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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2001年12月24日

リーディング・ドラマ『ラブ・レターズ』12/19-26パルコ劇場

 パルコおなじみの男女二人の朗読芝居。佐々木蔵之介さんと中嶋朋子さんのペアです。

 ボロボロに泣かされました・・・・・!!そこにピュアな愛が見えた!(クリスマスだし。ロマンチック解禁ということでご勘弁を♪)

 朗読、というよりはお芝居でした。アンディーとメリッサというカップルが約40年間交わしつづけた往復書簡の朗読なんですが、本を朗読している人よりも、相手のリアクションに目が行くんです。2人ともイスに座ったままの状態で、表情、首や頭の動き、ため息・・・。ものすごく些細な仕草や呼吸で心の琴線に触れられてしまうそんなデリケートな男女二人芝居。

 脚本が良いんですよね、まず。往復書簡の朗読だけでここまで何度も再演されているというのが動かぬ証拠。観に行くと誰もが原作本を買いたい衝動に駆られます。てゆーか買っちゃう。

 中嶋さん、メリッサ役ぴったり!めちゃくちゃ似合ってます。声の細さも芯の強さも。今までで一番好きな中嶋さんでした。
 蔵之介さん、表情がすごく良かった。笑って、おどけて、得意がって、悲しんで、だまって。キュート♪まっすぐだった。きれいだった。優しかった。コメディー・センスあるな~。「ラブ・レターズ」でこんなに笑えると思いませんでした。お二人の呼吸の成せる技ですね。

 私が初めて観たのは豊原功輔さんと岩崎ひろみさんのペアで、その時は「この演目はカップルで観に来るモンじゃないな~。」と思ったのですが、今回は「これは・・・・カップル来場可かも♪」と思えました。脚本を重厚に読むか軽快に読むかでそれぐらい変わっちゃう。あ、でも女性は涙でメイクが取れちゃう危険性あり、ですよ。

※携帯の電源が切れた時のプー!プー!というアラーム音が30秒以上鳴り響き、怒りというよりも嘆き浸透。長いセリフを読んでいた蔵之介さんがかわいそうだった・・・。開演前だけでなく途中休憩の後にも携帯チェックが必要ですね!

パルコ劇場HP : http://www.parco-city.co.jp/play/

Posted by shinobu at 00:34 | TrackBack

2001年12月18日

新国立劇場演劇『美女で野獣』12/10-27新国立劇場小劇場

 松本明子さん(バラエティー番組でおなじみ)が主演の、コンビニを舞台にしたお芝居です。・・・こんな言い方をすると商業演劇のように聞こえますが、テーマは「現代人の孤独」かな。芥川賞受賞作家(ずいぶん昔?)の荻野アンナさん脚本で、宮田慶子さん演出です。

 とりあえずあのチラシの写真は唐突でしたよねー。コンビニの前に一般人がわらわらと居る図。新国立劇場でやる芝居のビジュアルじゃないよ~と思ったら、実はアラーキー氏撮影なんです。なるほど、こりゃタダモンじゃない・・・かな、と。

 演出が巧い!あまりの唐突さ(勇敢さ)にほけーっとしちゃうほど!!舞台もすごい!リアルなコンビニのセットに技術が詰め込まれてる!!照明もイカす!現実世界と夢のハザマ、まさに舞台でしか表現できない、目の前で披露される魔法!!

 とにかく目からうろこというか・・・新しい、と思いました。ストーリーに、というよりは展開にドキドキしちゃうんです。もしかすると演劇の『TV的な』やり方なのかもしれません。生放送でコントをしている感じにも似てましたし。でもしっかりとしたお芝居です。演劇なんです。

 仕事も充実してきて給料も良い。男もいないわけじゃない。だけど、とことん寂しい。美女でありながら野獣であるとも言える、そんな現代のキャリア・ウーマン像。ありがちな設定&環境ですよね。そこに荻野流の解決(?)策。あぁ・・・思い出すだけでも顔がにやけてきて・・・でも眉は下がり気味で・・・。困っちゃう(泣笑)。

 松本明子さん、しばしばネタっぽい演技がありましたが上手いからOK!歌がお上手です。彼女の歌&声だけは本当にはっきりと聞こえてきて嬉しかった。心をお客様に伝えられる役者さんですね。
 大沢健さん、いつも通り素晴らしかった。怒っても泣いてもキュート。在りかたが素直なんですよねー。大好きです。

 人によって本当に好みは分かれると思います。が、もしお時間があれば味見するのも良いか、と。ちょっぴり刺激的かもしれませんが(笑)。

 ここからネタバレします。

 人がゴミ箱になるのが凄い。そしてゴミ箱姿で歌って踊るのがさらに凄い。

作:荻野アンナ 演出:宮田慶子
新国立劇場 : http://www.nntt.jac.go.jp/

Posted by shinobu at 21:22 | TrackBack

2001年12月15日

扉座『TSUTOMU』12/13-21紀伊国屋サザンシアター

 伴美奈子(ばん・みなこ)さんにお会いするために通う扉座
 作・演出の横内謙介さんをロビーで初めてお見かけして嬉しかった。かっちょいー人だなー。

 でも・・・・すっごくつまらなかったですぅ・・・・。私的には今までの扉座で一番つまらなかった。

 今回は・・・とにかく役者さん達に華がない!唯一役者として見られたのは井上ひさし作品にも出演された茅野イサムさんのみ。彼は光ってましたね~。スター役だからっていうのだけじゃなくて。役割を果たしてたと思います。
 いつも光ってる山中たかシさんが、すんごい中途半端。ってゆーかなんで彼が脇役!?肝心の伴さんも全然光らない役だし・・・。またおばちゃんキャラとかやらされて・・・。

