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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2006年09月02日

Ort-d.d U-30プロジェクトvol.2『サド侯爵夫人』08/30-09/03アトリエ・センティオ

 Ort-d.d(オルト・ディーディー)は演出家の倉迫康史さんが主宰される劇団です。U-30プロジェクトとは30代以下の俳優を育てるプロジェクト。今回が2回目です(1回目のレビュー⇒『乱篇』、『夢篇』)。
 私は『サド侯爵夫人』を観るのはおそらく3度目なんですが(同作品のレビュー⇒)、「これは私のことだ!」と、激しく身につまされたのは今回が初めて(苦笑)。

 若い女優の声と言葉に圧倒される刺激的な三幕芝居です。今の小劇場に多い、静かめの現代口語劇ではありません。演出はかなり大胆ですのでお好みは分かれると思います。上演時間は約2時間(休憩なし)。けっこうハードなので心して臨んで下さい!

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 作品のあらすじ・解説は新国立劇場の『サド侯爵夫人』のページでどうぞ。

 白い壁に包まれたアトリエ・センティオの中央一帯が舞台。客席がステージを三方からコの字に囲み、各回40名限定の密度の高い空間です。美術は置きランプが数個とイス数脚のみの極シンプルなもの。その替わり衣裳のドレスがものすごく豪華で、大胆なデザインで役の性格を鮮やかに表現しています。天井から吊られている照明器具が、役者の立ち位置にピタっとはまるようになっており(役者がその照明の下に行くのですが)、まるで空間に絵を描くように、光と影を操っていました。例えば、顔と体はオレンジ色で照らすけれど、そこから斜め上に伸ばした手は影になって真っ黒になったりします。かっこいい!

 三島由紀夫の『サド侯爵夫人』ですから・・・それはもう猛毒の宝石のような言葉の嵐。当日パンフレットの演出家の言葉によると「一人の怪物に青春を費やす人々の物語として演出しました」とのこと。観終わってすごく納得でした。私も第2幕でサド侯爵夫人・ルネらと一緒に燃えて、そして第3幕で燃え尽きました(苦笑)。
 
 セリフの言い方、つまり人間が声を出すにはさまざまな方法があって(ささやいたり、つぶやいたり、吐き捨てたり、怒鳴ったり・・・等)、音量、表情、動き、精神状態(意志)などのあらゆる要素が組み合わさって、演技というものがあるんですよね。なんだか途方にくれるぐらいの組み合わせがありそう・・・。この作品では声と言葉に重点が置かれているようでした。普段は絶対にしゃべらないような言葉遣いなのに、感情がしっかりと言葉に乗っています。そして体が声を、仲良く寄り添うように支えているように感じました。若い女優さんの圧倒的な存在感・・・こんなの味わったことない気がする・・・。

 サド侯爵夫人・ルネ役の杉村誠子さんと、ルネの母親・モントルイユ夫人役の小田さやかさんが素晴らしいです。もー驚嘆です。私、なぜか歯軋りしながらぼろぼろ泣いてました(苦笑)。2人の対話のシーンは必見。

 ここからネタバレします。でも、読んでから観に行ってもたぶん大丈夫だと思います。
 
 話し方のバリエーションをひとつずつ、じっくりと味わえる丁寧なセリフ運びです。でも動きにはふんだんに遊びがあって、例えばルネ(杉村誠子)とその妹アンヌ(浅野葉子)は、バスケットボールをする動作をやりながら会話したりします。

 ルネが「私はアルフォンス(=サド侯爵)」と言った時、自分にもサド侯爵のように悪徳にふける人間になりたいという欲望があると感じ、ゾクゾク興奮しました。同じくルネが「私はジュスティーヌ(=サド侯爵が獄中で書いた物語の不幸な主人公)」と言った時も、自分が、自分の想像する(狭い)世界の中で、身勝手な献身や真面目、貞淑に酔っていることに気づきました。すっごく傷ついた(笑)。
 そう、この「傷つく」という感覚が大切だと、今、強く感じています。私は劇場で、体験できないような人生を体験し、生まれ得なかった感情を自分の中から生み出して、普通に生きているだけでは学べないことを、学ぶことができているのだと思います。

"la Madame de Sade" 私が拝見したのはBキャスト。
出演=Aキャスト:小田さやか/杉村誠子(楽園王)/平佐喜子/渡辺麻依/金子由菜/凪景介 Bキャスト:小田さやか/杉村誠子(楽園王)/浅野葉子/平佐喜子/住吉梨紗/小林紀貴
作=三島由紀夫 構成・演出=倉迫康史 照明=木藤歩 衣裳=竹内陽子・川田佳代 ヘアメイクプラン=竹澤綾子 メイク=住吉梨紗 宣伝美術=ハコファクトリー 主催=Ort-d.d
予約・当日ともに2000円 各回40名限定
公式=http://www16.plala.or.jp/ort/index.html

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Posted by shinobu at 2006年09月02日 11:22 | TrackBack (0)