REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2003年05月31日

ホリプロ×ナイロン100℃ special session『ドント・トラスト・オーバー30』5/24-6/8青山劇場

 ケラさんのミュージカル。ユースケ・サンタマリアさん主演。
 『Don't trust over 30(30歳過ぎの奴らを信じるな)』っていうタイトルとは全く関係ない内容でした。あ、でも関係あるのかな。今から30年さかのぼると60年代ですものね。タイム・トラベルものです。『ナイス・エイジ』もそうでしたよね。

 舞台は日本の近未来(2004年)。グループサウンズの時代にタイムスリップしてしまったカップル。果たして2人は無事に未来に帰れるか?
 ケラさんですから無事なわけないんですが。最初っから(笑)。
 休憩15分間を含む3時間半。上演時間が長いだけで文句タラタラの私ですが、この作品は楽しかった!

 2004年っていうのがミソですね。日本が空爆されているんです。そういうサラっとした皮肉がかっこいいと思います。まさに今そういう状態なんですよね。どうなるかわからない。過去で起こしたいろんな騒動のおかげで未来が変わっていくというスタイル。バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2みたいな感じ。

 ユースケ・サンタマリアさんと奥菜恵さんの最後のラブシーンには感動しました。あぁ、そうなるのね、そういうことだったのね・・・・ケラさんってほんとロマンチスト。素敵です。

 舞台背面全体に映像を映し出し、その前で役者が”飛ぶ”のは、劇団☆新感線(『大江戸ロケット』など)と全く同じ手法でしたが、伝わってくる意味では『Don't・・・』の方が断然面白みがありました。ナンセンスで笑えます。犬山犬子さんの『暴力猿』サイコー。爆笑。手叩いて喜んじゃった。

 秋山菜津子さんだけ、歌が上手かったです。ソロで聞いていられました。
 私は普通のミュージカルでは当然のクリアすべきこと(歌が上手いとか踊りがすごいとか)をこの興行では全く期待していないので平気でしたが、客席からは不満の声も多く聞かれました。「レ・ミゼラブル大好きなの!」とおっしゃるマダムとかいらしたし。
 最初の方で奥菜恵さんがいきなり3人に増えた時、どう思ったのかな、そういうお客様って・・・。

 パンフレットは高かったけど買ってよかったです。役者さんのレコードのカバー仕立ての写真がすっごくセンスよくて楽しめます。

NYLON100℃(ひゃくどしー)HP : http://www.sillywalk.com/nylon/

Posted by shinobu at 00:57 | TrackBack

2003年05月29日

劇団山の手事情社『トロイアの女』05/25-06/01シアタートラム

 劇団山の手事情社の本公演、初見です。

 エウリピデス原作。「トロイの木馬」事件の後のお話。10年にも及んだギリシアとトロイヤの激しい戦争だったが、武装したギリシア兵士が隠れている豪華な木馬を、それとは知らずに領地内に入れてしまい一夜にしてトロイヤは滅びることとなった。トロイアの王妃ヘカベに耐え難い苦難がふりかかる。
 人間はなぜ生きるのか。生きていても地獄でしかないとわかる状況で、どうして生きることを選ぶのか。

 言葉やセリフだけでなく、身体表現でさまざまな事象や出来事を表します。役者は人形のような動き。黒子がつねに舞台上で動いています。主要人物以外の出演者の役名が全員「運命」となっていたのが良いですね。床でぐるぐる回って時間の経過を表す動きがすごく面白かったです。あの閃きを観られて満足。

 シアタートラムをめいっぱいスタイリッシュに使っていました。舞台を取り巻く照明が間接照明になっていたのもクール。衣裳のコンセプトがはっきりしていて、シンプルで機能美がありました。(全身黒服の状態から簡単に羽織ったり被ったりして、演じる役の変化を表します。)

 王妃ヘカベ役だけがクローズアップされる展開というか、他は皆んな「その他大勢」という演出でしたね。技術の在る役者さんがいっぱい揃っている山の手事情社・・・・のはずだったのですが、残念ながらこの公演では1人1人が目立つわけではありませんでした。だからなのかもしれませんが、全体的にのっぺりと単調なイメージで、少し退屈しました。

