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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年10月26日

カンパニー・マギー・マラン『拍手は食べられない』10/23-26世田谷パブリックシアター

 チラシに惹かれてチケットを取りました。ダンスの世界も非常に奥深いので、演劇で埋まっている時期はなるべくダンスのチラシなどは目に入れないようにしているのですがあまりに素敵だったので、つい。

 でも、チラシどおりでした。チラシ以上でも以下でもなかった(笑)。生で観るのだから、チラシの世界を越えてくれないと困るんですけどねー。45分で飽きちゃいましたねー。寝不足だったら10分で寝てたかも。あのすだれのような幕は楽しめましたが、それだけじゃー物足りないですよ。やっぱり。私のまわりの席では寝る人続出。とりあえず両隣りと前の2人はすごく早くから眠りに落ちていました。

 なにしろ繰り返しが多いです。
 まったく同じ振付というのではなく、コンセプトというか、根本がずーっと変わらないんです。

 歩き方や立ち姿、衣裳については普段着のスタイル。かっこつけたり、優雅にふるまったりしないんです。普段着でどかどか、づかづか、と自分の家の近くを何も考えずに散歩しているような歩き方。他人に全く気を使わない、ひょうひょうとした佇まい。

 音楽はほぼ全編にわたってノイズ音楽。ノイズだけじゃなくて音楽にはなっていましたが、車が通り過ぎる音や、爆弾の爆撃音のような、現代の具体的な現象を表すノイズだったように思いました。照明は単調でした。明るくなったり暗くなったりのグラデーションがゆっくりと繰り返されるだけ。エンディング以外は。

 色使いが素晴らしかったです。これにひっかかって観に行っちゃったぐらいですからね。オレンジ、水色、黄土色、茶色、サーモン・ピンク、紫・・・あざやかで、ちょっとメローな配色のすだれ。衣裳もそれに順ずる色使いでした。形はかっこ良いとは思えなかったけど、色は良かった。

 全体を通して、私が感じたのは以下。
 「これは戦争を表しているなー・・・。戦争に限らず人間同士のぶつかり合いかも。ばったり出会ったら、互いの様子を見つつ一方が誰かを巻き込んで、相手一人だけをいじめる。ある一人(国)が倒れたら、知らないところでもう一人(国)が倒れる。突然抱き合ったり、突然殴りあったり。だけど、何事もなかったように素早く立ち去る。互いに同じ行動(振付)をするけれど、あくまでも調和ではなく、暗黙のルールに乗っ取って互いを見張りつつ動く。・・・」
 などなどです。

 後からチラシの裏を読んでみたら、本当にそういう感じのことを意図していたようなんですよね。私としては、それを超えて、そこから何が始まるのか、さらに、そこで幸せになるまでを表して欲しいと思います。

 世田谷パブリックシアター : http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/

Posted by shinobu at 17:07

2003年10月25日

ピチチ5(クインテット)『大クラシック』10/24-26中野スタジオあくとれ

 『第1回歌フェスティバル』で初見だったピチチ5。あまりの面白さに愕然だったんです。「とにかく絶対面白いです。爆笑間違い無し、と、思う。」と、スケジュールで宣言しておりましたが、大当たり!!!
 苦笑、爆笑、感涙ですよ。スケールが壮大なんです。2回泣きました。あぁ~・・・もいっかい観たい!
 見逃したら損です。ほんと必見。
 私の今年の小劇場作品No.1になると思います。このぶんだと。

 以下、ネタバレします。

 『大クラシック』というタイトル。なるほど!
 レンタル・ビデオ屋、フリーター、東京での一人暮らし、失恋、キャバクラ、ガンダム、タイムマシン。現代の若い日本男児の王道ですよ。大きな夢を胸に田舎から東京に出てきたけど、今はしがないフリーター生活。中古車販売会社で暴力社長に侮辱されながら飼い殺されるままでいるダメ・サラリーマン。将来のために何かやってるかって別に何もやってない。そんな俺たちにもささやかな望みがある・・・・。

 ことごとくみじめなんです。薄汚れてて、ブサイクで。体の奥から湧き出てくる妄想!欲望!男なんて、みんなこんなもんさっ!実はこうなんだいっ!赤裸々に本音を吐露し、不恰好を露骨に笑いにしていきます。それがしみじみと滑稽で憎めない、というより心から惚れ込むきもちを抑えられないんです。

 脚本・演出の福原充則さんはすごいです。センスが私には全てツボ!
 「自転車になる!」にしびれました。あれで泣きました。
 「やりたいことは何だ?」「好きな女のアンジェリーナを・・・」とかね(笑)。もー・・・えらい!
 そういうエロって必然じゃないと引くだけなんですよね。完璧でした。
 選曲もすごかったなー。装置も小道具もピン・ポイントで最大の効果を発揮していました。

 役者さんも粒ぞろいです。知る人ぞ知る、個性&技術あふれる強者どもの集結。紅一点の女優さんについても、演技もキャラも生かされていました。

 いいもん観せてもらったな~・・・・元気もらったな~・・・・。
 やっぱりスゴイ人っているんだね!嬉しい!

 にんぎょう劇のピチチ : http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html
  ↑HPもめちゃくちゃ凝っていて笑えます。

脚本・演出=福原充則
出演=植田裕一(蜜)/野間口徹(親族代表)/三浦竜一(暴動mini)/三土幸敏(悪運ダイヤ)/ 山下純(こどもとあそぶ)/吉見匡雄/永渕倫

Posted by shinobu at 17:14

2003年10月24日

東京オレンジ『SYMPHONY』10/22-27こまばアゴラ劇場

 『SYMPHONY』とは交響曲の意。
 東京オレンジは若手劇団へと変貌と遂げつつある、とは聞いていましたが確かに若手、若手、若手。こちらが赤面するほど。

 学園ものでした。真っ向から。最後まで。とにかく学園もの。文化祭とか、教師と生徒のなんちゃらとか・・・・。そんな作品だとは全く想像していませんでした。もっと実験的なものかと思っていたので。

 ・・・公演の目的がわからなかったです。
 お得意のインプロ(即興)でもなく、かといって普通のお芝居でもなく。出演者の名前をもじった役名だし、ラストは突然本名で出ちゃうし。突然全てが無根拠に解決しちゃうし。

 音楽が常に鳴っていて、ちょっとうるさかったな。場を過剰に盛り上げちゃって反対にシラけちゃう気がします。
 選曲が時代遅れ。意図的にやっているとしても”若手劇団”の色を濃くするならば、的外れだと思います。例:「15の夜」by尾崎豊、「僕たちの失敗」fromTVドラマ”高校教師”、
 他にもネタで”たこ八郎”とか”夢芝居by梅沢富男”とか。”千代大海”まで来るともう何が何だか不明。客層は若いはずだし、わかる人の方が少ないと思います。しのびゅは知ってるけど引きました。

