2009年06月26日
ヨーロッパ企画『ボス・イン・ザ・スカイ』06/17-28青山円形劇場
ヨーロッパ企画は上田誠さんが作・演出を手がける京都の劇団です。東京公演は、新作をひっさげて国内6箇所をめぐるツアーの最終地。
ヨーロッパ企画に会いたくて劇場に足を運んだら、いつものヨーロッパ企画が、いつものゆるくて温かい空気で、青山円形劇場を満たしてくれていました。ヨーロッパ企画があることに、感謝。
今年の冬は映画「曲がれ!スプーン」の公開(11/21より)に合わせて、同タイトル作品のツアーがあります!
⇒CoRich舞台芸術!『ボス・イン・ザ・スカイ』
≪あらすじ≫
ドラゴン退治という重大な任務を負う光の戦士たちは、今日も山奥で業務に励んでいた。そこにファンらしき1人の少女がやってくる。久しぶりのファンの来訪に沸き立つ戦士たち。しかし彼女の目的は違うものだった。それは・・・。
≪ここまで≫
客席が360℃ぐるりと囲む、完全円形の舞台です。なにやら古い塔らしきものがそびえ、てっぺんにはドラゴンの体がうねうねとからまっています。
苦労して集めたクリスタルを使って、ドラゴンを異界へと転送するのが戦士たちの仕事。でもイレギュラーなことが起こって、しばらく現場で野営することになります。そこからどんどんとスケールの小さな話になっていきます。「ドラゴン関係ないじゃん!」って言いたくなるぐらいに(笑)。
いわゆるボケつっこみでも笑わせてくれますし、こまごました小ネタもこだわりが感じられて楽しいです。やっぱり劇団ならではの呼吸というか、独特のコミュニケーションの密度が心地いいんですよね。
今回は劇中に流れた音楽がどれもとても素敵でした。サウンドトラックCDも発売されていた気がします。
ここからネタバレします。
少女はライブ・イベント"Howling Hills"に行きたかったんですね。例えばフジロックのような夏ならではの音楽祭に。
戦士たちは最初にフェスのことを馬鹿にしたものだから、「やっぱり自分もフェスに行ってみたい」とは言えなくなります。それでもどうにかして、仲間には内緒でフェスに行こうと、それぞれにジタバタもがく姿が滑稽で、笑いを誘います。
ラストシーンは真っ暗に暗転する中で、フェスのチケットである蓄光リストバンドが全員の手元に光っているというオチ。可愛かったな~。
ヨーロッパ企画第27公演 ≪滋賀、京都、広島、福岡、兵庫、東京≫
出演:石田剛太 酒井善史 諏訪雅 角田貴志 土佐和成 中川晴樹 永野宗典 西村直子 本多力 山脇唯
脚本・演出=上田誠 音楽=伊藤忠之 美術=長田佳代子 照明= 葛西健一 (Gekken Staffroom) 音響=宮田充規 (GEKKEN staff room) 衣装=中嶋佑一(artburt) 舞台監督= 筒井昭善×大鹿展明 宣伝美術=井上能之 宣伝写真=清水俊洋 制作= 井神拓也・諏訪雅・本多力・吉田和睦・吉永祐子 WEB=樫木由子・柏敏行・片岡二郎・中路まり絵 協力=REENAL by resona bank、Gekken Staffroom 京都芸術センター制作支援事業 企画・製作=ヨーロッパ企画/株式会社オポス
【休演日】6/23(火) 【発売日】2009/04/04 前売3,500円/当日3,800円
http://www.europe-kikaku.com/projects/e27/main.htm
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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さいたまゴールド・シアター『アンドゥ家の一夜』06/18-07/01彩の国さいたま芸術劇場小ホール

劇場前のポスター
蜷川幸雄さんが演出を手がける、平均年齢70歳(!)の劇団さいたまゴールド・シアターの新作です。現在、団員数は42名。『95kgと97kgのあいだ』を観て大ファンになってしまいました。
脚本を手がけるのは、端から見ていてあまりに多忙そうなゆえ、勝手に「初日の幕は開くのかしら・・・」と心配になってしまう、ケラリーノ・サンドロヴィッチさん。でも初日は無事に開いたようで、私は4ステージ目に伺いました。上演時間は約3時間20分(休憩15分を含む)。
