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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2010年03月24日

俳優座劇場プロデュース『兵器のある風景』03/14-22俳優座劇場

 坂手洋二さんが英国戯曲を演出されました。豪華キャストの四人芝居で、お話にも興味がわいたので伺いました。俳優座劇場プロデュースの公演は、豪華なパンフレットも無料配布していただけるので嬉しいです。上演時間は約2時間45分(途中休憩1回を含む)。

 役者さんの緻密に作り上げられた演技も、美術、衣裳も贅沢でした。大人のシックな観劇をさせていただきました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『兵器のある風景

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 最先端の科学技術が世界各国の政府や軍需産業によって殺戮兵器の開発に応用され、商品として取引される―。
 いまなお、多くの国々が局地戦争を繰り返し、「平和のための抑止力」という名目のもと、軍事テクノロジーの研究開発を推進している。<平和のために>政府プロジェクトの一員となった航空技術エンジニアの葛藤を描くドラマ。ぜひご期待ください。
 ≪ここまで≫

 兵器とは人殺しの道具。それを作ることを仕事にするとは、どういう意味なのか。
 自分でつくったモノが自分から離れて(無理やり切り離されて)いくことについて。でも自分がそのモノを作ったという事実からは、決して逃れられないことについて。

 壁や家具の作りが細かいので、パっと見ると具象美術のようですが、実は空間全体でストーリーの色合いを大きく変えるような、抽象的な役割も果たしていました。休憩を挟んで後半が始まると、装置がガラリと変化していて感激。衣裳は現代服で、材質や型で登場人物の性格や背景を鮮やかにあらわしており、プロのスタッフワークを堪能しました。

 ここからネタバレします。

 脚本の面白さは伝わってきましたが、荻野目慶子さんの演技が形式ばったものに見えて、作品の中にぐっと入り込むことはできず・・・。荻野目さんというと、私にとっては『業音』の印象があまりに強く残っているせいかもしれません。

 浅野雅博さん演じる組織側の人間の冷徹さ。細くて形のいい黒色のパンツ(ズボン)が性格をよく表していると思いました。とてもシャープ。

 抑止力としての最新兵器なんて詭弁ですよね。
 大きな組織を前にした、たった1人の人間の力の、なんと弱いことか。

俳優座劇場プロデュースNo.83
出演:大西孝洋 中嶋しゅう 荻野目慶子 浅野雅博
脚本:ジョー・ペンホール 演出:坂手洋二 美術:島次郎 照明:小笠原純 音響:小山田昭 衣裳:前田文子 音楽:大友良英 舞台監督:泉泰至 演出助手:宮越洋子 舞台監督助手:上村利幸/丹下由紀/原田恵子/廻博之 美術助:松村あや 照明操作:ファクター 木下尚己 音響操作:音映 木内拓 大道具:俳優座劇場舞台美術部 森島靖明 小道具:高津映画装飾 中村エリト 衣裳:東京衣裳 小川和美 ヘアメイク協力:西川直子 履物:神田屋 宣伝美術:勝木雄二 企画制作:俳優座劇場
【発売日】2010/02/08 一般5600円 ハーフチケット(15日・16日)2800円=グリーンチケット2800円(俳優座劇場のみ扱い)
http://www.haiyuzagekijou.co.jp/produce/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年03月24日 17:03 | TrackBack (0)