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しのぶの演劇レビュー
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2010年11月17日

【情報】新国立劇場演劇研修所「授業見学会」12/04新国立劇場リハーサル室

 新国立劇場演劇研修所が「授業見学会」を行います。新国立劇場演劇研修所に入りたい役者さんはぜひ。参加費は無料。申込必須。詳細は公式サイトでどうぞ。

 ■「演劇研修所 授業見学会」
 開催日:平成22年12月4日(土)
 時間:第1回目11:00~、第2回目16:00~
 申込〆切:平成22年11月20日(土)※専用フォームあり

Posted by shinobu at 22:50 | TrackBack

こまつ座『「水の手紙」「朗読劇 少年口伝隊一九四五」』11/12-21紀伊國屋サザンシアター

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チラシ束に挟まれていた便箋

 稽古場レポートを書かせていただいたこまつ座の朗読公演です。小曽根真&神野三鈴ご夫妻がゲスト出演されるステージに狙いを定め、昨日のソワレを拝見。上演時間は約2時間10分(途中休憩15分を含む)。平日公演はまだ残席あるようです。

 “井上ひさしからの、祈るようなラブレター”という副題がついています。観客は井上さんから朗読劇というラブレターを受け取り、ゲストから井上さんへのラブレターも聴かせていただきます。

 チラシの束に「井上ひさしへラブレターをお書きいただけませんか?」という紙が入っていました。開くと便箋になっています。開演前にそれを見つけただけで泣けて来てしまいました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『「水の手紙」「朗読劇 少年口伝隊一九四五」

 ここからネタバレします。

 ■『水の手紙~群読のために~』
 出演:青本花 岡野真那美 河合杏南 熊坂理恵子 滝香織 辻村優子 藤井咲有里 吉田紗和子 吉田妙子 渡辺樹里 宇井晴雄 金成句 窪田壮史 香原稔彦 西原康彰 竹田桂 長元洋 西村壮悟 山本悠生 米川貴久 ヴィオラ演奏:徳高真奈美

 カジュアルな服装の若者たち(おそらく稽古着?)による群読。台本は持たず、軽やかに動きながら。舞台中央上部に小さな地球が浮かんでいます。
 地球は水惑星。人間そのものも水であり、日本の水は世界の水なのだということ。メキシコシティや黄河のそばに暮らす人たちの肉声を受け取ることで、隅田川が世界の河川とつながっているのを実感できます。「記録を記憶にする」とはこのことなんだろうなと思いました。ただ、内容的にちょっと説教くささも感じたり。

 宇宙人(?)が登場したのが面白かったですね。演じたのは西原康彰さん。『きらめく星座』の「人間は奇跡そのもの」が聴けて嬉しかった。


 ■小曽根真&神野三鈴ご夫妻から井上ひさし先生へのラブレター

 偶然にも井上さんのお誕生日ということで、小曽根さんと観客とで「ハッピーバースデー」を合唱。小曽根さんのご出身は関西だそうです。関西人ならではのユーモアが冴えていて、ノリが良くって、すごく面白い方でした。そして優しい。オーケストラにピアノ・コンチェルトを作曲することになったのは、井上さんから依頼があったからなんですね。

 涙をぽろぽろ流しながら明るく楽しく話してくださる神野さんと一緒に、私もダダ泣き。神野さんがおっしゃっていたのは、以下のようなことだと思います。
 「井上ひさしはこれからきっと神格化されていく。でも同時代を生きた私たちは、彼の人間らしいところを知っている。彼は神じゃなくて人間。こんなに素晴らしい作品を遺した井上ひさしも、人間だった。だから私たちだって素晴らしいんです。人間は誰も奇跡そのもの。」

 小曽根さんも神野さんも「井上さんに新しい命を与えてもらいました」とおっしゃっていました。


 ■『朗読劇 少年口伝隊一九四五』
 出演:青本花 岡野真那美 熊坂理恵子 藤井咲有里(中国新聞社の花江さん) 吉田紗和子 渡辺樹里 宇井晴雄(正夫:原爆症で亡くなる少年) 金成均 香原稔彦(手榴弾を持っていた日本兵) 西原康彰 長元洋(英彦:20代まで生存する少年) 米川貴久(勝利:手榴弾を握りしめたまま台風で亡くなってしまう少年) ギター演奏:宮下祥子

 上演を重ねている演目なので、何度も出演している役者さんの演技の密度が上がって、安定感が増しているように思いました。
 演出についても、照明が客席にまで広く当たるなど、より演劇的になっていたように思います。映像も変わってたんじゃないかしら。
 劇場が違うだけでこんなに印象が違うんだな~とも。新国立劇場小劇場では客席から舞台を見下ろしていたのですが、紀伊國屋サザンシアターでは舞台を見上げる状態でした。舞台中央の広島の模型が見えづらいのは残念。

