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2008年10月09日

DULL-COLORED POP『JANIS -Love is like a Ball and Chain-』10/08-13タイニイアリス

 谷賢一さんが作・演出されるDULL-COLORED POP(ダル・カラード・ポップ)が、ジャニス・ジョップリンの最後の一ヶ月を描く、演劇とロックバンドが一体化した作品をタイニイアリスで上演中です。

 とにかくジャニス(武井翔子)の歌が凄い!前売り2000円+500円(1ドリンク)でこの歌が聴けるなら、かな~りお得です。ジャニス・ファンは必聴ですね。

 上演時間は約2時間15分(休憩なし)。全席自由で前方は背もたれはあるものの桟敷席ですので、お早めに劇場に到着されることをお薦めします。

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 ※予約前にタイムテーブルをよくご覧ください。Livehouse Dayは客席での飲食・喫煙OKという驚くべきステージです。タバコが苦手な方はどうぞご注意ください。私はその日を避けたのですが、それでも全身が燻された気分に・・・(苦笑)。

 レビューをアップしました(2008/10/12)。

 タイニイアリスの黒い素舞台にドラムとギター、ベースのバンドセットが鎮座し、客席上手にはバー・スペースがせり出しています。生演奏が多数あり、舞台奥の壁には歌詞の日本語訳が映写されます。これがとても良かった。歌に夢中になって読めない時もありましたが、それはそれで問題なし。

 ジャニスの生き様と歌(の歌詞)とをうまくつなげた脚本でした。生き(死に)急ぐ彼女の気持ちと、彼女を精一杯愛すからこそ一緒にはなれない周囲の人々。ジャニスが選んだ破滅の道はやはり魅力的だと、歌う姿を生で見ることで実感できました。

 上演時間が1時間30分ぐらいだったら、さらに良かったのにな~と思いました。瞬間を燃え尽きるように生き抜いたジャニスのように、評伝劇もあっという間だったらいいんじゃないかしら。再演があったら絶対行きたいですね。今度はお友達を連れて。またあの歌が聴きたい。

 私が持っているジャニスのCDはこの2枚。どちらかというと「Pearl」の方が好きです。

チープ・スリル
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ジャニス・ジョプリン
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Janis Joplin
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 ここからネタバレします。

 ジャニスとバンドメンバー(岡部雅彦、新戸崇史、千葉淳)以外に登場するのは、プロデューサーのポール(齋藤豊)、衣装デザイナーで親友のリンダ(堀奈津美)、フィアンセでヤクの売人のセス(中村祥)、女の恋人ペギー(桑島亜希)、ホテルのベルボーイ(清水那保)、そしてスタジオの近所にあるバーのマスター(影山慎二)です。

 セスと努力してうまく付き合っていたジャニスですが、アルバムの収録が進むにつれて2人の間の溝は深まっていき、セスはペギーと関係を持つようになります。最初はペギーのことを邪険に扱っていたジャニスですが、終盤では反対に自分が疎外されるようになりました。
 ベルボーイにたばこを買いに行かせ、ジャニスはそのお釣りを手にして死んでいたというのは切ない最期ですよね(死因はヘロインのオーバードーズ)。ジャニスの無様な寝顔(死に顔)を見て「路上にいる浮浪者にそっくりだ」とベルボーイがいじわるそうにつぶやきます。浮浪者についても冒頭でもジャニスが語っていましたので、最初と最後でループする構造になっています。うまく考えてあるな~と思いましたが、これも全体をコンパクトにすればもっと効果が出るんじゃないかしら。

 ジャニスがホテル(自室)のソファに座って、登場人物に囲まれながら“Ball and Chain”を歌い始めたのがとても良かったです。
 「Pearl」に収録されるはずだった最後の曲『Buried Alive in the Blues(生きながらブルースに葬られ)』をライブで聴けるのって、もしかしたら貴重なのかしら?胸に響く曲でした。歌詞も良かった。

