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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年06月07日

少年社中リバイバルvol.2『slow』05/30-06/03ザ・ポケット

 少年社中は毛利亘宏さんが作・演出される早稲田大学出身の劇団です。SUSPECTバージョン・DRUNKバージョンの2バージョン公演。私はDRUNKバージョンを拝見しました。

 切り絵(タンタン)のチラシが美しいですね。殺人事件の真相を究明する推理サスペンスものでした。

 ⇒CoRich舞台芸術!『slow
 レビューはアップできるかどうか不明。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 場所はとある島のアルコール依存症患者専用の治療院。そこで奇妙な事件がおきた。
 始まりは人気作家、折原文博の死。彼は自室にダイイングメッセージを残していた。それはこの病院の患者と医師、計5名の写真に記号や番号が書かれているものであった。
 彼の死に疑問を抱いた患者・山本は、研修医と偽ってこの治療院で捜査をしている刑事・綾辻とともに犯人探しを始めることにする。
 第一に容疑がかかったのは山本の親友・桐野であった。山本は桐野の疑いを晴らすべく捜査をすすめるが、逆に桐野の意外な過去を知ることになる。
 桐野は耳の聞こえない音楽家。彼女は音大時代の友人スミレを殺してしまったかも知れないというのだ。耳が聞こえなくなるというストレスからアルコールに依存するようになった彼女は、次第に誰かに殺されるという幻覚を見るようになった。そんなことが続くようになったある日、事件は起こった。
 その日の幻覚は唯一の理解者であり、良きライバルでもあるスミレであった。朝、目が覚めて彼女の目に飛び込んできたもの、それはバスルームの鏡に書かれた血文字「I calld slow」と変わり果てたスミレの姿だった。
 「あなたが犯人を探そうとしなければ、第二、第三の殺人は起こらなかったのではないか?」
 孤島のアルコール依存症更正施設で起きた事件は更なる悲劇の始まりに過ぎなかった。
 複雑に絡まる人々の思惑、そして過去と現在。果たして誰が謎を解く鍵を握っているのか…。
 ≪ここまで≫

S(SUSPECT)バージョン・D(DRUNK)バージョンの2バージョン公演。
出演=堀池直毅、杉山未央、山川ありそ、宮本行(ブルージェイイースト)、野口雄介(神様プロデュース)、タンタン、金崎敬江(bird's-eyeview)、小垣外翔、八敷勝(InnocentSphere)、本郷小次郎(ヰタ・マキ)、村木宏太郎(猫☆魂)、山本伸一(BAMAP)、武田真由美、金田恵
作・演出◎毛利亘宏 音楽◎YODA Kenichi 舞台監督◎杣谷昌洋 音響◎鏑木知宏 照明◎シバタユキエ 衣装協力◎カオリン スチール◎金丸 圭 公演記録◎カラーズイマジネーション 宣伝美術◎武田和香 cut craft art◎タンタン web◎田中祐子 演出助手◎大谷順香 制作進行◎廿浦裕介 制作協力◎田辺恵瑠 製作◎少年社中the entertainment prison・吉野礼
【前売り】3000円【当日】3200円【セット券】5600円【学生割引】1000円 (高校生以下 要学生証 劇団のみあつかい)
http://www.shachu.com/

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Posted by shinobu at 14:01 | TrackBack

音楽座ミュージカル・Rカンパニー『アイ・ラブ・坊っちゃん』06/01-10東京芸術劇場 中ホール

 音楽座ミュージカルにはじめて出会ったのが『アイ・ラブ・坊っちゃん2000(ミレニアム)』でした(過去レビュー⇒)。

 やっぱり最初っから泣きどおし・・・!どんだけ泣いたら気が済むの?ってぐらい!もー化粧なんて全部取れちゃったね!隣りに座ってたのがたまたま知り合いの人だったんだけど(すごい偶然)、終演後に私を見て笑ってたね!「あらら、いっぱい泣いたのね(笑)」って顔で!

 でも中学生の団体客が入っている回に行ったのは失敗でした。ひどかった。
 上演時間は約2時間50分(休憩を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『アイ・ラブ・坊っちゃん

 7年前と同様、坊っちゃんの家の女中・清(きよ)役の大方斐紗子さんが登場しただけで涙ボロボロでした・・・(感涙)。

 漱石(松橋登)が執筆する「坊っちゃん」(吉田朋弘)に出てくる人物が登場し、漱石の生活と平行して小説の世界が描かれます。例えば山嵐(安中淳也)と呼ばれる教師のモデルは正岡子規なんですね。漱石の私生活が小説に影響を与え、さらにつづられていく小説から漱石自身も気づきを得るという構成で、観ている私も目の前で豊かに繰り広げられる人間の営みに、自分の人生を重ねていけます。