 コロス的な存在が常に動きながら舞台上に居るのは、ちょっとワサワサし過ぎな感じがしました。背景や模様になるぐらいに洗練された動きを、全員でやれるなら凄いですが。繰り返しの動作は、官能的だと感じられるレベルまで上げてもらえたら・・・・嬉しい。衣裳を黒子が着替えさせるのを最初から最後までやり続けていましたが、そういう様式は一度見れば分かりますから、中盤過ぎたらもう見せてもらわなくていい気がします。

 王妃ヘカベ役の山本芳郎さんが良かった。色香を感じさせる佇まい。最後のシーンは見とれてしまいました。
 客席に出てくるポセイドン役の鴫島隆文さんの声がとても良かったです。

 高度なことにチャレンジされているので、ついつい辛口になってしまいましたが体験できたことに価値を感じられた作品でした。

劇団山の手事情社HP : http://www.yamanote-j.org/

Posted by shinobu at 18:12 | TrackBack

2003年05月21日

演劇集団壺会『蜜月』05/16-18阿佐ヶ谷アートスペース・プロット

 壺会(つぼかい)の第4回公演。桐朋学園短期大学部芸術科演劇専攻だった内海詩野さんと高橋朋子さんの劇団です。今は劇団員が4名に増えたみたい。『蜜月』は「みつげつ」と読むようです。

 面白かった!けど、長かった・・・・。
 阿佐ヶ谷アートスペース・プロットじゃなくても、2時間半・休憩なしっていうのは無理ですね。

 登場人物は女ばかり。あるお屋敷のお嬢様とその侍女たち。そこで年に一度開かれる夜会に訪れる友人達と、1人の予定外のお客様。「呪われた」部屋で熱く甘く語られる、女達1人1人の本当の気持ち。

 脚本はかなり饒舌(じょうぜつ)です。耽美的なセリフを、捲くし立てるようにしゃべりまくります。言葉がフランス人っぽいんですよね。率直で情熱的で、投げっぱなし。直球でぶつかって来るようで、実は語尾で自己完結することが多いです。「私はこう思うの、貴方は間違っているわ!でも、別にいいけどっ、貴方は貴方だし。」みたいな感じ。
 でもみんな、伝えたい、わかって欲しいと切望しています。精一杯強がりながら。それが女の子っぽくて可愛い。何度か泣きました。「自分はなんて醜いんだろう!」と気づいた秋吉(あきよし)役が良かった。

 壺会といえば、私にとってはとにかく衣裳が目玉!センス抜群です。色彩感覚や型、全体のバランスが際立って良いです。衣裳だけで満足。退屈しません。舞台写真はこちら
 第2回公演『エトワール探偵団』は1960~70年代の西洋レトロな感じだったのですが、今回はアンティークきものを使って、全体的に大正時代の和風テイストでした。プリーツ・スカート、アクセサリー、靴とのコーディネートもとてもかっこ良かった。アレンジが巧いんですよね。

 とにかく1時間30分に収める努力を見せて欲しいです。もったいない。そこに納まったら、もしかすると今年のしのぶの小劇場ベストテン入りは堅かったんじゃないかなー。

 あと、細かいことなんですが言葉があまりに美しいので、たまに出てくる”ら抜き言葉”が気になりました。

キャスト=高橋朋子/内海詩野/山村亜希/高田あゆみ/高安智美/早川恵里子
作=高橋朋子 演出=壺会 美術=柿崎浩司 照明=加藤九美(F.STAFF.rise) 音響=曳野洋幸 美術制作=BAT crew 舞台監督=渡辺秀幸
版画=YO.U チラシデザイン=岡村一男 チケットデザイン=高橋聡子 制作=壺会
演劇集団壺会の公式ウェブサイト「壺帳」 : http://www1.odn.ne.jp/~cbu24420/

Posted by shinobu at 17:22 | TrackBack

2003年05月20日

燐光群『屋根裏』05/08-21梅が丘BOX

 去年、読売文学賞・紀伊國屋演劇賞・読売演劇大賞 最優秀演出家賞を受賞した作品です。作・演出は坂手洋二さん。先日の『マッチ売りの少女』@新国立劇場も衝撃的でした。

 面白かった!!わくわくどきどきした!!!狭くて暗い屋根裏から果てしない想像力の宇宙へと大冒険させてもらいました。小さな劇場でスシ詰めになりながら、みんな一緒に小さな舞台を覗き込んでいること自体が最高の醍醐味です。あぁ、何を書いてもネタバレになってしまう・・・・・!