第7回公演アリスフェスティバル'08参加作品
出演:武井翔子、清水那保、堀奈津美、岡部雅彦(ギター)、影山慎二、桑島亜希、齋藤豊、新戸崇史(ベース)、千葉淳(ドラム)、中村祥
作・演出: 谷賢一 / 舞台監督: 横川奈保子(Y's factory) / 照明: enjin-light 富所浩一/ 音響: 長谷川ふな蔵 / 音楽監督: 伊藤靖浩 / 編曲: 新戸崇史 / 衣裳: 中埜愛子 / 舞台美術: あの子(Upper Gold Reason Aroma) / 宣伝美術: 鮫島あゆ×堀奈津美(*rism) / 演出助手: 陶山浩乃、永岡一馬 / 制作: 吉水恭子(芝居や風雷紡) 鮫島あゆ&クレイジービーンズ
【発売日】2008/09/01 ☆前売: 2000円+1Drink ☆当日: 2500円+1Drink (※1Drink = 500 yen)
<割引>* 学割: 大学生500円引き、高校生以下1000円引き(前売・当日ともに。要証明証提示) * 初日割引: 10/8(水)に限り一律500円引き(学割との併用可) * リピーター割引: 二回目以降は一律1000円+1 Drink(要半券提示)
http://www.dcpop.org/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:50

新国立劇場オペラ『トゥーランドット』10/01-15新国立劇場オペラ劇場(オペラパレス)

 プッチーニのオペラ『トゥーランドット』は、プロスケーターの荒川静香さんが楽曲「誰も寝てはならぬ」を使用したことでも、最近はよく話題になっているようですね。私はストーリーも音楽も大好きなので数回観ています(関連レビュー⇒)。

 久しぶりのオペラ鑑賞でしたが、私には演出の意図が汲み取れず・・・。初心者向けではないと思いますね。トゥーランドット役のイレーネ・テオリンさんは素晴らしかった!

 ⇒CoRich舞台芸術!『トゥーランドット

 西洋の街のどこかでお祭りの催しとして「トゥーランドット」が上演されるという設定でした。いわゆる劇中劇のスタイルです。舞台の周囲をぐるりと囲むように大勢のコーラスが舞台上にいて、オペラの豪華さを味わえました。でも次第にその印象は変化しました。

 メインキャストが仮面を被って登場します。なぜ被るのか、なぜはずすのかがよくわかりませんでした。
 道化のアクロバットがクローズ・アップされており、数人がピン、ポン、パンとセットになって活躍します。だからピン、ポン、パンが誰なのか終盤になるまでわかりませんでした(涙)。ソロで歌う女官も誰が歌っているのかわからず。出し物を見物する民衆、もしくは脇役として、コーラスの人々がずーっと舞台上にいつづけるのは、物語を理解することの弊害になっていたのではないでしょうか。どこを見たらいいのかがよくわかりませんでした。
 
 カラフの狂気の愛、リューの命がけの献身、そしてトゥーランドットの改心といった劇的な要素そのものをたっぷり見せていただければ、それで充分以上だと個人的には思います。 

 トゥーランドット役のイレーネ・テオリンさんは、そこに居るだけで「女王」であることがわかる見事な佇まい。歌にも余裕が感じられました。リュー役は私が観た回については力不足だったように感じました。

 ここからネタバレします。

 幕開けはなんと5分間の無言劇でした。移動遊園地のようなセットで、綿菓子、アイスクリーム、駄菓子の屋台が並び、人々がお祭りを楽しんでいる演技を続けます。こんなのは(私は)オペラでは初めて!序曲が始まったときは興奮で鳥肌が立ちましたね。黒、灰色などのモノトーンから赤、黄色を基調とした中国風の明るい色彩にあっという間に変化したのもかっこ良かった。

 “TURANDOT”の文字が塗られた豪華な山車が登場して、カーニバルの見世物としての歌劇が始まった時はなるほどと思いましたが、劇中劇として「トゥーランドット」を表現することで、世界がある箱の中に小さく収まってしまいました。装置がそのまま終幕まで進んでしまったのも物足りなかったです。でもそれも演出意図だったのでしょう。

