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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2012年05月30日

時間堂『ローザ』05/16-29王子スタジオ1

 黒澤世莉さんが主宰する劇団時間堂が、黒澤さんが3年振りに書き下ろされた戯曲を上演。東京公演千秋楽を拝見しました。約1ヵ月半後に多地域ツアーが始まります。上演時間は約1時間30分。

 王子スタジオ1は道路に面したギャラリーのような会場です。予想はしていましたが車が通り過ぎる音や水が流れる音が常にしていて、複雑な劇中劇構造のお芝居の中に入って行けませんでした。残念です。今後のツアー先では演劇用の劇場が多いようなので、環境はすっかり変わることと思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ローザ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
1919年1月15日、ローザは死ぬ。義勇軍に殴られ、殴られ、殴られ、殴られ、撃たれ、遺体は川に投げられる。
 両端の燃える蝋燭のように、彼女は生きた。彼女は草木を愛した。彼女は山河を愛した。彼女は散歩を愛した。彼女は飼い猫ミミを愛した。彼女は料理を愛した。彼女は結婚せず、子供はいなかった。彼女は友人を愛した。彼女は手紙を愛した。彼女は文学を愛した。彼女は自由を愛した。
 ≪ここまで≫ 

 役者さんの声が大きすぎてつらかったです。そういうことも含めて、とにかく会場が私にはフィットしなかったですね。同時に、会場の環境を無視した演出(戯曲選択)だったようにも思います。そこに嘘をついてはいけない(蓋をしてはいけない)んじゃないのかな。先日経験したSNAC公演野外パフォーマンスを思い返しました。

 俳優個々人の生き生きした姿と演劇作品の完成度が両立することは、きっと簡単なことではないと思います。時間堂および黒澤さんの作品を観てきて、数作前から気になっていることですが、俳優指導者としてもご活躍の黒澤さんは、作品全体(または戯曲)よりも俳優に重きを置き気味なのではないかしら。私個人としては、それは歓迎ではないです。とんだ勘違いかもしれませんが。

 ここからネタバレします。

 「ローザ」とはローザ・ルクセンブルクという名のドイツに実在した社会主義者のこと。彼女の墓地で偶然出会ったかつての彼女の知り合いたちが、かわるがわる「ローザ」を演じて彼女の本当の姿を探っていきます。
 会場の都合上、現代から意識が離れづらいので(←クドいですね、すみません)、「現代人がローザを演じる」とした方が、演じる側にも観る側にもハードルが低かったんじゃないかと思いました。

≪東京、静岡、仙台、福岡、大阪、三重、福岡≫
出演:菅野貴夫 窪田優 直江里美 ヒザイミズキ
台本・演出:黒澤世莉(時間堂) 台本協力:オノマリコ(趣向) 演出協力:野村政之(青年団) 舞台監督:礒貝保徳(演劇集団 円) 照明デザイン:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 宣伝美術:立花和政 スチール撮影:松本幸夫 Web制作:小林タクシー(ZOKKY) 劇団員:雨森スウ・鈴木浩司 プロデューサー:大森晴香 主催・企画製作:時間堂
【休演日】5月22日(予定)【発売日】2012/04/14 前売・当日 一般:2,500円 ★割チケ:2,000円 全席自由
http://www.jikando.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2012年05月30日 14:50 | TrackBack (0)