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2011年08月15日

東京デスロック『再/生 タダフラ版』07/17-23 STスポット

 デスロック版に続いてタダフラ版『再/生』を拝見。上演時間は約1時間15分。

 タダフラは「多田淳之介+フランケンズ」の略です(⇒前回記録)。中野成樹+フランケンズ(通称ナカフラ)の役者さんは2008年にも多田淳之介さんの演出で作品創作されています。

 ナカフラの役者さんは男性も女性もとても可愛らしいんですよね~。演出は東京デスロックらしい激しさなのですが、伝わってくる印象は全然違いました。イライラするし疲れるし(笑)、でも面白かった!

 ⇒CoRich舞台芸術!『再/生

 壁が全面黒幕で覆われてた畳の部屋。中央にはビールの缶が散在する中に鍋が鎮座しています(ここまで書けばわかる人はわかると思います)。

 ここからネタバレします。

 2006年初演の『再生』を今回のために演出したものでした。構造はほぼ同じ(3回繰り返す)ですが、ナカフラの役者さんの演技は彼ららしいもので、その意味では新作でしたね。
 装置を見た瞬間に「あ、初演と同じだ」と気づいたので、最初に役者さんが踊り初めた瞬間から泣けてきました(←早すぎ)。「今からこれを3回繰り返すんだ、はずむ息、飛び散る汗、今躍動する命…」と想像してしまって。

 サザンオールスターズ「TSUNAMI」はやっぱり流れるとドキっとします。小学生のころからサザン好きだったので自分も歌いそうになったり(笑)。浜田真理子「ラストダンスは私に」が流れたのと電気グルーヴ「Shangli la」で激しく踊るのは初演と同様。

 ナカフラの役者さんは演技が上手いうえに可愛らしいんです。そしておしゃれ。斎藤淳子さんダンス上手い!!野島真理さんバレエできるんですね?!小泉真希さんのりらっくまの衣装は可愛すぎて反則!洪雄大さんの疲れっぷり、はじけっぷりが面白い!福田さんのBGD(Back Ground Dance)がのどかで癒される!竹田英司さんのよれた感じが今どきの若者っぽい(笑)!村上聡一さんと石橋志保さんは結構セリフが多くて、繰り返す度に上手いなぁと思いました。


 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:多田淳之介 藤田貴大(マームとジプシー主宰)

 藤田さんはすごく面白かったらしく興奮気味(笑)。

 藤田「多田さんは役者さんにあんなことまでさせる演出家なのに、しゃべり方はこんな(マイルドで優しい)なんですね。変態ですね。」
 多田「本当にそう思ってるからなんだけどね。『申し訳ないんですが、どうかもう1回やってください!』(深々とお願いするポーズで)ってね。」
 藤田「僕、怒鳴っちゃうんですよね(稽古場で)。でも明日からはそうします。お願い!って。」


≪タダフラ版は神奈川公演のみ≫
出演:中野成樹+フランケンズ…石橋志保 小泉真希 斎藤淳子 野島真理 洪雄大 竹田英司 福田毅 村上聡一
演出:多田淳之介 照明:岩城保 舞台監督:中西隆雄 演出助手:橋本清 宣伝美術:宇野モンド 制作:服部悦子 助成:文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業) 財団法人アサヒビール芸術文化財団 特別協力:急な坂スタジオ 中野成樹+フランケンズ 主催:東京デスロック NPO法人STスポット横浜 共催:横浜市
【休演日】7月20日(水)【発売日】2011/06/04 料金:(日時指定・全席自由・整理番号付) 〈東京デスロック ver./多田淳之介+フランケンズver.共〉 一般/前売(事前入金)…2,500円 予約(当日精算)…2,800円 当日…3,000円 学生・シニア(65歳以上)/前売(事前入金)…2,000円 予約(当日精算)…2,300円 当日…2,500円 お得な前売チケットをご用意いたしました。公演中止の場合に限り、チケット料金を払い戻しいたします。
http://deathlock.specters.net