 音楽家とヒロインがいる後ろで4人の役者さんが一人ずつ語るところは、セリフも雰囲気も良かったです。

 客演の芳賀淳子さん(エレクトロ・カーディオグラム)が一番上手いっていうのは・・・悲しい。

 オープニングは”風船爆弾”でした。昔よく聞いた歌でした。誰のだっけ??
 ジュン・スカイ・ウォーカーとか、ブルーハーツとかそんな色の曲です。

 東京オレンジHP : http://oranje.jp/

Posted by shinobu at 17:22

2003年10月23日

プラチナ・ペーパーズ製作『ラフカット2003』10/22-26スペース・ゼロ

 『ラフカット』は毎年スペースゼロにて行われているプロジェクトで、有名な脚本家と演出家をそろえ、出演者は全てオーディションによって決まります。若い役者が有名になる前の登竜門のような存在になってきていますよね。素敵なことだと思います。
 30分の短編4話のオムニバス形式です。

■第1話『ウインカーを、美ヶ原へ』土田英生(脚本) G2(演出)
 土田さんの劇団のMONOのテイストをついつい期待してしまうので、かみあってない感じがつらかった。
 川村黄粉さん。好きな男の子を取られて先輩に当たるヤな感じの若い女の子役。光ってましたねー。

■第2話『消息を絶つ』G2(脚本・演出) 
 クールでハードボイルド風なワルの話にナンセンスを足した感じを狙ったのかもしれませんが、足りていなかったですね。
 もっとはっちゃけた演技をする人が多くなければ、その世界は作れないと思います。
 渡辺慎一郎さん。「結婚しよう」と言う男の子役。非常に好感の持てるかわいらしい青年役でした。

■第3話『ビートバン・ゴー!ゴー!』堤 泰之(脚本・演出)
 4つの中でダントツ一番面白かったです。役者さんもすごくしっかりしていました。役作りからきちんと指導されたんじゃないかなー。
 エロは苦手なんですが、最後の影絵にひいちゃっただけで、あとは全て刺激が気持ちよかったです。

■第4話『ファイナリスト』福田卓郎(脚本) 堤 泰之(演出)
 ものすごく真面目なお話を、ものすごく真っ直ぐな演出で作りきった、ど真ん中ストレート青春ドラマ。
 けっこう見ごたえがありましたね。若者の本気の会話劇でした。
 池永さつきさん。TV番組制作会社の女。ヤな女~。こういうの、必要ですよね~。

ラフカット2003のサイト : http://www.spacezero.co.jp/roughcut2003kokuti.htm

Posted by shinobu at 17:26

2003年10月21日

tpt『スズメバチ -extremities』10/3-21ベニサン・ピット

 tptは見逃さないようにしています。
 アメリカのレイプのお話でした。レイプの起こる様子、その直後、そして顛末。

 女3人暮らしの一軒家に見知らぬ男が入ってくる。その時一人で家にいたマージョリーはその男に襲われて・・・。

 アメリカではレイプ事件というと「お互い様」というイメージが強いそうです。「男をその気にさせた(誘惑した)女も悪い」という考え方が普通にあるらしい(当日パンフレットより)。だから、圧倒的に女が弱者である時のレイプの様子を生々しく演劇で見せることによってレイプおよび言葉によるレイプの卑劣さ、残酷さを知らしめたことが、このお芝居のハリウッドでの功績のようです。
 私はレイプについて「女から誘う」というようなイメージは全く沸かないなー。日本人だからかも。これから観られる方は、異文化に触れる気持ちで挑むとより深く楽しめるかもしれません。

 男(千葉哲也さん)がマージョリー(中川安奈さん)を襲うシーンは、激しければ激しいほどストーリーに説得力が増すので、ああでなければならないんですよね。スーザン・サランドンやファラ・フォーセット、カレン・アレンなどの大女優が演じてきたマージョリーの役ですが、怪我が絶えなかったそうです。

 女友達がマージョリーに対して赤裸々な反発心を表すシーンがとても興味深かった。このお芝居の見所じゃないかな。アメリカっぽいし。マージョリーってやっぱりヤな女なんだよねー。美人でスタイルよくてお金持ちでわがままで(笑)。そうとう魅力的な女ですよ、それだけで。
会話劇は二転三転するのがスリリングで面白いですよね。

 舞台はリアルな木造の一軒家のリビングで、アメリカの田舎のイメージが非常によく出ていました。くらげの水槽が良いスパイスになっていましたね。お金持ちが住んでいる家なんだってことがオープニングから暗に示されていてかっこいい。

 ベニサンピットでtptだからこそ上質にできる作品です。千葉さんで笑えるのが救い。他ではなるべく観たくないなー、レイプの話なんて(笑)。

出演:中川安奈 千葉哲也 伊澤希旨子 富沢亜古
作:ウィリアム・マストロシモーン 訳:常田景子 演出:松本きょうじ 美術:中根聡子 照明:佐野雅昭 衣裳:原まさみ 音響:藤田赤目 ヘアメイク:鎌田直樹
tpt : http://www.tpt.co.jp

Posted by shinobu at 17:19

2003年10月18日

サッカリン・サーカス『オクスリオペラ』10/16-10/19ザムザ阿佐ヶ谷

 正式なタイトルは『公団住宅一幕劇 +オクスリオペラ+ ~健康になるためなら死んでもよくってよ、私。~』。
 TANIさんの書き込みを読んで興味が湧いたので、観に行ってきました。
 
 ※「しのぶの観劇掲示板」だった時の、お返事の形式になっています。

> チラシのビジュアルを見て引かない人にはお薦めできます。
 そう。チラシがね。私はかなり苦手です。作品はチラシのイメージとは随分ちがう内容でしたよね?投げっぱなしの毒々しいパフォーマンス芝居のように想像していたのですが、しっかり主張のあるストーリーものでした。歌って踊っての万人向けエンターテイメントだったし。チラシでかなり損してると思うんですが・・・・それがポリシーかもしれないしねー。難しいところです。

 TANIさんのおっしゃるとおり、ストーリーが二転三転しましたね~。ミュージカル風ドタバタ・コメディーかと思いきや、突然ブラックユーモア満載のアングラ風になり、最後にはウェルメイドのドラマにまで発展しました。よくもここまで書き込んだ!って言いたくなる脚本です。まさかあんな展開になるとは、意外や意外。てゆーか意外すぎ(笑)。

 ブラックな設定だけど子供向け演劇のようなまっとうさがある、独特の空間だったと思います。例えば、踊りと歌があくまでも楽しくPOPに挿入されることや、衣裳が派手でちょっと下品な感じが大衆向けです。主人公の明子が観客に向かって語りかける形式には驚き。古いスタイルですが、かなりわかりやすいです。

 装置のバランスが良かったですね。ザムザ阿佐ヶ谷のムードにぴったりでした。あそこは公団住宅、あそこはお金持ちの豪邸、という風に舞台がパート分けされていてその境界をぴょんと飛び越える事にちゃんと意味を持たせていのは、しっかりした演出だなーと思いました。

 ただ、2時間強は長かった~。もっとスリムにできたんじゃないかな~。富山の薬売りから、健康のためのサプリメント類を大量に、定期的に買っている健康オタク家族。父親は無職。母親は元ホステス。長男は引きこもり。末娘はまだ何もわからないガキんちょ。長女の明子だけがまともで、貧しいながらも必死で勉学にいそしむ高校生。塾講師のエリートの彼氏がいて・・・という設定だけで1時間は割いていたと思います。私はそれが本筋だと思っていましたが、そうじゃなかったんです。本題はその後、しかも1つじゃなくて、2つありました。(末娘の復活とその後始末&母親と長男の罪の自白)

