2008年09月18日
THE SHAMPOO HAT『葡萄』09/10-23ザ・スズナリ
赤堀雅秋さんが作・演出・出演されるTHE SHAMPOO HATの第23回公演は、客演に実力派有名女優さんを多数迎えた新作公演。
上演時間は約1時間40分。
⇒CoRich舞台芸術!『葡萄』
レビューをアップしました(2008/09/20)。
≪あらすじ≫
東京から遠く離れた町。人口はおそらくかなり少ない。舞台は恭子(那須佐代子)と勝(日比大介)夫婦が営む民宿『沢田家』の居間。勝の幼なじみの菊池哲也(野中隆光)が15年ぶりに尋ねてきた。でも歓待ムードはまるでない。
≪ここまで≫
感情の衝突で空気がヒリヒリしながら盛り上がる瞬間や、ぐっとむせかえるような感覚に襲われて、涙が出そうになる官能的なシーンもありましたが、終わってから「この人についてもっと深く知りたいな~」と思う登場人物が複数人いて、全体的にちょっと物足りない感じでした。人物の出ハケについて疑問に感じるところも少々あり。私はTHE SHAMPOO HATの大ファンですので、ついついハードルを高くしちゃうんだと思います。
斜めのラインがきれいな美術でした。今回はF.A.T STUDIOじゃなくて中根聡子さんなんですね。
ここからネタバレします。
菊池は15年前にケンカで人を殺してしまい、ずっと刑務所に入っていました。その頃恋人だった恭子は菊池の友人・勝と結婚しますが、生まれた息子は菊池の子でした。15歳になった息子は2階の部屋に3日間続けてほぼ断食状態のまま引きこもり中。となりの客室では売春婦(いせゆみこ)がせっせとイン●テンツの客(長尾長幸)とセックスをしています。「恭子と勝はニセ夫婦を演じているっぽいし、こんな環境じゃぁ子供がグレてもしょうがないな~」と思いましたが、引きこもりの本当の理由はそうではなく・・・。
菊池の弟・順(黒田大輔)が兄への怒りを満面に浮かべて乗り込んできますが、勝のだらしない優しさのせいで、うやむやに。順の妊娠している妻(古牟田眞奈)は人前では全くしゃべれない内気な性格ですが、なぜか菊池に対しては好意を持っている素振り。その理由が知りたかったんですが、私にはわかりませんでした。
従業員の佐久間(池谷のぶえ)は6年前からこの民宿で働いているけれど、町の駐在さん(多門勝)に「見かけない顔だね」と言われる影の薄い女。彼女は「6年前から私は死んでいる」と言っていたと思うのですが、その理由がわからなかったな~。
菊池と佐久間のラブシーンが素敵でした(菊池が佐久間に「お前、きれいだな」と言っていきなりキスをする/床に横になっている菊池に、佐久間がそっとタオルケットをかけてあげる/佐久間がデラウェアを房ごと菊池の口元に持っていって食べさせる/など)。
第23回公演
出演:那須佐代子(青年座)、池谷のぶえ、いせゆみこ、野中隆光、日比大介、多門勝、黒田大輔、古牟田眞奈、梨木智香、長尾長幸(劇26.25団)、赤堀雅秋
脚本・演出:赤堀雅秋 舞台監督:久寿田義晴 照明:杉本公亮 音響:田上篤志(atSound) 舞台美術:中根聡子 宣伝美術:斉藤いづみ 舞台写真:引地信彦 衣装協力:E-PIN企画(平野里子) 演出助手:岩堀美紀 WEB製作:野澤智久 舞台収録:♂GUCCi♀(帝斗創造) 制作助手:笹本真琴 谷慎 制作:HOT LIPS 武田亜樹 企画製作:HOT LIPS
【発売日】2008/08/10 自由席:前売り3500円 当日3800円 指定席:前売り3800円 当日4,000円
http://www.shampoohat.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。
東京デスロック『演劇LOVE2008・愛のイペント「夏目LOVE」』09/17リトルモア地下(キスフェス3内企画)
東京デスロックの看板俳優である夏目慎也さんが主役の“愛”のイベント。『演劇LOVE2008』公演の中日の15:00~21:00(休憩1時間含む)に開催されました。
私は前半のワークショップのみ鑑賞。平日昼間からこんなに大勢が原宿の小さなギャラリーに集まるなんて(笑)。出演者も客席も豪華でビックリ。
⇒CoRich舞台芸術!『演劇LOVE2008~愛の行方3本立て~』
■15 : 00~16 : 00「夏目一人芝居『HERE I AM-ドン・キホーテがやってくる-』公演期間中公開ダメ出し稽古」
