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2011年10月18日

【情報】北九州の枝光本町商店街で「えだみつ演劇フェスティバル2011」が始まっています!

 北九州の枝光本町商店街アイアンシアター(以下、アイアンシアター)で「えだみつ演劇フェスティバル2011」が始まっています。⇒昨年夏に訪れた際の写真レポート

 キャッチコピーは「演劇が住む街、枝光」。のこされ劇場≡が商店街で上演する、その名もズバリの公演『枝光本町商店街』に参加してみたいですね。平日は観客3名の申込みがあったら上演するという募集型公演。このタイムテーブル、萌えるわー!

 ●枝光本町商店街アイアンシアター「えだみつ演劇フェスティバル2011」
  ⇒公式サイト ⇒公式ツイッター
  期間:2011年10月5日(水)~11月27日(日)
  参加団体:Ort-d.d、なんばしすたーず、柿喰う客、to R mansion、すんぷちょ、劇団GUMIレパートリー(韓国)、のこされ劇場≡(レジデント・カンパニー)

 アイアンシアターで行われている企画のコンセプトは、規模は違えど宮城聰さんが芸術総監督をつとめる静岡県舞台芸術センター(SPAC)に似ています。宮城さんは『ふじのくに⇔せかい演劇祭2011』の記者発表で「今は国同士が交流するのではなく、固有の文化を持つ地域間交流の時代です」「町中にアーティストがうろちょろしていて、歩いてると変わった人とすれ違うような環境を、1ヶ月でも1週間でも作りたい」とおっしゃっていました。

 アイアンシアターは韓国の劇場“小劇場GONGTER-DA”との交流を開始し、レジデントカンパニーののこされ劇場≡は今年9月に韓国で公演を行いました。ただいま開催中の「えだみつ演劇フェスティバル2011」では東京と宮城から来たアーティストが、町に滞在して作品を発表します。上演だけでなくワークショップも行い、観客との交流企画も多数あります。

 今年の夏に枝光に訪れたダンサーの山田うんさんは、アイアンシアターとの共同プロジェクトとして枝光本町商店街でダンス作品を披露されました。山田さんは今後も継続的に同地で踊る予定だそうです。
 PV「Co.山田うん×枝光本町商店街」↓
 

 銀行だった建物が劇場になり、なんと今では近所の小学生が放課後に集まって、自分たちで勝手にお芝居を作るようにもなりました(関連ツイート⇒)。アイアンシアターは日常生活の中の「広場」として機能し、商店街の一員として存在する、非常に珍しい、画期的な成果を上げている民間の小劇場だと思います。

 東京からアイアンシアターに訪れた演劇関係の知り合いは、「楽しかった」「また行きたい」と口をそろえて言うんですよね。私もその1人です。キラリ☆ふじみの芸術監督である演出家の多田淳之介さんは、ツイッターでこんな風におっしゃっています。
 @GKTJ「何度でも言おう、日本で演劇に関わる人の一人でも多くの人にアイアンシアターに来てほしい。作り手も観客も。3000円の芝居10本観る100倍の価値はあると思います。世の中にはアイアンシアターを知ってる人と知らない人の二種類がいる。」(関連ツイート:

 立派な劇場のゆったりとしたシートに座って鑑賞する演劇も私はもちろん大好きなのですが、街と人と結びついた演劇の在り方にもとても興味がありますし、「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」と願ってメルマガを発行している者としては、ひとつの理想の形にも見えています。
 演劇に会いに、街と人に会いに、秋の旅行で枝光に行っちゃおうかしら。劇場から徒歩1分の場所に北九州八幡ロイヤルホテルがありますし、美味しい食べ物は商店街にありますしね♪ ※のこされ劇場≡は同ホテルで夏休みの親子向け体験型演劇公演を実施しています。

「えだみつ演劇フェスティバル2011」:http://otegarugekijou.org/irontheater/edafes2011/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:51 | TrackBack

【写真レポート】北九州・枝光本町商店街アイアンシアターに伺いました(2010年9月)

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枝光本町商店街アイアンシター

 初めて枝光本町商店街アイアンシター(以下、アイアンシアター)の存在を知ったのは、2009年のこの記事からです。その後、北九州市で活動する劇団のこされ劇場≡が関わるようになったと知り、いつか訪れてみたいと思っていました。現在は北九州お手軽劇場が運営しており、のこされ劇場≡は同劇場のレジデント・カンパニーとなっています。

 アイアンシアターの芸術監督はのこされ劇場≡の演出家、市原幹也さん(⇒ツイッター)。幸運なことに演劇関係の知人の紹介で知り合い、2010年9月に市原さんを訪ねて同劇場に伺いました。

 劇場名に「枝光本町商店街」と掲げているように、アイアンシターは商店街の中の1つの施設として存在しています。劇場が周囲の街とそこに住む人々と一緒に息をするように、親密な関係を持っていることに驚きました。“街の一員として求められている劇場”がそこにありました。

 ⇒市原幹也「地域演劇の未来形を求めて 枝光本町商店街アイアンシアター(北九州市)

 ※掲載が1年以上遅れて時期外れの記事になってしまったのですが、どうしても枝光本町商店街とアイアンシアターのことをご紹介したく、劇場関係者のご承諾を得て掲載させていただきました。