 チラシにちゃんと「末娘が倒れてから事態は急変する」と書いてありましたからああいう展開になることは最初から決まっていて、後からエピソードを付け足していったのではないはずです。だったら、もっと前半はあっさり進む方が良かったんじゃないかしら。ラストにみんなで合唱していた歌の歌詞がちょっと説教くさい内容だったのですが、それも、より素直に伝わるようになると思います。

 宇田川千珠子さん。ヒロイン。女子高生の明子。ちょっとハスキーな声がすごく良いです。客に向かって話しかけるのが自然。かなり気に入ってしまいました。怒鳴っても困っても、ある一線できちんと止めてくれるのは非常に品があると思います。
 堀口茉純さん。末娘役。倒れるまでのお子様演技が上手いと思いました。もしかすると素キャラかもしれないので、次回公演で確認したいです。
 松下哲さん。越中富山の薬売り役。まあまあ、でしたね。そつがないというか。固定キャラですね。松下さんが出演するのをHPで発見したのも、このお芝居を観ると決めた理由のひとつでした。「走れ!ばばあの群れ」「踊る大仏どきっ(だっけ?)」時代のご活躍をいまだ忘れられないんです。

> 早稲田大学が母体の小劇場劇団。
> 演出家の伊地知ナナコ(未だに読めない)はどっかで演出賞をもらったばかり。
何をもらわれたのでしょう?
第6回沖縄市戯曲大賞受賞のこと?なんか沖縄でお芝居やるみたいですね。
 →HPによると 第6回沖縄市戯曲賞大賞受賞、2002年度日本演出者協会若手演出家優秀賞受賞

> 毎度、かなり頻繁に挿入されるオリジナルの歌とダンスが見物の一つ。
> ビジュアル的にはポップでキッチュ、ギャグはくだらなくて馬鹿馬鹿しく、それでいて物語は結構ブラック。
> ユーモアがブラックなだけじゃなくて、人間の見たくない一面をさり気なく話に絡めて来る。
> 妙なテイストと勢いのある劇団です。
 作品のイメージについてはTANIさんの説明だけで完璧!私もおっしゃるとおりだと感じました。

> 末娘・イソ子が家族をつないでいるという設定の割にイソ子の台詞と出番が軽く、
> 今一つ彼女を囲む家庭の画が見えなかった点や、
 これまたほぼ同じ感想です。末娘のイソ子があんなに重要な人物になるとは全く想像できませんでした。というか「私達は偽物の家族だ」というセリフは軽すぎるんじゃないかな。そこは甘いなーと思います。

> どん底な気分を味わわせてくれた後にハッピー・エンドで締め括る、よくできた芝居でした。
 ハッピー・エンドにしていることは、とても勇気があると思います。ああいうのは不幸にしてしまう方が簡単に終われますからね。そこが作・演出の伊地知(いぢち)ナナコさんの魅力なのかもしれませんね。

 ところで『公団住宅一幕劇』っていうけど、余裕で3幕あったよね??

サッカリンサーカス : http://www.h3.dion.ne.jp/~saccarin/

Posted by shinobu at 17:40

P.T.i.『あしたの情~基本的に、スーパースター~』10/17-18北沢タウンホール

 P.T.i.(ピー・ティー・アイ)は安元P遊香(Saliva)の”P”と今奈良孝行(エッへ)の”T(Takayuki)”と石原正一(石原正一ショー)の”i(sho-ichi)”をあわせた団体名のようです。

 ストーリーは少年ジャンプによくあるツワモノ対決もの。題材は創作プロレス。「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」「あしたのジョー(これは少年マガジンですね)」などがモチーフでセリフにも音楽にも漫画のパロディー続出。世代的には団塊の世代ジュニア向け(27歳~35歳ぐらい?)です。
 まあ、とにかくリングの上でプロレスみたいに格闘技で対決するんですよ。血気盛んな若者たちが。それだけです。そこに主役とライバルの恋愛が挟まります。遊香さんと伊達さんと恋に落ちるっていう設定はよくわからなかったけど(笑)何につけても恋愛は不可欠ですからOK!

 舞台は北沢タウンホールを段差なしでそのまま使って、中央にプロレス・リング。まわりにマットレス。それだけ。
 そこで繰り広げられる体を張った勝負。本気でした。本当に叩いていました。投げ飛ばされてました。けが人も出たんです!まぶたから血が!!
 でも、しのびゅはそういう段取り(脚本)なんだと思っていました。「テクニカルファール!」とか言ってたし。カーテンコールで今奈良さんが怪我をした役者さんのことを言い出すまで全く気が付かなかった。あの時、舞台にいたのは役者さんたちほぼ全員ですから、皆さんのアドリブのフォローがめちゃくちゃ上手かったってことです。

 とにかく衝撃を受けたのは役者さんがうまいこと。
 うまいって言うと語弊があるかな~。心意気、かな。態度。覚悟。生き方。役者って、こういうことを引き受けなきゃだめな職業なんだってあらためて思いました。

 HPの稽古場リポートを見ればわかりますが、稽古時間も相当短いです。リングは本番の時しか借りていないわけだから、お互いイメージだけでお稽古しているんですよね。それにノリウチ(小屋入りした日に初日の幕が開く)なんですよ。7時開演だけど6時半までゲネプロをやっていたそうです。ほとんど2連続公演だったと思うと、そのスタミナにも感動。

 キャストは小劇場的に超豪華です。下記、気になった方々について。
 今奈良孝行さん(EHHE)。一番体を張ってました。かっこ良かった。カーテンコールでの男っぷりもほれぼれでした。
 安元P遊香さん(Saliva)。きつくてイイ女のイメージだったんですが、柔らかいし可愛いし。力持ち!
 伊達暁さん(阿佐ヶ谷スパイダース)。かっこ良かったですが、恐すぎました。狂っちゃうところはもっと楽にやってもらえた方が良かったかな。

 永野宗典さん(ヨーロッパ企画) 清涼剤でした。空気が好き。
 野村朋子さん(主婦・元ハイレグ)。熱さと真剣さに打たれました。女から見てかっこいい。
 Dr.エクアドルさん(ゴキブリコンビナート)。誰だか全然わからなかった。浮いていた気がする。
 エル・ニンジャさん(無所属)。プロレスラーさんですよね?技を見せて頂きました。ありがとうございました。
 土屋雄さん(innerchild)。怪我、大丈夫でしょうか。ジャンプ力すごいですねー。
 日高勝郎さん。おっちゃんキャラでしたね。牛乳屋『Earth, Love, Travel』を思い出しました。
 隠れゲストさん。もしかして、ほんとに?え??だとしたらスゴイ。でもオーラはなかったな~。
 ※後から出演者の方に確認したところ、本当に中村獅堂さんでした。

 えっと、しのびゅは知ってる役者さん(もしくは、何度か拝見している方々)ばかりだったので楽しめましたが全くの演劇素人の人が観たらどうかというと・・・たぶん面白くなかっただろうと思います。ひいちゃうばかりでしょう(笑)。

 P.T.i.(ピー・ティー・アイ)公式webサイト : http://pti200310.tripod.co.jp/

Posted by shinobu at 17:30

2003年10月16日

動物電気『オールとんかつ』10/10-19中野ザ・ポケット

 動物電気は伊藤美穂さんが出演されるので必ず観にいきます。

 毎回、オープニングにちょっとしたコントを披露してくださるんですが、それが期待を裏切らないんです。一つ、二つボケて、三つ、四つと、さらに被せて、必ず笑わせてくれます。動物電気はあれが一番楽しみかも。

