2010年09月07日
範宙遊泳『東京アメリカ』09/02-07 STスポット
範宙遊泳(はんちゅうゆうえい)は山本卓卓(やまもと・すぐる)さんが作・演出される劇団です。山本さんは桜美林大学出身で、出演者も同大学の方が多いようです。私は初見。
チケットがお面になってまして、受付で被って観劇するように言われます。上演中は被ってる人も被ってない人もいましたが、それはそれで観客をうまく作品世界に組み込む仕掛けになっていました。
背もたれのない席での約1時間35分でしたが、最後まで面白く拝見しました。
【受付でいただくお面型チケット↓。ちゃんと立体になっています。】
⇒徳永京子さんのツイート 1、2、3、4、5
⇒CoRich舞台芸術!『東京アメリカ』
≪あらすじ・作品紹介≫ 劇場公式サイトより
東京都世田谷区船橋3丁目に家族がいる。
家族は演出されている。
家族が演出されているのを、演出する人がいる。
郷土物語宣言第一弾「山梨」につづいて第二弾は「東京」と「アメリカ」の、新作2本だて
「東京」と「アメリカ」を舞台に「演劇」をプレゼンする!
≪ここまで≫
STスポットの中央に丸い演技スペース(土俵のような形状)があり、客席が2方向からその周囲を囲みます。劇場の四方の壁全体をポップに装飾していますので、客席も舞台上にあるような空間です。
ある小劇場公演のための稽古風景を劇中劇の構成で見せて、演劇創作現場の愚かさ、面白さをデフォルメして表現。結果的には山本さんが考える“演劇の魅力”が伝わるような、野心的な作品だったように思います。
役者さんは基本的に激しい動きをしますし、歌って踊ります。セリフの話し方のバリエーションも豊富で、役者さんそれぞれの実力を、振り切れんばかりに出し尽くそうとしているよう見えました。桜美林大学出身の演出家(例えば柿喰う客や田上パル、マームとジプシーなど)は、役者さんに重い負荷をかけるタイプの方が多い気がします。
出演者に知り合いがいたのでその方に聞いてみたところ、「演劇のクラスでもコンテンポラリー・ダンスの授業があって、ちゃんと踊れるダンサーが常にそばにいるから、その影響が大きいのではないか」とおっしゃっていました。
埜本幸良さんが終演後に「ラストエンペラー埜本」という一人芝居を披露。面白かった~(苦笑)。
この作品でも役者さん(埜本さん)が自分をさらすことを前提にして、体を使って表現していました。
出演:熊川ふみ、埜本幸良、浅川千絵、北尾亘、佐賀モトキ、高木健(タイタニックゴジラ)、竹中香子、田中美希恵(贅沢な妥協策)、福原冠(国道五十八号戦線)、緑茶麻悠(ochazukewemens)、加藤サイセイ
脚本・演出:山本卓卓 舞台監督:桜井健太郎 舞台監督助手:久保田智也 舞台美術:たかくらかずき 照明:山内祐太 音響:高橋真衣 衣裳:天神綾子 演出助手:菅原和恵 宣伝美術:たかくらかずき 制作協力:時澤香保里 清水美峰子(劇団銀石) 三輪塁 企画・製作:範宙遊泳
【発売日】2010/08/02 前売2300円、当日2500円
*9月2日19時30分 初日割引 前売・当日2000円 *9月4日18時 土曜の夜にご来場感謝毎度お馴染みサタデーナイト割引 前売・当日1800円
http://hanchuyuei.web.fc2.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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こゆび侍『Sea on a Spoon』09/01-05王子小劇場
こゆび侍は成島秀和さんが作・演出される劇団です。成島さんは劇団外でもお仕事をされていますし、看板女優の佐藤みゆきさんも他劇団で大活躍なので、ずーっと気になっていました。「佐藤佐吉演劇祭2010」参加作品ということで、やっと初見。⇒記者会見
原発のある町が舞台のストレート・プレイで、ダーク・ファンタジーの要素もあり。想像していたよりも正統派のお芝居でした。役者さんが登場人物の背景をきちんと伝える丁寧な演技で、作品世界のリアリティをしっかり支えていたように思います。
終演後に成島さんにお話を伺ったところ、本読みだけで1ヵ月以上お稽古されたそうです。やはり詳細まで詰めた演技がものを言うんですよね。次回公演もぜひ観たいと思います。
⇒CoRich舞台芸術!『Sea on a Spoon』
レビューは記録のみ。
≪あらすじ≫ 公式サイトより
女は一族を率いて、史上の幸福があるという最果ての地を目指した。
