるとこまばアゴラ劇場で青年団が観られるのって贅沢なんだな~。
というわけで、期待していたよりもかなり物足りない観劇にはなってしまったのですが、最後にがっちりと胸をつかまれ、泣いちゃいました・・・。
誰もが同じ世界に住んでいた若い頃は、みんなで一緒の幸せを満喫できました。でも30年、40年の年月は少年少女を、全く別の人生を背負った老人に変えてしまいます。そして誰にも平等に訪れる死は、時期の意味では完全に不平等なんですよね。
絶望的にばらばらになってしまったことをすっかり知りながら、おじさん、おばさんたちがひとつになるのを見て、物悲しい気持ちと勇気をもらえた喜びとが混ざりました。
登場人物の年相応の役者さんが舞台上にいる贅沢を味わえたのも、ありがたいことでした。
ここからネタバレします。
お葬式ってよくテレビや映画、舞台で題材にされますけど、やっぱり人間の生き様が凝縮される格好の行事なんですよね。でもこの作品は、お葬式の後に同級生たちとその周辺の人々が集まる喫茶店を舞台にしており、それぞれの人生を描いていくので、亡くなった人一人に特に焦点が当たるわけではありません。そのずらし方がすごくいいなと思いました。お葬式ものが苦手な私にもすんなり入っていけました。
らくだに乗るおばさんに「将来何になりたいー?」って聞かれて、ガンで余命1年を宣告されたおじさんが「ないー!」って答えた瞬間、涙腺が完全にゆるんでしまいました。私も特にないんです、具体的に何になりたいかなんて。でも「死ぬなよー!」って言ってもらえて、嬉しい。
最後に全員で合唱する「月の砂漠」は、私にとっては特に思い入れがない歌です(『とんとんともだち』は幼稚園の頃によく歌ってました)。でも誰かにとってはすごく特別なもので、人生の大切な時期を思い起こさせてくれて、それを友達と一緒に共有しながら再現できる宝物なんですよね。歌って大事だなと思います。
ところで最近は小学校の卒業式で「あおげば尊し」を歌わないらしいんですよ(映画「あおげば尊し」より)。代わりに現代語の歌(例「旅立ちの日に」←音が鳴ります)を歌うらしいです。その新しい歌が良くないっていうんじゃないですが、古臭いとか言ってないで昔の歌をそのまま歌い継いでいく勇気を持ってもらいたいです。歌で異世代がつながるって幸せなことだと思います。
志賀廣太郎さん。前妻の娘に「バカヤロー」と言われ(せ)る役。華のある方だと思いました。志賀さんばかり見てしまうんですよね。声も艶があって、ついついうっとりと見つめ、聞いてしまいます。
≪東京、伊丹、可児、盛岡、富士見≫
第9回読売演劇大賞優秀作品賞受賞作品
出演=足立誠/猪股俊明*/大崎由利子*/大塚洋/荻野友里/木崎友紀子/志賀廣太郎/篠塚祥司*/高橋縁/天明留理子/根本江理子/羽場睦子*/ひらたよーこ/松田弘子/安田まり子/山内健司/山村崇子(50音順/*印は、旧金杉アソシエーツより参加)
原作ー金杉忠男 脚本・構成・演出=平田オリザ 舞台美術=杉山至×突貫屋 舞台監督=寅川英司×突貫屋 舞台監督助手=櫛田麻友美 照明=岩城保 衣裳=有賀千鶴 演出助手=工藤千夏 宣伝イラスト=マタキサキコ 宣伝美術=太田裕子 制作=松尾洋一郎、斉藤由夏、佐藤誠
3月19日(日)発売開始 前売・予約・当日共 一般4,000円 学生2,500円 高校生以下1,500円
公式=http://www.seinendan.org/
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ウラジオストク青年劇場『かもめ』05/12-14シアターX
登場するのは2人の作家(トリゴーリン&トレープレフ)と2人の女優(アルカージナ&ニーナ)という、4人芝居の『かもめ』。私は『かもめ』、大好きなんですよね~。
ロシア語上演で字幕もイヤホンガイドもない状態で、大泣きしました~・・・! 俳優がとにかく凄いし、演出も面白いです。『かもめ』のストーリーをよくご存知の方に超お薦め!!