 今回は「とんかつ屋さんの人情喜劇」でした。セットがいかにも町のとんかつ屋。昭和の時代のお店の風景。今から10年ぐらい昔にさかのぼって、今日までのとんかつ屋の歴史を振り返ります。場面転換でその頃のヒット歌謡曲が流れるのは楽しかった。シャ乱Qの『ずるい女』って名曲だな~とか聞き入ったりして。

 今回は私が大好きな伊藤美穂さんがヒロインだったので目に嬉しかったですが、全般的に退屈でした。飽きたのではなく、物語の弱さが原因のような気がします。前回の『集まれ!夏野菜』が面白かったので、比べちゃったしね。

 中野ザ・ポケットの一番後ろの席だったのは残念でした。あれは遠いッス。単純に迫力に欠けました。”体を張った”芸を見るのはカブリツキがいいよな~。動物電気はまた駅前劇場で観たいですね。

 超満員の劇場で10周年記念の本が販売されてしました。1冊1,000円。

動物電気 : http://www.doubutsu-denki.com/

Posted by shinobu at 17:53

2003年10月14日

遊◎機械オフィスプロデュース『宇宙で一番早い時計』10/3-20シアタートラム

 フィリップ・リドリーは日本では映画『柔らかい殻』で有名な映画監督で、イギリス人の劇作家です。去年の『ピッチ・フォーク・ディズニー』に引き続き、演出:白井晃、美術:松井るみのコンビによるシアタートラムでのリドリー作品の上演、第2段です。

 細かいところまで精密に、丹精こめて創り上げられた、繊細なドールハウスのような作品でした。ほんの少しでも触れることを許されない、今にも壊れそうなドールハウス。金網が張り巡らされ、鳥の剥製や熊の毛皮で荒々しく飾られた人形の家で手編みの絹レースやミンクの毛皮で豪華に着飾った操り人形たちがくりひろげる、滑稽なからくり芝居。

 ストーリーや登場人物のキャラクター設定など、普段ならいろいろ知ったかぶって言及するところなのですが私は、舞台をこの上なくいとおしく見つめる、白井さんの視線を体中で感じた気がしたんです。それだけで十分です。

 松井るみさんの美術はまたもや必見ものです。シアタートラムをあの方向で使ったのを観たは初めて観ました。トラムの壁を有効利用する、というのはあの劇場での課題の一つであり色んな公演でそれが生かされていますが、今回ほど上手に、劇場と完全に融和している舞台は(しのびゅの観る限りでは)なかったと思います。

 古いアパート。天井部分には金網が張られている。上下に分断された横に長細い額縁舞台。とても「アンティーク」とは呼べないガラクタのような家具がいっぱい散在しています。面白いのは時代も国も飛び越えちゃっていること。フレンチ・モダンっぽい金色のイス、学校の理科室に置いてあるようなシンク、アメリカン・カントリー・スタイルのダイニングセット、イタリアン・アンティークの古ぼけたソファ。そこに無数の鳥の剥製。金網の天井に無理やり開けられた穴からはみ出してぶらさがるシャンデリアと裸電球。カフェでよく見かける木製のチェアがまとめて10個ずつぐらい、劇場の天井から葡萄の房のようにぶら下がっています。きれいなセリフをBGMのように聞きながら、舞台を隅々まで眺めている時間が長かったです。至福の時でした。

 吉川ひなのさんが本番直前に降板して、ヒロインは富浜薫さんが演じられています。短時間であれだけやりきった富浜さんはすごいとは思いますが、やっぱりひなのちゃんで観たかったですね~。キャスティングって大事ですよね。というか、この作品に関しては本当にキャスティングをした人、すごいなって思います。あの役がひなのちゃんだったら完璧だと思うんですよ。三谷幸喜さんの『You Are The Top~今宵の君~』と同じく。あ、あれも世田谷だったな~。(加賀丈史さんの替わりに浅野和之さんが抜擢されました。)

 鈴木一真さん。究極の嘘つきのゲイの不良男。なのに、品があります。肢体も美しいし、まさにはまり役。声もきれい。
 浅野和之さん。うますぎる。いつも技術がすごいと思います。キワ者ばかりやられるのに、観ていて全然ひかないんです。ちょうどいいところでコメディーにしているから。どうしても憎めない人物、好きにならずにいられない人になってくれるから。
 小栗旬さん。きれいな男の子でした。若者らしくのびのびしていて良かったです。次は蜷川さんの『ハムレット』で藤原達也くんと共演ですね。楽しみです。
 草村礼子さん。80歳ぐらいの老婆の大家さん役。ラスト近くの「・・・それが、純粋で無垢なる毛皮だった」のセリフで私の目から涙が搾り出されました。

 「宇宙で一番早い時計。それは・・・」(ネタバレするので書きません。)の浅野さんのセリフが素晴らしかった。白井さんのどうしようもない優しさが私の心の深みに届きました。

出演:鈴木一真 浅野和之 吉川ひなの 小栗旬 草村礼子
※吉川ひなのが本番直前に降板し代役は富浜薫。
世田谷パブリックシアター : http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/

Posted by shinobu at 18:13

2003年10月12日

劇団まくらまくら企画公演『フリーバード』10/10-12早稲田大学学生会館B2

 お友達が関わっているので観にいきました。私は初・早稲田観劇!カンパ制も初めて♪
 ※カンパ制とは、チケットは買わずに観終わってから好きな額をカンパする形式。0円でも100万円でもOK。

 前回の『鶯(うぐいす)』という作品に比べると、全てが数段レベルアップしていましたね。

 まず舞台美術(菅原あや)がきれい!未来のお話ということで、全体が白で統一されていました。石膏や自然素材系の布を使っているので温かみがあり、テカテカの未来ものにするよりも、かえって臨場感がありました。ラストに壁が開くのも効果的。低予算を乗り越えて、世界をしっかり作り上げていました。

 衣裳もカラフルで楽しげでした。(ほぼ)無料公演なのによくあんなに作ったな~と思いました。デザインもちゃんと未来のランナーのイメージを具現化できていました。
 照明はシンプルの極地でしたね。舞台が白で衣裳が原色カラフルだったからちょうど良かった気がします。
 音楽はダメでしたね~。どこかで聞いたことのあるようなメジャーな曲ばかりでしかもかなりダサイ選曲でした。

 役者さんは前回に比べると途方もなく上手くなっていたと思います。セリフを忘れちゃっている人もいましたけど、それはまあ可愛い女の子だし、学生のカンパ公演(無料)だし、ご愛嬌。

 脚本は前回とは全く違うステージに入っていました。いきなりアクション・エンタテインメントでしたね。しかもかなりちゃんとしてる。クライマックス近くでロボットが出て来るくだりはちょっとイケてないと思いましたけど。楽しいセリフもいくつかありました。
 「うすらバカ!おたんこナス!」
 「不可能インポッシブル」
 「アロイを漢字で書くと・・・」
 「子供産みたい。卵でもいい。産卵したい。」

 とにかく感じたのは、若いってスゴイ!!!ってこと。経験がないから、こだわりがないんですよね。プライドがない。だからそれまでの自分を簡単に壊して、次の自分を作り出すことができるんです。しかも体力と希望があるから、そのスピードがべらぼうに早い。かなり元気をもらいました。

 ・・・・というのが、公演が終わった直後の感想でした。でも、その数時間後、全てが崩れ去りました。友達が言ったんです。
 「あれ、『破壊ランナー』まんまだよね。」
 ・・・・え? なにそれ??

