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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2011年09月15日

第七劇場『かもめ』09/08-11シアタートラム

 第七劇場は鳴海康平さんが演出される劇団です。シアタートラムでチェーホフの『かもめ』を1時間10分にして上演することに興味を持ち、観に行きました。“はじめて割”の1,000円で鑑賞。お得!

 終演直後に鳴海さんが舞台前に来られて、観客に向かって「ロビーでお飲み物をご用意していますので、ぜひお客様同士で交流してください。出演者も私も参りますので話しかけてください」とおっしゃいました。実際、ロビーにはビールやおつまみがあり、大勢の観客が残って話をしていました。私も鳴海さんと率直に意見交換することができ、大満足です。劇場はこうあって欲しいと思いました。鳴海さんおよび第七劇場の方々に心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『かもめ

 白い服の女性たちの演技の質(方法や状態など)のまばらさが気になって、開幕前からつまづいてしまいました。アルカージナやドールンを演じた役者さんは重みのある、律された演技をされていて、この作品の中での自分の役割や、舞台で生きることをちゃんと獲得されているように見えました。だから同じ舞台にいる俳優の技術の差が、よりあらわになってしまった印象です。

 極端な例になりますが、出演者が全員下手だったら「そういうものだ」と受け入れられる(我慢できる)んですが、一部上手で一部下手だと「なぜこのアンバランスを選んだのだろう(演出家の意図なのか?妥協したのか?)」と考える材料になってしまうんです。

 また、この作品のようにインスタレーションやダンス・パフォーマンス、群舞の要素が前面に出ている場合、俳優には、たとえば芸術的なオブジェのような、物体(人体)そのものの魅力や、硬質さ、ゆるぎなさ、そしてそれを前提とした自由さが求められると思います(私はそれを望みます)。起承転結のあるストレート・プレイなら物語の吸引力もあって、それほど役者さんの粗が気にならないのですが、物語重視ではないですしね。また、題材が超有名戯曲で私も大好きな作品ですから、最初からハードルが高かったのかもしれません。

 ここからネタバレします。

 トレープレフ、ニーナ、トリゴーリン、アルカージナの4人に絞るのはわかるとして(こんな公演を観ました)、なぜかドールンが居るのが面白いです。ニーナを含む閉じ込められた白い服の若い女性たちは、患者(精神病)のようです(私にはそう見えました)。その場面と『かもめ』とを、医師であるドールンがつないでいました。

 シアタートラムの高い天井から、雪が降り続けるのがきれいでした。

第七劇場ワールドツアー2010-2011≪三重、フランス・パリ、岡山、東京、広島≫
出演:佐直由佳子 / 木母千尋 / 山田裕子 / 小菅紘史 / 菊原真結 / 伊吹卓光 / 須田真魚 / 笠井里美(ひょっとこ乱舞)
原作:チェーホフ 構成・演出・美術:鳴海康平 照明:島田雄峰(Lighting Staff Ten-Holes) 音響:和田匡史 衣装:川口知美(COSTUME80+) 制作協力:山田杏子 主催:第七劇場 協力:atelier SENTIO
【発売日】2011/08/01 プレビュー 500円(9/8.19:30の回) 前売 2,500円 / 当日 3,000円 はじめて割 1,000円(はじめて第七劇場の主催公演を観る方・前売のみ) リピーター 1,000円(半券提示・要予約・第七劇場のみ) 高校生以下無料(学生証提示・要予約・第七劇場のみ)
http://dainanagekijo.org/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2011年09月15日 16:19 | TrackBack (0)