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:45 | TrackBack

キリンバズウカ『マッチ・アップ・ポンプ』08/06-14川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場

 キリンバズウカは登米裕一さんが作・演出・主宰されるプロデュース・ユニットです。年に1回の演劇公演を行っています。東京での第1回公演から、小劇場界で注目の役者さんが多数出演することにも注目が集まっていましたが、今では“小劇場”の枠に収まらなくなったようです。

 第1回第2回は私は苦手なタイプの作風だったのですが、演劇ジャーナリストの徳永京子さんのツイート(⇒)も後押しになり、急遽伺いました。スタッフワークも含め質の高い群像劇で、とても面白かったです。

 アルテリオ小劇場は奥行きも高さもあっていい劇場ですね~。観に行く度に快適で嬉しくなります。

 ⇒CoRich舞台芸術!『マッチ・アップ・ポンプ

 ≪あらすじ≫ 少しネタバレあり。
 田舎の夏。父(深貝大輔)と2人暮らしのミズキ(田中こなつ)は2浪中でさえない毎日。母は10年前に男を作って出て行った。兄(平田裕一郎)は父と大げんかして数年前に消えた。あの日に山火事があって以来、町では毎年、避難訓練が行われている。
 ≪ここまで≫

 悪意満面なのにのどかなムード。際どいストーリーだけどちゃんとエンタメになっていて、質の高い群像劇だと思いました。語り過ぎないセリフがとても良いですね。演技と演出でしっかりその間(ま)を埋めてくれるので、会話の根拠となる感情がちゃんと伝わってきます。でも説明しすぎないから余白が多く、引き込まれるし想像を広げられます。

 劇場の高さを生かしたどっしりとした美術は、具象と抽象のバランスが演劇的で、色んな効果がありました。身体表現でも見せるすばやい転換も良かったですね。照明は派手すぎず地味すぎず。上手に抑える感覚(センス)で、広く一般に受け入れられそうな品質を達成してるんじゃないかしら。登米さんの作品はもっと大きな劇場でも上演できるのかも。

 商工会(だっけ?)につとめる2人(日栄洋祐と渡邉とかげ)が面白かったな~。

 ここからネタバレします。

 父親と仲が良すぎる家庭教師(根岸絵美)に対して、ミズキが返す言葉と態度が意地悪すぎ!(笑) 始まってすぐに入り込めました。登米さんは悪意をよくわかっている作家さんだと思いました。

 『マッチ・アップ・ポンプ』ダイジェスト映像↓ 多少のネタバレあり。

キリンバズウカ vol.8
出演:日栄洋祐 渡邉とかげ(クロムモリブデン) 根岸絵美(ひょっとこ乱舞) 平田裕一郎 田中こなつ 金丸慎太郎(贅沢な妥協策) 小笠原結(劇団兄貴の子供) 内田周作 深貝大輔 牧野エミ(愛情出演) 
脚本・演出:登米裕一 舞台監督:佐藤恵 舞台美術:青木拓也 照明:吉村愛子 (Fantasista?ish) 音響:星野大輔 音楽製作:碇英記 宣伝美術:OnP 宣伝写真撮影:石澤知絵子 宣伝用メイク:earch 西村裕司 安藤徹哉 衣装:飯田裕幸 演出助手:小林義典(クロムモリブデン)、山口千晴 制作:安井和恵(クロムモリブデン) プロデューサー:福岡佑美子 主催:キリンバズウカ、川崎市アートセンター 後援:「しんゆり・芸術のまちづくり」フォーラム
【休演日】8月8日(月)【発売日】2011/07/01 
[前売]一般3,200円、シニア(60歳以上)2,700円、高校生以下 2,000円 [当日]一般3,500円、シニア(60歳以上)3,000円、高校生以下 2,300円
※シルバー・高校生以下チケットは川崎市アートセンターのみで取り扱い。ご来場の際、学生証、年齢確認のできるものをご提示ください。
※未就学のお子様のご入場はご遠慮ください。
http://kirinba.seesaa.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 11:30 | TrackBack