劇団まくらまくら : http://shinjuku.cool.ne.jp/makura2/


続き。『破壊ランナー』とは?

 『破壊ランナー』は、今は亡き劇団”惑星ピスタチオ”の代表作の一つで、西田シャトナーさん作の未来SFアクション大作です。
 1993年初演で1995年に再演、1999年の再々演ではシアターアプルで14ステージという大規模公演。
 惑星ピスタチオ年表 http://www.appricot-bus.com/pistaccio/

 まねきねこさんのHP「演劇◎定点カメラ」内
 惑星ピスタチオ『破壊ランナー』シアターアプル(1999年6月)のレビュー
 http://homepage1.nifty.com/mneko/play/WA/19990613M.htm

 水銀灯さんのHP「Heaven's Gate」内→Air Gate →
 惑星ピスタチオ「破壊ランナー」レビュー 【ソニック・ランは何処までも】
 http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3576/scrap/scrap019.html

 『破壊ランナー』を劇場で観た友人によると、ストーリーの顛末はもちろん、オープニングで司会者風の男が人間の走行速度の歴史について述べることや黄色い衣裳を着た役者2人がTVの実況中継すること、エンディングで一人一人の役者が観客に配られた走行速度の歴史を1行ずつ読むこと等が一緒で主役の「豹二郎ダイアモンド」やライバル・キャラの「ライデン」「キャデラック」等の名前もそのまま使っているとのこと。「ソニック・ラン」についてもそう。ということは、完全コピーなの・・・?脚本は、アレンジもしてないってこと?私はオリジナルを観ていないので、想像ばかりが膨らんでしまいます。

 この『フリーバード』のチラシと当日パンフレットには”脚本・演出 山崎悟”と書かれいて、『破壊ランナー』関連のことは全く書かれていません。HPも同様です。昔の作品を上演することは、とっても素晴らしいことだと思うしどんどんやってもらいたい、挑戦してもらいたいって思います。でも「自分が作り出したものではない」ってことは、ちゃんと言わなきゃ。観た人に嘘をつくことになります。もちろん西田シャトナーさんにも失礼です。それどころか泥棒になっちゃうよね。

 学生が大学内で上演するカンパ公演だから・・・・ということで上演許可をもらわないでやっちゃう、というのはよくあるのかもしれません(絶対しちゃだめだけど)。明治大学の劇団の同じくカンパ公演のチラシで、夢の遊眠社(野田秀樹)の作品を何度か目にしています。でもそれには”作・野田秀樹”って書いてありました。(上演許可は取ってないと思いますが)だから、この劇団も一筆「西田シャトナー作『破壊ランナー』より」とか書けばよかったんですよね。チラシに間に合わなかったなら、せめて当日パンフレットに。

 このお芝居に関わっていた私の知り合いは、幸か不幸か、このことを知らなかったようでその人自身がすごくショックを受けていました。このお芝居に見合うと思った額をカンパした私も相当悲しいです。

 これから、この劇団だけでなく他の場面でも、こんなことが起こらないように強く願います。あえて長々と書かせていただきました。

 ご参考までに下記。私よりも説得力があるはず。
 佐藤治彦さんのHP『H(アッシュ)』 : http://www5e.biglobe.ne.jp/~haruhiko/
 コラム「感激の記録」内 “「猫のホテル」千葉雅子の勇気を称える”

Posted by shinobu at 17:51

ニ兎社『萩家の三姉妹』10/11-19世田谷パブリックシアター

 チェーホフの三人姉妹を下敷きに、永井愛さんが大胆にアレンジした“フェミニズム喜劇”だそうです。2000年の初演では紀伊國屋演劇賞団体賞をはじめ多くの賞を受賞しています。

 旧家・萩家に住む3人姉妹のそれぞれの恋模様を、女性の自立をからめて描かれています。
 長女はフェミニズムを研究するガチガチの大学助教授。
 二女は歯科医の夫と2人の子供を持つ良妻賢母。
 三女は貞操観念のない奔放な今どきの若者。
 父親の一周忌を境に三人三様の生き方が大爆笑(苦笑)と共につづられて行きます。あー・・・気持ちよく疲れた。

 私は原作本を読んでいたのもありますが、ものすごく冷静に拝見してしまいました。とにかく予想のつかない演技と展開の連続なんです。そしてラストはもっとブっ飛びます。「ええー・・・なんでそうなる? そこ、そういう意味??」と、おののき戸惑い、のめり込めなかったのが正直なところ。

 ファッション・デザイナーの山本耀司さんの言葉(映画「都市とモードのビデオノート」より)を思い出しました。
「僕には女性デザイナーのことは理解できない。
 例えば川久保玲(コム・デ・ギャルソン)、ソニア・リキエル、ヴィヴィアン・ウェストウッド。
 男のデザイナーの気持ちはわかるけれどね。
 ジャン・ポール・ゴルチエやイブ・サン・ローラン等。」(言葉は完全に正確ではありません。)

 コム・デ・ギャルソンの服って、形が体に沿ってないものが多いですよね。それを着たら体がまるで違う物体に見えるような。「美しい」とされるものをわざと壊して、汚していく感覚。そして全く新しいフォルムが生まれます。人間存在そのものを異物にしていき、その中に本質が見出されされていくような感覚なのではないかと思います。私は永井愛さんについても同じような気がしたんです。こうなるのが人間の常だろうと予想される展開を片っ端から壊していき、それを上から上から積み重ね、さらに最後にはそれさえもぶっ潰すというか。でもそのぐちゃぐちゃが完成された世界そのものなんです。それを、笑いと驚きをもって観客の心にスイっと入り込ませてしまう。女って強い。

 対して男性の演出家の作品は、円であったり球であったり、最終的にはきれいな形に納まることが多い気がしますね。坂手洋二さん、栗山民也さん、野田秀樹さん、デヴィッド・ルヴォーさん、ピーター・ブルックさんなど。そう考えていろいろ想像すると面白いです。

 オープニングや幕間明けの音楽に昔のヒット歌謡曲(だと思われる)が使われていました。「あなたのために操を守っているのよ、私。帰ってきて、あなた~♪」みたいな歌詞の、男性が歌っている演歌とか。そりゃもーむずがゆくって笑えます。一歩間違うと超ダサになる危険も省みず、全く大胆で奔放ですよね。というか恐いもの知らずです(笑)。

 渡辺えり子さん。長女。役柄がそうだとはいえ、ちょっとナーバス過ぎでしたね。ラストの三姉妹のセリフの言い合いは、ああ、このセリフは渡辺さんならではの説得力だ!と実感。でも、やっぱり初演の余貴美子さんで観たかった気がするなー。
 南谷朝子さん。二女。不倫の恋に落ち泥沼化。エリートから不良へ転落。禁じられた恋に落ちて狂う様子が破天荒。あそこで笑えるなんて!!芸ってすごい。
 岡本易代さん。三女。同時に2人の男と肉体関係を持つ。導き出した結論も自由奔放。あまり好きになれなかったんですが、渡辺さんと同様、ラストが非常に美しかった。

