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2005年10月22日

自転車キンクリートSTORE『ブラウニング・バージョン(The Browning Version)』10/20-30俳優座劇場

 『ウィンズロウ・ボーイ』に続く、テレンス・ラティガン3作品連続公演の第2弾です。またもや涙ぼろぼろ~っ!!まごころのこもった一言一言に、観ている方も一緒になって気持ちが高揚したり、グッサリと傷ついたり・・・。テレンス・ラティガンってすごい!浅野和之さんと今井朋彦さんの男の演技合戦もみどころです。
 イープラスの得チケあり!10/30(日)までです。お見逃しなく!

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 ≪あらすじ≫ ※パンフレットより引用。(役者名)を追加。
 パブリック・スクールの校内にある教職員住宅の一室。夏休みを控えた、終業式の前日。教師で、古典学者のアンドルウ・クロッカーハリス(浅野和之)は、心臓病のため明日でこの学校を去ることになっている。アンドルウは人に好かれる性質ではなかった。彼は、教師としても、妻ミリー(内田春菊)との夫婦生活においても、自分が落伍者であるということを認めていた。そんなアンドルウに、生徒(池上リョヲマ)や同僚(今井朋彦)、校長(岡田正)や新任教師(佐藤祐基)、様々な人々が挨拶に訪れる。それは、いつも冷静な彼の心を激しく揺さぶるものだった。
 ≪ここまで≫

 『ウィンズロウ・ボーイ』では、正義を成すのではなく、正しいことをすることの大切さ、美しさが表されていたと感じました。今作では、何も隠さない、本気の、本音のコミュニケーションこそ、人間の幸せなのではないかと、優しく語り掛けられたような気がします。

 ここからネタバレします。

 エリート学校の中での半日の出来事です。ギリシア悲劇『アガメムノン』のブラウニング訳の本(これがタイトルの意味になります)を生徒のタプロウから贈られたアンドルウは、教師になって初めてというぐらいの感動を覚え、涙します。それを聞いた妻のミリーが「タプロウは単位欲しさにおべっかを使っただけ」とつげ口するシーンでは、「やめてーーーーっっ!!」っと叫びたい気持ちでいっぱいになりました(もちろん叫ばなかったけど)。

 「アンドルウを傷つけないで!タプロウの真心を汚さないで!他人を侮辱して楽しむのはやめて!」と、私の胸の中でミリーへの怒りが燃え盛りました。そして、すっかり意気消沈してどん底に落ち込み、だけどそのことを決して表には出さないアンドルウに対しては、「そうじゃないよ!タプロウは本当に貴方のことが好きだったのよ!」って伝えたくてたまらなかった・・・という風に、シーンが進むごとに私の心は登場人物のそれと一緒に天国に行ったり地獄に行ったり。アンドルウの書斎にすっかり入りびたり、あの部屋で起こる心の浮き沈みを自分も体験しました。

 アンドルウの同僚のフランク(今井朋彦)は、アンドルウに隠れて肉体関係を持っていたミリーに対して初めて激しい嫌悪感を覚え、彼女にはっきりと別れ話をします。そして初めてありのままの自分自身でアンドルウと向かい合い、本音の対話を始めます。硬く心を閉ざしていたアンドルウが、フランクの提案(フランクがアンドルウの新しい赴任先に訪れること)を受け入れたのは、それまでなら考えられないことだったけれど、自然で美しかったです。人は、人によって変わりますね。

 内田春菊さんの演技には意見が分かれるところだろうと思います。浅野和之さんと今井朋彦さんの間に挟まれた最重要キャラクターですから、どうしても2人と比べると見劣りします。彼等ほど技術がないのだから仕方がないですよね。
 私は内田さんの口から順序良く流れ出てくる、棒読みに近いセリフがどうしても受け入れられず、ミスキャストだと感じていました。また、子供がいない女性に見えなかったんですよね。内田さんが実際には4人のお子様がいらっしゃるお母様だからかもしれませんが、仏の慈愛のような空気とか、ほんわかとした幸せが感じられたんです。それは内田さん個人としては素敵だな~と思うのですが、ミリーには不似合いですよね。だからアンドルウに対する憤りなどがリアルに感じられなかったのではないかと思います。
 でも、何事にも動じないであろう、あの豊潤で妖艶な佇まいは内田さん独特のものだと思いました。アガペーの愛ではなくエロスの愛を求める女であるということはバンバン伝わってきました。

 舞台美術(横田あつみ)が素晴らしかったです。歴史あるイギリスの居間兼書斎。本棚、間仕切り、中庭へと続くステンドグラスのようなガラス戸。横田さんの美術は単にリアルであるだけでなくて、壁や物に年輪が感じられるんですよね。

