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2010年08月26日

彩の国さいたま芸術劇場『彩の国ファミリーシアター「音楽劇 ガラスの仮面~二人のヘレン~」』08/11-27彩の国さいたま芸術劇場大ホール

 彩の国さいたま芸術劇場が“彩の国ファミリーシアター”と銘打って製作する『音楽劇 ガラスの仮面』の第2弾です。稽古場レポート演出家インタビューを書かせていただきました。

 もの凄いボリュームの作品でした・・・!!普通の芝居2本分以上?!前売り6000円は安いと思います。上演時間は約3時間(途中休憩1回およびカーテンコール含む)。さいたま公演は明日まで。大阪公演あり!

  ⇒公演公式サイト ⇒公演公式ツイッター
  ⇒げきぴあ「蜷川演出版『ガラスの仮面』稽古場より
  ⇒CoRich舞台芸術!『音楽劇 ガラスの仮面~二人のヘレン

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 全日本演劇コンクールで敗退し、解散が決定した劇団つきかげ。しかし、北島マヤ(大和田美帆)の演劇への情熱は募るばかりで、マヤに想いを寄せる桜小路優(細田よしひこ)も驚くほど。マヤは月影千草(夏木マリ)のもとでレッスンに励む一方、さまざまな劇場へ足を運び、出演の機会をうかがっている。そんな中、大都芸能の速水真澄(新納慎也)の思惑もあり、急遽、代役として舞台に立つマヤ。しかし、月影はそのことを咎め、マヤに『奇跡の人』のオーディションに合格しなかった場合は破門だと伝える。熾烈を極めるオーディションを勝ち残ったのはマヤと亜弓(奥村佳恵)。2人は、亜弓の母・歌子(香寿たつき)を相手役に、ダブルキャストで『奇跡の人』の上演に臨むことになる。宿命のライバルであるマヤと亜弓の対決の行方は-!?
 ≪ここまで≫

 今年も開演前のバックステージツアーに参加しました。なんと舞台上を歩きますので、舞台袖に待機する装置や黒装束のスタッフさんたちと同じ高さで会えるんです。幕開けから演劇、そして劇場への熱い愛情を受け取って、感激して席に着きました。

 メインである『奇跡の人』のエピソードが始まる前に、マヤと亜弓が出演するさまざまな舞台がダイジェストで上演されます。ちゃんと原作に沿った流れなのがまた嬉しい!時代劇、古典、童話、恋愛ドラマなど、演劇のジャンルの広さ、可能性を一気に見せつけられて、前半だけで豪華絢爛かつ贅沢すぎて、気持ちよく全身が疲労しました(笑)。

 後半では舞台『奇跡の人』のオーディションに向けた稽古、オーディション、本稽古、そして本番が描かれます。ある舞台が生まれて世に出るまでを、観客が作り手とともに体験できるのです。『奇跡の人』はそもそも名作なので、上演を観るだけで感動するのですが、それに全身で挑む役者や、彼らを支えるスタッフのチームワークも同時に描かれて、何重にも感動してしまいました。次から次に注ぎ込まれ、あふれでる演劇愛にボロ泣き。

 公演パンフレットのインタビューで蜷川さんがおっしゃっていたとおり、マヤと亜弓の成長物語は、そのまま大和田美帆さんと奥村佳恵さんの実際の成長と重なっていました。大和田さんの演技には感情と身体とがぴったり一致する瞬間が何度もあって、その度にぐさりと胸に刺さるような感動があり、何度も涙してしまいました。奥村さんはバレエで鍛えたさすがの身体能力で、踊る場面の美しさ、存在感は圧倒的。特にある場面(後述)では、あまりの変貌振りに唖然!目にはギラギラとした闘争心がみなぎっており、静かな立ち姿に迫力があります。歌がすごく上達されていて、彼女が歌う度にどきどきしました。