 基本が劇中劇ですので、ストーリーに引き込まれながらも常に客観する視点を持ち続けられるのが、このミュージカルの最大の特徴であり、魅力だと思います。例えば、生徒らが坊っちゃんに「先生やめないで!」と懇願するシーンでタイトル曲「アイ・ラブ・坊っちゃん」が歌われます。そこだけ観ていると感動を誘う演出がわざとらしくて少々引いちゃうのですが、原稿を書いている漱石がちゃんと上手の書斎に居るのを見つけると、「あぁ、小説の中の、漱石の頭の中のことなんだな」とわかってスっと受け入れられるようになるのです。

 あと、出演者に澄んだ輝きがあるんですよね。これは音楽座ミュージカルを観る時にいつも感じることなんですが、皆さん、作品を信じて、愛しているのだと思います。

 終演後に一緒に観ていた方と感想を話し合ったんですが、「心に残るというか、口ずさみたくなる曲が少ないよね」とおっしゃったんです。そういえば私は「聞いたことのあるような音楽が多い気がするな~」と感じていました。音楽座の他のミュージカルも何作が観ていますので、それと重なっているのかもしれません。今後はビビっと響いて耳から離れないような曲が出てくるといいなと思います。

 ここからネタバレします。

 「坊っちゃん」の世界も描きつつ、漱石の頭の中、つまり他の小説を想起させるようなシーンがしばしば挟まれます。神経質でかんしゃく持ちの漱石が思い悩むところで、小説の中の出来事や実生活で関わる人々など、彼の世界のすべてが混ざってうごめく混沌のシーンになります。そこで歌われるのは「あなたは誰」。複雑な三重奏にぞくぞくします。

 ドン・キホーテとサンチョ・パンサが出てきたら、もうダメなんですよぉ、私・・・顔がぐちゃぐちゃになるほど泣けてきちゃうんです~っ。『ラ・マンチャの男』(Wikipedia)の名曲「見果てぬ夢」まで頭に流れてきました。純朴な理想主義者の老人が、非力なくせに世の中の汚れや矛盾に立ち向かっていく姿は、みじめで、弱々しくて、でも悲しくなるほど美しい。それが漱石に重なります。

 清が歌う“青い空”とは坊っちゃんのこと。そして清自身のことでもあります。青い空をバックに歌う「カラカラとまわる風車~♪」(タイトル「風を見て」)を聞きながら、人間の澄んだ心を感じました。自分も含め人間って醜いものだと思いますが、きれいなもの、美しいものを信じ、それを愛することを、もっと素直に求めてもいいんだと思わせてくれました。

 漱石「今を今のように生きる君(正岡子規)がうらやましかった。」
 漱石「なぜ生きるかではない。いかに生きるかだ。」
 ※セリフは完全に正確ではありません。

 ★団体客だったのは郁文館中学校。劇中に登場する藤村という中学生(野球少年)の母校だそうで、ゆかりの学校として総合見学に来られたとか。ヘンなタイミングで拍手するし、ピーピー口笛を吹くし、「ヒューー!」とか声を出すし。“拍手ピーピーヒュー!”とセットになって勝手に盛り上がり、うるさくて迷惑でした。行儀の悪い子供の団体客は貸切の日限定にしていただきたいです。

≪東京、名古屋、大阪、静岡、山形、神奈川、茨城、高知、徳島、松山、福島、北海道≫
出演:松橋登/秋本みな子/吉田朋弘/安中淳也/大方斐紗子/小林アトム/新木啓介/佐藤伸行/浜崎真美/野田久美子/藤田将範/五十嵐進/広田勇二/山合大輔/磯貝麗奈/清田和美/堀川亜矢/萩原弘雄/渡辺修也/野口綾乃/大川麻里江/関川慶一/兼崎ひろみ/富永友紀/渡邊りせ/伊沢絵里子(私が観た回のキャストです)
演出:ワームホールプロジェクト 脚本:横山由和・ワームホールプロジェクト エグゼクティブプロデューサー&クリエイティブディレクター:相川レイ子 音楽:船山基紀 振付:畠山龍子 美術:高田一郎 照明:塚本悟 音楽監督:高田浩 歌唱指導:桑原英明 音響:実吉英一 舞台監督:高瀬洋 主催:ヒューマンデザイン TBS 共催:(財)相模原市民文化財団(神奈川公演)
[一般料金] S席 ¥9,870/A席 ¥7,770/B席 ¥5,670 [Web予約料金] S席 ¥9,450/A席 ¥7,350/B席 ¥5,250 [ファンクラブ会員特別料金] S席のみ 電話:¥8,820 Web:¥8,400
http://www.ongakuza-musical.com/

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