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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年09月02日

RIDEOUT presents『レコンキスタ~ Reconquista ~』08/30-09/03シアターブラッツ

 RIDEOUTのプロデュース公演です。脚本・演出はInnocentSphereの西森英行さん。ほぼ完全に独立した3本の物語のオムニバスでした。

 西森英行さんの作品は2003年から拝見しているのですが(過去作品のレビュー⇒)、今回はかなりシリアスで絶望的な設定の3本でした。希望や愛、救いが作品によっては大いに、または、ほんのりと用意されており、InnocentSphereで感じる集団の真面目さ、真摯な姿勢・まなざしはやはり健在でした。

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 3本目に入った時、1本目のことを完全に忘れることができていたのは嬉しい発見でした。世界に入り込めていたということでしょう。音楽は全体的に、感傷的なムードを少々盛り上げすぎかな~と思いました。

 ここからネタバレします。

【命の露】
 出演=山岸拓生(拙者ムニエル)/中井出健(劇団AUN)/石川美津穂(太田プロダクション)/四十八願智子(InnocentSphere)/日高勝郎(InnocentSphere)

 あらすじ⇒弁護士の佐々木(山岸拓生)は死刑囚・源田具行(中井出健)の再審請求の仕事を引き受けた。初めて会いにいった時にわかったのだが、源田は佐々木の高校野球部時代の先輩で、佐々木が最も慕っていた人物だった。

 高校時代の夏の地方大会・準決勝で負けた後、ひとりで泣きながらロッカーを叩いたりしていた源田こそが、自分にとって本当の先輩の姿だったと、佐々木が語ります。最後には、乳飲み子をかかえて面会に来た妻を追い払っておきながら、独房に帰ってから嘆いて暴れる源田の姿があり、佐々木が信じる本当の先輩像と重なります。

 “本物の自分”なんて自分でもわからないんですから、「他人なんかにわかってたまるか」と思いがちですよね。でも、無我夢中になっている時の自分を見ていてくれる誰かがいたら、その人が本当の自分を知る人になる可能性があるんですね。誰かに見られてることの幸せを想像しました。


【彼女の棲む場所】
 出演=川本裕之(KAKUTA)/黒川深雪(InnocentSphere)/筒井則行(ゴリぱんかにー)/綾田將一(reset-N)

 あらすじ⇒交通事故で若くして死んだ妻(黒川深雪)の四十九日。新一(川本裕之)は法事に来た友人、薫(筒井則行)と三郎(綾田將一)と共に、妻の思い出話を語る。新一は、薫は自分と結婚して不幸せだったに違いないと嘆くが、実はその場で妻の霊(黒川深雪)が皆を見つめていた。

 悲しいけれど心温まる、可愛らしいラブ・ストーリーでした。妻が神様に“最後のお願い”をして、新一を背後から優しく抱きしめるシーンが美しかったです。
 でも、死んだ妻役を演じるのが黒川深雪さんだったので、イキウメ『図書館的人生』の「トロイメライ」を思い出さずにいられなかった・・・。これは観た人しか感じないことですけどね。


【ピエタ】
 出演=岩渕敏司(くろいぬパレード)/加藤和久(ポッシュ企画)/渡辺プレラ(劇団鹿殺し)/金崎敬江(bird's-eye view)/狩野和馬(InnocentSphere)/吉冨亜希子(RIDEOUT)

 あらすじ⇒超未来の地球。5人の死刑囚が政府から指令を受け、ある星に向かって宇宙を旅をしている。その任務を果たせば無罪放免が約束されており、見知らぬもの同士がひとつの目的へと力をあわせていた。しかしながら目的地への道のりは予想よりはるかに厳しく、脱落者が出て・・・。

 いきなり派手な照明演出で開幕し、前の2作品のイメージをガラっと塗り替えました。舞台は宇宙になるし、登場人物にサイボーグはいるし、衣裳もすっかり様変わりします。これが気持ちよかった!役者が色んな役にどんどんと変化する、スピーディーな場面展開もかっこ良かったです。

 カゲキヨ(狩野和馬)は人間の部分が少ししか残っていないサイボーグ体で、収容所内で何人もの人間を冷酷に殺してきました。5人の旅の途中でも仲間を次々と殺してしまいます。しかしカゲキヨの正体は、革命家・イセヤ(岩渕敏司)のフィアンセ・ミサ(吉冨亜希子)が、自らをサイボーグにした姿だったことがわかります。なぜならミサはずっとイセヤを守って、そばに居続けたかったから・・・。カゲキヨとミサが同時に登場してシンクロしていくシーンで、ちょっと泣けました。
 政府が革命軍に倒されて最終戦争がはじまり、核兵器によって地球が殲滅するというエンディングは、ちょっと唐突過ぎる気もしました。でもタイトルが「ピエタ」ですので、終末を描く必要があったのかなと思います。

出演=山岸拓生(拙者ムニエル)/中井出健(劇団AUN)/狩野和馬(InnocentSphere)/川本裕之(KAKUTA)/金崎敬江(bird's-eye view)/黒川深雪(InnocentSphere)/岩渕敏司(くろいぬパレード)/吉冨亜希子(RIDEOUT)/綾田將一(reset-N)/渡辺プレラ(劇団鹿殺し)/筒井則行(ゴリぱんかにー)/四十八願智子(InnocentSphere)/石川美津穂(太田プロダクション)/加藤和久(ポッシュ企画)/日高勝郎(InnocentSphere)
作・演出=西森英行(InnocentSphere) 照明=斎藤真一郎(A.P.S.) 音響=高橋秀雄(SoundCube) 美術=松本わかこ 小道具=蕪木久枝 宣伝美術=風見尚子(InnocentSphere) スチール=坂田敏夫 演出助手=田村友佳(KAKUTA) 舞台監督=中村貴彦 制作=RIDEOUT アシスタントプロデューサー=宮永琢生 プロデューサー=田中浩補
7/8前売り開始 全席自由 前売3000円 当日3300円
公式=http://www.rideout-inc.com/

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Posted by shinobu at 2006年09月02日 22:20 | TrackBack (0)