 おそらく昼下がりから夜までのお話ですが、物語の起伏にあわせて照明は微妙な変化を見せていました。ガラス戸から差す日の光には何種類もありましたね。優しくて、渋いです。

 浅野和之さん。古典学者アンドルウ役。なんて上手いんだろう・・・セリフがない時の、体がピタリと動かないところに一番感動しました。動きがとても上品。誰と何を話す時もアンドルウでした。かっこ良すぎ。

 今井朋彦さん。同僚のフランク役。前半は内田春菊さんとのからみがほとんどだったためか、私にはコミュニケーションが存在しているように見えませんでした。早口すぎましたし。後半のアンドルウとの一騎打ちシーンでは、ちゃらんぽらんな若者から強い意志と信念を持つ一人の男に変身し、手に汗握る対話を見せてくださいました。

 池上リョヲマさん。タプロウ少年役。慌てた演技がずーっと続くので見ていて息苦しくなるところもありました。でも、本音がドンと口から出てしまうところや、先生に気を使って小さな声になるところなど、心がそのまま素直に現れていて胸を打ちました。小劇場の無名の若い男優さんが、こんな大きな企画に主要な役で出演されているのがすごく嬉しいです。

 佐藤祐基さん。新任教師役。毅然としたりりしいお姿に、これが初舞台とは思えなかったです。この方も池上リョヲマさん同様に、心が身体に溢れていて輝いていました。ハンサムだしこれからが楽しみですね。

 校長先生役の岡田正さんと、新任教師の新妻役の一戸奈未さんは残念な出来でしたね。何らかの正解を目指してがんばってる状態とお見受けました。私が拝見したのが2ステージ目でしたので、これから良くなられるのだろうと思います。

 ※手塚の一行レビューに関連記事。

テレンス・ラティガン3作連続公演 ラティガンまつり
出演=浅野和之/内田春菊/今井朋彦(文学座)/岡田正/池上リョヲマ(グワィニャオン)/一戸奈未/佐藤祐基
作=テレンス・ラティガン 訳・演出=鈴木裕美 舞台美術=横田あつみ 照明=中川隆一 音響=井上正弘 衣裳=三大寺志保美 ヘアメイクデザイン=河村陽子 舞台監督=伊達一成 演出助手=吉田智久 演出部=丹下由紀 照明操作=宇野理良 音響操作=友部秋一 ヘアメイク=鎌形裕子 大道具製作=俳優座劇場舞台美術部 小道具協力=高津装飾美術/京阪商会 衣裳協力=東京衣裳 履物協力=神田屋/DANCIN'SHOE OHKI ヘアメイク協力=DaB コスメ協力=チャコット イラストレーション=進藤恵子 写真=加藤孝 舞台写真=木山晃子 パンフレット取材=上野紀子 宣伝美術=鳥井和昌 制作助手=本郷みつ子 版権コーディネート=マーチン・ネイラー 古典ギリシア語指導=金子佳司 企画=鈴木裕美 制作=須藤千代子/村田朋美/大槻志保 製作=自転車キンクリーツカンパニー
【全席指定、消費税込】一般=5,000円●10/20(木)、10/21(金)は4,000円●小学生未満のお子様のご入場はご遠慮下さい。ラティガンまつり(テレンス・ラティガン3作品連続公演)のいずれかの半券で、別演目のチケットが500円引き。
公式=http://www.jitekin.com/

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Posted by shinobu at 23:06 | TrackBack

R-vive(りばいぶ)『A Secret Society '05~15年後の思い出~』10/20-25シアターグリーンエリア171

 R-vive(りばいぶ)は藤井ごうさんが作・演出される劇団です。「10年後の思い出」と「15年後の思い出」の2ヴァージョンありまして、私が拝見したのは「15年後」の方です。
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 ≪あらすじ≫
 取り壊されかかっているビルの地下室。中学時代の同級生だった男女8人が、タイムカプセルを掘り出す為に15年ぶりに集まった。その場所は「秘密基地」と呼ばれる、子供達の遊び場だったのだ。掘り当てたタイムカプセルの中から将来の夢をしたためた手紙を取り出し、順番に読み上げていく。しかしなぜか9通あるのだ。そこに学生服を着た男が現れて・・・。
 ≪ここまで≫

 役者さんの演技が受け付けられなくて、楽しめませんでした。ああいう演技の仕方って新劇系のプロデュース公演などでよく見かけるのですが、なぜみな揃って、ああなるのかしら・・・。
 「この単語はこのように発音するはずだ」とか「この言い回しはこう言うだろう」という予測の元に演技が組み立てられているように見えました。つまり人物が生き生きとその場で生きていないのです。生身の自分の上からその役柄の着ぐるみを着ているような、と言うのがわかりやすいでしょうか。