※日替わりゲストトーク出演者:すまけい 麻実れい 白石加代子 熊谷真実 井上芳雄 石原さとみ 小曽根真&神野三鈴 高畑淳子 佐藤B作 辻萬長 剣幸 木場勝己 土居裕子 藤原竜也 大竹しのぶ
『水の手紙~群読のために~』作:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽:久米大作 美術:伊藤雅子 照明:服部基 音響:山本浩一 映像:井形伸一 衣裳:中村洋一 振付:田井中皆子 歌唱指導:伊藤和美 ヘアメイク:前田節子 宣伝美術:和田誠 演出助手:大杉良 舞台監督:三上司 制作:井上麻失 井上桂 瀬川芳一 演出部:木﨑宏司 大道具:俳優座舞台美術部 小道具:アトリエカオス 衣裳:東京衣裳・小松みどり 運送:新日本物流 舞台写真:落合高仁 票券:渡邊絵里 坂本綾子 協力:新国立劇場演劇研修所
『朗読劇 少年口伝隊一九四五』作:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽:後藤浩明 照明:服部基 音響:山本浩一 映像:井形伸一 衣裳:中村洋一 模型製作:尼川ゆら ヘアメイク:中村節子 方言指導:大原譲子 宣伝美術:和田誠 演出助手:大杉良 舞台監督:三上司 制作:井上麻失 井上桂 瀬川芳一 演出部:木﨑宏司 衣裳:東京衣裳・小松みどり 履物:神田屋 運送:新日本物流 舞台写真:落合高仁 票券:渡邊絵里 坂本綾子 協力:新国立劇場演劇研修所
入場料 6,300円(全席指定・消費税込み) 学生割引4,200円 *学生割引:中学、高校、大学、各種専門学校ならびに演劇養成所の皆様を割引いたします。
http://www.komatsuza.co.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:18 | TrackBack

新国立劇場演劇リーディング公演『T.ウィリアムズ 一幕劇から』11/13, 11/17新国立劇場小劇場

20101117_T_Williams_Reading.JPG
当日パンフレット

 『やけたトタン屋根の上の猫』を上演中の新国立劇場小劇場で、テネシー・ウィリアムズの1幕劇2本がリーディングで上演されました。出演は新国立劇場演劇研修所の5期生。演出は古城十忍さんです。上演時間は約1時間15分。無料のマンスリー・プロジェクトです。

 本番の装置でのリーディングはやはり贅沢ですね。客席は9割がた埋まっていたような。お年を召した男性、女性が多かったように思います。

 ⇒CoRich舞台芸術!『やけたトタン屋根の上の猫

 研修生が出演するリーディングは何作か拝見してきましたが、今回はとても完成度が高くて、公演としてきっちりしていたように思います。お稽古をたくさんされたんじゃないかしら。演技も段取りもしっかりしていました。私が観たのが初日じゃなかったせいかもしれませんが。
 ちょっと几帳面すぎる気もしましたが、5期生はいま2年次ですよね。これからに期待です。

 最終学年の3年次にあたるのは4期生で、12月には試演会②『かもめ』が上演されます。演出は西川信廣さん。ダブルキャスト公演で、私は両バージョン観劇予定。A席2,500円、B席1,500円で本格的な『かもめ』が観られるのはお得だと思います。


 ■「風変りなロマンス」
 "The strange kind of romance" 
 初演:1960年、パリ、シャンゼリゼ劇場
 ≪あらすじ≫
 指が震えるせいで工場勤めをしくじったイタリア人労働者は、下宿屋に住み着いた猫を可愛がり生きがいを見つける。人が人と結びつくことの困難さを、人と勤物の<風変りなロマンス>を対置することで逆説的に描く。
 ≪ここまで≫
 出演:【小さな男】片桐レイメイ【下宿の女主人】井上沙耶香【老人(その義父)】大里秀一郎【ボクサー】日下諭【ニチェボ(猫)・ナレーター】岩田結


 ■「話してくれ、雨のように・・・」
 "Talk to me like the rain and let me listen" 
 初演:1958年、コネクティカット州ウエストポート、ホワイトバーン劇場
 ≪あらすじ≫
 失業し自棄になり泥酔した男と、惨めな境遇から出て行<架空の人生を夢見る女が、互いをいたわり合う風景を優しく描く。他者と真にふれ合うことの困難さと人間の孤独がさらに徹底して描かれた作品。
 ≪ここまで≫
 出演:【男】梶原航【女】山崎薫【ナレーター(男)】川口高志【ナレーション(女)】北澤小枝子   

出演:演劇研修所研修生
脚本:T.ウィリアムズ 翻訳:鳴海四郎 演出:古城十忍 
【研修生スタッフ】演出助手:林田航平 音響助手:織田瞳子 舞台監督助手:藤本強 演出部:菊池夏野、古川七彩
11月13日(土)・17日(水)6:30 小劇場 応募期間:10/12(火)~11/1(月) 無料。
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000400_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 21:30 | TrackBack

【ご報告】「九州の地域演劇のこれからを考えるパネルトーク」のレポートが公開されました

 去る9月11日に「ぽんプラザホール10周年記念 福岡・九州地域演劇祭」(関連リンク⇒)の「九州の地域演劇のこれからを考えるパネルトーク」にパネリストとして出席させていただきました。内容をまとめたレポートが公式サイトにアップされましたので、よかったらご覧ください。

 写真↓は愛知県からプロデューサーとしてフェスティバルに参加された、大功労者である大橋敦史さん。フェスティバル最終日の宴会で、制作チームから博多織のお財布をプレゼントされました。粋ですね!
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Posted by shinobu at 15:58 | TrackBack