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REVIEW

2008年01月03日

Studio Life『アドルフに告ぐ』12/20-30天王洲 銀河劇場

 手塚治虫の漫画を倉田淳さんが脚本・演出されます。かつて漫画大好きっ子だった私にとって、Studio Lifeが漫画を、しかも名作ばかりを舞台化してくれるのは本当に嬉しいことです。
 若手キャストのMut(ムート)チームを拝見しました。

 手塚治虫生誕80周年記念企画・制作発表の写真レポートです↓
 ⇒Studio Life『アドルフに告ぐ』制作発表
 ⇒わらび座『ミュージカル「火の鳥~鳳凰編」』制作発表

 ⇒CoRich舞台芸術!『アドルフに告ぐ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 1936年、ベルリンオリンピックの取材でドイツへと渡った峠草平(曽世海司)は、留学中の弟を何者かに殺される。
 やがて真相は、彼がヒットラー(甲斐政彦)に関する重大な秘密を知ったことによる口封じのためであり、さらにその秘密の書かれた文書が日本へ向けて送られたことを知る。
 一方、神戸ではドイツ総領事館員のカウフマン(寺岡哲)も本国からの指令を受け、文書の行方を追っていた。
 熱心なナチス党員である彼は、一人息子のアドルフ(荒木健太朗)を国粋主義者として育てようとするが、アドルフは強く反発する。同じ名を持つ無二の親友アドルフ・カミル(松本慎也)が、ナチスドイツの忌み嫌うユダヤ人であったから。
 差別が厳しい日本で懸命に生きる2人。いつしか惹かれあい、かばい合い、揺るぎない友情で結ばれていく。
 しかし、時はヒットラーという独裁者が支配する暗黒の時代。
 運命は2人の少年の澄んだ友情を残酷にも引き裂いていくのだったー。
 ≪ここまで≫

 倉田さんはいつも原作を大切に脚色されていて、今回もそれがよく伝わってきました。3時間弱(だったと思う)で『アドルフに告ぐ』の壮大な世界全体を伝えようとした、その姿勢も素敵だなと思います。
 記録映像を使ってストーリーをわかりやすく伝えてくれたので、すんなり実感が湧きました。特にナチスのSS将校(およびその訓練生など)が登場するシーンは、独特の残忍さをともなう緊張感にリアリティを感じました。
 ただ、全体的な演出については、残念ながらあらすじを伝えることに精一杯の様子で、クオリティが高いとは思えませんでした。オープニングが弱いのももったいない気がします。

 Mut(ムート)チーム主役の荒木健太朗さん、松本慎也さんは、仕方がないことではありますが、Studio Lifeの先輩たちに比べると力不足だと感じざるを得ませんでした。Ehre(エーレ)チームの山本芳樹さん、小野健太郎さんが子役などで登場されるので、どうしても比べてしまいます。過酷な環境で場数を踏んで、良い役者さんになられるのでしょう。そうやって応援する視点から観劇するのもStudio Life公演の楽しみです。

 アドルフ・ヒトラー役の甲斐政彦さんは、甲斐さんだとわからないぐらいのヘアメイクでしたね。あの成りきりっぷりには感服しました。映像を参考に相当なお稽古を積まれたのではないかしら。出てくる度に楽しくなりました(不謹慎だと感じつつも)。
 林勇輔さん。コミカルな小城先生(女)役も確実で、迷彩服のSS将校役も素晴らしかったです。

手塚治虫生誕80周年記念
※Ehre(エーレ)チーム、Mut(ムート)チームのダブルキャスト公演。
Ehre(エーレ)チーム:アドルフ・カウフマン/山本芳樹 ドルフ・カミル/小野健太郎
Mut(ムート)チーム:アドルフ・カウフマン/荒木健太朗 アドルフ・カミル/松本慎也
全公演:アドルフ・ヒットラー/甲斐政彦 峠草平役/曽世海司 ボルマン/河内喜一朗 カミルの父:イザーク/藤原啓児 本多大佐/石飛幸治 アドルフ・ヒットラー/甲斐政彦 ランプ/倉本徹 小城先生/林勇輔 エヴァ/深山洋貴 ゲルハルト・ミッシェ/船戸慎士 ナチ党員、ドイツ総領事館カウフマン/寺岡哲 赤羽刑事/奥田努 県警捜査一課・米山刑事/牧島進一 クライツ・ゲルトハイマー/篠田仁志 ゾルゲ/下井顕太郎 アイヒマン/大沼亮吉 カミルの母:マルテ/関戸博一 由季江・カウフマン/三上俊 エリザ・ゲルトハイマー/芸者・絹子/吉田隆太 本多芳男/仲原裕之 クルツ/政宗 カウフマン息子/神野明人 警官、生徒など/石井昭裕 警官、生徒など/緒方和也 イスラエル兵士など/原田洋二郎 イスラエル兵士など/堀川剛史 ※キャストは都合により変更する場合もございます。※上記の役以外でも出演いたします。
原作:手塚治虫 脚本・演出:倉田淳 美術=松野潤 照明=森田三郎 森川敬子 舞台監督=土門眞哉 音響=竹下亮(OFFICE my on) ヘアメイク=角田和子 衣裳=竹原典子 アクション=渥美博 美術助手=渡辺景子 演出助手=平河夏・荒川真寿恵 宣伝美術=河合恭誌 菅原可奈(VIA BO, RINK) 宣伝写真=薮田修身 映像=倉本徹・近藤国芳 小道具=高津映画装飾 大道具=俳優座劇場 デスク=釣沢一衣 揖斐圭子 大野純也 制作=稲田佳雄 中川月人 麻場優美 大田香緒 服部美奈子 小山智子 宣伝・PR=松永理永 丸山隆子 頼廣直子 五十嵐洋美(SUNNY SIDE UP) 制作協力=東容子 縄志津絵 宮澤有美 小泉裕子 八木美穂子 主催=Studio Life 銀河劇場 企画・制作=Studio Life
料金(全席指定/税込)ファンクラブ(前売・当日共)S席6,000円/A席4,600円/一般(前売)S席6,300円/A席4,800円/一般(当日)S席6,500円/A席5,000円
http://www.studio-life.com/stage/adolf/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2008年01月03日 16:22 | TrackBack (0)