 「屋根裏」キットが全国的に流通している、ごく近未来の東京。舞台上の小さな「屋根裏」が、学生の引きこもり部屋、監禁男の巣、雪山の避難所、江戸時代の民家の屋根裏、ホームレスの家、防空壕など、様々に姿を変えていきます。

 今までに私が観た燐光群の作品の中で一番笑えました。わははっ!って笑えます。ほんとに。「『屋根裏の散歩者』というと江戸川乱歩の作品です。そう、コナンのおじいちゃんです。」とかもアリでした。

 役者さんが皆さん、ものすごくセクシーでした。なぜなんだろう。お互い狭い箱(屋根裏のセットと、劇場)に詰め込まれて、身近に感じたから?いや、本当に密接だったんだと思います。私がその屋根裏の箱の中に一緒にいるように感じたからじゃないかな・・・。あの”屋根裏タイムマシン”に乗って、時代を超えて空間を越えて、一緒に旅したんだと思います。

 人がいっぱい同時に出てくるシーンはすごく燐光群っぽいですが、私は個人的にあんまり好みじゃないです。『ピカドン・キジムナー』、『マッチ売りの少女』@新国立の方が好み。それから、坂手さんの脚本の最後の締めはいつも「長い」とか「つらい」とか感じちゃうんですよね。説明になっちゃうから。オムニバスということにして、放ってくれてもいいんだけどな、と私は感じました。

 梅が丘BOXは久し振りでした。狭いくてつらい!しかも2時間以上ありました。でも、それでも、面白かったです。さすがです。お薦めです。

 “松葉杖の男”の人が前説をやってくださったのですが、最高に嬉しかったです。
 「お客様に窮屈な思いをさせてしまって、本当に申し訳ございません。万が一、天変地異などが起こった場合にはこの松葉杖の男が(自分を指差して)、責任を持って皆さんを安全な場所にご誘導いたしますので、どうぞご安心下さい!」

 これから行かれる方はぜひともチケットを予約して開場時刻までに行って、どうぞイス席をGETしてくださいね。明日(21日)までです!

燐光群 : http://www.alles.or.jp/~rinkogun/

Posted by shinobu at 01:17 | TrackBack

2003年05月19日

reset-N『knob』05/15-20シアタートラム

 しのぶいちおしのreset-N。吉祥寺で『MARKET』というお芝居を観て以来、追いかけています。
 『knob(ノブ)』は第四回劇作家協会新人戯曲賞受賞作で何度か再演されてますが、私は戯曲本で読んだだけだったので、念願の舞台初見となりました。

 建設途中で工事が中止になった、東京湾岸の廃墟のビル群の中の一室。カップルが訪れるが、女の方がいきなり消える。彼女は窓から飛び降りたのか?そこに現れた尋常じゃない関係の男女。さらに知的障害(?)のある少年とその世話係の男もやってきて・・・。

 戯曲で読んだイメージと全然違いました。本よりも、もっと熱くてカジュアルな感じなんですよね。等身大というか。だから身近に感じて、より心に迫ってきました。

 人間は、理性と本能という相反するものを生まれながらに持っていて誰もがその矛盾にそれぞれの形で悩み、乗り越えていきますが(乗り越えた、と自分で決めますが)、本当の自分、隠された自分の本性を追求していくと、時にはそれが今の人間社会ではタブーで、命を懸けなければいけないことだったりします。

 夏井さんの脚本の登場人物は、そういう極限状態に立ち向かって不恰好にもがき続けます。人と、世界と、通じ合いたいと思いながら、とてもデリケートな部分で傷つけあい、苦しみます。だけどそこにはささやかな救いがあります。少なくとも彼らは、あきらめていないんです。希望を持っている。そこに私は一番共感するし、reset-N作品に感情移入できるところだと思います。

 いつも通り、セクシャルさと残虐さにしびれました。男女のSMの関係がスタイリッシュに作られているのでクールで官能的。露出も適度です。そして、残酷さにうっとりしちゃうんです。それこそSMですよね、知らなかった自分の一面を発見するような感じ。だって「もっともっとヤッっちゃって!!」とか思う自分が居るんですもの、人を撲殺するシーンで。