愛の演出:多田淳之介 出演:夏目慎也
【発情期】の一人芝居が出来るまでの過程を紹介。はじめは人形劇だったんですね。ドン・キホーテ以外の登場人物のセリフも全部覚えていたとは。
その後は本番のための稽古。夏目さんが演技をするのは多田さんがじーーーーっと静かに見つめて、だいぶん長い時間演じてから、ダメ出し。体力的にハードな演技を何度も繰り返して演じさせるのは、自他共に認める多田さんの「ドS(エス)」度が発揮されているところ。やればやるほど夏目さんがかっこ良く見えてくるのが面白い。
■16 : 00~18 : 00「愛の夏目の為の公開ワークショップ」
【1】「お誕生日エチュード」
愛の講師:岩井秀人(ハイバイ) 出演:夏目慎也 金子岳憲 坂口辰平(夏目さん以外はハイバイ所属)
それほど親しくない男性が3人集まって、部屋で1人の誕生日を祝うという設定。セリフはいっさい決まってなくて、即興で演じます。
例えば「初対面の人に対して自分がどのように振舞うか」という、現代人の社会性を保ったまま演技をするところが、このエチュードのポイントのようでした。
2時間遅刻してきたのに謝らない男(夏目慎也)に対して、部屋の主(金子岳憲)が怒り、誕生日の男(坂口辰平)はその間でおろおろ。次々とよどみなくふてぶてしい言葉が出てくる夏目さんがすごい。その場にいて素直に反応する金子さんは優しいお人柄が感じられました。
【2】「近代能楽集『班女』演出特訓」
愛の講師:関美能留(三条会) 出演:夏目慎也 大川潤子 立崎真紀子 橋口久男 中村岳人(夏目さん以外は三条会所属)
なんと夏目さんに三条会の役者さんの演出をやってもらうというワークショップ。扱うテキストは近代能楽集『班女』です(⇒近代能楽集 (新潮文庫))。最初に関さんが夏目さんにも役者として参加してもらい、演出を披露。
近代能楽集の登場人物はどう考えても実在しないような人間ばかり。台本を読む役者には、「こういう人、いる!」と思わせる説得力が必要になります。関さんの夏目さんへのダメ出しの言葉がものすごく面白い。戯曲の意味を伝えること、人物像をありありと立ち上がらせること等の他に、目に見える具体的なものに嘘をつかないこと、稽古場の雰囲気、さらには観客の反応まで視野に入れてらっしゃいます。
夏目さんが演出する番になり、最初はおどおどしていたのが徐々にえらそうに(笑)なっていきます。役者は演出家のひとことにすぐ反応して動くので、演出家の責任は重大です。作品の演出をするのはもちろん、稽古場の空気も演出家の居住まいで作られていきます。まずは演出家が堂々としていないと始まらないんですね。
役者さんは演出家に従順で受動的に見えますが、指示をふまえて自由に動き出すと、なんともわがままでクリエイティブ(笑)。大川潤子さんの臨機応変な行動力が凄かった。
≪感想≫
「夏目さんって演技上手いんだねー」と今さら納得。
演出家ってすごい。見ているところが普通の人とは全然違います。
18 : 00~19 : 00 「愛の休憩時間」※私はここで敗退~・・・(残念)。
19 : 00~21 : 00 「愛の夏目バンドLIVE-歌え、夏目、気の済むまで一」「愛の夏目秘蔵映像上映会-前頭部毛髪の歴史-」「夏目愛の恩返し」(プログラムは予告なく変更する場合がございます)
東京デスロックREBIRTH#2 こまばアゴラ劇場国際演劇月間 キスは何回?フェスティバル参加作品
ワークショップ講師:多田淳之介 関美能留(三条会) 岩井秀人(ハイバイ)
構成・演出:多田淳之介 宣伝美術:宇野モンド チケット・当日パンフレットデザイン:京 制作:服部悦子 企画制作:東京死錠 リトルモア地下 主催:東京デスロック (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共催:リトルモア地下 協力:にしすがも創造舎 東京都
【休演日】9/16【発売日】2008/07/19 予約¥2000 当日¥2500 LOVEセット券¥5000 夏目LOVE¥2000(予約・当日共 LOVEセット券ご購入の方¥1000)
http://deathlock.specters.net/
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/deathlock.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。