原題は『ほら、これがおまえの劇場だ(VOT TEBEI TEATR)』です。
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レビューをアップしました(2005/05/15)。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
舞台は湖のある避暑地。ソーリン家の中での出来事。女優アルカージナ(ガリーナ・コプィロワ)とその愛人、売れっ子作家のトリゴーリン(アレクサンドル・ヴォロシャンコ)がやってくる。 息子トレープレフ(アンドレイ・トロフィーモフ)は母を喜ばせるために芝居を見せようとするが、失敗。愛するニーナ(ポステルナック・ラリーサ)さえも作家にうばわれ、母の愛も自分が望むかたちでは得られない。 そして去っていく母と作家と少女・・・。二年後、トレープレフは作家となり、母、トリゴーリン、そして女優になったニーナと再会する。
≪ここまで≫
公式サイトに「※本公演はロシア語による公演です。俳優の演技を直に感じて頂くために、あえて字幕、イヤホンガイドは使用いたしません。」と書かれているのを読んで、少しは躊躇しました。でもNHK芸術劇場で観たマールイ劇場『かもめ』のこともあるので、思い切って足を運んでみたら大正解!途中10分間の休憩を含む刺激的な1時間50分でした。
セリフは一切わからないのですが、声を音として味わい、流れるような動き全体をひとつの人間として受け取ることに集中しました。人間の声も動きも瞬く間に次々と変化し続けて、それがシャワーのように私に降りかかってきます。意味を考えないで舞台を観ていると、そのシャワーの粒を味わえるんですね。
また、私は自分が憶えている『かもめ』のストーリーと、舞台で生まれる感情とを頭の中で結びつける作業をしながら、舞台上の人物をつぶさに眺めていました。すると、その人物の感情が手に取るように、まるで言葉を話しているかのごとく鮮やかに伝わっくるのです。今までにない演劇体験をした気がします。
舞台中央に直径2m弱ぐらいの丸い台があります(高さは20cmぐらい)。その台の真上の天井から丸い輪が吊られており、輪にはステージまで届く長さの白い布が何枚も掛けられています。布は滑車で輪とつながっていますので、カーテンのように左右を自在に動きます。形状としては天蓋付きベッドの丸い天蓋のようです。台とカーテンで劇中劇の舞台になったり、ベッドになったり、カラフルな照明でさまざまな印象を与えるオブジェにもなります。この装置の他に使われるのは2脚の白いイスと白い自転車ぐらい。ごくシンプルなステージです。
トレープレフ(アンドレイ・トロフィーモフ)の存在感がすごくどっしりとしていて自然体でした。トレープレフであり、俳優のアンドレイ・トロフィーモフさんであり、そして茶色いパーマヘアのがっしりしたロシア人男性でもある人物が、目の前に居ました。何も話さないシーンでも一人ではっきりと存在していて、「ただそこに居る」という演技の偉大さを再確認しました。
アルカージナ(ガリーナ・コプィロワ)とトリゴーリン(アレクサンドル・ヴォロシャンコ)は全体的にふわふわ浮いたような足取りで、動きも話し方も少し大げさ目にデフォルメされているように見えました。ただそのデフォルメが非常に効果的で、人物の性格・体質を細かく表現できているので、驚かされたり笑わせられたりしつつ、面白く拝見しました。全部計算で作っているんだろうと思うと、その技術レベルの高さにゾっとしますね。
ニーナ(ポステルナック・ラリーサ)は若くて可愛いくて、無邪気で純粋なことだけが取り柄の大根役者として描かれていました。ヘアメイクもドレスお世辞にも美しいとはいえないダサさで、田舎者が都会のセレブに夢中になってもてあそばれるという流れがあからさまでした。それが黒装束の男装でトレープレフのもとに帰ってきた時は、すっかりスレて疲弊していて・・・最後のニーナの独白はそれまでとの違いが鮮明で、凄みがありました。
私がぼろぼろ泣いてしまったシーンは2箇所。
トレープレフがかもめを撃ち殺した後、トリゴーリンに夢中になってしまったニーナに向かって、あきらめと憤りの混じった感情でぶつかっていくシーンと、トレープレフがアルカージナに包帯を巻いてもらいながら、母親への無邪気な愛と子供ならではの甘え、そしてトリゴーリンへの嫉妬と怒りがごちゃまぜになってしまう親子喧嘩のシーンです。
演出意図がはっきりとしていて、意外な解釈もありました。ニーナに心奪われたトリゴーリンを年増のアルカージナが取り戻す方法が、まさか色仕掛けの寝技とは(笑)。また、ニーナが大根役者だったという設定も大胆だなと思いました。
アルカージナが『ロミオとジュリエット』の第四幕三場のジュリエットのセリフを演じるところも素晴らしかったですね。白いカーテンを体に巻きつけての大熱演でした。ジュリエットのセリフの最後の最後でちゃかした演技をして、熱演を昼下がりのお遊び(アルカージナはニーナに演技を披露していた)に戻すのも、プロの中のプロだな~と思いました。
映画「ゴッドファーザー」の音楽(「愛のテーマ」だったかな)が何度か流れたと思うのですが、「ゴッドファーザー」というとあるイタリア人家族の悲劇物語で、家族同士の裏切りや親類殺しなどが頭に浮かびます。『かもめ』と意味を重ねているのかしら。そうだとしても選曲はちょっとメジャーすぎるんじゃないかと思いました。他にもとっても有名な曲があったんですが私にはわからず。
出演=トリゴーリン:アレクサンドル・ヴォロシャンコ(ロシア功労俳優)/アルカージナ:ガリーナ・コプィロワ(ロシア功労俳優)/ニーナ:ポステルナック・ラリーサ/トレープレフ:アンドレイ・トロフィーモフ ※ニーナ役の予定だったアンジェリカ・トロフィーモワは病気のため降板。
ロシア側スタッフ⇒作=A.P.チェーホフ 企画=ウラジオストク青年劇場 芸術監督=ビクトル・ガルキン 美術=ビクトル・シマトーク 照明=ドルィギン・ワレンチン 音響=メリニコフ・エブゲーニー ウラジオストク青年劇場来日公演実行委員会=中本信幸/平樹典子/高橋竜也/新田満/田代紀子 日本側スタッフ⇒舞台監督=山内榮治 舞台監督助手=山田武 照明=石田道彦 解説=清水柳一 チラシイラスト=Kaolly 通訳=パーベル・フョードロフ/松川直子/久保遥
前売:4,000円 当日:4,200円(全席自由)
公式=http://www.theaterx.jp/06/060512.shtml
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