 役者さんたちの演技合戦も見所だと思います。セリフについてはまだちょっと説明に聞こえてしまうところもありましたが、初日だったしまだ最高潮ではなかったのかも。それでも観ていてわくわくでした。

 照明が良かったです。スマートで、けっこう大胆なんですよね、そのさじ加減がカッコいい。
 衣装がカラフルで、シンプルな舞台に華を添えていました。マゾの女のコーディネートが好き。

 看板女優の町田カナさん。ほんっとにセクシーだなー。サディストもマゾヒストもお手のものですね。猫と牛は最高。8月のKERA MAP『青十字』が楽しみです。
 太田宏さん(青年団)。かっこ良かった~・・・・。立ってるだけでどんな人かわかりました。やっぱり巧い。
 でも、若手とベテランとの演技技術のアンバランスを露呈させてしまった、とも言える気がします。

リセット・エヌHP : http://www.reset-n.org

Posted by shinobu at 00:59 | TrackBack

Dotoo!『マンボジャンボ!』05/08-11ザ・スズナリ

 bird's-eye viewの杉浦理史ことピエールさんが出演されるので観に行きました。1987年からある劇団で、2002年に劇団名が「疾風DO党」から「Dotoo!」になったそうです。私は初見です。

 作・演出の福田卓郎さんはTVドラマの脚本も書かれていて、なるほどそういう感じだなーという内容でした。わかりやすくて、親しみやすくて、年齢層広く楽しめる、シチュエーション・コメディー。

 公民館(区民集会室)の一室を舞台に、そこを利用している全く関係の無い3グループが絡んでいき、予定外のトラブルが続出するのですが、最後にはそれぞれにきちんと納まる形で解決します。構成のよくできた脚本だなぁと思いました。寝ちゃったけど・・・。役者さんも皆さん、とてもお上手なんです。落ち着いてるし堂々としているし、とにかく安心して観ていられます。寝ちゃったけど・・・。

 客層は高年齢の方が多かったですね。40代の男性とか沢山いたな~。それでスズナリが満員。演劇界って狭いけどやっぱり多種多様ですね。劇場入口に役者の顔写真が全部載った看板用タペストリーが貼ってあって、それに惹かれて劇場に入るお客様が多数いらっしゃいました。あれはすっごく良かったなー。内容があからさまに分かるからとにかく安心です。

 杉浦理史(ピエール)さん。ヘルメット型おかっぱ頭を何度も叩かれてました。新鮮でした。
 タケシタユウジさん。性格が悪くて運の悪いお兄さん役、すごく良かったです。あんなにヤな奴なのに憎めないんですよね。

ドトォ! : http://do-mo.com/

Posted by shinobu at 00:05 | TrackBack

2003年05月18日

こまつ座『兄おとうと』05/11-31紀伊国屋ホール

 脚本完成の遅れが原因で初日が2日ほど延期になりました。すごいですよね。こういうことって、本当にあるんですよね。でも井上ひさしさんですし、彼の書き下ろし新作を観られる幸せのためならしょうがないと思います。

 「民主主義の父」と呼ばれた政治学者、吉野作造とその弟、信次のお話。明治、大正、昭和の激動の日本で、それぞれ別の道へと進んだ兄弟の半生を通じて民主主義とは何か、人間の求める本当の幸せとは何なのかを、ありったけのサービス精神と大らかさで描ききる、大人のエンターテイメント作品です。

 オープニングの歌のシーンだけで、顔がくしゃっとなりました。こんなに暖かくほがらかに迎えてくれるなんて・・・。ほんと、涙が出ちゃうんです。優しすぎて。人間って捨てたもんじゃないなって。私、生きてて良かったんだねって思えます。こんな風に迎えてくれるのは、演劇だと、こまつ座以外に無いのでは?