 まずはJR鹿児島本線のスペースワールド駅で市原さんと待ち合わせ。
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 駅の改札から出るとすぐにテーマパークが見えます。
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 市原さんが車で案内してくださり、数分で枝光本町商店街アイアンシアターに到着!
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 もともと銀行だった建物で、すっごく広いんです。
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 1階のフリースペース(主劇場)がこの広さ!⇒施設案内
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 2階のアトリエは稽古場になっていました。客席のひな壇もありますね。2階にはもうひとつ、アトリエ兼会議室という部屋があります。他にも宿泊できる部屋や倉庫などもあって、なんて贅沢なスペース・・・優雅だ・・・。
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 そして屋上!!野外バーベキューでもてなされた演劇関係者は、楽しすぎて悲鳴を上げるようです(ツイッターのつぶやきが実証)。写真中央↓は市原さん。
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 アイアンシアターの自慢は建物だけではありません。徒歩1分以内のごく近くにある枝光商店街へとふらりと歩いていくと、そこには現実なのに天国のような、温かい交流がありました。市原さんが商店街の一員だからだと思いますが、身に余るおもてなしを受けました。

 酒屋のおじいさん(右)と缶ビール片手に、炭鉱があった時代のお話を伺いました。でも缶ビールは劇場の近くの自動販売機で買っちゃって・・・すみませんっ。写真左↓は市原さん。
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 商店街の中央の通りに行くと、歩道でお肉の串焼きを販売している肉屋のおじさんと遭遇。劇団員の方(右)も一緒に、できたばかりの雑誌「零」を手にして談笑。「零」はのこされ劇場≡とある出版社が協力して発行されたもので、おじさんもモデルとして登場しているんです。すっごく元気で気さくな方で、串焼きをたくさんサービスしてもらっちゃいました。
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 市原さんが青果店のお父さんと娘さんにも雑誌を届けます。雑誌およびチラシ用の撮影現場の動画はこちら(約5分)。のこされ劇場≡公演『オズの魔法が使えない』は、商店街で働く人も参加する、町を巻き込んだイベントだったんですね。
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 次は商店街のアーケードの中のお店めぐりへ。市原さんが挨拶すると昔からのよしみの客のように対応してくださり、市原さんと商店街の方々が同じ町に暮らす仲間同士なんだなと感じました。写真右側にはアイアンシアター関連のチラシが置いてあります。
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 天ぷら屋さんでは、地元のお祭りや戦争の話を伺いました。写真右側↓が店主のおじさん。天ぷらとは練り物を揚げたもので、いわゆる“さつま揚げ”です。いくつか購入してその場でいただいたんですが、ものすっごく美味しかった!
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 8月9日に小倉に原爆が落とされなかったのは小倉上空が曇っていたからと言われていますが、実は前日に八幡空襲があり煙が立ち込めていたからだそうです。全く知りませんでした・・・。
 おばさん(写真↓)が「80代のお客さんが、もう私たちは走れないから逃げられないって言ってたよ。戦争はやだよね。」とおっしゃったのが鮮烈でした。そうだ、空襲の時は走って逃げたんだ、と。「空襲」という漢字と情報を知っていただけで、私は本当に空から爆弾が降ってくるのだとわかっていなかったんですね。おばさんの言葉のおかげで気づきました。
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 肉屋のおじさんが大通りから帰って来て、鹿児島産の上等の霜降り肉を見せて下さいました。目利きのお客さんが遠くから買い付けに来られるそうです。
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 最後は65年の歴史を持つ老舗和菓子店“みずま”へ。このお店でしか販売していない八幡銘菓「ひょうたん最中」を、市原さんからお土産にいただきました。可愛らしいひょうたんの形です。
 ※2011年現在、アイアンシアターとの共同おみやげプロジェクトとして、「ひょうたん最中」全3種類が入ったおみやげセットを劇場にて限定販売中!来場客の5人に1人がお買い上げになる人気スイーツだそうです♪
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 数時間の枝光滞在はとにかく楽しくて、吹いてくる風にも思わず微笑んでしまうぐらいに幸せな時間でした。「ここはこの世の天国だ!」と叫びたくなるぐらいに。
 少子高齢化による過疎が進んだ枝光ですが、かつては製鉄の町として栄えた有名な地域でした。商店街にはその頃からずっと枝光で暮らしてきた、歴史の生き証人であり、今も街も生かし続けている方々がいらっしゃいます。東京という大都市で所在なく、孤立しがちな日常を生きる私とは違い、地に足をつけて堂々と立って、どんな来訪者も分け隔てなく受け入れる、太陽のような大らかさのある方々でした。

 そんな素敵な街に溶け込んだアイアンシアターに行ったら、街で深呼吸するようにお芝居を観られるかもしれない。きっと特別な体験になる気がします。私は作品の面白さばかりを追求しがちな首都圏在住の演劇フリークの1人ですが、次に枝光を訪れる際には、街と劇場に心も体も委ねて、演劇との新しい出会い方、関わり方を見つけてみたいと思います。

枝光本町商店街アイアンシター:http://otegarugekijou.org/

※2010年夏に取材したものの、公開がこのように遅れてしまったことを心よりお詫び申し上げます。

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:50 | TrackBack