劇場内でさいたまゴールド・シアターの写真展も開催中です。とっても良かった~。
⇒CoRich舞台芸術!『アンドゥ家の一夜』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
彼らが50年ぶりの再会を果たしたのは、学生時代の恩師、安藤の危篤の報せを受け取ったからだ。そこはポルトガルに建つ安藤先生の豪邸。隣家の老夫婦は「アンドウ」が発音しにくいのか、「アンドゥ」と呼ぶ。やがて「最期の瞬間」に立ち合うべく集まる、アンドゥの人生を彩ったたくさんの人々。あたかも全員が揃うのを待つかのように続く、アンドゥの小康状態――――
人生の終焉を目前にした男と、彼をとりまく人々を独自の視点で見つめ、この世の不条理と、人間の愚かさ、逞しさをユーモラスに描く、ケラリーノ・サンドロヴィッチ渾身のブラック・ファンタジィ。
≪ここまで≫
40人強の年配の役者さんが皆で一緒に歩くのを見るだけで、またもや涙がぼろぼろとこぼれてきてしまいました。皆さんそれぞれの体に、人生そのものがにじみ出ているように感じます。
若かりし頃の(50年前!?)の恋とか、現在進行形の不倫とか、もう、煩悩ばっかり!(笑)。ケラさんならではのすっとぼけた、もしくは、毒の効いた笑いもいっぱいで、何度か大笑いしました。ただ、さすがに3時間20分は長かったかも。
ちょこっとネタバレします。読んでから観に行っても問題ないと思います。
会場に入ると、豪華な装置の上にすでに大勢の年配の役者さんが!中には黒いTシャツにズボンの若いスタッフさんもいるようです。なんと蜷川さんもいらっしゃる!手に台本を持っている方も多く、開場時間に皆さんで台本確認中??・・・あぁ、楽しすぎる。これだけでも埼玉まで来て良かったと思いました。チケット代3000円は格安です。
さいたまゴールド・シアター、ヤン・ファーブル、コンドルズというラインアップ↓ なんて豪華な!
ここからネタバレします。
蜷川さんがプロンプをやられるなんて、想像だにしませんでした(笑)。しかも通路の階段に座っているなんて!よく見たら、すべて(?)の通路にスタッフさんが台本を持って座っているのです。3方をぐるりと客席が囲む舞台なので、どの方向からもプロンプができるようになっているんですね。
水色の玉が黒子の釣竿にひっぱられて動く、アナログな演出がツボ(笑)。最後はその玉が光って宙を舞います。またじんわりと涙してしまった。
さいたまゴールド・シアター第3回公演
出演:さいたまゴールド・シアター(中野富吉/益田ひろ子/田内一子/小川喬也/髙橋清/佐藤禮子/ちの弘子/倉澤誠一/遠山陽一/葛西弘/宅嶋渓/大串三和子/加藤素子/寺村耀子/石井菖子/小渕光世/吉久智恵子/竹居正武/美坂公子/北海雅章/田村律子/関根敏博/宇畑稔/林田恵子/小林允子/徳納敬子/石川佳代/滝沢多江/宮田道代/重本惠津子/森下竜一/竹居正武/神尾冨美子/高田誠治郎/中村絹江/小林博/百元夏繪/谷川美枝/都村敏子/上村正子/渡邉杏奴/西尾嘉十)
脚本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出:蜷川幸雄 演出補:井上尊晶 美術:中越司 照明:岩品武顕 衣裳:小峰リリー 音響:市川悟 振付:広崎うらん 演出助手:藤田俊太郎 舞台監督:山田潤一 宣伝イラスト:山本容子 宣伝美術:坂村健次(C2design) 制作統括:渡辺弘 武井裕之 技術統括:山海隆弘 営業宣伝:藤田努 鶴貝典久 小林辰郎 瀧澤晶子 票券:鈴木勇一 松井哲 制作助手:三浦紗奈弓 インターン:岩山有子 岡島裕紀 設楽咲紀 制作:松野創 高木達也 田中謙介 主催・企画・製作:財団法人埼玉県芸術文化振興財団
【発売日】2009/04/18 一般:3,000円 メンバーズ:2,700円
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/p0618.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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