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しのぶの演劇レビュー
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2010年10月22日

【情報】「フェスティバル/トーキョー10」いよいよ開幕!

 昨年2度開催されたF/T09春、F/T09秋に続いて、「フェスティバル/トーキョー10」(F/T10)が10月30日(土)よりとうとう開幕します!

 「フェスティバル/トーキョー」は日本および世界の先鋭作品が東京に集まる、舞台芸術の祭典です。
 メルマガで毎月ご紹介してきましたが(⇒)、お得なチケットがまだ買えるようです!1本観たらまた1本観たくなるのがF/T。ぜひお早めにご予約を!⇒チケット情報(会員登録必須)

 ★“全部見る!【F/Tパス】”“大勢で観る!【グループチケット】”の販売は10月23日(土)19:00で終了。
 ★“選んで観る!【F/T3・5演目セット】”は11月3日(水・祝)までの発売。

 【写真左から:相模友士郎、松田正隆、高山明、ロジェ・ベルナット、黒田育世、三浦基、前田司郎、飴屋法水】(8月の記者発表にて・敬称略)
FT10_artists.JPG

 8月の記者発表で、フェスティバル・ディレクターの相馬千秋さんがF/T10の基本コンセプト、そして新しい企画などについてお話しされました。

FT10_soma.JPG

相馬千秋さん

■キャッチフレーズは“演劇を脱ぐ”
 相馬「フェスティバル/トーキョーは同時代の先駆的的な表現(表現者)に世界中から集まっていただき、それらがぶつかりあって、新しい価値を創造する場。演劇というメディアが持っている今日的な可能性とは何なのかを追求していきたいと思っています。
 既存の演劇のさまざま要素、たとえば物語、戯曲、俳優の存在、舞台と客席などを1部でも脱ぎ捨てることによって、ある実験に挑戦している作品をご紹介します。観客と舞台の関係性、上演の形式、場所や時間をふくめて、既存の枠組みに決して安住しない実験的な試みの数々が展開されていくでしょう。『これって演劇?』と観客が疑問に思ってしまうようなものも出てくるかと思います。そういう好奇心と疑いのはざまで、観客自身がこの試みの目撃者となって、時には共犯者の関係になって向き合っていただきたいです。」

≪しのぶよりコメント≫
 BATIK主宰、ダンサー、振付家の黒田育世さんにインタビューさせていただきました。掲載媒体はまた改めてご報告いたします。黒田さんのダンスは観るだけでは済まない、刺激的な体験です。

 ◎『あかりのともるかがみのくず』⇒詳細
  11月9日(火)-15日(月)@にしすがも創造舎
  構成・演出・振付:黒田育世
  上演時間:2時間30分(予定)


■F/Tシンポジウム(計4回)&F/Tテアトロテーク(上映予定作品 計9本)
 相馬「個々の演目の上演に加え、観る側が自分たちの問題としてとらえ、議論していく場を設けたい。それがパラレルに存在するのがフェスティバルのあるべき姿だろうと考え、対話の場、批評の場を作りました。今日の日本演劇を社会に対して、未来に対して開いていくための問題提起をしていきます。またF/T内部に批評の場を作っていくために、これまでに引き続き劇評の公募も行います。今日の演劇が歴史軸のなか、あるいは世界の流れの中で今どういう地点にあるのか、ここからどこに向かうのかを確認しながら、オープンかつ生産的な議論をしていきたい。」

≪しのぶよりコメント≫
 シンポジウムはパネリストに惹かれて「テーマ3」を拝聴したいなと思っています。テアトロテークは観たいものが多くてまだ悩み中(汗)。できれば専門家の解説がある回に行きたいですね。

 ◎テーマ3:日本・現代・演劇を問い直す ⇒詳細
  11月12日(金) 19:00-21:00@あうるすぽっと
  パネリスト:佐々木敦 飴屋法水 市村作知雄 黒瀬陽平
  司会:内野儀(演劇批評家)


