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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年03月14日

文化庁主催『メアリー・ステュアート』02/01-04新国立劇場 小劇場

 文化庁が主催する、文化庁芸術家在外研修(新進芸術家海外留学制度)の成果を見せる公演です。国のお金で留学してきた芸術家の方々の力が発揮されるわけですから、こりゃ見なきゃな、と。
 出演者では平栗あつみさんと小森創介さん、演出の古城十忍さん、美術の伊藤雅子さん、照明の黒尾芳昭さんに注目して観るようにしました。

 『メアリー・ステュアート』はパルコで観たことがありましたが、あれは2人芝居で全く別の作品なんですね。脚本家ももちろん違います。
 2005年8月にロンドンで初演された戯曲の本邦初演ということで、新翻訳の新作です。演出の古城さんは翻訳にも携わってらっしゃいますね。

≪あらすじ≫ 公式サイトより
 新脚本でお届けする、女同士のプライドを賭けた凄まじいバトル。
 男で身を滅ぼしたと言われるスコットランド女王「メアリースチュアート」。一生独身を貫くことを宣言し「ヴァージン・クィーン」と呼ばれたイングランド女王「エリザベス1世」。
 舞台は16世紀のイギリス。エリザベス1世の暗殺計画に関与した嫌疑で、今やメアリースチュアートは幽閉の身となっている。メアリーの処刑をエリザベスに急き立てる男たちと、メアリーを救出しようと画策する男たち。政治的駆け引きに翻弄されながら展開する、女同士のプライドを賭けた凄まじいバトル。果たして二人の女王の運命は……?
 ≪ここまで≫

 伊藤雅子さんの美術は何度か拝見しまして、かなり好きな美術家さんです。私が観た中で一番好きなのは『ロンサム・ウェスト』。今回は『エンジョイ』と同じく新国立劇場小劇場ですが、全然違った空間でしたね。斜めに並んだ柱が印象的でしたが、あまり衝撃はなかったな・・・。でも照明(黒尾芳昭)との相性がすごく良かったように覚えています(ちょっとうろおぼえ)。

 演出についてはスタンダードだなって思いました。色んな劇団から色んな役者さんが集まっているプロデュース公演なので、一跡二跳の公演とは全然違いますよね。そう、そうだ、いかにも“プロデュース公演です!”っていう仕上がりだったんです。

 平栗あつみさんは・・少々残念な感じでした。男を次々と虜にしていくメアリーなはずですが、それほどファム・ファタルな魅力が感じられず。つかこうへい劇団に出てらした時と同じようなセリフ運びだったこともあり、う~ん。でも終盤の、死を覚悟したメアリーとしては、清らかで美しかったです。正面から当たる白い照明にも負けてませんでした。

 小森創介さん。素晴らしかった・・・!言葉にもしっかり奥行きがあるし、気品がありました。立ってるだけなのに、それも観客に背中を向けてたりするのに、彼にしか目が行かないこともしばしば。『おばけリンゴ』のワルター役からの変貌振りに驚き(笑)。セクシーでした。

SCHILLER'S MARY STUART IN A NEW VERSION
出演=平栗あつみ(演劇集団円/平成16年度派遣)、田島令子、奥村洋治(一跡二跳)、小宮孝泰、鈴木弘秋(文学座)、河内喜一朗(StudioLife)、有希九美、永田耕一(スーパーエキセントリックシアター)、重藤良紹(一跡二跳)、小森創介(演劇集団円/平成16年度派遣)、高久慶太郎(一跡二跳)、溝渕康弘(一跡二跳)
作=フリードリッヒ・シラー 脚色=ピーター・オズワルド 翻訳=阿部のぞみ+古城十忍 演出=古城十忍(平成16年度派遣) 美術=伊藤雅子(平成15年度派遣) 照明=黒尾芳昭(平成17年度派遣) 音響=青木タクヘイ 衣裳=宮本尚子・豊田まゆみ 舞台監督=尾崎 裕 舞台監督助手=端場久美子 演出助手=佐藤万里子 演出部=増田和・村田麗香・吉澤緑 宣伝美術=古川タク[イラスト]西英一[デザイン] 制作=(社)日本劇団協議会 制作担当=岸本匡史(一跡二跳) 主催=文化庁 文化庁芸術家在外研修(新進芸術家海外留学制度)の成果
全席指定/3,500円 学生/2,500円(一跡二跳でのみ取り扱い、要学生証提示)※10歳未満の幼児・児童はご入場いただけません。
公式=http://www.isseki.com/stage/575msrystuart/index.html
※2/2(金)夜の回はStudio Lifeの役者さんが勢ぞろいだったそうです(笑)。

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Posted by shinobu at 2007年03月14日 11:42 | TrackBack (0)