 いつものことですが、何度も涙しました。言葉が優しいんです。脚本はもちろんですが、役者さんの演技も底なしに明るくて暖かくて、私の体のすみずみまで許してくれます。こまつ座のお芝居は人間の優しさに気づかせてくれるんです。

 さて、井上さんの珠玉のセリフたちの中から少しご紹介します。(セリフは完全に正確ではありません)

 「なぜ?なぜ?疑問。疑問。人間にとって一つの疑問は、世界の重さと同じ。止まれ。止まれ。あわてずに止まれ。」
 「ここで共に暮らして行こうという意志と、よりよい生活を目指そうという願い。それが国を作る根本である。」
 「”三度のご飯をきちんと食べて、火の用心。元気に生きよう。きっとね。”これこそ人民が求めているものだ。」

 最後は、やはり脚本が尻切れトンボになっている感が否めませんでしたが、充分すぎるほどの言葉と愛情をいただきましたから、平気でした。何があってもこまつ座は観つづけたいと思います。

作=井上ひさし 演出=鵜山仁 
出演=辻萬長/剣幸/神野三鈴/宮地雅子/ほか
紀伊国屋書店 : http://www.kinokuniya.co.jp/
こまつ座(2005年加筆):http://www.komatsuza.co.jp/

Posted by shinobu at 01:10 | TrackBack

2003年05月06日

ヨーロッパ企画『囲むフォーメーション』05/01-03下北沢駅前劇場

 京都からガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルに出場したのが記憶に新しい、ヨーロッパ企画。同志社大学演劇サークルから出てきた劇団だそうです。

 アイデアがとても面白いし、独特のセリフと間でスカーン!と気持ちよく笑わせてくれるし、賢くないと書けないような薀蓄(うんちく)あるテキストで頭をギュルンと体操させてくれるのですが、私は2時間15分の上演時間のうち1時間は寝てしまってたと思います・・・。ごめんなさい。9つもエピソードいらないと思います。ニュアンスとかテイストとかだけで2時間はもたせられないと思います。

 でも、観に行ってよかった。気持ちのいい若さを感じました。

 短編が非常に得意な劇団だとは聞いていたのですが、まさにその通りなんでしょうね。オムニバス形式だとめちゃくちゃ面白いのかもしれないです。

ヨーロッパ企画HP : http://www.donet.gr.jp/~europe/

Posted by shinobu at 00:48 | TrackBack

2003年05月02日

「水と油」プレゼンツ『子どもが主役のマイム・パフォーマンス“胡桃の中”』05/11アサヒスクエアA

 去年、朝日舞台芸術賞 寺山修司賞、キリンダンスサポートを受賞したダンス・カンパニー「水と油」。エジンバラのフェスティバルでも日本人で初めて賞を取っていて、グローバルに評価されている男3人・女1人の4人組です。

 小学校4年生と5年生の男女7人と、水と油の3人とのマイム・パフォーマンス。子供のピアノやバレエの発表会のような、初々しい40分間でした。その後のトークは観ずに帰りました。

 突然、体が大きくなってしまった(小さくなってしまった)男。飛行機、カフェ、鏡、など。小学生の素朴な動きと水と油メンバーの優しい視線に胸が熱くなりました。大人と子供のからだの大きさの違いと遠近感を巧く使って、コミカルかつシックに見せたオープニングには感動。常に子供を主役に見せる構成になっているのがとにかく気持ちいい。

 衣装がいいですね~。色使いや形がフランス風です。男の子はシャツにネクタイ、女の子はワンピース。男の子達の真っ黒のコートがそれぞれ型違いで渋い!音楽も選曲もすっごく良かった。空間とマッチしていました。映画「ハリー・ポッター」のBGMがあった気がしたのですが(間違ってたらすみません)、それもすごくウキウキしました。

 アサヒスクエアAというホールは、あの黄色い雲(?)のオブジェが乗っかったヘンテコな形の黒いビルの中にありました。エレベーターがすごかった!ドアの取っ手がすごかった!トイレがすごかった!こんなところで発表会なんて。凄い。でもやっぱり千川小学校で観たかったかも。そもそも学校の体育館でやるイベントだったんですもの。こんな豪華なホールでやると趣旨自体が変わる気がします。再演してもらえて嬉しいんだけど。

 残念なことに受付、接客などの不手際が目立ちました。興行ではなく発表会的な催し物だったので、しょうがないかとも思いますが、やっぱりお金を取るんだし一般に宣伝もしているんだし、もう少ししっかりしてもらいたいですね。桟敷席はつらかったです。

 水と油の次の公演『急降下』は、世田谷パブリックシアターで8/21-24です。6/6(金)前売り開始。

 特定非営利活動法人 芸術家と子どもたち:http://members.tripod.co.jp/ASIAS/
 水と油 : http://www.mizutoabura.com/

Posted by shinobu at 00:22 | TrackBack