■公募プログラム
 相馬「前回および前々回は“演劇大学”という企画で、大学内の若いアーティストの作品をご紹介しましたが、今回は若手の劇団がF/Tに主体的に参加できることを考え、公募プログラムを新設しました。F/Tが若手劇団の自主公演をサポートする形をとっています。具体的には劇場費の減額、制作と広報の支援、そして批評家およびプロデューサーに作品を鑑賞していただき、そのフィードバックをしてもらうなどです。
 全国各地から80団体の応募があり、書類選考とヒアリングを経て8団体が選ばれました。来年度以降は、応募対象をアジアに拡大します。ゆくゆくはアジアの若いクリエイターがF/Tを目指すような、舞台芸術のプラットフォームに成長させていきたいです。」

≪しのぶよりコメント≫
 気になっていたけどまだ観ていなかった団体や、聞いたことのない団体などを、F/Tの尺度で選んでご紹介いただけるのがありがたいです。
 憲法の原文そのままをテキストとして使用するという『日本国憲法』『自殺対策基本法』が気になります。スタンディング形式で¥1,000だし!(笑)

 ◎『日本国憲法』『自殺対策基本法』交互上演 ⇒詳細
  11月16日(火)-20日(土)@自由学園明日館 講堂
  演出:小嶋一郎
  前売・当日¥1,000 スタンディング形式


 ★F/T09春とF/T09秋の成果をまとめたドキュメントは「フェスティバル/トーキョー09ドキュメント」という冊子になっています。日本語と英語併記で舞台写真もわんさか!充実の内容です♪
FT09documents.JPG

フェスティバル/トーキョー09ドキュメント
フェスティバル/トーキョー実行委員会事務局
フェスティバル/トーキョー実行委員会
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※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 18:05 | TrackBack

冨士山アネット『SWAN』10/21-24シアタートラム

 冨士山アネットは長谷川寧さんが振付、演出(出演も)される団体です。パっと見はダンスなんですが、長谷川さんは演劇の脚本を書いて、それをもとに振付をされているので、演劇でもあるんですよね。
 ピナ・バウシュの作品が「タンツテアター(演劇的ダンス)」だとすると、冨士山アネットは「テアタータンツ(ダンス的演劇)」だとのこと。⇒2008年の稽古場レポート

 新作『SWAN』はバレエ『白鳥の湖』を題材に翻案・振付・演出した作品でした(⇒オーディション告知エントリー)。上演時間は約1時間15分。

 折込チラシの束がものすごく分厚かった!演劇とダンスの両方の団体が折込をするからでしょうね。個人的にF/T10の公演チラシがいっぱい入っていて嬉しかったです。

 ポスターサイズのチラシ↓はいつもインパクト大ですよね。今回のもおしゃれです。
20101021_swan.JPG

 ⇒劇場公式サイトから過去公演の動画などが見られます。
 ⇒CoRich舞台芸術!『SWAN』★CoRichからカンタン予約!

 白い布が張られたシアタートラム。ところどころ赤が利いています。赤い花束が吊られていたりするので、シャープでありつつロマンティックな印象。

 衣装で登場人物の背景をわかりやすくしてくれているので、セリフがなくてもストーリーの全体像はわかると思います。あの人はどんな職業で、何かを欲しがってる、あの人とあの人は敵同士で・・・などと探りながら観るのが面白いです。細かい設定まではわからないですが、ダンスや体の動きを楽しめるので問題なかったですね。

 人が積極的に触れ合って、お互いに影響を与えていく振付が刺激的。格闘技のようにぶつかり合ったり、取っ組み合ったり。敵対するチームが激しいスポーツをする(とも受け取れる)シーンはすごくスリリングで、見世物としての娯楽性もあって、わくわくしました。あれだけアクロバティックだと、役者さんが怪我しないか心配になっちゃうほど。