 音響の入り、気持ち悪い。舞台装置、倒れそうで怖い。衣装、貧相・・・。脚本、一瞬良かったけど、その一瞬だけだった。あ、仕掛け舞台はちょっと気持ちよくびっくりさせられた。ああいうサービス精神はステキ。

 ・・・こういうのが狙いなのかなー。なんか、身近な感じで一見親しみやすそう(?)なのが。だとすると私はもう観に行けないな・・・って言いながら絶対行くんだけど。伴さんに会いに。懲りないっす♪

 扉座:http://www.tobiraza.co.jp/

Posted by shinobu at 01:41 | TrackBack

2001年12月11日

パパ・タラフマラ『WD』12/07-10世田谷パブリックシアター

 黄色・赤・黒・青のビビッドなチラシに惹かれてチケットを買いました。新聞や雑誌でもかなり宣伝してますしね。行かなきゃかな、と思って。

 開演後20分で席を立ちたい衝動に駆られたのですが、最初の休憩までは我慢しました。で、休憩になった途端にトンズラですよ。私のほかにもその時に帰られた方が4~5名はいらっしゃいましたね。

 顔だけ白塗りの男女にドッタバッタと無作法に踊られても・・・。あからさまに意図的な無表情と異様なほどのバカ笑顔が同時にランダムに存在し、女同士で胸をもみしだいて喘ぎ声を出したり、いかにも意味ありげに頻繁に暗転したり。「わからない」を軽く通り越して「不快」でした。
 全ての細かい動きまできっちりポリシーを持って演出しているとは思えない。

 そして、18:30開演で2度(3度?)の休憩を挟み、21:50終演ってどういうこと!?ダンスやパフォーマンスの公演でそんなの初めてです。やる方も大変だと思いますが、観る方もかなりつらいって。「時代の転換期である今、(中略)3時間の大作を創りたくなったのです。」(パンフより)という気持ちはわかりますが、それでもヤなものはヤだ。

 タイトル「WD(ダブル・ディー)」は「What we have Done?」から来ていて、文庫本型の「WD副読本」というパンフレットによると21世紀の総括のようです。最後まで観たらちゃんとそれがわかったのかもしれませんね。

Pappa TARAHUMARA : http://www.kt.rim.or.jp/~pappa/

Posted by shinobu at 01:42 | TrackBack

2001年12月06日

tpt『ブルールーム』12/05-01/15ベニサン・ピット

 なんと2時間で10本のオムニバス。全てがハードなラブ・ストーリー。内野聖陽(うちの・まさあき)さん&秋山菜津子さんがそれぞれ10役を演じます。まるでテーマパークのアトラクション!ただし、オトナ限定の・・・♪

 「溢れるエロス 孤独の毒」というのがチラシのキャッチコピー。「体当たりの演技」とよく表現されますが、まさにそんな感じの超セクシー芝居です。10本ともセックスがテーマなんですよ。基本的にからみまくり。男女がどうやってそこに至って、どのように終わらせるか。そのロンド(繰り返し)。

 演出はtpt芸術家督のデヴィッド・ルヴォーさん。スタイリッシュな舞台演出のもと、転換が舞台上でガシガシ進みます。スタッフさんが家具を運び入れ、設置しなおし、同時に役者が舞台面で着替える。舞台と役者が変身していく様を見るのが異常に楽しかった。特にヘアメイクと衣装にはウキウキわくわくでした。最高にカッコいい!

 演技については、深刻なシーンほどコミカルにやるということの大切さがわかった気がしました。ルヴォーさん、ありがとう。

 内野さんは体格がすっごくマッチョなので、よくワイルドな役を演じられるのですが、私はやっぱりインテリで繊細な感じの役が一番好き♪学生(内野)&お手伝いさん(秋山)のストーリーでの坊ちゃん演技がたまらなかった・・・・♪もー・・・なぜあんなに銀縁メガネ&白いシャツというスタイルが似合うんでしょう!気品がある上にコミカルな演技も抜群。ファンになっちゃうよ。

 秋山さんは、とにかくスタイル抜群。手足が細くて本当に美しいんです。胸もキレイ。成熟した女性役はもちろんですが、16歳の役もできるのがスゴイ。とにかく眺めているだけでも満足できるし、演技も文句ナシの女優さんです。彼女もコメディー・センスがすっごく冴えてるんだよなー。

 とにかく楽しんじゃいました。
 必見!というわけではないですが、大人のエンターテイメントとしてお薦めです。

原作:アルトゥル・シュニッツラー「輪舞」より
 tpt : http://www.tpt.co.jp/

【ひとことモノローグより】
tpt「ブルールーム」ベニサン・ピット12/5-1/15
update: 2001.12.05 (Wed)

とにかく楽しかった・・・あぁ満足♪

スタイリッシュな演出のもと
内野聖陽さんと秋山菜津子さんが
思いっきりセクシーに繰り広げる大人のオムニバス。
2時間で10作品なんてまるでテーマパークのアトラクション!

でも・・・絶対にカップルでは観に行かないで下さいね。
お互いの嘘がバレちゃいますからっっ。

Posted by shinobu at 22:57 | TrackBack