 脚本は説明のための言葉が多く、非常にまどろっこしかったです。セリフも会話も、伝えたいことやストーリーのクライマックスに辿り着くために用意されており、人物が自然に発しているようには感じられませんでした。だから「そんなこと言わないよね」とか「そういう返事はしないでしょう」とか、いちいち突っ込みたくなって、ずっと腑に落ちない心持ちでした。

 ここからネタバレします。

 実は、秘密基地のことを学校の先生にバラしてしまった友達をシャベルで殴って殺し、死体をその地下室の床に埋めていたという事実が最後に明かされます。8人全員が必死になって忘れ去っていたことを、死んでしまった男の霊が皆を呼び出して思い起こさせたという筋書きなのですが、それで終わりだったのが残念。それを思い出して、その後どうしたのかが大事だと思いますし、8人がそれぞれの人生を歩んで15年前とは全然違う人間になっているということを、もっと詳しく描いて欲しかったです。アルコール中毒だったり借金にまみれてたりというのがわかったのは面白かったですが、物足りなかったな~。

脚本・演出=藤井ごう 音響=近藤達史 照明=和田東史子 舞台監督=伊達一成/上村利幸 舞台美術=升平香織 演出助手=小森淑子/片山愉香 稽古場助手=竹下好幸/弦巻武之 宣伝美術=KINOco 制作=R-vive+(有)スターダス・21/根本典子 製作=R-vive
出演=雑賀克郎/本城憲/以倉いずみ/塚本浩平/田中しげ美/中山玲/添田園子/小森創介/大橋一三
前売り¥3000 当日¥3500
劇団=http://hw001.gate01.com/shelf/r-vive/

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Posted by shinobu at 22:54 | TrackBack

ピチチ5(クインテット)『はてしないものがたり』10/20-23明石スタジオ

 福原充則さんが作・演出されるピチチ5。私、大ファンなんです♪ 今回が第3回公演(過去のレビュー→第1回第2回)で、今までと同じスタイル(短編集)ではあるけれど、何ランクもレベルアップした演劇世界でした。

 豆粒以下で、くだらなくて、死んだ方がましかもしれない私達の日常を、体当たりの一瞬間で笑い飛ばしながら描ききり、自分と他人、男と女、生きてるってどういうことなのか・・・という哲学的境地にまでたどり着いています。

 次回公演がいつになるのかわからないそうです。今日の夜と明日の昼・夜で終わってしまいますので、ぜひぜひ高円寺へお運びください。見逃さないで!

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 いい意味で期待を大きく裏切られる、感動の小劇場演劇でした。あきれ笑い、切なさ笑いなどを引き起こす短編コントを観られるのかなと思っていたのですが、それをすっかり超越した劇空間を提示していたように思います。
 私的な意識をギュっと抑制したコント会話もあれば、思いっきり大声で叫んだり、ステージ上で一人で七転八倒したり、体と声の限界を見せる演出もあります。演劇という、肉体と言葉を使った表現手法に対して果敢に戦いを挑んでいるような気がしました。

 ひきこもり、ニート等と呼ばれて異常、病的だと認識されがちな現代の若者の生活を、堂々と開き直って描き、その生々しい世俗から直接ファンタジーの世界に飛びます。「飛ぶ」というと空へ飛翔するとか遠くへ行くようなイメージがありますが、決してその意味ではありません。私達が暮らしているありきたりな日々の繰り返しの中の一瞬が、想像力によって突然、夢とか、宇宙とか、ありとあらゆるものに変身するのです。それが“はてしない物語(ネバーエンディング・ストーリー)”の意味ですよね。

はてしない物語
ミヒャエル・エンデ作 / 上田 真而子訳 / 佐藤 真理子訳
岩波書店 (1982.6)
通常24時間以内に発送します。

 ここからネタバレします。

 第一話「三人の開拓者」
 4人の会社員の飲み会の帰り道。石北さん(高木珠里)と帰る方向が一緒だった高梨(山下純)は、石北さんが気安く自分の肩に触れたり、通勤電車が一緒だという話をし始めて逆上する。「なんで肩に触るんだよっ!好きになっちゃうじゃないかっ!!」

 「人を好きになるのに理由はいらない」「カバンの斜め掛けはエッチOKのサイン」とか、名言と迷言が連呼されます。“ハリネズミのジレンマ”というと聞こえがいいですが、モテない男たちの強情っぱりで独りよがりな世界が情けなくって可愛い。
 “恋愛”というものを描ききっていた気がするんですよね。片思いから両思いになってエッチして、お互いの気持ちが離れていったらお別れする。それを3秒で終わらせていました。