 ただ、厳しい見方をすると、完成度は去年の『Romeo.』の方が高かったと思います。海外公演を経た再演で、出演者も少数精鋭だったからじゃないかと想像。長谷川さんがトークでおっしゃっていたように、今回の出演者はダンサーと俳優が半々だそうで、一緒の踊りをしていても動きの精度が異なるんですよね。でもそれが魅力でもあると思います。衣装や演技でほんのり中国をイメージさせていたせいもありますが、出演者のバラバラな状態が、雑多で活気のあるアジアの空気をあらわしているようにも受け取れました。

 ここからネタバレします。

 私が想像したストーリーはこんな感じ↓です。後で当日パンフレットのあらすじを読んでみたら、全然違ってました(笑)。
 貧困層の女と富裕層(というか王族みたいな)の男との恋愛。身分違いの2人の間には警察(軍隊?)の邪魔が入る。警官たちは貧困層には厳しく、富裕層には甘い。貧困層のグループは男の邸宅にある重要な書類を盗もうとしている。作戦が成功し、盗人らは暴徒となって警官らをリンチするが、女にはできない。盗人らは作戦の首謀者は女だとし、すべての罪をなすり付ける。警官になぐられ死んでしまう女。男は女を救うことができなかった。

 音楽はチャイコフスキーの『白鳥の湖』そのものや、アレンジしたもの、そしてオリジナル曲だったようです。近藤良平さんも指摘されていましたが、音のなるタイミング、大きくなるタイミングが独特と言うか、うーん、私にはあんまりフィットしなかったですね。意図が汲み取れないことの面白さはありますが、やっぱり音楽に心ときめかせてもらいたいし、どこかに連れ去って欲しい。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:近藤良平(コンドルズ主宰) 長谷川寧

 近藤さんは自由でいいなー(笑)。楽しかった!
 私も「バスケ」のシーンは素晴らしいと思いました。小さなミスで総崩れする危険のある、袋のキャッチボールにわっくわく。

出演:大石丈太郎/石本華江(妾人文明)/大園康司/伊藤麻希/奥山隆(オフィス3○○)/玉井勝教/北川結(モモンガ・コンプレックス)/寺杣彩/伊藤南咲/岡本陽介(開店花火)/KEKE(輝く未来)/政岡由衣子/松之木天辺/村本すみれ(MOKK)/長谷川寧
作/演出/振付=長谷川寧 音楽監督=吉田隆弘 音楽=P.チャイコフスキー フジモトヨシタカ(ar) ドラマトゥルク=金田―央紀 衣裳=生田志織 舞台監督=寅川英司+鴉屋 佐藤恵 舞台美術=大泉七宗子 映像=浦島啓(PUREDUST) 照明=奥田賢太(colore) 音響=佐藤春平 振付助手=金子愛帆 佐伯美波 楽曲参加=辻凡人(bonobos/Shleeps) 演出部=弘光哲也 衣裳制作=藤田友 山田さゆり 中池里江 撮影=山本晃久 スチール撮影=生井秀樹 宣伝衣裳=FUGAHUM 宣伝写真=生井秀樹 宣伝美術=太田創(01Ga graphics Co.,Ltd) 当日運営=坂田厚子 制作部=田沼慶子 制作=清水美里+冨士山家 提携=財団法人せたがや文化財団/世田谷パブリックシアター 後援=世田谷区 助成=芸術文化振興基金 主催=冨士山アネット
10/21(木)19:30 近藤良平(コンドルズ主宰)
10/22(金)19:30 フジモトヨシタカ(ar)/辻凡人(bonobos/Shleeps)
10/23(土)14:00 中井美穂(アナウンサー)【追加トーク!】
10/24(日)13:00 金田一央紀(本公演ドラマトゥルク)
※終演後、本公演チケットをお持ちの方は、どの回も無料でご入場頂けます。
【発売日】2010/08/28 ※日時指定・全席指定 8/28発売開始 早割 2500円(8/28-9/10迄。冨士山家のみ) 一般前売 3000円 一般当日 3200円 学生 2500円(冨士山家のみ・要学生証提示/前売当日共) 友の会 2500円(劇場チケットセンターのみ) 世田谷区民 2700円(劇場チケットセンターのみ)
http://fannette.net/
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/10/swan.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 11:13 | TrackBack