やがてたどり着いたその場所は、広大な海原で、
人々は狂気の表情を浮かべながら溶けていった--------。
唯一の生き残りとなった女の、生と死と贖罪の物語。
≪ここまで≫
原発職員(体が大きい方)を演じた飯田一期さんから目が離せませんでした。庭劇団ペニノにもよく出演されていますよね。
佐藤佐吉演劇祭2010参加作品 第9回本公演
出演:廣瀬友美 佐藤みゆき 加藤律 福島崇之(以上、こゆび侍) 飯田一期 工藤史子 桑原環七(シンクロ少女) 佐伯佳奈杷
根津弥生 堀奈津美(DULL-COLORD POP) 吉田慎之介
作・演出:成島秀和 舞台監督:橋本慶之 照明:兼子慎平(LaSens) 音響:ミ世六メノ道理(猫道節/バナナ学園純情乙女組) 音楽:松田幹 美術:稲田美智子 小道具:辻本直樹(Nichecraft)/横尾宏美 宣伝美術:オカヤイヅミ/河野文明 制作:塩田友克 演出助手:阿部征暢(ゲンジツパビリオン企画) 池田靖浩(拘束ピエロ/たすいち) 脚本協力:セリザワケイコ 写真撮影:安達聡 映像撮影:関肇伸 澤本浩之
【発売日】2010/07/10 前売料金 2800円 当日 3000円 平日昼割引(予約のみ) 2500円 中高生料金 2000円 シルバー料金 2500円
http://koyubi.chips.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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ミームの心臓『ヴィジョン』09/01-06神楽坂die pratze
酒井一途さんが作・演出される劇団ミームの心臓の旗揚げ公演です。酒井さんは現役の大学一年生。谷賢一さんの演出助手をされていた関係で昨年初めてお会いしました。
大学に入学してすぐに劇団を旗揚げされるとのことで観に行きましたが、私が前回公演で素敵だなと思っていた酒井さんならではの純粋さ、清潔感といった個性が、今作については出ていなかったように思います。アングラ演劇のような作風で苦手でした。上演時間は約1時間50分。
⇒CoRich舞台芸術!『ヴィジョン』
レビューは記録のみ。
公演終了後に酒井さんやその他の知人の方々とゆっくりお話をしたのですが、「やはり演劇は何年も続けていかないと自分の作りたいものにはたどりつけないよね」という話になり(当たり前のことですが)、酒井さんがもしこの道を進もうと思われるのならば、とりあえず本気で5年続けてみれば、何か見えるんじゃないかと思いました。私自身、観劇感想をネット上に書き始めて5年ほど経った時に、他のサイトから執筆依頼が届いたりするようになりました。「石の上にも3年」と言いますが、私個人としては、5年がひとつの目安なんじゃないかなと思います。
【チラシ等に掲載された酒井一途さんについての紹介文】
これからあなたは輝かしい成功とこっぴどい挫折を繰り返し、世の中の汚れと悲しみにまみれ、絶望に打ちひしがれることでしょう。それでもあなたの中でしぶとく生き残った純粋な心、すなわち信じる力が、暗闇の奥底から立ち現れて一筋の光を放つような、そんな作品をいつか観せてもらいたいと思っています。持ち前の清潔感と品の良さを武器に、したたかに闘ってください。
高野しのぶ(現代演劇ウォッチャー/「しのぶの演劇レビュー」主宰)
参考→1、2
出演:令奈 / 中田暁良 / 小池惟紀 / 有吉宣人 / 手塚剛 / 毛利悟巳 / 深谷心(月猿人)
作・演出:酒井一途 / 舞台監督:いけだとも実(くろひげ) / 照明:松本大介(engin-light) 衣裳:中埜愛子 /音響:佐藤大志 村上一歩/ 美術:高木昌宏 / 宣伝美術:KOTA OZAWA/ 広報:宮下創太、内田駿、石井麻衣子 宣伝写真:(表面)奥山由之 (裏面)田中雄一朗(遺伝子組換えでない) HP:田中博巳(TETRA FILM STUDIO) / 制作:横井貴子 坂下和歌子/ 企画・製作:ミームの心臓
【発売日】2010/07/17 1日(水)-3日(金) 前売・当日:1500円 4日(土)-6日(月) 前売・当日:2000円 学生割引:前売に限り500円引(受付にて要証明)
http://www.heart-meme.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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