 土屋良太さん。三女のもう一人の恋人役。男らしいおとぼけキャラが素晴らしかったです。『オイル』ではあまり伝わらなかった魅力全開。鍛えられた体が笑えるし。
 大鷹明良さん。二女と不倫の恋に落ちる”プリンス”役。『浮標』で最高にイヤな感じの男の役を演じられて、私は背中からしびれてちゃったんですよね。顔と体と声と演技のバランスがめちゃくちゃちぐはぐなんです。それが妙でいい。彼にしかできない。

 しかし、世田谷パブリックシアターの一番前の席ってどうなんでしょ。積極的に、観づらいです。もう先行で買うのやめようかな~。

二兎社(にとしゃ) : http://www.nitosha.net/

Posted by shinobu at 17:04

2003年10月11日

サニーサイド ウォーカー『勝手にノスタルジー』10/10-12ART THEATER かもめ座

 サニーサイド ウォーカーは脚本家の辻野正樹さんと役者の成瀬優和さんとで立ち上げた演劇ユニット。成瀬さんはくろいぬパレードの二枚目役者さんでしたよね。旗揚げ公演です。

 「明日1日分の元気を」「散歩がてら、息抜きがてら」というのがユニットのキーワードだそうです。素敵ですよね。その言葉とおり、暖かいお芝居でした。

 司法浪人している若い男の子。突然自分のアパートに女装した3人の陽気な男たちがやってきた。刑務所から出所したばかりの友人のためにパーティーを開くと言う。勝手に入りこんできた彼等と当然言い合いになるが、あれよあれよという間に部屋に入り込まれて・・・。

 脚本が非常に早くから出来上がっていたと聞きました。なるほど納得でした。役者さん全員がすっかりそれぞれの役とフィットしていたから。本来は役者というのは当然そうでなければならないのですが、そうじゃない作品がほとんどなので(苦笑)そういう意味で完成度の高いお芝居だったと思います。

 脚本自体は展開の予想もつきやすいし、奇抜さが特にあるわけでもなかったです。ただ、そこ、ここに弱さと優しさがこぼれ落ちていました。素直でノーテンキで自然体の男の子たちを終始ほほえんで見つめていました。辻野正樹さんの演出のカラーなんでしょうか。また観たいですね。

 一人暮らしの6畳間が舞台なのですが、柱だけで壁がない状態。窮屈さを感じさせず良かったです。おかげで派手な照明もすっかり馴染んでいました。TVのコワイ話の時に一瞬、真っ青の照明になるのは楽しい。

 成瀬優和さん。正統派の二枚目ですねー。オトボケもお上手で。くろいぬパレードの中でも好きな俳優さんでしたし、これからのご活躍が楽しみです。
 川上冠仁さん(Attic Theater)。純真無垢で素直な男の子のキャラ、ぴったりですよね。ダンスにキレがあってお上手でした。元気ハツラツで可愛かったです。
 青山千洋さん(演劇集団キャラメルボックス)。スペガーvol.3に出てらっしゃいましたよね。予想外の動きと一拍遅れたボケとつっこみが心地よく、見ていてすごく安心な女優さんでした。

 SUNNY SIDE WALKER : http://sunnysidewalker.sunnydays.jp/

Posted by shinobu at 18:08

InnocentSphere『Genius Loci(ゲニウス・ロキ)地霊』10/9-13新宿シアターモリエール

 Innocent Sphere(イノセント・スフィア)は今年のパルテノン多摩演劇フェスティバルで最優秀作品賞、ベストスタッフワーク賞、ベストフォトジェニック賞を受賞した劇団です。
 その時セリフほぼゼロで大活躍だった日高勝郎さんが出演されるので足を運びました。

 面白かった~っっ!シアターモリエールでこんなに完成度の高い空間は初めてでした。演劇って、こんなに素直に楽しめるものなんだって再確認させられました。信じれば叶う。がんばったら報われる。物語には途方も無く大きくて強い力がある!1の次は2で、2の次には3が待ってるんだと信じられる、子供の頃のきれいな未来を感じさせてくれました。

 新宿の地下深くの巨大な穴の中に飛び込んだら、そこは地底人たちの戦場だった。「あぶないと思ったら、いつでも戻ってくるのよ」と脳裏に聞こえる声。はたと気付くとそこはいつもの日常。一体何が起こっているんだ?

 ここからネタバレします。

 実はそこは弟の心の中、自ら闇に引きこもる弟の病んだ心を癒すために、兄は弟の深層心理へと入って行く・・・。

 ストーリーは特に目新しいわけではなく、テーマはいわばありがちな現代の少年の病です。しかもその少年が14歳と来てますからまさにエヴァンゲリオン規格です。でもそれを素直に受け入れさせ、しかも感動させられる説得力のある構成でした。

 地上の日常と地下の戦線を何度も行ったり来たりしながら徐々に核心へと迫って行き、近未来SFアクション風から精神世界モノへと変化していくのには、かなり引き込まれます。マイムや殺陣、コンビネーションの動きがとても効果的。そして、配役が良かった。適材適所でした。深層心理下での弟の存在を女優さんが演じられるのはとても良いアイデアですよね。

 前回のパル多摩でもそうでしたが、オープニングがものすごくかっこいいです。映像もGOOD。オープニングに映像を使って役者紹介をするのはよくある手法なのですが、気取っていないので嫌味がないんです。ただ「かっこいい」。私は劇団員の方々の心構えの問題だと思うんです。これはオープニングに限らず全てにおいて言えることなのですが、役者に「自分をかっこよく見せたい」という気持ちがあると、表情や動作にそれが表れて、鼻につく演技になります。
 だけどイノセント・スフィアの役者さんたちは、ひとつの見せものとして、作品の中の一つのパーツとして存在し、お客様にストーリーと世界観を伝えるために、役柄になりきって、心を込めて演じているんです。演劇の基本をしっかりおさえて、決しておごることなく全力でやりきっているのは非常に好感が持てます。というより感動します。

 モリエールの奥行きを存分に利用して遠近感をうまく使った非常に立体的な舞台美術でした。奈落を使うのも見事。取り外し可能の舞台とはいえ、あんなに出はけに多用したらけっこう大変なはず。こだわりを感じます。衣裳もヘアメイクも良いですねー。ビジュアルと機能美の両方が備わっていました。

 脚本、美術、音楽、衣裳、ヘアメイク、アクション、演技演出の全てに手抜きがなく、総合的にまとまっていてこの規模の公演としてはほぼ完璧といえる娯楽作品でした。ただ、一つだけ難を言わせてもらうとすると、音楽の種類が多すぎると思います。また、音楽が鳴っている時間が全体的に長いかなーと。特に音で効果を出したい時に目立たないですよね。もったいない。

 日高勝郎さん。乙五〇七番(都井)役。悪役が似合いますね~。ギラリと光る目がかっこいい。動きも機敏です。前回の弁慶役より出番が少なくて残念でしたが、存在感がありました。また次回も期待しています。

 劇団☆新感線のいのうえひでのりさんが観にいらしていました。なるほど、そういえば新感線と似ているかもしれませんね。でもイノセント・スフィアは、より素朴で素直で真面目な気がするなー。

 イノセント・スフィア : http://www.innocentsphere.com/

Posted by shinobu at 17:57

2003年10月10日

松竹『若き日のゴッホ Vincent in Brixton』10/1-13日生劇場

 ニコラス・ライト 作。

 桃井かおりさん目当てで早々から席をGETしていました。チラシや前評判からあまり期待をしないで観にいったのですが・・・すごく良かったです。特に桃井さんが!!