 ここからネタバレします。

 舞台上下両側に設置された電工掲示板には、文字だけでなく絵もカラーで出るんです。戯曲の解説に加えて、原作漫画で実際にあった公演ビジュアル(美内すずえさんのイラスト)も表示されました。「嵐が丘」「王子と乞食」「石の微笑」・・・漫画と舞台の世界が重なって超感激!!
 亜弓(奥村)がシェイクスピア「テンペスト」の化け物を演じる場面が凄かった!「『NINAGAWAテンペスト』に姫川亜弓が、つまり奥村佳恵が出てるっ!!」と興奮しました。

 今回の演劇的演出の目玉は「フライング」。大和田さんは元気いっぱい、晴れやかな表情でホリプロ「ピーター・パン」そのもの!奥村さんは「飛ぶ」ことを体で味わって、驚きや不安、気持ちよさ、嬉しさをそのまま表情に出して演技をされていて、とても可愛らしかったです。

 バックステージツアーでフライング要員のスタッフさんについての解説があったので、オープニングで紅天女が飛んだ時、「このひもは舞台上手にいるあの2人のスタッフさんが自分の力で引っ張ってるんだ」とわかって、感動して涙が出てしまいました。実際、上手袖で黒いひもを引くスタッフは、客席から見えていたんです(そういう演出なんですね)。だからラストのマヤと亜弓のフライングシーンも、スタッフとキャストが息を合わせて作っているんだと感じながら観ていました。
 私が一番好きだったのは『奇跡の人』の稽古場のシーンです。ヘレンがぶつかるドアをスタッフが数人がかりで支えていたり、2人が顔を殴りあう音をスタッフが拍子木で出していたり。私がお邪魔した時の稽古場の雰囲気が再現されていました。

 夏木マリさん演じる月影先生の成りきりっぷりの凄まじさは、もうこのシリーズの名物と化している感があります(笑)。客席通路を歩かれたときに髪とメイクをじーーーっくり見させて頂いたんですが、ウィッグに緑色が混ざってるんですね!左目のアイメイク(右目は隠れています)は特につけまつげが漫画のそのもの!ただ、演技や歌については月影千草より夏木マリが前面に出てるように感じることもあり、そこは違和感がありました。
 劇団一角獣のリーダーを演じる黒木マリナさんは、踊って歌える上にルックスも可愛らしくて、今回も素敵でした。

出演:大和田美帆 奥村佳恵 ・ 細田よしひこ 新納慎也 原康義 月川悠貴 岡田正 黒木マリナ 立石凉子 香寿たつき ・ 夏木マリ
花山佳子 妹尾正文 飯田邦博 難波真奈美 新川將人 井面猛志 篠原正志 佐野あい 福田潔 澤魁士 沓沢周一郎 町田正明 多岐川装子 池島優 遠藤瑠美子 森野温子 宮田幸輝 川畑一志 江間みずき 西村篤 周本えりか 隼太 土井睦月子 露敏 深谷美歩 齋藤美穂 横山大地
原作:美内すずえ 脚本:青木豪 演出:蜷川幸雄 音楽:寺嶋民哉 美術:中越司 照明:室伏生大 衣裳:宮本宣子 音響:井上正弘 音楽監督:池上知嘉子 振付:広崎うらん ヘアメイク:佐藤裕子 歌唱指導:泉忠道 演出補:石丸さち子 井上尊晶 演出助手:藤田俊太郎 舞台監督:白石英輔 宣伝美術:阿部剛(Seagull) 写真:大原狩行 宮川舞子 主催・企画・製作:日本テレビ・財団法人埼玉県芸術文化振興財団 協力:白泉社 後援:さいたま市教育委員会 株式会社FM NACK5
一般:S席6,000円、A席4,000円 メンバーズ:S席5,400円、A席3,600円 未就学児童は入場不可。
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p0811.html
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/glass/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年08月26日 11:31 | TrackBack (0)