 新国立劇場eメールClubからのメールによると「幻想的な物語の世界と、プッチーニ自身の人生がオーバーラップするブロックハウスの斬新な演出に注目です!」とのこと。ヨーロッパで上演されるなら観客もすっかり成熟していることでしょうし、オーソドックスな上演はもう飽きられているかもしれませんから、問題なく受け入れられるのかもしれませんね(予想に過ぎませんが)。
 こういうライブ映像(2008/10/14まで)を観る限りでも、日本との違いを身にしみて感じます。悲観的な気持ちは全くないですが、駅での無料ライブ・オペラを上品に楽しめるような状況は東京にはない気がします。

新国立劇場2008/2009シーズンオープニング作品“TURANDOT”
出演:【トゥーランドット】イレーネ・テオリン 【カラフ】ヴァルテル・フラッカーロ 【リュー】浜田理恵 【ティムール】妻屋秀和 【アルトゥム皇帝】五郎部俊朗 【ピン】萩原潤 【パン】経種廉彦 【ポン】小貫岩夫 【官使】青山貴 【クラウン】ジーン・メニング 【合唱】新国立劇場合唱団 【児童合唱】NHK東京児童合唱団 【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【作曲】ジャコモ・プッチーニ ※フランコ・アルファーノが補筆【台本】ジュゼッペ・アダーミ&レナート・シモーニ【指揮】アントネッロ・アッレマンディ【演出】ヘニング・ブロックハウス【美術・衣裳】エツィオ・トフォルッティ【照明】ヘニング・ブロックハウス【舞台監督】大澤裕【芸術監督】若杉弘【演出助手】田尾下哲 ほか
S席26,250円 A席21,000円 B席14,700円 C席8,400円 D席5,250円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000054_opera.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:24 | TrackBack

【演劇教育】NPO法人フリンジシアタープロジェクト「環境警察2208 in 東京」10/15-19参加者募集中!(小・中学生)

 小・中学生向けの演劇ワークショップのご案内です。地球の環境をテーマに子供たちが演劇創作をします。講師は京都の劇団衛星の方々。「演劇で学ぼう!」は日本全国で実施されてきた企画です(⇒演劇で学ぼうとは)。

 「環境警察2208」は参加者が23世紀の“環境警察”の一員となって、200年前(つまり21世紀現在)の地球のことを考えるという設定です。子供たちがその場で創作するので、ストーリーも結末も地域によって変わってくるのでしょうね。面白そう!
 10/19(日)の発表公演「環境警察2208」と、その後に開催されるシンポジウムには私も伺いたいと思っています。

■北とぴあ演劇祭2008参加企画「環境警察2208 in 東京」(公式サイトより)

会場:王子小劇場
講師:劇団衛星 ほか

日程:10月15日(水)17:30~20:30
      16日(木)17:30~20:30
      18日(土)10:00~13:00
      19日(日)11:00~ リハーサル
            13:00~ 発表公演「環境警察2208」
            14:00~ まとめ会&シンポジウム
            15:30解散予定

3日間のワークショップで、劇団員とともに環境問題をテーマにしたお芝居を作成します。
対象:小学・中学生 定員:30名 参加費:無料

只今、参加者募集中!
発表公演も入場無料!こどもたちの演技をぜひ観に来てください!

10月19日13時~『発表公演「環境警察2208」』
会場:王子小劇場

※発表会終了後、シンポジウムを開催します。
「環境教育におけるコミュニケーションティーチングについて」
シンポジウムスピーカー:蓮行氏(劇団衛星代表)
  蓮池奈緒子氏(NPO法人アートネットワーク・ジャパン)
  藤川大祐氏(千葉大学教育学部教授)

主催:NPO法人フリンジシアタープロジェクト
協力:劇団衛星 きたく子ども劇場
助成:独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金

お問合:NPO法人フリンジシアタープロジェクト
TEL・FAX:075-724-6502 Mail:info(アットマーク)fringe-tp.net

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 11:21 | TrackBack