 最初の20分間があまりにスルっと始まりすぎて、セリフがだらだら流れて、尾上さん(ゴッホ役)は硬いしで、「途中休憩で帰ろう・・・」と心が決まりそうな状態でした。でも、あの、中盤の、桃井さんの後姿が・・・腕が・・・。シビレました。帰らずに済みました♪

 ニコラス・ライトさんの作品は日本で何本も紹介されているのですが、今回のように商業演劇で上演されるのは初めてだそうです。ものすごく深い思慮と洞察に富んだセリフ劇でした。ベニサンピットとかに似合うような。いい意味で予想を裏切られました。オリヴィエ賞最優秀作品賞受賞作、納得です。

 差し出がましいことなのですが、脚本の構成が完璧だと思いました。さりげなく、驚くほど普通に始まり、きちんと事件&奇跡を起こして休憩。後半しょっぱなに新しい人物を登場させて物語を違う方向から映し出し最後の幕は観客が全くついていけない急展開。すっかり頭が真っ白。いやおうなしに心が舞台に集中します。そしてラストはまたもやさりげなく、溶け込むように、輝きながら終わりました。

 ゴッホは気性の激しい男性で、すごく不遇な人生を送ったんですよね。生きているうちに売れた絵はたったの1枚。37歳でピストル自殺したことも有名です。この物語はゴッホがまだ「狂う」前、ゴッホにとって最初で最後の青春の日々をすごしたイギリスの町を舞台にしています。

 衣裳が美しかった・・・。さすが前田文子さんのデザインです。ドレスのパレード。あの腰のくびれ。あの胸のふくらみ。ツンとあがったお尻。長いすそ。細部まで計算しつくされた繊細な色使いと布使いにため息が出ます。必見です。

 舞台美術は私いちおしの横田あつみさん。舞台奥の空は床とつながった巨大なスクリーンで、ゴッホの筆のタッチの絵になっているんです。照明のあたり具合でそれが「晩鐘」や「種をまく人」にそっくりな色になるのは感動的。

 尾上菊之助さん。甘いマスクできれいに通る声で発音完璧で。だから歌舞伎役者さんってスゴイ!でも、もうちょっと余裕というか、遊びが欲しかった気もします。息がつまりすぎ、というか。
 桃井かおりさん。「女優」とはすなわち彼女のこと。セリフに予定調和が全くないんです。一言、一声を聞き逃したくないです。じっとしている時の肩、腕、手、腰、首・・・それぞれのパーツの先っぽまで、命が満ち足りていました。体の動きもいちいち美しいです。特に後ろ姿にぞっこん。

 出演者は5人だけだったんですが、全くそれを感じさせない舞台でした。町の人々の声や働く姿が当然のごとく頭に浮かんでいました。私は出演者が少ないお芝居については、そういう所を作品の良し悪しの判断材料にしています。

 松竹内: http://www.shochiku.co.jp/play/others/nissei/0310-1/index.html

Posted by shinobu at 16:48

2003年10月09日

ホリプロ『市村正親30周年記念リサイタル「オモチャ箱」』10/8-13シアターコクーン

 歌も踊りもコメディーもストレート・プレイも何でもござれのスーパー・アクター、市村正親さんの芸能生活30周年記念リサイタルでした。
 市村さん、コンサート(歌がメインの舞台)は初めてだそうでシアターコクーンも初めてだっておっしゃったんですが、本当かしら??

 オープニング。舞台上の巨大なおもちゃの箱からチョコンと顔を出したお茶目な市村さん。
 ♪ようこそ劇場へ。人生をゲームに仕立てて演技する。劇場はおもちゃ箱。役者は子供。さあはじめよう♪
 ・・・素敵!!盛りだくさんであっという間の2時間でした。私が特に楽しませていただいたものについて書きたいと思います。

 まず初めは、30年を一気に振り返るダンスと歌のメドレー。息つくまもない名曲の数々。30分間踊って歌ってノンストップ。すごい。

『ラストダンスは私と』車イスバージョン♪ 私の大のお気に入り。またもや涙ぼろぼろでしたよ。日本では越路吹雪さんが女の子の歌として歌って大ヒットした歌ですが、もともとはアメリカのドリフターズの曲で戦争に行って足を怪我してしまった男の人の歌なんです。車イスに座ったまま優しく歌う市村さん・・・必聴ですよ。

 『ラストダンス・・・』でしっとりした後は、SMAPを見て研究したらしい(パンフの三谷幸喜さんの文章によると)ヒップホップ。ラップでだじゃれを言いながら振り返るミュージカルソングの数々。市村さんのチャンレンジ精神は決して尽きないんですね。さすがに笑っちゃったけど。
 『ウエスト・サイド・ストーリー』から数曲踊られましたが脚が頭の上まで上がるんです。
 『エレファント・マン』の長ゼリフ。あー・・・泣けた。ほんとに。「僕の頭がこんなに大きいのは夢が詰まっているから」というセリフにこれほど心動かされるとは・・・。藤原達也君が完全にかすみましたね~。
 『オペラ座の怪人』のファントムは市村さんを最も有名にした役どころ。背中から照明を当て、顔が全く見えない状態での熱唱でした。オペラ座の怪人ってミュージカルだけど、本当に深いドラマだったんだなーって再確認。

 市村正親さん・・・。
 ほんっとその存在に感動です。嬉しくてとにかく感謝。出会えてよかった。明るくてほがらかで、軽やかでやんちゃで、どこからみても少年のまま。

 踊りや歌の他に、素敵な言葉も沢山いただきました。以下、市村語録のほんのさわりのご紹介です。
 「僕はお芝居は遊びだと思っています。こんなに遊んでお金をもらっちゃってごめんなさい!」
 「芝居は数珠の和。演出家、役者、お弁当を持ってくる人、チケットもぎりの人、お客様・・・。みんなが一つの輪になってつながっている。」
 「劇団四季入団(『ジーザス・クライスト・スーパースター』)のオーディション。『コーラスライン』のオーディション。『オペラ座の怪人』のオーディション。劇団四季を卒業して初めての『ミス・サイゴン』のオーディション。僕の人生の節目にはいつもオーディションがあった。」
 「僕はいつも旅の途中。」

 来年も『市村座』やるそうです。ご覧になった事の無い方、ぜひぜひ日本の演劇&ミュージカル界の太陽に触れてください!