 女が大好きなのだけれど片思いや失恋はつらすぎる。とうとう「女なんかいなければいいんだ!」と逆ギレして、男だけの国を作ろうと頑張る。でも結局は「玄人女性さえいればいい」という境地にたどり着く・・・。無様だなぁと思いつつ、素人女性としてはちょっと複雑な気持ちも(笑)。


 第二話「嘘だと言ってよ、ハリー」
 終電を逃してしまい、2人のサラリーマン(野間口徹&山本圭祐)が駅に止められていた自転車の鍵を壊して盗もうとしている。そこに自転車の持ち主(植田裕一)が現れて・・・。
 
 皮ジャンを着た自転車の持ち主=ロックな人(植田裕一)が、実はサラリーマン(山本圭祐)が昔あこがれていたミュージシャン、ハリーだったということがわかります。でも今の彼の姿に絶望して、ファンを辞めて去っていくまでがちょっと長かったかな。サラリーマンが去った後に、ロックな人の愛車(高木珠里)が自転車幽霊として登場するのが、バカバカしすぎて面白かったので。


 第三話「吉崎、かく語りき」
 日本語がおぼつかない中国人(高木珠里)がレジにいる100円ショップ。店長(三浦竜一)もバイトの吉崎(吉見匡雄)も、やる気がない。100円ショップ、惣菜屋のおかず仕分け現場、居酒屋という、立身出世が全く見込めない職場でのうだつの上がらない若者達の仕事っぷり。
 中学生にオヤジ狩りされて殺された吉崎(吉見匡雄)が、店長のもとに幽霊になって現れて言った。「32年間生きてきて、一番楽しかったのはオナニーです」。

 吉崎の遺言(?)を受けて、店長は晴れ晴れとした心持ちで「そうか、オナニーだったら気持ちいいし、俺にでも出来る!」と叫びます。華やかな人生をあきらめてしまった若い男の子たちが、このままでも幸せになれる道というと、まず今の自分を肯定することです。その一番簡単な方法がオナニーのポジティブな肯定なんですね(笑)。そしてそれは想像力への賛辞でもあります。


 第四話「ほんとだよ」
 引っ越しのバイトをする男達。やる気がないから休んでばかり。無理やり仕事を始めてもチームワークはゼロ以下。でも美人が前を通る時はみんなそろって凝視するから息がぴったり合う。当然、美人は自分達には目もくれない。もしかすると美人は俺達が生きている世界には居ないんじゃないか?本当は存在しないんじゃないか?

 美人は自分達の世界に居ない。逆に言うと自分達は美人達の世界に居ない。そして「俺達は幻なのか?」という自己否定に陥り一気に落ち込むのですが、それもつかの間。すぐに「だったら借金も帳消しだね♪」と都合よく受け取りなおします。そして「どこへでも連れて行ってあげるよ」と本物のファルコンが登場し(下手の壁から巨大なぬいぐるみが出現)、想像力の翼は無限に広げられるのですが、ぐるりと考えをめぐらせて戻ってきたのは「自分の家に帰りたい。僕達の六畳一間へ連れて行って、TSUTAYAとコンビニ経由で!」という、等身大の密室。結局そこに逆戻りしてくる救いのない男たちの、希望に満ちたうすら笑顔が情けないし、微笑ましい。
 
 短い時間に無限の広がりと引きこもり部屋を行ったり来たり。
 白いイヌのぬいぐるみがスライス状に伸びてファルコンになった時は、恐ろしいし面白いしで、心がヘンになりそうでした。


 出演者の中で紅一点の高木珠里さん。“紅一点”だなぁと思ったのは最初の「三人の開拓者」だけで、後は完全に溶け込んでらっしゃいました。体当たりの演技でしたね。
 野間口徹さん。無神経な先輩サラリーマン、無礼な居酒屋店員、やる気のない引越しアルバイトなど、それぞれの表情や声色が今も思い出せるぐらい印象的でした。

出演=植田裕一(蜜)/碓井清喜/野間口徹(親族代表)/三浦竜一/三土幸敏(くねくねし)/吉見匡雄/山下純(こどもとあそぶ)/山本圭祐/高木珠里(劇団宝船)
作・演出=福原充則 舞台監督=中西隆雄 音響=高塩顕 照明=河上賢一 舞台美術=岩田暁/横畠愛希子(マンションマンション) 宣伝美術=岡屋出海 演出助手=永渕倫  制作=三村里奈(MRco.)
前売2000円/当日2200円 全席自由席・日時指定・整理番号付★学生割引1000円<劇団予約のみ。当日受付にて学生証提示>★大人割引1500円<35才以上。劇団予約のみ。当日受付にて身分証提示>
公式=http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html

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Posted by shinobu at 17:11 | TrackBack