 市村正親オフィシャル・ウェブ : http://www.ichis.com/

Posted by shinobu at 18:19

2003年10月08日

作:わかぎえふ/演出:G2『一郎ちゃんがゆく』10/3-26博品館劇場

 笠原浩夫さん(StudioLife)と野田晋市さん(リリパト・アーミーⅡ)が出演されるのでチケットGETしました。

 う~ん・・・升毅(ます・たけし)、全開!!大阪弁で自由自在でした。一人ボケつっこみも、やりまくり。しかも面白い。

 誰が日本で一番頭が良いのかを超難問の筆記試験で決める、なんていう本来ならば地味すぎてビジュアル化はムリでしょう!?っていうような戦いをお芝居にして、お笑いにしまうのが関西のパワーだなーと思います。

 美術、照明、衣裳などの組み合わせがどうも受け入れづらくて、約2時間の上演時間のうち楽しめたのは最後の20分間でした。まあ最後の20分は本当に楽しかったですけど。(「腹話術始めたの?」には爆笑。戦いも満喫。)あと、予想どおり笠原さんが最高でしたから満足です。

 衣裳が・・・・どう転んでも美しいとは言いがたいものでしたね。材質がものを言うドレスやタキシード等ばかりで、しかも何度も着替えるから枚数も多いし。特に気になりました。予算削減のために布の質を落とされたのかしら・・・なんて想像しながら観ちゃいました。最後の白のドレスが皺だらけに見えたんですが、私の勘違い?もともとそういう生地だとしたら、私はデザインの失敗だと思いますけど。

 あと、照明ですが、あんなに明るい紫ってどうなんでしょうか。他にもオレンジとか青とか、きっぱりした色を完全に独立した状態で使われている気がしました。それって見た目は派手なんだけど、すごく軽薄な感じになると思うんです。皇族、華族、舞踏会、晩餐会、というようなシチュエーションには合ってなかったんじゃないかなー。まあ好みの問題もあるかもしれませんけど。

 升毅さん。渋かった。かっこいい大阪のオヤジでした。ギャグも面白い。独壇場ですね。主役だしね。
 笠原浩夫さん。皇族役ぴったりでした。セリフも演技も素晴らしかった。笑いのセンスも気が利いていて楽しい。何と言っても物語に信憑性と臨場感を与えてくださいました。
 朝深大介さん。セリフも動きも早すぎて滑っていて硬かったです。オープニングを担う人ですしねー。残念。
 野田晋市さん。朝深さん同様にすごく浅い感じでした。残念。
 わかぎゑふさん。子役。わかぎさんだと気づいていないお客様もいました。すごく良かったです。
 若松武史さん。大好きなんですが・・・やりすぎ!

G2プロデュース内公演詳細サイト : 
http://www.g2produce.com/g2p/ichiro/index.html

Posted by shinobu at 12:28

2003年10月06日

ヒューリッド プロデュース『最後は二人きり』10/4-5阿佐ヶ谷アルシェ

 お友達が沢山関わっているので観にいきました。

 精神病になってしまった妻。せっかく退院してきたけれど、やっぱりまだ直ってはいなかった。快気祝いに夫の友人達が集まるが、そこに見知らぬ男がやってきて・・・。

 「ダークでメルヘンな会話劇」ということですが、確かにかなり暗かったですねー。メルヘン、というとあの猫かな?あれは、最初の登場シーンで、ものすごく不思議な気分を味わいました。顔かわいすぎ(笑)。

 けっこう消えもの(舞台でなくなるもの。例えばタバコ、食事など)や仕掛けが多かったです。

 ハロウィーンの楽団(?)と死んだ少年が扉を開けて飛び出てきて踊りまわり、去ると自動的に扉が閉まるのが素敵でした。音楽をオリジナルで作っているんですね。ジプシーっぽいのが好きでした。

 えと、これは私の好みの問題なんですが、あの、男の人の裸はあまり・・・見たくないですぅ(苦笑)。一体なぜ彼は裸になったんだろう!?今でもわからない。

 阿佐ヶ谷アルシェって初めて行きました。駅から近いし商店街も面白いし、それだけでけっこう楽しみました。

 オフィス・ヒューリッド : http://www.hu-lid.com

Posted by shinobu at 12:30

2003年10月03日

自転車キンクリートSTORE『人形の家』10/2-8THEATER/TOPS

 自転車キンクリートSTOREがTHEATER/TOPSで観られるのって贅沢ですよね。『人形の家』はイプセン作の女性の自立を描いた小説(だっけ?)だと歴史で習った覚えがあります。
 ネタバレしますので観に行くと決めていらっしゃる方はお読みにならないでください。

 まず純洋風のシックな美術にうっとりしました。舞台はきれいな応接間。家具は高級なイギリス製アンティーク等を思い浮かべていただけたら。へ~、そのまま西洋の世界のお話なのか~と思いきや、最初に出て来たヒロインの三鴨さんが大正ロマンっぽい派手な着物! やられたな~♪

 2時間20分休憩無し。ノンストップの緊張感はりつめたドラマでした。かなり疲れました。なぜだかすごく怖かった。平和100%の家庭に突然やってきた罠。とりつくろおうとするほどに醜くゆがんでいく世界。最後の嵐で全てが終わり、新しい何かが始まるんですね。

 鈴木裕美さんの演出はまず、わかりやすいと思います。観客フレンドリー。そして登場人物一人一人にあますところなくスポットライトを当て、人間の本性を優しく炙り出していきます。ラストが圧巻でした。三鴨さんも、山本さんも、その姿からあらゆる意味と感情が湧き出ていました。

 衣裳が良かったです。デザインも方向性も。着物なのに何度も早替えがあって素晴らしかった。

 美術も同様に良かった。特に壁がとても凝っていました。上から下まで真っ黒な壁紙(?)なんですが、すごくデコボコしているんですよ。黒の凹凸(おうとつ)で光と影ができ、穴の中のような、頑丈な収容所のような。だけど分厚くてギラギラしているので、とても豪華なイメージもあります。その壁に金縁のデコラティブな額が3枚飾ってあるのですが、全て真ん中が抜けていて枠だけなんです。外見は美しいが中は空洞だという、この家を象徴しているのだと思いました。

 三鴨絵里子さん(ラッパ屋)。声デカっ!高っ! 耳をつんざく声とはこのことですね(笑)。三鴨さんっぽい演技だろうとは思っていましたが、ほんとにいつもの三鴨さんでした。セリフも動きも上ずっていてつらかった。でも中盤を過ぎる頃からだんだんと役柄に近づいて来られました。三鴨さんだから、こんなにわかりやすくなったのかも、とも思います。
 山本亨さん。正統派ハンサムもいやらしい男もお上手ですよねー。アクションはさすがですね。メリハリとパワーがあって恐ろしかった。ほんとの家庭内暴力を味わった気分。三鴨さんと何度も抱擁されるんですが、胸に触らないように気を使ってらっしゃるのが可愛かった。

 大石継太さん。金を貸している男の役。怖い・・・いつも大石さんは怖い役、というのが私のイメージ。「OUT」でも「第17捕虜収容所」でも。もうちょっと可愛げを見せてくれた方が終盤に臨場感があるかも。でも、とてもお上手でした。
 鬼頭典子さん(文学座)。賢い不幸な女。心に染みました。この公演で一番好きな役者さんでした。清楚で控えめで美しい。
 平田敦子さんの乳母役がこのお芝居の大きな癒しでしたね~。
 特にラスト、お茶を持ってきた時はすっかり術中にハマって笑ってしまいました。

 私は初日を拝見しましたが、ご覧になられるならもうちょっと後の方がお薦めかも。これからどんどん良くなってくる気配がします。

自転車キンクリートSTORE : http://www.jitekin.com/

Posted by shinobu at 18:23